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マーケティング

4Pとは?マーケティングミックスの基本的な考え方とポイント

最終更新日:2023.05.09

4Pとは、Product、Price、Place、Promotionの4つの頭文字を表し、マーケティングミックスの代表例とされているものです。4Pは、環境分析を行い、自社がターゲットとする市場や顧客を選定した後、具体的な戦術を決めるうえで活用します。

企業のマーケティング担当者になったばかりの方の中には、4Pについて聞いたことはあっても、具体的な考え方や活用方法がわからないという人もいるでしょう。

この記事では、あらためて4Pの定義をお伝えするとともに、マーケティングの基本プロセスや4つの要素の考え方についてもわかりやすく解説します。

目次

マーケティングの戦術を決めるうえで重要な4Pとは?

マーケティングでは、環境分析や戦略の策定を経て、4Pにより施策を具体化します。

4Pとは?

4Pは、Product(製品やサービス)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)の4つの頭文字を表すフレームワークです。アメリカの経済学者であるエドモンド・ジェローム・マッカーシーが1960年に提唱しました。それぞれの頭文字を取り、4P(よんぴー、フォーピー)と呼ばれています。

4Pは、企業がマーケティングに用いる様々な戦術や施策を意味する「マーケティングミックス」の代表例として挙げられます。顧客に満足してもらえるProduct(製品やサービス)の開発、ポジションに対する適切なPrice(価格)の設定、効率的なPlace(流通)の選択、効果的なPromotion(販促)の実施により、マーケティング施策の効果を最大限に発揮させることを目的としています。

マーケティングの基本プロセス

マーケティングを行ううえで、4Pは施策の立案、つまり戦術を検討する段階で使用されます。マーケティングの基本プロセスは、以下の通りです。

1. 環境分析

PEST分析などのマクロ環境分析で外部環境の変化や事業に影響を与える要因を調査し、ファイブフォース分析3C分析に代表されるミクロ環境分析も実施することにより、マーケティング戦略の策定に必要な情報を収集します。

2. 戦略の策定

マクロ、ミクロ両面での環境分析で得られた情報を参考にSTP分析を行い、自社のSegmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)を明確にします。顧客を分類して誰をターゲットにするか定め、競合他社とどのように差別化するか戦略を決めるプロセスです。

3. 施策の立案

4Pを用いてマーケティング施策を検討します。顧客が何を望んでいるのか、競合他社はどのような活動を行っているのか的確に把握し、競合に打ち勝つためのマーケティング施策を立案します。

4. 施策の実行と評価

立案した施策は、行動計画と具体的な目標値を立てて実行に移します。また、マーケティング施策は実行したら終わりではなく、進捗や数値を管理し、必要に応じて軌道修正を行います。

なお、3C分析とSTP分析については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

関連記事:
3Cとは?マーケティング戦略立案時に行う3C分析の基本と注意点
STP分析の基礎知識|戦略立案に必要なフレームワークの使い方

4Pを再定義した概念「4C」

1960年に提唱された4Pをマーケットインの考え方で再定義した概念として「4C」(よんしー、フォーシー)があります。4Pとあわせて意味を押さえておきましょう。

4Cとは?

4Cとは、4Pを顧客(買い手)の視点から捉えなおした概念です。4Pの考え方は売り手視点(プロダクトアウト)であるとして、アメリカの経済学者であるロバート・ロータボーンが1993年に4Cを提唱しました。

4つのCが表すもの

4CはCustomer Solution(顧客の課題解決)もしくはCustomer Value(顧客価値)、Customer Cost(顧客が払う費用)、Convenience(利便性)、Communication(顧客とのコミュニケーション)の頭文字を表しています。

4Cがそれぞれ4Pのどの要素に対応するかまとめたのが、次の表です。

4P 4C 備考
Product(製品やサービス) Customer Solution(顧客の課題解決)もしくはCustomer Value(顧客価値)

 

自社の製品、サービスが顧客の課題をどのように解決することができるのか、または、顧客にどのような価値を提供できるのかを検討する
Price(価格) Customer Cost(顧客が払う費用)

