アメリカのスタートアップ企業・OpenAIが手がける対話型AI「ChatGPT」。2022年11月の公開から2カ月で月間アクティブユーザー数は1億人を突破したと言われ、世界中でムーブメントを巻き起こしています。
ChatGPTには高度な自然言語処理能力が備わっており、これまでのAIよりも自然な文章を生成することができます。文章の作成や要約、校正、翻訳、文字起こしなどが可能で、多種多様な分野で活躍が期待されていますが、マーケティング業務においてはどのような活用方法があるのでしょうか。
この記事では、ChatGPTの仕組みや使い方とともに、マーケティング業務に活用する具体的なアイデアを紹介します。
目次
ChatGPTの基礎知識
2022年11月のリリース以降、使い勝手の良さから広く利用されているChatGPT。活用するうえで知っておきたい概要や仕組みをあらためて押さえておきましょう。
そもそもChatGPTとは
ChatGPTとは、アメリカでAI(人工知能)の研究開発を行うOpenAIが、2022年11月に公開した対話型のAIチャットツールです。インターネットのWebサイトやスマートフォンのアプリ(2023年6月時点ではiOS用のみ)を通じて利用できるもので、「AIって何?」などと問いを投げかけると、人間が話すような自然な文章で答えを返してくれます。
GPTは「Generative Pre-trained Transformer(ジェネレーティブ・プリ・トレーニド・トランスフォーマー)」の略称で、OpenAIが開発した言語モデルを意味します。日本語では「生成的な、事前学習したトランスフォーマー」と訳されます。ちなみにTransformer(トランスフォーマー)とは、2017年にGoogleが発表した、ChatGPTのベースになっている言語モデルのことです。これまでGPT、GPT-2、GPT-3とバージョンアップし、2023年3月14日(アメリカ現地時間)に「GPT-4」が登場しました。
ChatGPTの無料版はGPT-3.5がベースとなっており、有料プランの「ChatGPT Plus」(月額20ドル)ならGPT-4を上限付きで利用できます(2023年6月時点)。
GPT-3.5とGPT-4の違い
GPT-3.5とGPT-4の検証においては、本来は人間が受験する試験をGPT-3.5とGPT-4の両方に受けさせ、両者の結果を比較する実験が用いられています。その一つがアメリカの司法試験であり、GPT-3.5は司法試験の模擬試験で213/400点と受験者の下位10%程度にとどまったのに対し、GPT-4は298/400点で上位10%に入るスコアを記録し、合格基準を超えました。これは、試験の点数だけで言えばGPT-4がアメリカで弁護士として従事できる水準に達していることを意味します。
ChatGPTの有料ユーザーが利用できるGPT-4には、画像とテキストの入力を受け付け、テキストで出力する「マルチモーダル」が採用されています。画像入力は研究段階でまだ一般公開されていないものの、入力された画像に対して説明したり、分析したりできることが特徴です。
なお、GPT-3.5のパラメーター数は1750億、GPT-4については非公開となっています。
参考:Open AI「GPT-4」
ChatGPTの仕組み
ChatGPTは大量のテキストデータを自ら学習するディープラーニング(深層学習)という訓練を行っています。ある文脈を与えられたときに、次に来る確率が高い単語を用いて回答を自動生成しています。質問を複数回重ねた場合も、前回の内容を踏まえた回答を提示する点が特徴です。
また、ChatGPTには「Reinforcement Learning from Human Feedback(RLHF)」と呼ばれる学習アルゴリズムが用いられています。これは「人間のフィードバックによる強化学習」と訳されるもので、AIが生成した回答を人間がフィードバックすることにより、回答の精度を高めています。人間が評価を行うことで、AI自ら「人間にとって適切な回答」を学べるのです。
ただし、ChatGPTが提示する情報は常に正しいとは限りません。ChatGPTは内容そのものを理解しているのではなく、これまでに学習したデータをもとに、もっともらしい回答を提示しているからです。そのため、事実と異なるにもかかわらず、説得力のある回答を返してくることがあります。ChatGPTを利用する際は、回答をそのまま鵜呑みにするのではなく、自分自身で情報が正しいか調べたり、生成された文章の校正を行ったりすることが大切です。
ChatGPTの基本的な使い方
ChatGPTを始める前に、基本的な使い方を押さえておきましょう。ここでは、ChatGPTの始め方とプロンプトの作り方を紹介します。
ChatGPTの始め方
ChatGPTを始める手順は以下のとおりです。
1. ChatGPTにログインする
▲アカウントがない場合は、「Sign up」をクリックし、アカウントの作成が必要。画像出典:ChatGPT
2. 画面下の「Send a message…」という入力欄に問いやお題を入力しEnterを押す
