前回に続き、西野亮廣さんのインタビューをお届けします。前編では主にオンラインサロンについて伺い、運営は退会のさせ方が重要であることや、運営者にはN字の感情曲線の演出が必要であることなどを語っていただきました。
西野さんと言えば、絵本『えんとつ町のプペル』や、文字を贈るサービス「レターポット」、古本屋プラットフォームの「しるし書店」など、世間一般の概念を覆すような商品・サービスを提供していることでも知られています。
では、そんな西野さんが実際にモノを作ったり、届けたりするときには、どのようなことを意識しているのでしょうか?
インタビューの後編では、革新的な商品やサービスを打ち出す方法と、周囲を巻き込む秘訣に迫ります。
(取材・文:Marketing Native編集部・佐藤綾美)
画像提供:よしもとクリエイティブ・エージェンシー
目次
アイデアが出るのは飲みの席
――西野さんのように既成概念を覆すような商品やサービスを作るには、どういった点を意識すればいいですか?
会社(※1)のチームのメンバーとやっていますけど、言うても個人のペーペーのベンチャーなので、まずは正攻法が無理だというところですよね。大企業が「あんなことをやってもおいしくないよな」とか「金にならねえよ」みたいなことをやっていかないと、そこくらいしか空いていないので。
で、それには段階がありますね。人数が増えて規模が大きくなれば、奇襲とか奇策はいらないので。作るサービスとかモノも、多分段階によって違いますね。最初はやっぱりベンチャーなので、ベンチャーらしい戦い方…奇襲とスピードで行くしかないですよね。
※1:株式会社にしのあきひろ。西野さんが2017年10月に立ち上げた。
――エッジの利いたサービスとかモノですか?
そうですね。「レターポット」なんて、大企業は絶対に作らないですよね。文字をお金にすることって、ほぼアートに近いので。基本的に、向こうしばらく10年はやらないだろうなってことですよね。「しるし書店」は多分どっかで誰かがやると思います。
画像出典:しるし書店
画像出典:レターポット
――アイデアが出るのは、いつもどんなときですか?
いつも飲んでいる席ですね。飲んでいる席で、「あれやろうよ」「これやろうよ」って言って。Web系だったらエンジニアさんにも投げて、「これ作って」って言うと、大体作ってくれます。偉い人に話を通さなきゃいけないってなったら、僕が飲みに行って、「いいっしょ!」みたいな感じで進めてますね。
――飲みの席でお話しする人は、どういった方々なんですか?
大学生から上場企業の社長、エンジニア、落語家、ミュージシャンまで幅広いですね。スナック「キャンディ」にみんな集まってしゃべって。いろんな人が集まっていますね。
――いろいろな人と話していく中で、インスピレーションを受けるんですね。
それか、編集作業ですね。つまり、自分1人だったら見えなかったけれど、これとこれを掛け合わせたら新しいモノができるよね、とか。大体そうですね。
『えんとつ町のプペル』も全部飲みの席で決まったっていう掛け合わせですね。6年か7年くらい前、ちょうどその時にクラウドファンディングと、クラウドソーシングがバッて来ていたので。家入一真さん(※2)がクラウドファンディングをやっていたし、クラウドソーシングはクラウドワークスの吉田さん(※3)がやられていて、飲みの席で、まず「クラウドソーシングって何ですか?」っていうところから、「それおもしれー!」ってなって。「じゃあ、クラウドファンディングでお金集めて、クラウドソーシングでスタッフを集めて、分業制で絵本を作ればいいんちゃう?」みたいなことを言ってできたのが、『えんとつ町のプペル』ですね。クラウドソーシングでイラストレーター特化型の「MUGENUP」という会社があって。そこの社長と飲みに行って、3万人のイラストレーターの中から選んで、チーム組んでやっちゃいました。
※2:家入一真(いえいり・かずま)さん。クラウドファンディング「CAMPFIRE」代表取締役CEO。
※3:吉田浩一郎(よしだ・こういちろう)さん。クラウドワークスの創業者であり、代表取締役社長兼CEO。
▲スナックキャンディ
画像提供:よしもとクリエイティブ・エージェンシー
良いモノにするためにも30点で出す
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