 

提供する価値に対し、顧客が払う費用を考える
Place(流通) Convenience(利便性) 顧客が手間をかけずに自社の製品、サービスの価値を得られる方法を検討する
Promotion(販促) Communication(顧客とのコミュニケーション)

 

顧客に情報を伝えるだけでなく、顧客からのフィードバックを的確に得られる方法を検討する

4Pの基本的な考え方

4Pのそれぞれの項目である、Product(製品やサービス)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)の内容を決定するうえで重要なポイントを解説します。

Product(製品やサービス)

Productによって残りのPriceやPlace、Promotionが決まるため、製品やサービスはマーケティングの中心となる重要な項目です。Productの良しあしがマーケティング施策全体にも影響を与えると言えます。

Productでは、形や大きさ、分量、ネーミングといったスペックだけでなく、保証やアフターサービス、サポートの有無、ある場合は期間の長さについても検討します。また、その製品やサービスを通じて顧客に提供する価値についても考えることが大切です。

Price(価格)

STP分析によって導き出したポジションに対し、適切な価格を設定します。価格は企業の利益に直結するだけでなく、顧客が製品やサービスを評価する項目の1つにもなるため、重要な要素です。

価格は基本的には原価に利益を上乗せする形で考えます。その際に考えるべき要素として挙げられるのが、消費者の需要、競合他社の価格、様々なコスト、流通マージン、価格弾力性(価格の変動により需要や供給が変化する度合い)などです。利益を確保するだけでなく、製品やサービスを開発・提供する際にかかるコストを回収し、市場での競争力を維持できる価格を設定できるかどうかが鍵となるでしょう。

また、設定した価格が、製品やサービスを通して顧客が得られる価値に見合っているかどうかも大切な視点です。

Place(流通)

Placeでは、製品やサービスの流通経路を設計し、効率的・効果的に顧客に販売する方法を決めます。販路やチャネルには店舗、ECサイトだけでなく、営業パーソン、代理店などもあります。また、流通経路も卸売業者や小売業者を活用する方法、小売業者のみを活用する方法、製造業者が顧客に直接販売する方法など様々です。市場における製品やサービスの露出度合いと、流通コストの観点によって総合的に検討します。

Promotion(販促)

製品やサービスの存在、またはそれらが顧客にもたらすベネフィットを伝えるのがPromotionです。Promotionにより情報を伝えなければ、製品やサービスは売れません。企業はターゲット層に効果的にリーチする媒体を選び、運用方法を検討します。

Promotionの例としては、マスメディアやインターネットを利用した広告、販売員による人的販売、キャンペーン・イベントといった販売促進活動、パブリシティなどが挙げられます。

4Pの活用事例

ベビースターラーメンで知られるおやつカンパニーは、3C分析、STP分析、4Pのスタイルでマーケティングを実践し、成果を上げていると言います。

売り方を変更し、ベビースターラーメンの再活性に成功

おやつカンパニーがマーケティングの実践により成果を上げた1つめの事例は、既存品であるベビースターラーメンの再活性です。おやつカンパニー取締役専務執行役員/マーケティング本部長の髙口裕之さんのインタビューによると、売り上げが落ちていたベビースターラーメンについて、商品は変えずに、顧客のニーズの変化に合わせた売り方によって、商品回転や総需要を回復させたと言います。

きっかけは、もんじゃ焼き屋さんの中に自発的にベビースターラーメンを置いている店が多かったことと、料理レシピの検索アプリにベビースターラーメンを使うレシピが載っていたことです。そこで、髙口さんは3C分析、STP分析、4Pのスタイルでリテンションを検討し、「料理に使える側面」を打ち出すことが、スナック菓子市場で独自のポジショニングになり、差別化において有効と仮説を立てたと言います。

マーケティングの基本である3C、STP、4Pのスタイルでリテンションを検討すると、「料理に使える側面」を打ち出すことがスナック菓子市場の中で独特のポジショニングとなり、競合ブランドとの意味のある差別化に有効であるという仮説がすぐに見えてきたため、2018年から料理の方向へ舵を切り、レシピ本も発売。結果的に店頭回転は回復し、2年連続で前年越え、総需要量も2014年時を超えるまでになっています。