画像出典:ChatGPT
3. ChatGPTの回答に対し、次の指示を出す
新しいチャットルームは画面左上(サイドバー上部)の「New Chat」から作成できます。
プロンプトの基本的な作り方
あらかじめ設定された回答を返すチャットボットとは異なり、ChatGPTはプロンプト(AIに与える指示)の内容によって回答の精度が変わってきます。明確で具体的なプロンプトを提供することで、より適切な回答を返してくれるようになります。
ChatGPTのプロンプトに盛り込みたい要素は以下のとおりです。
- 役割(ロール)
- 目的(命令)
- 必要な情報
- 出力形式の指定
- 出力サンプル
・役割(ロール)
例えば「あなたはWebメディアの編集者です」のように、ChatGPTに与えたい役割を指定することです。これにより、ChatGPTは「Webメディアの編集者」として質問者からの問いに答えます。
・目的(命令)
例えば「下記の文章を要約してください」など、ChatGPTに依頼する目的や命令を指示します。
・必要な情報
ChatGPTの回答の生成に必要な情報を提示します。
・出力形式の指定
例えば「箇条書きで3つまとめてください」「テーブル形式でまとめてください」など、ChatGPTが生成するテキストのアウトプット形式を指定します。
・出力サンプル
出力サンプルはなくても問題ありませんが、「このように出力してほしい」というサンプルを提示することで、ChatGPTからの回答のクオリティが上がりやすくなります。
なお、出力サンプルの数によって以下のように呼び方が異なります。
- 出力サンプル0個(質問や命令のみ):zero-shot prompting
- 出力サンプル1個:one-shot prompting
- 出力サンプル2個以上:few-shot prompting
上記の要素を意識しても求める回答が得られないときは、指示するタスクをより細分化したり、追加で質問や指示をしたり、フィードバックを繰り返したりすると良いでしょう。
使用時の注意点
・回答には不正確な情報が混在する可能性があることを考慮する
ChatGPTはインターネット上にある膨大なデータに基づいてトレーニングしています。学習したデータに誤りが含まれる可能性があるほか、ChatGPTは次に来る確率が高い単語を用いて回答を作っているので、不正確な情報が混在するおそれがあります。そのため、出力された情報の正確性には十分な注意が必要です。
また、ChatGPTは最新の出来事に関する知識が限られており、2021年以降のトピックを質問しても正確な回答が生成されなかったり、回答が得られなかったりします。
・個人情報や機密情報の入力は避ける
ChatGPTの画面上で入力したデータはサービスの開発や改善に使用される場合があるため、チャット履歴がオンになっている状態で個人情報や機密情報を入力するのは避けたほうが良いでしょう。「Settings」から「Data controls」を選び、「Chat History & Training」をオフにすると、以降の対話はトレーニングや改善には使用されず、チャットの履歴にも表示されません。設定はデバイス間で同期されないため、Webブラウザとスマートフォンアプリそれぞれで対応が必要です。
▲「Chat History&Training」がオンになっている状態(画像出典:ChatGPT )。
このほか、オプトアウト申請フォームに必要情報を入力・送信することで、データの提供を停止する方法もあります。
なお、API経由でChatGPTを利用する場合は、入力したデータをサービスの開発や改善に使用されることはないと言います。
(c) Use of Content to Improve Services. We do not use Content that you provide to or receive from our API (“API Content”) to develop or improve our Services. We may use Content from Services other than our API (“Non-API Content”) to help develop and improve our Services. You can read more here about how Non-API Content may be used to improve model performance. If you do not want your Non-API Content used to improve Services, you can opt out by filling out this form. Please note that in some cases this may limit the ability of our Services to better address your specific use case.
