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インタビュー

チョコレートプラネット長田が語る「チョコプラのYouTube動画がバズる理由」

最終更新日:2022.04.12

Special Interview #12

チョコレートプラネット

長田 庄平

大人気のお笑いコンビといえば、チョコレートプラネットもそのひとつ。テレビで見ない日はないほどの活躍ぶりの一方で、YouTube「チョコレートプラネット チャンネル」の登録者数は157万人に上り、中には視聴回数が約1年間で3700万回を超える動画もあるなど、他の芸人と比較しても非常に高く支持されています。

背景として、ものまねや「悪い顔選手権」「マネーのクズ」など、チョコプラの企画力の高さ、クリエイティブセンスの秀逸さが世間から評価されているのだと思っていたのですが、ネタ作りを担当する長田庄平さんの考え方は少し異なる様子。

そこで、自分たちの動画が大ヒットしていることを本人がどう思っているのか、長田さんに話を聞きました。

(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧 撮影:永山 昌克)

※数字はいずれも2022年4月12日現在

目次

    何がバズるのかわからない、YouTubeの面白さ

    ――YouTube「チョコレートプラネット チャンネル」の登録者数が157万人、視聴回数も数百万回、中には3700万回を超える動画もあって、他の芸人さんと比較しても非常に高い人気です。長田さん自身は、なぜ自分たちの動画がこんなにヒットしているとお考えですか。

    これを言うとおしまいなのですが、よくわからないんです(笑)。僕らは戦略的に動画制作に取り組んでいるわけではなく、本当に自分たちの好きなことを追求しているだけなので、何が視聴者にハマっているのか理解できていないのが正直なところです。

    逆に言うと、これだけいろんな動画を上げても、何がバズるのか、どんな動画なら視聴回数が増えるのか、全然見えてこないところがYouTubeの面白さであり、魅力なのかなと思います。「自分たち自身が楽しんで作っている」のがウケている理由の1つとしてあるとは思いますが、それも100%ではなく、楽しんで作ってもバズらないものはバズらないですから(笑)

    ――バズっている動画ばかりかと思っていましたが、そうでもないんですね。

    僕たちの動画は視聴回数がバラバラです。高い数字を獲得している動画もあれば、伸びない企画もあって、何かポイントをつかんで安定的に視聴回数を稼いでいるわけではありません。しかも、「これはバズるだろう」と思って作ったら全然バズらなかった動画もあれば、逆に「これはバズらないかも」とあまり期待していなかったのがバズったりしますので、「なぜヒットしているのか?」と聞かれても「わからない」としか答えようがないんです。

    ――バズるだろうと思って作ったのにバズらなかった動画は何ですか。

    例えばASMRですね。ASMRが流行っていたので、ものまねのキャラクターでASMRをやったけど、あまりハマらなかったです。

    ――今イチかなと思っていたのに数字が伸びた動画とは?

    「6秒クッキング」は意外でしたね。テレビではなかなかできない面白さがあるとはいえ、そこまで肝入りで始めた企画ではなかったので、うれしい驚きです。何が当たるのか、本当にわからないですね。

    企画立案のために欠かせないエゴサとスピード

    ――そもそもYouTubeを始めたきっかけは何ですか。

    大きくは3つ理由があります。1つめは違法アップロード対策です。以前、DVDに収録されている僕らのネタが無断でよくYouTubeに出回っていて、しかも視聴回数がそこそこ良かったので、会社に対処をお願いしたんです。でも、なかなかイタチごっこで完全に取り締まるのは難しそうだったので、それなら自分たちでチャンネルを作って動画をアップしたほうが収益にもなるし良いだろうと考えました。

    2つめは、プロモーション用の素材としての活用です。オーディションに行くと、ディレクターさんから「YouTubeを見ましたよ」と言われることがよくあるんです。僕らはコントなので、衣装や小道具を持っていくのが結構大変なのですが、YouTubeに上げた動画を見てもらえれば、オーディションへ行く手間も省けるし、実際に「YouTubeを見たのですが…」と連絡をもらえることもあるので宣材として役に立っています。

    3つめは、テレビのネタ番組ではなかなか表現できないけど、自分らのやりたいネタをできると考えたことも大きなきっかけです。最低限のマナーさえ守ればYouTubeは自由度高く作れるので、その点は楽しめています。

