facebook twitter hatena pocket
週2メルマガ

最新情報がメールで届く

登録

登録
マーケティング

戦略を実現する4Pの考え方|価値を提供し、強みを実現するためのチェックポイントとは?【マーケティング基礎講座第3回】

最終更新日:2022.07.07

4Pはマーケティングにおいて戦略を実現するのに重要なツールです。4Pを用いてProduct・Promotion・Place・Priceの4要素を検討することにより、顧客に価値を提供し、対価をもらうための手段を具体化できます。

4Pの重要性については、マーケティング基礎講座第1回「マーケティングで大切な4つの基本」でもご紹介しましたが、今回はさらに詳細を掘り下げ、具体的な考え方を解説いたします。監修は『ドリルを売るには穴を売れ』の著者で、ストラテジー&タクティクス株式会社 代表取締役社長の佐藤義典さんです。

目次

    マーケティングで大切な4Pの基本

    マーケティングでは、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングによって誰にどのような価値を提供し、強みを当てていくかを決めた後、4Pによってその「価値」や「強み」を施策として具体化していきます。顧客へ提供する価値はProduct(プロダクト)で実現し、Promotion(プロモーション)を通じて伝え、Place(プレイス)で届けて、Price(プライス)で対価を得ます。

    4Pとは?

    4Pとは、企業がマーケティングに用いる施策の組み合わせである「マーケティングミックス」の代表例の1つです。セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング(STP)によって固めた戦略を具体的なマーケティング施策に落とし込む際の要素をまとめたもので、いずれも頭文字が「P」であることから「4P」と呼ばれます。厳密には4Ps(複数です)が、日本では4Pと呼ばれることが多いのでそちらに合わせます。アメリカの経済学者であるエドモンド・ジェローム・マッカーシー氏が1960年に提唱し、浸透しました。

    4Pを構成する要素は次の通りです。

    • Product(製品やサービス:売り物)
    • Promotion(広告や販促:売り方)
    • Place(流通やチャネル:売り場)
    • Price(価格や支払い方法:売り値)

    Product=売り物、Promotion=売り方、Place=売り場、Price=売り値と考えると、覚えやすいでしょう。

    4Cとは?

    マーケティングミックスの代表例としては、4Pを顧客視点で捉えたフレームワーク「4C」もよく知られています。「C」から始まる4つの要素「Customer Solution(もしくはCustomer Value)」「Communication」「Convenience」「Customer Cost」で構成されているので4Cです。アメリカの経済学者であるロバート・ロータボーン氏が4Pを再定義する形で1993年に提唱しました。

    4Pと4Cのどちらが正しいというわけではありません。4Pは「売り手」から見た表現で、4Cは「買い手」から見た表現です。4Pを考える際は4Cと適合しているか否かを意識すると良いでしょう。

    • Product ⇒ Customer Solution(顧客の課題解決)もしくはCustomer Value(顧客価値)
      ターゲットのニーズを満たし、課題を解決するプロダクトになっているか
    • Promotion ⇒ Communication(顧客とのコミュニケーション)
      広告や販促を顧客とのコミュニケーションと捉え、適切に設計できているか
    • Place ⇒ Convenience(利便性)
      顧客に利便性を提供できるように流通やチャネルを設計できているか
    • Price ⇒ Customer Cost(顧客が払う費用)
      プロダクトの価格が顧客の支払うコストとして見合っているか

    「価値」「強み」を実現する4P

    4Pは、誰にどんな「価値」を提供し、競合にはないどのような「強み」を実現するか、というマーケティング戦略を実現する「手段」です。

    4Pが先に来るのではなく、4Pは「ベネフィット」(価値・うれしさ)、「顧客ターゲット」、「強み」を実現するものです。そのため、次のように考えられます。

    • Product:売り物 ⇒ 価値・強みをお客様の手元で実現する
    • Promotion:売り方 ⇒ 価値・強みをお客様に伝えて購入を促進する
    • Place:売り場 ⇒ 価値・強み(を持つ製品など)をお客様に届ける
    • Price:売り値 ⇒ 価値・強みの対価をいただく