出典:Open AI「Terms of use」
参考:Open AI
「What is ChatGPT?」
「Data Controls FAQ」
「How your data is used to improve model performance」
「ChatGPT Plus」の使い方
ChatGPTには月額20ドルの有料プラン「ChatGPT Plus」があります。無料版でも多様な使い方ができるChatGPTですが、有料版ではGPT-4を利用できるようになっており、サービスとしての性能も向上しています。
ここでは、ChatGPT Plusの特徴と利用手順について解説します。
「ChatGPT Plus」の特徴とできること
ChatGPT Plusの特徴として、ピーク時にも優先的に利用できることが挙げられます。無料版のChatGPTでは、ユーザーのアクセスが集中する時間帯にアクセスできないケースがありました。これまでChatGPTにつながりにくさを感じていた場合は、ChatGPT Plusに登録することで快適に利用できるようになるでしょう。また、ChatGPT Plusは応答時間が短縮し、無料版と比べレスポンスが速くなっています。
さらに、ChatGPT Plusではプラグイン(拡張機能)が提供されています。初期設定では無効になっているため、プラグインを利用する際は「Settings」にて有効に切り替える必要があります。
なお、プラグインは第三者も開発でき、ChatGPTとの対話内容の一部はプラグインの開発者にも送信されることがあるため、注意が必要です。
参考:Open AI「Introducing ChatGPT Plus」
「ChatGPT Plus」の利用手順
ChatGPT Plusの利用手順は以下のとおりです。
1. ChatGPTにログインする
2. 画面左下の「Upgrade to Plus」をクリックする
画像出典:ChatGPT
3. ChatGPT Plusの「Upgrade plan」をクリックする
画像出典:ChatGPT
4. 支払い方法を入力する(クレジットカードのみ)
はじめからChatGPT Plusを利用したい場合も、まずは無料版に登録し、ChatGPTのアカウントを作成する必要があります。無料プラン登録後に上記の手順でアップグレードすると、ChatGPT Plusを利用できるようになります。
なお、利用料金の20ドルは、1カ月ごとに請求されるサブスクリプションサービスとなっています。
ChatGPTはマーケティング業務にどう活用できる?
ChatGPTはビジネスでも使用されており、マーケティング業務においても多様な活用方法が考えられています。ChatGPTの導入により、これまで人間が手作業で行っていた一部の業務を自動化・効率化できるでしょう。
ここでは、マーケティング業務においてChatGPTを活用するアイデアを紹介します。
※使用例はいずれもChatGPTの無料版(GPT-3.5)を使用した結果です。
情報収集、収集した情報の整理
競合調査や市場調査などにChatGPTを活用する方法です。ChatGPTの回答には誤りが含まれる可能性がある点を考慮すると、現状は収集した情報の取りまとめや整理などをChatGPTに頼むのが良いでしょう。
・プロンプトの例
あなたは【役割】です。●●を新たに立ち上げる場合を想定し、競合調査を行います。国内で有名な【企業カテゴリー、業界など】を●社以上表形式でまとめてください。
# 出力形式 |
・使用例
試しに菓子メーカーを調べてもらいました。以下、ChatGPTの回答は緑色のテキストで記載します。
あなたはマーケターです。菓子メーカーを新たに立ち上げる場合を想定し、競合調査を行います。国内で有名な菓子メーカーを5社以上表形式でまとめてください。
# 出力形式 |
・ChatGPTからの回答
以下は、国内で有名な菓子メーカーの競合情報を表形式でまとめたものです。
No | 企業名 | 企業の概要 | 企業のサイトのURL |
1 | ○○○株式会社 | 乳製品やチョコレートを中心に幅広い菓子を製造する企業 | https://www.~~~ |
2 | ○○○株式会社 | ガムやチョコレートをはじめとする菓子を手がける企業 | https://www.~~~ |
3 | ○○○株式会社 | ケーキや焼き菓子、キャンディなどを製造する企業 | https://www.~~~ |
