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マーケティング

プロダクトライフサイクルの基礎知識|段階別の特徴と必要な打ち手

最終更新日:2022.06.03

プロダクトライフサイクルは、製品やサービスが市場に導入されてから衰退するまでをライフサイクルにたとえたものです。

新しい製品やサービスが生まれ、市場に普及した後、何の施策も打たなければ需要は次第になくなります。こうしたプロセスの中で売上高と利益が時間の経過に伴って変化するため、それに対応するリソース配分やマーケティング施策の打ち手を考える上で、プロダクトライフサイクルは重要な役割を果たします。

この記事では、プロダクトライフサイクルの基本的な知識に加え、マーケティング活動の中での活かされ方、用いる場合の注意点などについて解説します。

目次

    プロダクトライフサイクルの基礎知識

    多くの製品やサービスはプロダクトライフサイクルと呼ばれるS字のような曲線を描いて成熟し、衰退を迎えます。プロダクトライフサイクルの考え方は、適切なマーケティングを行うために大切な判断材料の1つです。

    プロダクトライフサイクルとは?

    プロダクトライフサイクルは製品やサービスの市場への導入後、収益性が段階を経て変化することを表したものです。1950年にアメリカの経営学者であるジョエル・ディーンにより提唱された考え方で、Product Life Cycleを略して「PLC」、または、「製品ライフサイクル」ともいわれます。

    製品が市場に投入された直後は消費者の認知度が低く、売り上げもなかなか上がりませんが、時間が経つにつれて売り上げが拡大し、ピークを迎えます。しかし、どれほど良い製品やサービスであっても、何もしなければ売れなくなっていくため、時代や情勢に合わせて戦略の再検討が必要です。

    プロダクトライフサイクルの主な役割

    プロダクトライフサイクルには4つのフェーズがあり、各段階で売り上げや利益、競合の状況が変化するため、それぞれに応じたマーケティング戦略が必要です。そのため、各段階の特徴を押さえておくと、自社が提供している製品やサービスの現状を把握し、適したマーケティング戦略が打ち出せているか確認したり、後に取るべきアクションを予測したりするのに役立ちます。

    プロダクトライフサイクルの4つの段階

    プロダクトライフサイクルは、一般的に「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つに分けられます。段階ごとの特徴を押さえておきましょう。

    導入期の特徴

    導入期とは、製品やサービスを市場に導入した直後の段階のことです。新製品やサービスを市場に導入した直後は消費者の認知も低く、売り上げは緩慢な増加にとどまります。一方で、製造・販売・提供に必要な体制作りや認知向上のためのプロモーションなどでコストがかさむ時期です。そのため、利益はマイナスになるか、あっても少額です。

    導入期は商品認知を獲得するための広告やSNSを活用したプロモーション、試用の促進、ニーズの喚起などが基本的な戦略となります。

    成長期の特徴

    成長期は製品の特徴やメリットが消費者に知られはじめ、売り上げや利益が大きく伸びていく段階です。さらに、需要の見込める市場であることが確認されると後発企業の参入が増加するため、市場は拡大し、競争も激しくなります。

    成長期のマーケティング戦略では市場シェアを獲得し、競合他社と差別化を図りながら新規需要の取り込みなどに力が注がれます。製品ラインの拡大や新しい流通チャネルの開拓などが具体的な施策です。

    成熟期の特徴

    成熟期は製品やサービスが市場に広く普及し、売り上げの成長率が徐々に低下していく段階です。新規需要はあまりなく、買い替え需要が中心となります。成長期の後半から伸長してきた利益は、成熟期の前半に最大化し、徐々に減少していきます。そのため、非ユーザーをユーザーに転換したり、新たな市場セグメントに参入したり、製品やサービスを改良したりして、市場シェアを維持・拡大することが求められます。

    成熟期は企業の競争地位(リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャー)が明確化する段階でもあるため、立場ごとに取るべきマーケティング戦略は異なってきます。

    衰退期の特徴

    消費者の嗜好や流行の移り変わり、技術革新などによって、製品やサービスの需要が低減すると、プロダクトライフサイクルは衰退期に移行します。市場が縮小し、売り上げや利益も減少する段階です。衰退していく製品やサービスの維持にもコストがかかるため、企業は製品ラインナップの縮小や流通チャネルの整理などを行いながら、市場からの撤退も視野に入れた戦略を検討します。

    プロダクトライフサイクルとあわせて押さえておきたいイノベーター理論

    プロダクトライフサイクルは製品やサービスが市場に導入されてから衰退するまでのプロセスを表しているのに対し、消費者側の態度をもとに新製品やサービスの市場への浸透の仕方を表しているのがイノベーター理論です。

    新しい製品やサービスは、イノベーション(革新性)に対して好意的な層から普及し、遅れる形で保守的な層に受け入れられる過程をたどると言われています。

    イノベーター理論とは?