    Productの考え方―価値・強みをお客様の手元で実現する

    4Pを考える際は、価値を実現するProductから進めると良いでしょう。Productは簡単に言うと売り物で、有形の製品も無形のサービスも含まれます。

    Productの重要性:価値や強みを実現する

    売り方(Promotion)や売り場(Place)、売り値(Price)は売り物があってこそ考えられるため、4Pの中でも何を売るか(Product)は特に重要な要素です。「何を売るか」は「どんなお客さまに、どのような価値をもたらそうとしているのか」とも考えることができ、自社が顧客に提供する価値と連動します。

    Productで決めること

    Productでは、製品やサービスの名前、スペック(仕様)などを具体的に決めます。製品の場合は形や大きさ、重さ、パッケージなども対象です。また、他社と差別化する重要なポイントになり得るため、例えばアフターサービスや保証などのプロダクトに付随するサービスもProductで決める要素に含まれます。製品によっては「使い方指導」やお客様が使う場所への「設置」などもProductに入ります。

    Productを考えるときのポイント

    Productには製品やサービスを通じて提供する価値も含まれますので、その価値を効果的に満たす仕様やネーミングなどにすることが大切です。その際、製品やサービスの「使い方」に着目してみると、わかりやすいかもしれません。例えばノートパソコンは、用途が出張先での使用の場合、薄型軽量であることや長時間駆動するバッテリーなどが重視されます。しかし、用途が自宅で使用するのみの場合、ノートパソコンの軽さやバッテリーが駆動する時間の長さはあまり意味がなくなり、画面を見やすいディスプレイの大きさ、メモリの容量などが重要になってきます。

    また、Productを考える際は、以下の2点を押さえられているかどうかも重要です。

    1. 顧客ターゲットに合っているか
    2. 自社の「強み」を実現しているか

    売り物はSTPで設定した顧客ターゲットに適した仕様になっているでしょうか。例えば、顧客ターゲットが高齢者で、売り物が時計なら、小さくて読みづらい文字盤はできるだけ避けたいものです。

    「強み」は顧客ターゲットが「あなたから買いたい」と思う理由です。機能性の高さや使いやすさ、デザインの良さなど、競合が持っていない価値があるかどうかも確認しましょう。

    Promotionの考え方―価値・強みをお客様に伝えて購入を促進する

    売り物(Product)を決めたら、次に考えるのは売り方(Promotion)です。広告や販売促進(販促)などについて、どのような手段でどんなメッセージを伝えるか計画します。

    Promotionの重要性

    Promotionは製品やサービスの価値、強みを顧客に伝える役割を持ちます。優れた価値や強みを持つProductを作っても、存在そのものが認知され、魅力が顧客に伝わらなければ売れません。そのため、広告や販促で顧客に価値を伝え、プロダクトのイメージ向上、購買意欲の促進を図ります。

    Promotionで決めること

    Promotionでは、顧客へ効果的に情報を伝えられる手段や方法を選択し、運用の仕方を考えていきます。手段は広告、販促、パブリック・リレーションズ(PR)などです。製品のカタログやパンフレットなども重要なPromotionのツールとなります。

    ・広告

    広告は幅広い層に対して製品やサービスの存在とその価値を伝えたり、購買意欲を促進したりするのに用いられる手段です。顧客へ効果的に情報を届けられる広告媒体と、広告内で伝えるメッセージを考えます。

    広告媒体の代表的な例は、テレビや新聞、雑誌、ラジオなどの4マス媒体をはじめ、Web広告やリスティング広告、SNS広告などのインターネット、OOH(Out Of Home、交通・屋外広告)、ダイレクト・メールなどが挙げられます。

    顧客に買ってもらうには、広告内のメッセージで差別化ポイント(強み)を発信することが大切です。マーケティング基礎講座第1回で、価値とはお客様が感じる「うれしさ」であり、自己欲求や社会欲求、生存欲求などの欲求が満たされたときに「うれしい」と感じることをお伝えしました。広告で伝えるメッセージについても、自己欲求や社会欲求、生存欲求を刺激することを意識すると良いでしょう。よく売れている製品やサービスのキャッチコピーには、こうした欲求を上手に刺激している例が多く見られます。

    自己欲求:自己の中で完結する欲求
    例)「見つけよう、次の瞬間を。」(TikTok)

    社会欲求:他者に受け入れられたいと感じること
    例)「あなたのペースで、恋できる。」(Pairs)

    生存欲求:生きるために必要な欲求
    例)「選べるおいしさカップヌードル!」「すぐおいしい!すごくおいしい!」(日清食品グループ)

