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マーケティング

マーケティングとは?実践するうえで押さえておきたい4つの基本【マーケティング基礎講座第1回】

最終更新日:2022.07.08

マーケティングは企業がビジネスをリードするうえで、欠かせない重要な要素です。商品やサービスを購入する際に誰もが売り手のマーケティングを体験していますが、それを実践するには、体系化された理論を理解しておく必要があります。

この記事は、『ドリルを売るには穴を売れ』の著者で、ストラテジー&タクティクス株式会社 代表取締役社長の佐藤義典さんに監修いただき、マーケターに必要な基礎知識と押さえておきたい4つの基本理論について解説します。

目次

    マーケティングとは?

    マーケティングについて、世の中にはさまざまな考え方や定義があります。まずは、マーケティングの言葉の意味と、進化してきた歴史を説明します。

    「マーケティング」の意味

    マーケティングとは、わかりやすく言うと、お客様の「買いたい」気持ちを作ることです。お客様に「あなたから買いたい」と思っていただいた結果として、あなたの「売り上げ」が上がるのです。

    マーケティングと言われてプロモーションのことを思い浮かべる方がいるかもしれませんが、「広告宣伝=マーケティング」ではありません。市場調査、広告制作、営業戦略など、お客様の「買いたい」に関わる全てがマーケティング活動に含まれます。企業のマーケティング部門だけがマーケティングを担っているのではなく、販売企画部や製造部、営業部、宣伝部など、売ることに関わる全ての社員がマーケティングに関わっているのです。

    あなたが何か商品・サービスを購入しようとするときは、売り手にとってのマーケティングが起こっています。例えば、昼食に何を食べるか考えたときに、選択肢としてコンビニや近所の定食屋、チェーン系のレストランを思い浮かべ、最終的に「コンビニで弁当を購入しよう」と決めた場合、コンビニのマーケティングが成功していると言えます。

    参考:フィリップ・コトラーやピーター・ドラッカーのマーケティングの定義は?

    マーケティングと言えば、「マーケティングの神様」などと評されるフィリップ・コトラーや、「知の巨人」として知られるピーター・ドラッカーの定義を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。コトラーとドラッカーがそれぞれどのように定義しているのか、2人の著書から引用し、参考として紹介します。

    コトラーは、マーケティングについて次のように述べています。

    どのような価値を提供すればターゲット市場のニーズを満たせるかを探り、その価値を生み出し、顧客に届け、そこから利益を上げること。

    出典:『コトラーのマーケティング・マネジメント -ミレニアム版』(ピアソン・エデュケーション、フィリップ・コトラー著、恩藏 直人訳)

    一方ドラッカーは、著書『マネジメント』で「真のマーケティングは顧客からスタートする」としたうえで、次のように述べています。

    実のところ、販売とマーケティングは逆である。同じ意味でないことはもちろん、補い合う部分さえない。もちろんなんらかの販売は必要である。だがマーケティングの理想は、販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。

    出典:『マネジメント[エッセンシャル版]』(ダイヤモンド社、P・F・ドラッカー著、上田惇生訳)

    進化するマーケティング

    そもそもマーケティングという言葉は、19世紀のアメリカで生まれたと言われています。当時のアメリカは、産業革命や鉄道による輸送網の発展を受け、製品の大量生産ができるようになっていました。大量生産した製品を大量に販売するため、需要を作り出し、効率的に売る工夫をする必要があったのです。そうしてマーケティングの考え方が発展し、理論化、体系化されていきました。日本にマーケティングという言葉 が入ってきたのは、第二次世界大戦終了後と言われています。

    インターネットやスマートフォンの普及、ソーシャルメディアの発達などに伴って消費者の行動も変化しており、時代とともにマーケティングもアップデートされています。そうした時代ごとに変化するマーケティングをフィリップ・コトラーが表現したのが、「マーケティング1.0」「マーケティング2.0」「マーケティング3.0」「マーケティング4.0」です。

    • マーケティング1.0:製品中心のマーケティング(1900年~1960年代)
    • マーケティング2.0:消費者志向のマーケティング(1970年~1980年代)
    • マーケティング3.0:価値主導(人間中心)のマーケティング(1990年~2000年代)
    • マーケティング4.0:自己実現のマーケティング(2010年代~)

    2021年1月には、コトラーの新たな著書『Marketing 5.0: Technology for Humanity』が発売され、「マーケティング5.0」について触れられています。日本語訳はまだ登場していませんが、ビッグデータやAR、機械学習などを活用したマーケティングについて書かれているようです。