4 | ○○○株式会社 | ケーキや焼き菓子、キャンディなどを製造する企業 | https://www.~~~ |
5 | ○○○株式会社 | クッキーやビスケットなどを製造する企業 | https://www.~~~ |
以上が、5つ以上の国内で有名な菓子メーカーの競合情報です。各企業の概要や公式ウェブサイトのURLを参考にしていただければと思います。
===ChatGPTの回答終わり===
ニッチな業界の調査を依頼したり、調査する件数を多くしたりすると、架空の企業を挙げるケースや、企業名とURLが一致しないケースなどが出てくることがあるので、出力された情報の精査が必要です。
また、調査で挙がってきた企業の中から1つを取り上げ、SWOT分析などのフレームワークで考察をまとめることもできます。自分で調べた情報をChatGPTに渡し、まとめを依頼しても良いでしょう。
・プロンプトの例
挙げてもらった「○○」について、フレームワーク「SWOT分析」に基づいて考察を行ってください。
# 条件 # 出力形式 |
・ChatGPTからの回答
以下は、「○○」に対するSWOT分析の考察結果です。
項目 | 概要 | 分析 | |
1 | 強み | 長い歴史と確立したブランドイメージ | ○○は日本国内で長い歴史を持ち、幅広い菓子の製造・販売で確立したブランドイメージを持っている。これは市場での競争力を高める要素となる。 |
2 | 強み | 多様な商品ラインナップ | ○○はケーキ、焼き菓子、キャンディなど幅広い菓子のラインナップを持っており、多様な顧客層のニーズに対応できる。 |
3 | 弱み | 流通チャネルの限定 | ○○の製品は一部のスーパーマーケットや専門店など、特定の流通チャネルでのみ入手可能な場合があり、一部の消費者からのアクセスが制限されている。 |
4 | 弱み | 国内外の競合との差別化の課題 | 菓子市場は競争が激しく、他の有名菓子メーカーとの差別化が課題となる。特に国内外の競合メーカーとの差別化を図ることが求められる。 |
5 | 機会 | 健康志向の消費者への対応 | 健康志向の消費者が増加している現在、○○は低糖質や無添加などの健康に配慮した商品の開発や販売を積極的に行うことで市場シェアを拡大できる機会がある。 |
6 | 機会 | 海外市場への進出 | ○○は国内外でブランド知名度があり、海外市場への進出を図ることで成長の機会がある。 |
7 | 脅威 | 資源価格の上昇や原材料供給の不安定性 | 菓子の製造には原材料が必要であり、資源価格の上昇や原材料供給の不安定性が収益性に影響を及ぼす可能性がある。 |
文章の要約
特定の文章をChatGPTに与え、条件を設定し、要約してもらうことができます。プロンプトの例は次の通りです。
・プロンプトの例
あなたは【役割】です。以下の条件に沿って記載の文章を要約してください。
# 条件 # 文章 # 出力形式 |
・使用例
例えば、Marketing Nativeの記事「マーケティングミックスとは?マーケターなら押さえておきたい4P・4Cの超基本」の中からマーケティングミックスに関する説明を抜き出し、要約してもらいました。
あなたはプロの編集者です。以下の条件に沿って、記載の文章を要約してください。
# 条件 # 文章 市場調査やターゲット設定を経て、基本戦略を策定した後、消費者に購買行動を起こしてもらうにはどうすればよいか、マーケティングミックスを活用して具体的なアプローチ方法を立案・策定します。 マーケティングミックスは、マーケティング戦略の下流工程にあたり、自社が取るべき戦術を整理・具体化する手法です。VRIO分析や3C分析といった環境分析により必要な情報を収集し、セグメンテーションとターゲティング、ポジショニングを明確にして戦略を策定した後、商品、価格、流通、プロモーションなどのマーケティングミックスを基に具体的な戦術を立案していきます。 モノやサービスがあふれる現代において、他社に埋もれず消費者から選ばれる商品を提供することは容易ではありません。市場調査やターゲット設定・分析などで得た結果から自社の商品・サービスをどう打ち出していくか、マーケティングミックスの策定は、施策を実行に移すうえで欠かせない重要な工程です。 また、アメリカの経営学者であるフィリップ・コトラー氏は、マーケティング戦略の立案から実行までのプロセスを以下のようにまとめています。 Research(調査) 「Research」と「STP」は戦略を立てるためのプロセス、「Marketing Mix」は戦術を実行するためのプロセスといえます。 # 出力形式 |
・ChatGPTからの回答