    ・販促

    販促は一般的に購買を促進する手段の総称で、セールス・プロモーションとも呼ばれます。体験を提供するタイプ、インセンティブを提供するタイプ、価格を訴求するタイプなどがあり、手段はさまざまです。

    体験を提供するタイプ:製品やサービスを体験する機会を提供し、購買を促進します。モニターを募集するモニタリングや、試供品を配るサンプリングなどがその例です。

    インセンティブを提供するタイプ:インセンティブを与えることにより、購買を促進します。例えばオープンまたはクローズド型の懸賞や、おまけ、消費者から応募を募るコンテスト、スタンプカード、ポイントカードなどです。

    価格を訴求するタイプ:値引きや増量、クーポンの提供などでお得感を打ち出し、購買を促進します。

    ・パブリック・リレーションズ(PR)やパブリシティ

    パブリック・リレーションズ(PR)は広報活動や広聴活動などのことで、企業が世間の人々(公衆)と良い関係性を構築するための活動の総称です。一方、パブリシティは製品やサービスに関する情報がメディアに取り上げられることを指します。企業はプレスリリースを配信したり、プレス発表会を開催したりして、メディアが取り上げたくなるようにアプローチします。うまく取り上げられれば、掲載されたメディアの読者に情報が広がり、効率的にプロモーションを行うことが可能です。

    ・製品カタログやパンフレット

    製品などを作るときにはカタログやパンフレットを作るケースが多く見られますが、そのカタログやパンフレットも極めて重要なプロモーションツールとなります。単にスペック(仕様)を載せるだけではなく、「お客様がどう使うと、どのようにうれしいのか」「競合にはない魅力(強み)は何か」などを具体的に書くことも大事です。

    Promotionを考えるときのポイント

    Promotionにおいても、やはり「顧客」や「強み」との一貫性のチェックは重要です。

    1)顧客に刺さるような「媒体」「伝え方」になっているか

    顧客が使う媒体は何かを考えましょう。例えば顧客が10代や20代の若年層ならプロモーションにTikTokを用いても良いですが、視聴しない層に向けてTikTokでプロモーションを実施しても意味がありません。また、ターゲットによって刺さる表現も異なります。顧客に刺さる伝え方になっているかどうかも、忘れてはいけない観点です。

    2)「強み」が伝わるか

    強みが伝わる手段を選びましょう。Promotionで伝えるべきは価値と強みであり、強みとは「お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由」です。例えば「サンプリング」は、「使用すれば強みが伝わる」場合に効果を持ちます。寝具なども顧客に「実際に試していただく」ことで良さが伝わるかもしれません。どうすれば強みを伝えられるか考えましょう。

    Placeの考え方―価値・強み(を持つ製品など)をお客様に届ける

    4Pのうち、3つめに考えるのはPlaceです。顧客に製品やサービスを届けるには、流通経路や販売経路、販売場所を検討し、適切に設計することが求められます。

    Placeで決めること

    Placeでは、製品やサービスを顧客に届けるのに、適切かつ効果的な流通・販売経路(チャネル)を設計します。インターネット通販が当たり前になった昨今は、配送方法も重要です。自宅へ配送するほかに、近隣の店舗やコンビニでの受け取りを可能にするなど、顧客に合わせて選択肢を用意します。

    ・流通経路の主な種類

    メーカーから消費者へと製品を届ける流通経路には、大きく分けて3種類のパターンがあります。

    1. メーカー⇒卸売業者⇒小売業者⇒消費者
    2. メーカー⇒小売業者⇒消費者
    3. メーカー⇒消費者

    「1」や「2」のパターンでは、自社製品をどのような卸売業者(または小売業者)に卸すのか、特徴や条件などを考慮して決定する必要があります。また、仲介業者の数はできるだけ多くして接点を増やすのか、あえて絞り込んで選択的に提供するのかなども検討します。

    「3」のように企業が消費者に直接販売するパターンは、「D2C」の名でよく知られるビジネスモデルです。飲料メーカーが自社専用の自動販売機を設置するケースも、メーカーが私たち消費者に「直接販売」するチャネルと言えます。流通の仕組みの構築や管理にコストがかかりますが、顧客情報を自社に蓄積したり、ヒアリングした意見を製品やサービスに反映して改善したりできる点などがメリットとして知られています。また、価格決定権を流通に左右されずに自社で持てる、というのも大きなメリットです。