    ただ、細かい部分での進化はありますが、マーケティングの本質は変わりません。『お客様に価値を提供し、お客様の「買いたい」を作る』という本質をおさえておくことが一番大事です。お客様が「買いたい」と感じた結果として、「売り上げ」が上がるわけです。

    マーケティングを考えるうえで重要な4つの理論

    マーケティングを実践するには、体系化された理論を理解しておく必要があります。実践や応用に進む前に、まず押さえておきたい基本的な理論は以下の4つです。

    • ベネフィット
    • セグメンテーションとターゲティング
    • 強み・差別化
    • 4P

    このほかにも知っておいたほうが良い理論や考え方はありますが、マーケティング活動は上記4つの基本理論が土台となっています。

    マーケティングの基本1【ベネフィット】

    マーケティングの基本となる理論の1つめは「ベネフィット」です。ベネフィットはマーケティングの中心的な概念であり、最も重要と考えられています。

    ベネフィットとは?

    ベネフィットは「顧客にとっての価値」です。マーケティングは学問的に言うと「価値のやりとり」であり、本質的には「顧客にとっての価値を売り、その対価として、顧客からお金をいただくこと」と言えます。

    ▲顧客がドリルを買うのは、「穴を開ける」という価値を得るため。

    例えば、ハーゲンダッツのアイスが売れるのは、「食後のデザートとして食べると、一日の疲れやイヤなことを忘れられる」という「価値」を提供しているためです。顧客はハーゲンダッツに「価値」があるから「買いたい」と思い、ほかのアイスより値段が高くても購入します。その結果として、ハーゲンダッツの「売り上げ」が上がります。

    「売り上げ」はお客様が「買いたい」と思う気持ちの結果であり、「高い価値」を提供することによって達成されるのです。

    「価値」は「うれしさ」

    「価値」とは何か、もう少し掘り下げてみましょう。「価値」を簡単に言うと、お客様が感じる「うれしさ」のことです。人は欲求が満たされたときに「うれしい」と感じます。欲求にはさまざまなものがありますが、基本となるのは「自己欲求」「社会欲求」「生存欲求」の3つです。

    • 自己欲求:「もっと成長したい」「ストレスを発散したい」など自己の中で完結する欲求
    • 社会欲求:「評価されたい」「モテたい」など他者に受け入れられたいと感じること
    • 生存欲求:「お金が欲しい」「おいしいものを食べたい」など生きるために必要な欲求

    人はこうした欲求を満たして「うれしさ」を得るために、対価を払って商品やサービスを購入します。

    2種類のベネフィット

    「顧客にとっての価値」であるベネフィットは、大きく「機能的ベネフィット」と「情緒的ベネフィット」に分けられます。機能的ベネフィットとは、「早い」「安い」「おいしい」「便利」など物理的な価値のことです。一方の情緒的ベネフィットは、「ステータス」「憧れ」「思い出」など情緒的な価値を指します。

    • 機能的ベネフィット:物理的な価値
    • 情緒的ベネフィット:情緒的な価値

    機能的ベネフィットは、「数値」で表しやすいものです。例えば、パナソニックのノートパソコン「Let’s note(レッツノート)」のウリは、軽量・頑丈・長時間駆動・高性能の4つを高いバランスで保持していることです。軽量・頑丈・長時間駆動・高性能、という4つは全て「数値」で表せます。実際、Let’s noteのカタログには、「1.xkg」「〇〇cmから落としても大丈夫」「〇〇時間連続稼働」などの数値が並びます。ユーザーがそれを求めているからです。

    それに対して、例えば、高級ブランドのバッグを購入するのは、生地の丈夫さや持ちやすさといった機能的ベネフィットはもちろんありますが、「憧れのブランドのバッグを持つ特別感」という情緒的ベネフィットも得られるからではないでしょうか。「憧れ」という情緒を数値化することは可能にしても、高級バッグがLet’s noteのような数字による機能的訴求をすることはまずありません。モデルさん・女優さんらを起用した美しいポスターなどで「憧れ」を訴求するわけです。

    売れる商品=価値が高い=お客様が「買いたい」と思うもの

    顧客は、自身が得られる価値が払う対価よりも大きいと感じるときに、商品やサービスの購入を決断します。つまりマーケティングは、「顧客が得られる価値>顧客が払う対価」という不等号を維持、もしくは拡大する活動なのです。不等号を維持または拡大するには、顧客が払う対価(手間や時間なども含まれる)を減らすか、顧客が得られる価値を向上させる必要があります。

