スマートフォンでの動画視聴が一般的になり、動画広告もよく見られるようになりました。かつて一般的だったのは、動画コンテンツの前や後に再生されるインストリーム広告でしたが、記事コンテンツの中に設置できるものが登場するなど、動画広告の種類は多様化しています。また、視聴者個人に合わせた内容を配信できる、パーソナライズド動画広告も登場しています。
今回は、動画広告の特徴や効果、主な掲載媒体別に見た種類と事例をご紹介します。
目次
動画広告の特徴と効果
スマートフォンの普及などに伴い、動画広告市場は拡大傾向にあります。なぜ多くの企業が動画広告を配信するのでしょうか。ここでは、動画広告の特徴と効果をご紹介します。
動画広告の特徴
通信環境が以前よりも向上したことにより、データの容量が大きい動画もスムーズに視聴できるようになっています。そのおかげもあって、動画広告はリスティング広告やバナー広告よりも情報量が多く、音と映像で見た人に強い印象を与えることができます。また、スマートフォンが普及したこともあり、時間と場所を選ばずにユーザーに視聴してもらえる点も動画広告の特徴の一つです。
動画広告の主な配信先は、YouTubeのような動画サービスやSNS、Webメディアなどです。動画コンテンツの再生前や後に表示されるインストリーム広告、SNSのタイムライン上に表示されるインフィード広告、ディスプレイ広告枠に配信されるインバナー広告、記事の途中に掲載されるインリード広告などの種類があります。いずれのタイプもユーザーの興味を引く内容であることが大切ですが、それぞれでメリットとデメリットが少しずつ異なります。
以下の記事でも詳しく紹介しているので、参考にご覧ください。
動画広告の効果
株式会社マクロミルと株式会社デジタルインファクトが2017年に発表した「動画広告ユーザー調査2017」では、ユーザーが動画広告を視聴したときの印象に関するデータがまとめられています。調査によると、「訴求されている商品・サービスの内容について印象が残る」は、インストリーム広告とアウトストリーム広告を合わせて46.8%とほぼ半数です。インストリーム広告は「動画広告がよりうっとおしいと感じる」(54.3%)というネガティブな反応が目立ちます。一方、アウトストリーム広告では、「動画をクリックしてその先のHPを訪問する」が18.8%と、インストリーム広告の10.6%を上回っています。
なお、ユーザーが目にする動画広告の中でも特に記憶に残りやすいのは、「ソーシャルメディアのタイムライン上に表示される動画広告」(20.2%)という結果も出ています。
特徴の項目でも挙げたように動画広告は視聴者の印象に残りやすく、広告の種類によってはWebサイトへの誘導などにつなげられる可能性があります。
データ出典:動画広告ユーザー調査 2017 第2回マクロミル×デジタルインファクト共同調査
【掲載媒体別】動画広告の主な種類
ひと口に動画広告と言っても、さまざまな掲載先があります。YouTubeやSNSなど掲載媒体別に、動画広告について見ていきましょう。
Facebookの場合
Facebookのフィード内動画広告は、フィード上で自動的に動画が再生されます。広告を配信するターゲットユーザーは、項目に合わせて詳細にセグメントを分けることが可能です。そのため、Facebookのオーディエンスデータを活用し、ユーザーごとに配信される動画の内容が異なるパーソナライズド動画広告を配信した企業の例もあります。
画像出典:Facebook
YouTubeの場合
YouTubeで出稿できる動画広告は主に、TrueView動画広告、バンパー広告、アウトストリーム広告の3種類です。TrueView動画広告はさらに、TrueViewディスカバリー広告とインストリーム広告の2種類に分けられます。関連動画の横や検索結果の一部分に表示されるのがTrueViewディスカバリー広告です。インストリーム広告は、例えばユーザーが30秒間動画を視聴した場合など、明らかに視聴されたケースでのみ料金が発生します。バンパー広告は、ほかの動画の再生前(プレロール)または再生中(ミッドロール)、再生後(ポストロール)に6秒以下で配信されます。ユーザーはスキップすることができないので、ブランドの認知度を向上させる際などに役立ちます。
またYouTubeでは、広告として使用する動画を企業ページにアップロードし、PV数を獲得することも可能です。
YouTube広告の種類とメリット、運用する上でのポイントは、以下の記事でも取り上げています。
YouTube広告の効果とは?メリットと効果的な運用のポイント
Instagramの場合
若年層を中心に利用されているInstagramは、2017年の時点で動画視聴時間が前年よりも80%増加したと言います。旅や食、ファッションなど、ビジュアルイメージが「インスタ映え」する企業との相性が良いです。Instagramで配信できる動画広告は、主に2種類あります。一つは最大60秒まで配信可能な動画広告で、フィード上に正方形または長方形で表示されます。もう一つは、インスタグラムストーリーズの間と間に表示できるストーリーズ広告です。日々インスタグラムストーリーズを閲覧している3億人ものユーザーに、スマートフォンの画面全体を使った縦長の動画を配信できます。
画像出典:Instagram
Twitterの場合
Twitterが発表しているデータによると、動画は写真やGIF画像よりもリツイート率が高く、動画広告のインプレッション数の増加率は2016年から2017年で122%を記録しています。
数あるメディアの中でも動画はTwitter上で最も急成長しており、その多くが共有されています。また、動画のリツイート率は写真の6倍、GIF画像の3倍です。
配信できる種類には、ツイートとともに動画を表示できるプロモビデオ、動画の再生画面付きでアプリのインストールを促せるビデオアプリカード、サイトのリンクを貼れるビデオウェブサイトカードがあります。
Pinterestの動画広告
画像を収集できるサービスのPinterestでも、アメリカやイギリスでは動画広告が提供されています。フィード上または検索結果に表示され、ユーザーが画面を上下にスクロールさせると動画が再生されるようになっており、多くの海外企業が利用しています。2018年後半には、スマートフォンに全幅で表示される動画広告がリリースされる予定です。
Pinterest’s video ads are getting bigger, but they’re not going full vertical DIGIDAY
動画広告の事例
今回はTwitterとInstagramの動画広告の事例をご紹介します。
Twitter広告
LINE
LINE株式会社が運営している「LINE MUSIC公式アカウント」(@LINEMUSIC_JP)は8万9000人以上のフォロワーがいます(2018年7月時点)。同アカウントが配信していた動画広告は、動画をクリックして視聴すると、Google Playなどのアプリダウンロード画面が動画の下に表示されます。アプリのインストールボタンも設置されており、インストールを促すタイプの広告です。
Instagram広告
Airbnb
Airbnbは「地元民のように滞在すること(to live like locals)」をコンセプトに、Instagramでオンライン予約を推奨するキャンペーンを行いました。動画は複数のパターンを用意し、例えば宿泊先のバルコニーからエッフェル塔を眺めている映像には、その下に「Live Here.」と記載しました。視聴者に「旅行したい」と思わせるような内容が功を奏し、結果1億2500万人にリーチし、イギリス・インド・ドイツ・オーストラリアでユーザーの購買意欲が上昇したとのことです。
さらなる拡大が期待される動画広告市場
動画広告にはインストリーム広告やアウトストリーム広告などの種類があり、掲載できる媒体もさまざまです。自社がターゲットとしているユーザー層と、掲載媒体の利用者層が合致すれば、サイトへの流入数やアプリのインストール数の増加といった、期待した効果が得られるでしょう。
動画広告市場は今後も拡大が見込まれており、多くの企業が参入していくことが予想されます。広告出稿を検討している方は候補に入れてみてはいかがでしょうか。