マーケティングミックスは、目的を達成するためのマーケティング施策の組み合わせであり、「4P」と呼ばれます。マーケティング戦略の基本戦略を策定した後、マーケティングミックスを活用して消費者の購買行動を促す具体的なアプローチ方法を立案します。マーケティングミックスは、自社の戦術を整理し具体化する手法であり、環境分析やセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの後、商品、価格、流通、プロモーションなどを基に具体的な戦術を立案します。マーケティングミックスの策定は、他社に埋もれず消費者から選ばれる商品を提供するために重要な工程です。コトラー氏は、マーケティング戦略のプロセスを「Research」「STP」「Marketing Mix」「Implementation」「Control」の5つに分けています。 |
要約を応用し、TwitterやInstagram、FacebookなどSNSの投稿文、メタディスクリプションの作成にChatGPTを活用する方法もあります。
メール文の作成
目的やターゲット、条件などを設定し、ChatGPTにメール文の作成を手伝ってもらうことも可能です。
・プロンプトの例
あなたは【役割】です。以下の条件に沿って●●を紹介するメールマガジンを作成してください。
# メールの目的 # メールのターゲット # 条件 # 出力形式 |
・使用例
Marketing Nativeの記事を紹介するメールマガジンを作成してもらった例です。いくつかプロンプトを試しましたが、紹介したい記事の説明を記載したほうが、より内容が伝わる文面になりました。
あなたはマーケターです。以下の条件に沿ってメディアの記事を紹介するメールマガジンを作成してください。
# メールの目的 # メールのターゲット # 条件 # 紹介したい記事 説明:マーケティングファネルとは、商品・サービスの購買プロセスを段階ごとに分けてモデル化したフレームワークです。マーケティング従事者なら「ファネル」という言葉を聞いたことがあっても、具体的にどういうものなのか、マーケティング施策にどう活用できるのか詳しく説明できない方もいるのではないでしょうか。この記事では、マーケティング従事者が知っておくべきマーケティングファネルの基礎知識として、ファネルの代表的な種類と効果的な活用方法をわかりやすく解説します。 プロダクトライフサイクルの基礎知識|段階別の特徴と必要な打ち手(https://marketingnative.jp/product_life_cycle/) 説明:プロダクトライフサイクルは、製品やサービスが市場に導入されてから衰退するまでをライフサイクルにたとえたものです。新しい製品やサービスが生まれ、市場に普及した後、何の施策も打たなければ需要は次第になくなります。こうしたプロセスの中で売上高と利益が時間の経過に伴って変化するため、それに対応するリソース配分やマーケティング施策の打ち手を考える上で、プロダクトライフサイクルは重要な役割を果たします。この記事では、プロダクトライフサイクルの基本的な知識に加え、マーケティング活動の中での活かされ方、用いる場合の注意点などについて解説します。 マーケティング業務に役立つフレームワーク【利用シーン別】(https://marketingnative.jp/marketing_framework/) 説明:マーケティングで活用するフレームワークとは、課題の整理や意思決定をする際に役立つ考え方の枠組みです。マーケティング施策立案の際に便利な思考ツールであり、適切な活用によって意思決定を効果的に行うことができます。企業などでマーケティング担当になった人は、フレームワークを基に思考し意思決定することで、社内や取引先とのコミュニケーションでも認識の齟齬を最小限に抑えられるでしょう。この記事ではマーケティング活動の各段階に対応したフレームワークの役割や、使い方などについて解説します。 # 出力形式 |
・ChatGPTからの回答
件名: マーケティングの成功に不可欠な知識をご紹介!