    また、人気商品の多くは先述した機能的ベネフィットと情緒的ベネフィットのどちらか、もしくは両方を満たしています。その根源には欲求があり、人は「うれしさ」を求め、対価を払って商品やサービスを購入するのです。

    マーケティングの基本2【セグメンテーションとターゲット】

    マーケティングの基本理論の2つめは、セグメンテーションとターゲットです。人によって商品やサービスに求めるベネフィットは異なるため、セグメンテーションとターゲティングが必要となります。

    セグメンテーションとターゲットとは?

    セグメンテーションは、顧客を分けることです。分けられた顧客グループのことをセグメントと言います。そして、商品やサービスを売る対象となる顧客セグメントがターゲットです。

    「自己欲求」「社会欲求」「生存欲求」のうち、どの欲求を重視し、商品やサービスにどのような価値(「機能的価値」「情緒的価値」)を求めるかは人それぞれ異なります。そのため、マーケティングではセグメンテーションで顧客を分け、ターゲットを決めることが大切です。また、セグメンテーションとターゲットはセットで考えます。

    セグメンテーションの仕方

    セグメンテーションする際の指標は、「人口動態変数」「地理的変数」「心理的変数」「行動変数」の4つが一般的です。ここでは2つの代表的な手法を紹介します。

    1つは人口統計的なセグメンテーションです。BtoCでは性別、年齢、居住地域、家族構成、職種・年収などの属性で個人顧客を分類し、BtoBの場合は業種・業態、企業規模(年商や従業員数)、上場・非上場などの属性で法人顧客を分類します。人口統計的なセグメンテーションは、漏れや重複なく論理的に分類できる点がメリットです。一方で、例えば「20代」「30代」と分類すると、20歳と29歳が同じ「20代」に分類されるなど、セグメンテーションとしては不十分な側面も持ちます。

    そこで、人口統計的なセグメンテーションと併せて活用すると良いのが、人の嗜好や心理、行動、ライフスタイルなどの属性で分類する心理的なセグメンテーションです。

    おすすめは、「人の属性×求めるベネフィット」という組み合わせによる分類です。例えば、「小学生の子どもを持つ親(属性)で、私立中学校の受験に悩む人(求めるベネフィット)」のような組み合わせです。これによってニーズを捉えたターゲット描写ができます。

    また、いわゆる「イノベーター理論」による分類もあります。革新者、初期採用者、前期マジョリティ、後期マジョリティ、遅滞者、で分類するもので、新たな商品・サービス類が生まれたときによく使われます。

    ターゲットを決める重要性

    ターゲットを絞り込まなければ、商品やサービスは基本的に売れません。ターゲットを決める際は、「儲かるか」「勝てるか」の2つを重視します。

    ・儲かるか

    儲かるか否かを判断するうえでポイントとなるのは、「市場の大きさ(客数)」と「客単価」です。市場は十分な大きさか(客数は十分にあるか)、客単価は十分に取れるか、結果として利益は得られるかを考慮してターゲットを決めます。

    利益の計算式は「売り上げ×利益率」であり、さらに分解すると「客数×客単価×利益率」となります。利益率は自社がどれだけ低コストで商品やサービスを提供できるかによって決まります。客数が十分にあるならば、客単価は低くても一定の売り上げを確保できます。反対に、客単価が十分に取れるなら、狭く絞っていくこともできます。価値を切実に求める人は、単価が高くても購入してくれるからです。

    ・勝てるか

    もう1つ重要な観点は、勝てるか否かです。市場がどんなに大きくて儲かりそうでも、自社が競合に勝てなければ意味がありません。競合に対して差別化でき、自社の強みを生かせるかどうかを考え、ターゲットを選びます。

    マーケティングの基本3【強み・差別化】

    マーケティングの基本理論3つめは、「強み・差別化」です。商品やサービスを売るためには、ターゲットを決めてベネフィットを提供するだけでなく、競合他社にはない強みが求められます。

    自社の商品を選んでもらうために重要な「強み・差別化」

    市場には競合が存在するため、自社の商品やサービスを選んでもらうには差別化が必要となります。強みとは、「競合ではなく、あなた(自社)から買いたい」理由です。この強みを作ることが差別化となり、自社と競合との提供する価値に差を生み出します。