    イノベーター理論は、新しい製品やサービスが普及するプロセスについて、アメリカの社会学者であるエベレット・M・ロジャーズが提唱した理論です。イノベーションに対する態度は、「流行に敏感で、進んで取り入れる人」「慎重に取り入れる人」など、人によって異なります。イノベーター理論では、そうしたイノベーションに対する消費者の態度を5つに分類し、それぞれの傾向と割合を示しています。

    5つのタイプ

    5つの分類は次の通りです。

    ・イノベーター(革新者)

    イノベーターは新しい製品やサービスを進んで取り入れる層です。情報感度が高く、目新しさを重視し、リスクをあまり恐れずに採用するなどの特徴を持っています。また、イノベーターは革新性を重視するため、製品のベネフィットはあまり重視しない傾向にあります。市場に占める割合は2.5%と少数です。

    ・アーリーアダプター(初期採用者)

    イノベーターに次いで新しいものに関心を示す層がアーリーアダプターです。アーリーアダプターは流行に敏感で、進んで情報収集を行い、イノベーションを採用するかどうかを判断します。市場の13.5%を占めるアーリーアダプターはオピニオンリーダーになることもあり、アーリーアダプターに採用されるか否かがプロダクトの普及に大きく影響するとも言われています。

    ・アーリーマジョリティ(前期追随者)

    アーリーアダプターの評価に影響を受けやすく、新しいものに対して慎重な態度を取るのがアーリーマジョリティです。アーリーマジョリティは、市場全体の34%を占めると言われており、この層の獲得に成功すれば市場全体の50%に普及していることになります。

    ただし、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間にはキャズムと呼ばれる大きな溝があるとされており、アーリーマジョリティを獲得できずに撤退を余儀なくされるケースも少なくありません。

    ・レイトマジョリティ(後期追随者)

    新製品や新サービスが十分普及した段階で受け入れる層がレイトマジョリティです。新規性やリスクに対して保守的な傾向を持ち、新しい製品やサービスについて大多数が利用していることを確認してから採用します。

    市場全体の34%を占めるレイトマジョリティにも普及が進むと、市場は飽和状態へと近づきます。

    ・ラガード(採用遅滞者)

    ラガードは保守的な層であり、市場全体の16%を占めています。新しいものへの関心が薄く、新製品や新サービスが普及し、伝統または文化のレベルになるまで採用しないと言われています。

    ※導入期にイノベーターだけでなくアーリーアダプターも含まれるなど、分類の仕方には諸説あります。

    プロダクトライフサイクルを活用する際の注意点

    プロダクトライフサイクルは、自社の製品やサービスの状態を把握するうえで役立つ一方で、欠点が指摘されていることも知っておく必要があります。主な注意点は次の通りです。

    該当しない製品・サービスもある

    プロダクトライフサイクルは、すべての製品やサービスに適用できるフレームワークではないことを念頭に置いておくことが大切です。導入・成長・成熟・衰退というサイクルをたどらない製品やサービスも数多く存在します。

    例えば、長期間にわたり一定水準の販売規模があり、将来的にも需要の下落が想定しにくい製品やサービス、あるいは、伝統的・文化的要素を含む季節商品のように毎年一定の需要があるものなどは一般的なプロダクトライフサイクルが当てはまりません。また、製品やサービスに魅力がなければ、成長期・成熟期を迎えることなく、導入後早期に衰退するでしょう。

    どの段階にいるのか判断するのが難しい

    プロダクトライフサイクルには、導入期・成熟期・成長期・衰退期を区分する売り上げの水準や、時間的な範囲(例:市場への導入後○年)など、合理的な判断基準がありません。また、典型的な曲線とは異なる曲線を描く、「スタイル」や「ファッション」「ファッド」などのパターンが存在することも明らかになっています。

    そのため、自社の製品やサービスがプロダクトライフサイクルにおける曲線のどの段階にあるのか、判断を見誤る可能性がある点には注意が必要です。例えば、段階的な成長を繰り返しながらピークに達する場合に、初期の売り上げの鈍化を成熟期と考え、以降も成長が見込まれるにもかかわらず、撤退を選択してしまうケースが考えられます。

    渦中にいると、現在の局面がプロダクトライフサイクルのどの段階に当たるか把握するのが難しく、将来の予測も含めた判断が必要とされます。

    プロダクトライフサイクルの周期が短くなりつつある

    プロダクトライフサイクルの周期は、以前に比べて短縮化の傾向にあると言われています。テクノロジーの進化により新しい製品が次々と生まれ、技術が陳腐化しやすいことに加え、消費者のニーズの移り変わりも早いためです。

    マーケティング戦略を考える上で大切なプロダクトライフサイクル

    『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント』では、プロダクトライフサイクルについて、次のように書かれています。

    製品ライフサイクル(PLC)の概念は、製品と市場のダイナミクスを解釈するのに役立つ。予測ツールとして役立つが、プランニング・ツールやコントロール・ツールとしても使うことができる。

    出典:『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版』(フィリップ・コトラー、ケビン・レーン・ケラー著、恩藏直人監修、月谷真紀訳、丸善出版)

    上記の文章の後には、本記事で紹介したようなプロダクトライフサイクルの欠点について記載されていますが、プロダクトライフサイクルの考え方自体は、マーケティング戦略を立案するうえで1つの判断材料として有用なものです。また、自社が手掛ける製品の一覧であるプロダクトポートフォリオを検討する際にも応用することができます(プロダクトライフサイクルの考えに基づく、経営資源の配分に関するフレームワークに「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント」があります)。

    今回ご紹介したような基礎知識はぜひ押さえておきましょう。

    Marketing Native編集部

    記事執筆者

    Marketing Native編集部

    Marketing Native(マーケティングネイティブ)は株式会社CINC(シンク)が運営しているメディアです。 CMOのインタビューやニュース、Tipsなど、マーケターに役立つ情報を発信しています。
    Twitter:@market_native
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