また、「料理に使える」というパーセプション付与のコミュニケーションは情報に実用性があるため、広告、宣伝コストを中長期的にセーブしやすいと考えたことも意思決定の重要なポイントでした。

出典:Marketing Native『おやつカンパニー専務/マーケティング本部長・髙口裕之が語る「ベビースターラーメン再活性のポイントと、新規事業創出の戦略と勝算」』

新ブランドの創出

おやつカンパニーがマーケティングを実践したもう1つの事例は、新ブランドの創出です。プロテインスナック菓子ブランド「BODY STAR」(ボディスター)の立ち上げにおいても、3C分析→STP分析→4Pにより検討されています。そして、以下の事柄を導き出し、ロジックが成り立つことから「BODY STAR」を立ち上げたと言います。

  • 注目を集めている成分・タンパク質の関連食品の中に、塩味のスナック菓子がない
  • スナック菓子市場は約2500億円あり、ポテンシャルが大きい
  • 自社の強みであるスナック菓子の製造販売を生かせる

「BODY STAR」の4Pについて整理すると、次のように考えられます。

  • Product:おやつ感覚で食べながら、不足しがちなタンパク質を1袋で20グラムとれるプロテインスナック
  • Price:店頭想定価格 160円(税別)
    ※試験販売時は180円。タンパク質が20グラムも入っていて180円の商品はそれほどないが、より受容性を高めるために、定価を20円下げた
  • Place:全国のスーパーマーケット、ドラッグストア、Amazonなど
    ※まずは健康食品売り場からスタート
  • Promotion
    YouTubeの公式チャンネルでプロのトレーニーが登場するWebムービーの公開
    プロのトレーニーが出演するテレビCMの全国放映
    など

髙口さんのインタビュー詳細は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:おやつカンパニー専務/マーケティング本部長・髙口裕之が語る「ベビースターラーメン再活性のポイントと、新規事業創出の戦略と勝算」

4Pを考える際のポイント

4Pを考える際は、4Pそれぞれの要素間で矛盾がないかどうかだけでなく、STPとの整合性も意識することが大切です。

要素間の整合性とSTPとの一貫性

Product(製品やサービス)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)はそれぞれ互いに影響し合うため、常にセットで考え、整合性が取れているかどうかを確認しましょう。例えば、Productとして高付加価値の製品を販売する場合、Priceが安価ではバランスが悪くなるため、高価になるでしょう。販路やチャネルも限定的になってきます。

また、STP分析によって定めた戦略と4Pとの一貫性も重要です。例えば、コストを抑えて競争優位を確立すると決めた場合は、できるだけ多くの人に受け入れられるProductを、営業時間が長い店舗やECサイトなど利便性の良い場所で業界最安値で販売し、マスメディアを中心に大々的にPromotionを行う――となります。

顧客視点に基づく判断

4Pを考える際にもう1つ忘れてはならないのが、顧客視点です。例えば、売り手側の視点しか持っていないと、Promotionを検討する際に製品のスペックや企業側が考える魅力をキャッチコピーに並べてしまうおそれがあります。すると、ターゲットにはキャッチコピーが響かず、製品の良さも伝わらないでしょう。

顧客視点を持つためには、自らも顧客と同じ行動を取るなど、顧客の心理への徹底的な理解が欠かせません。

顧客理解と戦略に基づき、4Pで施策の具体化を

4Pはマーケティングの戦術を決めるうえで重要なフレームワークです。マーケティングで成果を上げるには、セグメンテーションとターゲティング、ポジショニングで戦略を定め、4Pの視点で施策を具体化することが求められます。4Pを考える際は4つの要素間の整合性と戦略との一貫性を忘れずに、施策の検討を行いましょう。

なお、4Pについては以下の記事でも取り上げています。あわせて参考にしてみてください。

関連記事:マーケティングとは?実践するうえで押さえておきたい4つの基本

 

記事執筆者

Marketing Native編集部

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