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インタビュー

テレビ朝日人気プロデューサー・芦田太郎が語る「『あざとくて何が悪いの?』が国境を越えて愛される理由と新規視聴者獲得への取り組み」

最終更新日:2023.06.06

Special Interview #10

テレビ朝日 プロデューサー

芦田 太郎

山里亮太さん、田中みな実さん、弘中綾香さんの3人が「あざとさ」をテーマに語り合う『あざとくて何が悪いの?』(テレビ朝日系列・土曜21時55分~ ※一部地域を除く)が人気です。

現在、中国や韓国などアジア14の国と地域でも配信されているそうで、これはバラエティ番組としては他局を含めても初めてとのこと。しかも、いずれも高い評価を獲得しているといいます。

「あざとい」という言葉はこれまで、「こずるい」「抜け目ない」などネガティブな意味合いで使われる印象が強かったと思います。では、『あざとくて何が悪いの?』と開き直ったようなタイトルの番組が、なぜ国境を越えて注目されているのでしょうか。

今回は番組プロデューサーを務めるテレビ朝日の芦田太郎さんを取材しました。前後編の2回に分けてお届けします。

(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧、人物撮影:永山 昌克)

※肩書、内容などは記事公開時点のものです。

目次

番組タイトルは、1行で内容を伝えられるわかりやすさとインパクト重視

――番組がかなり話題ですね。最初からヒットの予感はありましたか。

田中みな実さんと弘中綾香アナの組み合わせはそれなりのインパクトがあるだろうと思っていましたが、ここまでの反響を頂くのは想定外です。

――ORICON NEWSの「好きな女性アナウンサーランキング」(2020年)で1位が弘中アナ、2位が田中みな実さんと強力な組み合わせですが、個性の強そうな2人だけにいつ衝突するかとヒヤヒヤする緊張感があります。その点で心配はなかったですか。

むしろその緊張感が狙いでした。ヒリヒリする空気を視聴者に伝えたくて、事前の顔合わせもさせずに最初の収録に臨んでもらったくらいです。ところが、田中みな実さんが弘中アナを思った以上にかわいがってくれて、今では仲良くなってしまいました。同じクラスなら絶対仲良くならない組み合わせだろうと考えていたので、ちょっと意外ですね。

©テレビ朝日

――もともとこの番組の企画を立案したきっかけは何ですか。

初めから田中みな実さんありきで発想しました。彼女のことをずっと面白いと思って見てきて、自分ならもっと魅力を引き出せる番組を作れると考えたのがきっかけです。

彼女が写真集を出す以前の話ですが、女性誌での存在感が少しずつ強くなっていた時期に、「男性にモテるためにどんな工夫をしているか」と手の内を明かし始めたフェーズがありました。そんなふうに美容を語るだけでなく、モテの手法まで解説して女性人気を獲得している人はほかにあまりいなかったので、次第に興味を惹かれるようになり、彼女しか持っていない独特のフィールドを企画に落とし込んだら何が生まれるだろうかと考えた結果、「あざとい」という言葉が出てきたのです。

「あざとさ」はネガティブなワードとして使われがちですが、田中みな実さんならタイトル通り「人に好かれたいとか、男性によく思われたいと考える言動を突き詰めて何がいけないんでしたっけ?」「相手がハッピーになるなら別にいいじゃん」と受け止めていただける人もたくさんいらっしゃるのではないかと考えた点が番組のベースになっています。

その上で、マンパワーのかけ算が最大化できる組み合わせを考えたときに、弘中アナという選択はテレビ朝日にしかできないキャスティングですし、彼女のことを会社の後輩として新人の頃から見ていて、ポテンシャルとコミュニケーション能力の高さを評価していましたので、田中みな実さんの相手に配置しました。ただ、女子会トークになると男性に見てもらいにくくなりますし、バラエティとしてうまく消化しきれないと思い、『テラスハウス』で女性の言動を斜めに分析する優れた力を見せていた山里亮太さんをキャスティングさせていただきました。

――先輩から見て、弘中アナはどういう人物ですか。

世間のイメージと変わらないですよ。芯があって、やりたくないことはやりたくないときちんと言えるので、個が立つし、彼女でなければいけない理由がある人ですね。番組の進行はもちろん、言葉のチョイスや語彙力に唯一無二的なところを感じますし、生意気なところもありますけど、良い意味でそれが個性になっていて、尊敬する後輩です。

――「あざとい」はネガティブに使われがちですし、「何が悪いの?」という言葉も挑発的で冒険だなと感じました。このタイトルにする際に躊躇はなかったですか。

全くなかったですね。僕は『あいつ今何してる?』(水曜18時45分~)という番組の演出もしていますが、その番組同様、タイトルは1行で内容を伝えられるわかりやすさとインパクトの強さを大事にしています。その意味では、『あざとくて何が悪いの?』は強いワードですし、今までの価値観や概念を覆していきたいという僕らの意気込みや思想が投影されたタイトルだと思うので、しっくりくるものを付けられたと捉えています。『あざとくて何が悪い』で止めるパターンと最後に「?」を付けるかどうかで少し迷いましたが、他に候補はなかったですね。

ニッチな具体性のあるリアリティが共感のポイント

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・新規の視聴者獲得へ向けたカテゴリの拡充
・アジア諸国の視聴者に共感される「あざとさ」の共通点

記事執筆者

早川巧

株式会社CINC社員編集者。新聞記者→雑誌編集者→Marketing Editor & Writer。物を書いて30年。
X:@hayakawaMN
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