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マーケティング

3Cとは?マーケティング戦略立案時に行う3C分析の基本と注意点

最終更新日:2022.06.06

3Cは、企業の経営戦略を考える上で欠かせない、市場環境を分析する際に必要になる情報です。一般的には「3C分析」として企業のマーケティング戦略を考える際のフレームワークの材料として使われます。

3Cという言葉を見たり聞いたりしたことはあっても、それぞれの「C」の意味や3C分析の手法について把握している人は意外に少ないかもしれません。

この記事では、主にマーケティング学習者や初心者の方を対象に、3Cの意味や基本的な分析方法の考え方、注意点などを解説します。

目次

そもそも3Cとは?

初めにそもそも3Cとは何か、3Cの意味とフレームワークを解説します。事業会社でも支援会社でも自社やクライアントの事業、マーケティング分析をする上で欠かせない知識であり、確実に押さえておきましょう。

3Cの意味

3Cとは、以下3つの要素の頭文字を取ったものです。

  • Customer(市場・顧客)
  • Competitor(競合)
  • Company(自社)

もともとはマッキンゼーの日本支社長だった大前研一氏が提唱した考え方で、経営に関する課題解決を行う際に最低限必要な情報を3つの「C」で表したものです。Customer(市場・顧客)とCompetitor(競合)は外部環境、Company(自社)は内部環境であり、それぞれを的確に分析することで市場規模、事業の強み・弱み、成長性などを見極めます。コントロールが難しい外部環境に対し、内部環境である自社は分析結果に合わせて改善したり対策を打ったりすることが可能です。

3Cを用いたフレームワーク「3C分析」

3Cの要素は、マーケティングの代表的なフレームワークのひとつ「3C分析」に活用されます。

3C分析の主な目的は、外部環境である市場・顧客と競合の分析を通してKSF(Key Success Factor:主要成功要因)を発見し、ビジネスの方向性の見極めや事業計画の立案などを行うことです。例えば、市場・顧客(Customer)を分析して市場規模や顧客のニーズ、成長性を把握した上で、競合他社(Competitor)と自社の差別化ポイントを考えたり、競合が参入していないブルーオーシャンを探したり、競合が押さえている市場を奪うことができるかについて、自社(Company)のスキル、人的資源、収益性などの強みを考慮しながら分析します。3つの「C」を基に、事業計画の策定や実行する上でのバランスの取れた視点を確保できるのが3C分析のメリットです。

また、近年は3C分析だけでは不十分であるとして、「4C」や「5C」なども存在します。

・4C

  • Consumer Value(顧客価値)
  • Cost(価格)
  • Convenience(利便性)
  • Communication(コミュニケーション)

4Cは、技術力の向上によってプロダクトやサービスの品質面で差別化するのが難しい時代になり、従来の企業目線の分析だけでは不十分であるとの認識から、顧客視点に基づく考え方が大切であるとして注目されている概念です。中でも「顧客価値」は、品質や性能だけでなくデザイン、作り手の思いなどストーリー、ブランドイメージといった顧客が受け取るあらゆる価値を意味します。また、「コミュニケーション」は例えば、コロナ禍で実店舗での顧客とのコミュニケーションが困難になった時代に、ECサイトなどでエモーショナルなコミュニケーションを行い、実店舗同様の買い物体験を実現するにはどうすれば良いかを考える際に注目されました。顧客に提供するベネフィットを最大化しようとするフレームワークが4Cと言えるでしょう。

・5C

  • Consumer(顧客)
  • Competitor(競合)
  • Company(自社)
  • Customer(中間顧客)
  • Community(環境社会)

中間顧客とは小売店や代理店のことで、環境社会とは法律や税制、世論などを意味します。3Cをより詳細にしたフレームワークと言え、KSF発見の精度を上げるのに役立つと考えられています。

なお、5Cにもバリエーションがあります。具体的には、Customer’s Customer(顧客の顧客)やCustomer’s Competitor(顧客の競合)を3Cに加えたものです。例えば、BtoBtoCのビジネスモデルを展開していて、業界を広く捉えた分析をしたい場合などに利用されることがあります。

3C分析の基本

3C分析を行うタイミングや、それぞれの「C」別に分析方法を解説します。3C分析を的確に行うことで、経営課題の解決や事業戦略の方向性を考えるのに役立ちます。

3C分析を行うタイミング

3C分析を行うタイミングは、経営課題の発見、事業戦略の策定や改善、新規事業の立ち上げなどを行うにあたって、自社の強み・弱みを把握し、市場などの外部環境を分析しながら競合との差別化を見いだしたいときです。大きな流れとしては「マクロ環境分析」→「ミクロ環境分析」→「戦略の策定」→「実行計画の立案」と続きます。

なお、STP分析や4Pについては、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:
STP分析の基礎知識|戦略立案に必要なフレームワークの使い方
4Pとは?マーケティングミックスの基本的な考え方とポイント

Customer(市場・顧客)の分析方法

まずは顧客を知ることから始めます。市場規模や成長性、顕在顧客のニーズ、潜在顧客の規模、購買力などを分析し、事業戦略の策定から実行計画の立案に結びつけます。

具体的な市場・顧客の分析方法としては、「PEST分析」「ファイブフォース(5F)分析」というフレームワークが一般的です。「PEST」とは以下4つの外部環境の頭文字を取って名づけられており、マクロ環境の分析を行う際に活用されます。

【PEST分析】

  • Politics(政治)
  • Economy(経済)
  • Society(社会)
  • Technology(技術)