    ベネフィットが「価値」であり、「買いたい理由」であるのに対し、「強み」は「競合との価値の差」であり、「あなた(自社)から買いたい」理由です。つまり、競合よりもより大きな価値を提供することでお客様に選んでいただけるのです。

    より正確に言えば、同じ価値であれば低価格なほうが選ばれますから、「1円あたりの価値」が大きいほうが選ばれます。マーケティング、そして経営とは、まさに「1円あたりの価値を最大化する競争」なのです。

    「お客様が自社を選ぶ理由」を作っていくのが差別化戦略です。差別化戦略には、手軽軸・商品軸・密着軸という3つの軸があります。これは監修の佐藤義典さんが、経営コンサルタントのマイケル・トレーシー氏とフレッド・ウィアセーマ氏が提唱した「企業が顧客に提供する価値の3つの分類」に着想を得てアレンジしたものです。

    • 手軽軸:競合よりも安く、早く、便利だから買いたい
    • 商品軸:競合よりも品質や技術が高いから買いたい
    • 密着軸:競合よりも「自分向けになっている」から買いたい

    差別化戦略の決め方

    基本的に、差別化戦略は手軽軸・商品軸・密着軸のうちの1つに絞ります。選ぶ差別化軸によって絞るべきターゲットが決まるだけでなく、どの戦略をとるかは企業の経営にも影響するためです。例えば手軽軸を選択する場合は、できるだけコストを下げて商品やサービスを提供するために効率化が求められます。商品軸にするならば、優れた技術や創造性のある人材、画期的なアイデアを生み出す組織などが重要となるでしょう。密着軸の場合は、顧客の声を拾い上げたり、顧客と密な関係性を構築したりするための仕組みが必要です。

    差別化戦略の3つの軸を全て実行するのはほぼ不可能です。例えば、「千円という超低価格で、他では3万円するような超高級な高級フレンチレストラン」を作り、利益を出すことはまず不可能なのです。仮に可能だったとしたら、すぐにその手法が模倣され、今度はその価格・価値が基準となってまた新たな差別化が始まっていきます。

    経営資源には限りがあるため、結局、1つに絞らないと3つの軸全てが中途半端になり、特徴がなくなるおそれがあります。また、特化した軸以外の2つの軸でも平均以上の価値を提供することが大切です。1つの軸でどれほど優れていても、残りの2つが平均以下では、お客様に選ばれるのは難しいでしょう。

    マーケティングの基本4【4P】

    マーケティングの基本となる最後の理論が「4P(フォーピー)」です。ターゲットが求めるベネフィットを提供し、競合とも差別化することができたら、お客様から対価をいただくための具体的なマーケティング施策(戦術)を決めます。

    4Pとは?

    4Pとは、顧客に価値を提供し、対価をいただくための具体的な方法のことです。

    4つのPはそれぞれ以下を意味しています。

    • Product(売り物:製品やサービス)
    • Promotion(売り方:広告や販促)
    • Place(売り場:流通やチャネル)
    • Price(売り値:価格)

    それぞれ、売り物・売り方・売り場・売り値と呼ぶと覚えやすく、忘れないでしょう。顧客に購買行動を起こしてもらうべく、企業が活用する施策の組み合わせを「マーケティングミックス」と言い、4Pはその代表例に当たります。

    ここまでの「ベネフィット」、「セグメンテーションとターゲット」、「強み・差別化」というのはあくまでも「概念」です。お客様の目には見えません。4Pの売り物や売り方を通して、初めてお客様の目に見え、手で触れるような「実体」となるわけです。例えば「強み」は、「製品」によって触れるものとして現実化され、「広告・CM」によって目に見えて理解されるようになるのです。

    つまりは、「ベネフィット」、「セグメンテーションとターゲット」、「強み・差別化」を現実とするものが4Pです。

    Product(売り物:製品やサービス)

    Productは製品やサービスのことで、売り物に当たります。売り物は、「価値を現実化するもの」と言えます。

    売り方や売り場、売り値はいずれも売り物ありきで決まるため、何を売るかは重要です。Productは「これを売ることによって、どのようなお客様に、どんな価値をもたらそうとしているのか」を考えます。

    Promotion(売り方:広告や販促)

    製品やサービスの価値を顧客に伝え、買ってもらうための方法がPromotionです。売り方は、「価値を伝えるもの」です。どれほど良い売り物であっても、存在や価値が伝わっていなければ売れません。