本文: マーケティングファネルの基礎知識|3つの種類と効果的な使い方 プロダクトライフサイクルの基礎知識|段階別の特徴と必要な打ち手 マーケティング業務に役立つフレームワーク【利用シーン別】 以上が今回ご紹介する記事です。興味を持たれた方は、リンクをクリックして詳細をご覧ください。今後もマーケティングに関するさまざまな情報をお届けして参りますので、引き続きご愛読のほどよろしくお願いいたします。 Marketing Native編集部 |
キャッチコピーの作成
商品名やターゲット、商品の特徴、キャッチコピーの条件などを指定し、アイデアを出してもらう活用方法もあります。
・プロンプトの例
あなたは【役割】です。商品の特徴やターゲットを踏まえて、条件に沿ったキャッチコピーを●個作成してください。
# 商品名 # ターゲット # 商品の特徴 # 条件 |
・使用例
試しに、架空の商品「バズにゃん人形」のキャッチコピーを作成してもらいました。
あなたはコピーライターです。商品の特徴やターゲットを踏まえて、条件に沿ったキャッチコピーを20個作成してください。
# 商品名 # ターゲット # 商品の特徴 # 条件 |
・ChatGPTからの回答
|
「20文字以内」の条件を守れていないキャッチコピーも混ざっていますが、アイデア出しとして活用できそうです。また、ターゲットの年代を「20代会社員」に変えたところ、「癒やし」を主軸にしたコピーが出てきました。
|
同じような要領で、Webサイトに掲載するコンテンツのタイトルや広告コピーなどのアイデア出しにも活用できそうです。
営業のロールプレイング
ChatGPTは特定の役割になりきって会話することもできます。営業担当者や顧客の役割をChatGPTに務めてもらえば、ロールプレイングの実施が可能です。
・プロンプトの例
あなたは【役割】です。
私は【プロダクト】を販売する会社の営業担当者です。 これから私が【プロダクト】についてプレゼンしますので、厳しめに質問をお願いいたします。 |
・使用例
ChatGPTにマーケターの役割を務めてもらい、Webマーケティングツールの営業のロールプレイングを行った例です。製品の紹介をすると、それを受けてChaGPTが質問を返します。
【指示】 あなたはとある会社のマーケターです。 私はWebマーケティングツールを販売する会社の営業担当者です。 これから私がWebマーケティングツールについてプレゼンしますので、厳しめに質問をお願いいたします。 【ChatGPT】 【指示】 【ChatGPT】 |
カスタマーサポート
想定されるお客さまからの質問と回答の作成、作成したFAQの分類、お客さまへのメール文の作成などについても、ChatGPTの活用により効率化を図れる可能性があります。商品やサービスの情報や、お客さまからよくある質問などをChatGPTに提供すると、より精度の高いアウトプットが得られるでしょう(個人情報や機密情報の入力は避けて行う、チャット履歴をオフにするなど、注意が必要です)。
・使用例
Webサイトの会員機能に関するFAQコーナーを作成する想定で、ユーザーとして思いつく質問を挙げてもらいました。また、挙げてもらった質問をジャンル(カテゴリー)ごとに分類してもらった例が次のとおりです。
【指示】 あなたはWebサイトの利用者です。会員機能に関する質問を可能な限り挙げてください。 # 会員機能の特徴 【ChatGPT】
これらは一般的な質問の例ですが、会員機能によって異なる場合もあります。具体的なWebサイトやサービスによって提供される会員機能に関する詳細を確認するためには、各Webサイトの利用規約やプライバシーポリシーを参照することが重要です。 【指示】 【ChatGPT】 会員登録関連: ログイン関連: 会員情報管理関連: 会員特典関連: 会員情報の利用関連: 料金関連: 各ジャンルに基づいて質問を整理することで、特定のトピックに関連する情報をより簡単に見つけることができます。 |
以下の記事では、WebメディアにおけるChatGPTの活用方法について詳しく解説しています。本記事とあわせて参考にしてください。
関連記事:「SEO研究チャンネル」平大志朗が徹底検証!WebメディアがChatGPTを上手に活用する方法
ChatGPTに関連して押さえておきたいトピック
ChatGPTの登場以降、AI関連のサービスの開発が活発です。そのなかでも、マーケティング担当者が押さえておきたいトピックを紹介します。
検索エンジン
・Microsoft「Bing AI」
Bing AI はMicrosoftが開発している検索エンジン「Bing」に搭載されたAIチャット機能です。2023年2月7日(アメリカ現地時間)に発表され、同年5月4日よりオープンプレビューへ移行しました。
▲Bing AIでは、会話のスタイルを「より創造的に」「よりバランスよく」「より厳密に」の3つから選ぶことができる(画像出典:Bing AI)。