    そういう思いもあって、YouTubeを始める前、「チャンネル登録者数や収益を意識しないで、本当に自分たちのやりたいことだけをやる」をコンセプトに決めました。その結果として、登録者数や視聴回数が好調なのですから面白いし、わからないもんですね。

    ――ということは、チョコプラさんが面白いと感じることと視聴者、あるいは世間一般の感覚がうまくマッチして、視聴回数につながっている形でしょうか。

    そうですね。今はたまたまリンクしているだけだと感じます。

    ――「テレビではなかなかできないネタ」というのは「6秒クッキング」以外にどんな動画ですか。

    例えば、コントを映画風に撮影する「CPFilm」のようなネタをテレビでやるのはハードルが高いですね。

    ――いつ頃から手応えを感じていましたか。

    やはり瑛人君の「香水」は大きかったですね。あれで一気にガーンといろんな数字が伸びました。

    ――今3700万回を超えていますもんね。「香水」はどのように思いついたのですか。

    Twitterのエゴサーチですね。「瑛人君と似ている」というツイートを見つけて、「確かに似ているかも」と思ってから、すぐに動画にしました。もともとそういうスピード感は持っているほうなので、クリエイティブを突き詰めるより「スピード勝負」という意識は高いかもしれません。

    ――エゴサは結構するんですか。

    しますね。そこからネタのヒントをもらうこともありますし、面白そうな流行は常にチェックしています。もちろん、流行りものにただ飛びつくだけでなく、自分の中のクリエイティブ性を高めたいときは、しっかりと作り込んだ「CPFilm」の形で動画にするとか、いろんな角度から攻められるのがYouTubeの魅力です。

    クリエイティブ性ではなく、多作で勝負

    ――ネタを考えるのは大変そうですが、楽しいのは楽しいんですね。

    YouTubeに関しては楽しいですね。もちろん「ネタを考えなきゃ」というプレッシャーはありますが、それはネタを考えている人なら皆さん大体、同じだと思います。そんなにどんどん湧いてくるわけではないですから。

    ――ネタが湧いてこないときはどうするんですか。

    あがいても仕方がないので、諦めてネタを考えるところから1回離れます。気分転換で映画を見たり、ネットをチェックしたり、ドライブに行ったりすることも多いですね。そんなふうに自然と湧いてくるまで待っていると、入浴中や就寝前など、ふとした瞬間にひらめくことがあるので、忘れないうちにスマホにメモを取るようにしています。ただ、これくらいのことはみんな同じことをやっているんじゃないでしょうか。

    ――企画出しから配信まではどんなスケジュールですか。

    月1、2回撮影して、あとはランダムに配信しています。編集が1人、作家が1人、あとは僕ら2人とマネージャーの計5人体制ですね。「撮って出し」の動画もあれば、少し時間をかけて作るものもありますが、企画は全部僕が考えています。みんな優秀なので、動画の構成やサムネイル、タイトルのテキストについても、僕が口出しすることはほとんどありません。

    ――読者が知りたいことは長田さんがどのように面白い企画を思いつくのかだと思います。発想力や企画力の部分ですね。

    それに関しても、自分はクリエイティブではないと思っているので、聞かれてもストレートな回答は出てこなくて、「よくわからない」が正直なところです。実際は、面白い企画が何回か当たっているだけで、面白くない企画をもっといっぱい出しているんです。バズった動画のほうがみんなの記憶に残りやすいから、「面白い企画を出している」と思われがちですが、失敗のほうがずっと多いんですよ。それを自分が一番よく知っているから、「クリエイティブ」と言われてもピンとこなくて、むしろ「自分はクリエイティブじゃないから、数を出すしかない」というのが僕の考えです。

    ――野球みたいに「3割打てれば上出来」という感じですか。

    はい。10球しか打たなかったら3発しかヒットになりませんけど、100球なら30本、1000球なら300本ですからね。300本もヒットが出れば、残り700本は忘れられて、みんなの記憶には「よく打つ人」の印象だけが残りやすいんだと思います。