    主に認知促進の目的で使われる広告は、広告媒体とメッセージに分解できます。広告媒体にはテレビCMやポスター、折り込みチラシ、DM、SNSといった費用が発生するものだけでなく、製品パッケージなども含まれます。メッセージでは、自己欲求や社会欲求、生存欲求を刺激することを意識し、差別化ポイントを発信するのが大切です。

    販促は販売促進の略で、一般的に購買を促進する手段の総称として用いられます。販促の手法はサンプリングやイベント、ポイント制度、値引きキャンペーンなどさまざまで、業界によっても異なります。

    Place (売り場:流通やチャネル)

    Placeは、製品やサービスの価値を届ける売り場です。一般的には、店舗やインターネット上のWebサイトなどがイメージしやすいでしょう。法人営業のように営業パーソンがチャネルになることもありますし、代理店に営業や販売を委託するケースも存在します。

    Price(売り値:価格)

    価値を提供する代わりに、どれだけの対価をどういただくのか考えるのがPriceです。製品やサービスの価格は、原価に利幅を上乗せして決めるのが基本です。売り値はあくまで顧客に提供する価値と相対的なものであって、価格の高低に良しあしはなく、自社の強みや選ぶ戦略によって変わります。

    4Pは相互に関係し合うため、全体をセットで考え、一貫性を持たせることが大切です。また4P同士だけでなく、4Pと戦略との一貫性も忘れてはいけません。例えば、差別化戦略で手軽軸を選択するとしたら、4Pは次のようになるでしょう。

    ここまで取り上げた基本理論の4つである、ベネフィット・ターゲット・差別化戦略・4Pの全てに一貫性があることが、良いマーケティングの必要条件なのです。

    なお、4Pについては以下の記事でも詳しく解説しています。
    4Pとは?マーケティングミックスの基本的な考え方とポイント

    マーケティングでお客様の「買いたい」を作る競争をしよう

    マーケティングとは、お客様が「買いたい」と思う気持ちを作ることです。今回ご紹介した内容は全て、お客様が「あなた(自社)から買いたい」と思う気持ちを作るための手段です。

    お客様が「あなたから買いたい」と感じると、商品が売れます。ベネフィット、すなわち「価値」や「うれしさ」を追求し、競合よりも高い価値を提供できれば、自社が選ばれるのです。また、価値が高ければ製品やサービスの単価も上げられます。

    「価値作り」と「うれしさ作り」によって、お客様の「買いたい」気持ちを巡る争いに勝つと、自社の売り上げが上がる――この基本を忘れないようにしましょう。

    なお、マーケティング戦略の考え方の基本プロセスは、一般的に以下の流れになっており、この記事で取り上げた内容は「戦略の策定と施策の立案」の部分に当たります。PEST分析や3C分析、STP分析といったよく耳にするフレームワークは、今回ご紹介したベネフィットやターゲット、強みを検討し、決めていくためのツールと考えていただくと良いのではないでしょうか。

    【マーケティング戦略の基本プロセス】

    1)環境分析
    ・マクロ環境分析:PEST分析
    ・ミクロ環境分析:ファイブフォース分析、3C分析
    2)戦略の策定と施策の立案
    STP分析(セグメンテーションとターゲット、差別化)
    4P
    3)施策の実行と評価
    ・マスマーケティング
    ・ダイレクトマーケティング
    ・インバウンドマーケティング(SEO、ソーシャルメディア、メールマガジンなど)
    など、手法はさまざま

    【シリーズ一覧】

    マーケティング基礎講座

    【監修者Profile】
    佐藤 義典(さとう・よしのり)
    ストラテジー&タクティクス株式会社 代表取締役社長
    早稲田大学政治経済学部卒業後、NTTに入社。営業やマーケティングを経験した後、米ペンシルベニア大ウォートンスクールでMBAを取得。外資系メーカーにて、食品のブランド責任者としてマーケティング・営業・開発・製造などを統括した後、外資系マーケティングエージェンシーにてコンサルティングチームのヘッドとして活躍。2006年にストラテジー&タクティクス株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。グロービス・マネジメント・スクールにてマーケティング講座の講師も務める。
    主な著書に『ドリルを売るには穴を売れ』(青春出版社)、『実戦 商品開発マーケティング戦略』(日本能率協会マネジメントセンター)などがある。
    http://www.sandt.co.jp/

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