税制や法律改正などの政治経済はもちろん、少子高齢化、Z世代への注目、コロナの感染拡大などの社会状況、AIをはじめとするテクノロジーの発展といったマクロ環境の多くは、基本的に自社ではコントロールできません。一方、例えばコロナ禍で躍進を遂げたオンラインビジネス、DXなどはこうしたマクロ環境の追い風に乗って成長、拡大しています。こうしたことからも事業戦略を考える上でPEST分析が重要な役割を担うことがわかります。

一方、ファイブフォース分析は、米国の著名な経営学者マイケル・ポーターの著書『競争の戦略』によって有名になりました。フォースは英語で「force」で、この場合は「脅威」と訳されます。ファイブフォース分析とは以下5つの脅威を分析するフレームワークであり、外部環境の中でもミクロ環境を把握するために活用されるのが一般的です。

【ファイブフォース分析】

  • 業界内(競合他社)の脅威
  • 新規参入者の脅威
  • 代替品の脅威
  • 買い手(の交渉力)の脅威
  • 売り手(サプライヤーの交渉力)の脅威

ファイブフォース分析によって、市場全体の収益構造、競合の強み・弱み、参入の容易さ、自社の競争優位性と課題の発見を行い、自社のプロダクト・サービスの収益性改善のほか今後の戦略策定につなげます。PEST分析と合わせて市場における自社の環境を考察することで、次の打ち手を見つけるのに役立つでしょう。

Competitor(競合)の分析方法

Competitor(競合)の分析には、主に以下の要素の調査が行われます。

  • 競合他社のプロダクト・サービスの強み・弱み
  • 競合他社のシェアやポジション、顧客単価
  • 競合他社の戦略
  • 競合他社の売り上げ、利益率

競合他社が参入していなくて、自社が注力できそうな領域を見つけるだけでなく、競合他社がうまくいっている戦略や背景を、Customer(市場・顧客)を含めて考察することも大事です。その上でCompetitor(競合)の成功事例を参考にしながら、真似できるところ、独自性を追求すべきところなどを明らかにし、売り上げ・利益率の向上につなげます。

なお競合分析をする際には、以下の内容を押さえておくと、分析の際に役立つでしょう。

企業の種類 概要
リーダー企業 各市場のトップ企業。ランチェスターの強者の戦略であるミート戦略を行い、優位性を担保しているケースが多い。
チャレンジャー企業 リーダー企業の次に大きなシェアを持っており、差別化戦略を取ってリーダー企業に挑戦している場合が多い。
ニッチャー企業 比較的小さいながらも特定の市場でトップと言える企業。選択と集中をしている。
フォロワー企業 リーダー企業やチャレンジャー企業の真似をして業界内で利益を得ている企業。徹底したコストダウンで利益を確保する戦略などを取る。

コンビニ業界を例に出すと、セブン-イレブンがリーダー企業で、ローソンやファミリーマートがチャレンジャー企業です。経営統合により、コンビニ業界にフォロワー企業は少なくなってきていますが、北海道で大きなシェアを持つセイコーマートはニッチャー企業として位置づけられることがあります。

Company(自社)の分析方法

Customer(市場・顧客)やCompetitor(競合)分析を踏まえて、Company(自社)の状況をあらためて考えることでKSFを導き出します。その際、SWOT分析VRIO分析がよく行われます。

SWOT分析は自社のStrength(強み)とWeakness(弱み)、外部環境であるOpportunity(機会)とThreat(脅威)の視点をかけ合わせて戦略を立てるフレームワーク。VRIO分析は、Value(経済価値)・Rarity(希少性)・Inimitability(模倣困難性)・Organization(組織)の4つの視点で自社の強みを明確にするフレームワークです。

3C分析を行う際の注意点

3C分析を行う際に注意したい点が主に3つあります。定量・定性両面で客観的な分析ができるように次のポイントを意識しましょう。

情報収集は十分に行う

3C分析の成否を決める生命線のひとつが正確かつ定量的な情報収集です。自社以外の市場・顧客、競合の情報を収集する際は、信ぴょう性にも注意しましょう。官公庁や大手企業など信用の置ける一次情報を基本にするのはもちろん、複数の情報ソースに当たってファクトの確認をすることも大切です。

3Cの関係性を明確化する

3つの「C」はバラバラに独立しているのではなく、それぞれ関連性を持って存在しています。例えば、自社のプロダクト・サービスの成長戦略策定や課題の発見には、市場・顧客と競合の分析をベースに行われるのが一般的です。

顧客側の3C分析も行う

BtoBのビジネスモデルの場合、顧客側の3C分析も行いましょう。当然ですが、BtoBの場合、自社の売り上げは顧客のビジネスの成否にかかっています。また、顧客が所属する業界の縮小、それに伴うビジネス撤退のリスクなどは顧客企業の3C分析を行うことで早めに気づいて、対策を打つことにもつながります。

3C分析とはマーケティング戦略立案の大前提

3C分析とは、マーケティング戦略を考える際の前提となる材料を集めるためのフレームワークです。正しい3C分析を行うことで、企業の短期・中長期での事業戦略の策定に役立てられます。経営戦略の立案に必要な分析用のフレームワークはほかにも複数存在しますので、3C分析と合わせて実行することで、より正確で効果的な投資判断の実行につながるでしょう。

 

記事執筆者

Marketing Native編集部

Marketing Native(マーケティングネイティブ)は株式会社CINC(シンク)が運営しているメディアです。 CMOのインタビューやニュース、Tipsなど、マーケターに役立つ情報を発信しています。
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