Bing AIには GPT-4が使用されており、画像や動画などテキスト以外の多種多様なデータを学習しています。質問するとAIが人間の代わりに検索し、回答を生成してくれる仕組みです。回答する際に検索を行っているため、その時の最新情報を踏まえた返答を得ることができます。
▲Marketing Nativeで人気の記事を尋ねたところ、「2022年にMarketing Nativeでよく読まれた記事ランキング」を参考にした回答が得られた。Bing AIが回答時に参考にした情報は「詳細情報」にURLが表示され、回答の下には「Marketing Nativeとは何ですか?」など次の質問の候補が並ぶ(画像出典:Bing AI)。
・Google「Bard」「Search Generative Experience(SGE)」
Googleは大規模言語モデルPaLM 2を利用した対話型AI「Bard(バード)」を開発しています。2023年3月21日(アメリカ現地時間)にアメリカとイギリスで一般公開され、日本では5月11日より利用できるようになりました。インターネット上の情報を利用しており、「Googleで検索」ボタンから関連するトピックを検索することもできます。
▲Bing AIと同じ質問を投げかけると、ネイティブ広告に関する記事が挙がってきた(実際にMarketing Nativeにこのような記事はない)。「回答案を再生成」をクリックすると、新しい回答の再生成を依頼できる(画像出典:Bard)。
▲2021年以降の情報にも対応している。「Googleで検索」をクリックすると、関連する検索ワードが表示される(画像出典:Bard)。
またGoogleは、生成AIを検索エンジンに応用した「Search Generative Experience(SGE)」も発表しています。質問や検索キーワードを入力すると、AIが生成した「Snapshot(スナップショット)」と呼ばれる回答を表示してくれるもので、そこからさらにユーザーは関連するページを閲覧したり、追加の質問をして深掘りしたりできるようになります。なお、「Search Generative Experience(SGE)」は2023年6月時点でプレビュー版が公開されており、ウエイトリストに登録した一部のユーザーのみ利用が可能です。
参考:
Google Japan Blog「Bardが日本語に対応」
Google「Supercharging Search with generative AI」
AIエージェント
ChatGPTの進化系と注目を集めているのが、AIエージェントです。ChatGPTではプロンプトの入力が逐一必要であるのに対し、AIエージェントは設定したゴールの達成に向けてタスクのリストアップや実行などを自動的にループで行います。
・Auto-GPT
Auto-GPTとは、ユーザーが与えた目標に対し、それを達成するためのタスクを自動的に行うAIエージェントです。ゲームデベロッパーのトラン・ブルース・リチャーズ氏が開発しました。「○○の領域で新しいSaaSを開発する」のようにAIにしてほしいことを設定し、「○○について調べる」「調べた内容について整理する」「調べた内容をテキスト形式で保存する」などとゴールを設定すると、ゴールを達成するまで必要なタスクをAIが自動的に考え、実行してくれます。
・BabyAGI
BabyAGIは、ユーザーが設定した目標を達成するためのタスクを自動的に生成し、その中から優先度の高いタスクを実行してくれるAIエージェントです。最初に目標を設定するとBabyAGIがタスクを洗い出し、各タスクの達成後には再び次のタスクの洗い出しを行い、達成まで自動的に進めてくれます。
・CAMEL
CAMELとは、2つのAI(AIアシスタントとAIユーザー)に役割を与え、AI同士を会話させることで課題解決のアプローチを考えてもらうAIエージェントです。ChatGPTは人間がフィードバックを行いますが、CAMELはAIとAIが互いに会話しながら課題を深掘りしていきます。そのため、人間が介入せずとも、入力した課題に対するアプローチをAIの力だけで提案してもらえます。
ChatGPTの長所を活かし、効率化を図りましょう
ChatGPTはさまざまな分野における業務効率化が期待されており、文章の要約、営業ロープレ、カスタマーサポートなど、マーケティング業務においても多様な活用方法が考えられます。一方で、ChatGPTから生成された情報には誤りが含まれていることがあり、人間が話す言葉で「もっともらしい」回答が返ってくるため、間違いに気づきにくい点には注意が必要です。長所と短所の両方を踏まえて上手に活用できれば、これまで時間がかかっていた作業をChatGPTで効率的に行い、思考や意思決定などに時間を割けるようになるでしょう。
Bing AIやBard、AIエージェントなども含め、AIの進化から目が離せません。