    ――たくさん作ることは苦ではないんですか。

    好きだから苦ではないですね。特にYouTubeは基本的にやりたいことをやれていますので、楽しさのほうが上回っています。もちろん、ホームランを狙いに行くこともありますが、それでバズるかといえば、そうでもないですから、まずはいっぱいやってみることが大事だと思っています。

    ――ものづくりが得意だとお聞きするので、クリエイター気質なのかなと思っていました。

    ものづくりは得意ですけど、クリエイター的な才能はあまりないと思います。1個1個をちゃんと考えてヒットさせるのは難しいので、たくさん企画を出して、総合的にクリエイティブな世界観に近づけるという感じです。

    ――長田さんがクリエイターでないとしたら、もっと売れていない芸人さんたちはどうなるんですか。

    「売れている・売れていない」は関係ないと思います。すごくクリエイティブな才能がある人でも売れていない人はいますし、逆にそれほど才能を感じないけど戦略的に動いて売れている人もいます。

    「負けた」と感じて切り替えた売れるための戦略

    ――ではなぜ今、チョコプラさんは当たっているんですか。

    今少しうまくいっているのは、自分の中で戦略的に考えて動いているからだと思います。月に1本だけクリエイティブで勝負するクオリティの高い企画を作っても、その1本を当てられないのなら、一旦「負けた」と腹をくくって、多作で当てる方法に切り替える必要があると思うんです。僕らはそこで気持ちと行動を切り替えて戦略を変えたのは良かったと思います。

    ――一瞬「負けた」と思ったことがあるんですか。

    結果論ですけどね。僕らずっとコントをやってきて、めちゃめちゃスベるとか失敗した経験ってあまりないんですよ。何となく成功していたんです。ところが、番組に呼ばれてもあまりスベることもないし、ネタをやればウケるのはウケるんだけど、次に呼ばれない。継続が取れなかったんです。「現場ではそれなりにウケていたはずなのに、なぜ次に呼ばれないんだ!?」と突き詰めて考えていったときに、「自分にはクリエイティブで突き抜けた才能はなかったんだ」「頑張るべきところは、そこじゃなかった」と思うしかなかったですね。

    その後、ものまねが当たったので、「こういうことか」「なるほどな」と思いましたが、僕らはものまねもそんなにうまいわけではありません。だから、ものまねもコントもYouTube動画もとにかくいっぱい手を広げよう、そしたら何か当たるだろうと戦略を変えてから、何かしらが引っ掛かって次の仕事につながるようになり、うまく回り始めた気がします。

    ――そうなんですね。「マネーのクズ」とか「悪い顔選手権」を見ていると本当に面白くて、パロディもあるにせよ、よくこんなの思いつくなあと思っていたのですが。

    「マネーのクズ」はプレイヤーの人の力にもだいぶ頼っていますからね(笑)

    あえて言うのであれば、クリエイティブっぽく見せるブランディングがうまくいっているのかもしれないです。自分はクリエイティブでないから、いろいろな企画を作って出しているんだけど、その中からヒットしたものだけを取り上げてクリエイティブだと思われているなら、それはブランディングが成功しているんだと思います。以前、秋元康さんも「失敗している曲もいっぱいあるけど、みんなはヒットしている曲しか覚えていないから、ヒットメーカーのように見えているだけ」という趣旨のことをおっしゃっていたそうで、その言葉に「なるほど」と思った記憶があります。

    ――「悪い顔選手権」はテレビの企画にも採用されるくらいの大ヒットになりました。どのように思いついたのですか。

    何気なくニュースを見ているときに、一般の人でも捕まるとこんなに悪い顔になるんだと思って、じゃあ僕らが捕まったらどういう見え方になるんだろうと考えたら面白い企画になりそうな気がしたんです。実験的にやり始めたら大ヒットしました。

    YouTubeとテレビ、舞台のリンクをもっと

    ――わかりました。次に、視聴回数や高評価の数をどう見ているか教えてください。

    もちろん気にしますよ。数字が伸びる企画はシリーズ化します。それが「6秒クッキング」や「悪い顔選手権」です。ただし、自分が面白いと思わないのに、その感情を曲げてまで数字に寄せようとは思いません。視聴率に左右されない、そういう自由度の高さがYouTubeの魅力の1つですから。仮に登録者数がいっぱいいるYouTuberとコラボしたらもっと視聴回数が伸びるのかもしれないけど、僕らが感じる面白さが芯にない場合は、コラボも企画もしたくないですね。そこで一線を引いても、将来後悔することはないと思います。

    ――最近ではYouTubeだけでなく、TikTokも始められていて、忙しい毎日の中で挑戦的な取り組みを続けています。これだけ人気も定着して、ある程度の地位まで来たのに、なおアグレッシブに打ち手の数を増やしているのは、なぜですか。

    僕は別にそんなに才能なんかないし、今の位置にいたとしてもすぐ抜かれてしまうと思っているので…。

    ――そうなんですか。

    売れていなかったり表に出ていなかったりするだけで、ものすごい才能を持った人はいっぱいいます。本当にいっぱいいるんですよ。自分たちは今たまたま運良く連続的に当たっているだけで、極端な話、今年の夏くらいまでに何か新しいものを当てられなかったら来年消えているくらいの危機感は常に持っています。

    ――厳しい世界ですね…。

    だから常に新しい企画をヒットさせ続けないと生きていけないし、そのためにはどこかに何か引っ掛かるものがないかと、手をいっぱい広げて次々とスピーディーに試していくやり方を自分たちは続けていきます。

    さらにこれからはテレビ・ラジオ・舞台・YouTubeだけでなく、もっと活動の幅を広げていきたいと考えています。

    ――具体的にどんなことですか。

    今まで芸人がやってこなかったことをやりたくて、自分はグッドデザイン賞を取りたいです。

    ――長田さんは実家が町工場で、芸人になる前は陶芸教室でアルバイトの講師をしたり、今もコントの小道具や衣装を作ったりしているんですよね。

    そうなんです。そんな芸人はあまりいないので。小道具を発展させてグッドデザイン賞を取りにいきたいと思っています。

    ほかにもカラオケのルビネタをフォーマット化して一般の人もそれを歌えば僕らのネタをできるようにしたり、「TT兄弟」をフランチャイズ化して他の芸人にやってもらえるようにできたら面白いなとか、ネタ以外にもビジネスとしての展開をいろいろと考えています。

    ――わかりました。最後にYouTubeでこれからやっていきたいことがあれば教えてください。

    「悪い顔選手権」のようにYouTubeの企画をテレビに持っていって、番組自体を作ってみたいと思います。

    ――それは面白いですね。YouTubeで実験的にハネた企画をテレビでやったり、テレビとYouTubeでコラボしたり。

    そうですね。「マネーのクズ」のような企画をテレビに持っていきたいですし、テレビとYouTubeだけじゃなくて、その中に舞台も入れて総合的にセッションというか行き来させたいんです。テレビで僕らを見るだけで、僕らのネタを知らなかった人が、気になってYouTubeをチェックしたらハマってくれて、劇場や舞台に足を運んでもらえるようになったら理想的じゃないですか。YouTubeだけ突出するのではなくて、YouTubeとテレビと舞台をうまくリンクさせながらチョコレートプラネットのユニバースを作っていきたいと思います。

    ――舞台のコントやネタを考えるのも好きなんですね。

    もちろんです。そこを軸としてやっていきたいです。

    ――本日はありがとうございました。

    Profile
    長田 庄平(おさだ・しょうへい)
    吉本興業所属のお笑いコンビ「チョコレートプラネット」のネタ作成担当。
    1980年生まれ、京都府出身。嵯峨美術短期大学(現・嵯峨美術大学)卒業後、陶芸教室でアルバイトの講師を経験し、芸人になるために2005年に上京、NSC東京校11期生として入学。2006年に相方の松尾駿とコンビを結成。「キングオブコント」2008、2014、2018ファイナリスト。

    YouTube「チョコレートプラネット チャンネル」
    https://www.youtube.com/channel/UCpCesuCH4UxIcy65gSrC0Pw

    Twitter「チョコレートプラネット長田(オサダ)」
    @ChocoplaOsada

    早川巧

    記事執筆者

    早川巧

    株式会社CINC社員編集者。新聞記者→雑誌編集者→Marketing Editor & Writer。物を書いて30年。
    Twitter:@hayakawaMN
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