    ・販売経路の主な分類

    チャネルには「直接販売」と「間接販売」があり、次のように分類が可能です。

    • 直接販売:自社の店舗、自社のWebサイト、自社の営業パーソン(人) など
    • 間接販売:他社の店舗、代理店の営業パーソン(人)、他社のWebサイト など

    Placeを考えるときのポイント

    Placeを考える際に最も大切なのが、「顧客がどこにいるか」です。例えば、お客様が実店舗には来店せずにオンラインで購入するのであれば、実店舗での販売を増やしてもあまり意味がありません。逆にお客様がオンラインではなく実店舗で購入するなら、実店舗が重要となります。Place=場所とは、まさに「お客様がいるところ」です。

    また、4Pのほかの要素との整合性も重要です。ターゲットやブランドの特性などによって、採用するチャネルは変わってきます。高価格の製品やサービスで顧客を絞っている場合、基本的にはチャネルも絞ります。例えば、パナソニックは高価格帯のノートパソコン「カスタマイズレッツノート」を、自社の直販サイトに限定して販売しています。反対に低価格で広範に販売する場合は、他社の店舗やWebサイトなど間接販売も含めてチャネルを広げ、到達する顧客の数を増やします。

    Priceの考え方―価値・強みの対価をいただく

    Price(売り値)は、企業が提供する価値の代わりに顧客からいただく対価です。ターゲット顧客に合わせ、適切な価格戦略を立てる必要があります。

    Priceの重要性

    企業の利益は製品の価格や販売量、製造にかかったコストなどによって決まります。その中でも企業が自由に設定できるのが価格です。また、メニューの価格帯によって飲食店のランク付けを行うことがあるように、消費者は時に価格を基に製品やサービスのポジショニングを行うため、Priceは重要な決定事項となっています。

    Priceを考えるときの流れ

    Priceを考えるときは、次のようなプロセスで進めてみると良いでしょう。

    ・価格戦略の目的を定める

    短期的または長期的利益か、それとも販売数量か、ポジショニングの訴求か、市場での生き残りか、追求する目的によって設定する価格が変わってきます。まずは、価格戦略の目的を明確にしましょう。

    ・自社の製品やサービスの価格に影響する要因をチェックする

    適切な価格を設定するためには、自社の製品やサービスの価格に影響を与えうる要因を調べておく必要があります。主に以下の点をチェックしておくと良いでしょう。

    • 製品やサービスを作るのにかかる費用と自社が求める利益
    • 競合の価格(実勢価格)
    • ターゲット顧客は製品やサービスの提供価値をどのように捉えているか

    ・価格を設定する

    目的を明確化し、要因をチェックできたら、価格を設定します。製造コストを基準に考えるのが基本ですが、以下のようにさまざまな設定方法があります。

    • 製品にかかる費用に一定の利益を上乗せする(コストプラス法)
    • 赤字から黒字に転換する損益分岐点に応じ、価格を設定する方法
    • 競合他社の価格を参考に設定する(現行レート価格設定)
    • 可能な限り低価格で提供する代わりに、顧客ロイヤルティを獲得する
      など

    Priceを考えるときのポイント

    Priceにおいても、やはり「顧客」や「強み」との一貫性をチェックすることが大切です。設定した価格は顧客の予算内に入りそうでしょうか。どれほど製品やサービスに価値があるとしても、予算をオーバーしていたら、顧客は買いたくても買うことができません。また「強み」があれば、そのぶん高い価格を設定できますが、競合と同じような製品やサービスならば、価格も同程度でないと、顧客に選ばれないおそれがあります。

    4Pを考える際は顧客や強み、要素同士の一貫性を意識

    4Pの各要素を選択・決定するときに、最も大切なのは一貫性です。Product・Promotion・Place・Priceは、自社が設定した顧客や強み、4Pのほかの要素との一貫性があるかを常に意識しながら、考える必要があります。

    例えばProductとPromotionの一貫性などはとても重要です。Productの魅力(強み)をきちんとPromotionでターゲット顧客に刺さるように伝えているかはきちんと押さえる必要があります。当たり前のように思えますが、Productが実現する価値とPromotionで伝えていることが一致していない、というような事例は意外と見かけます。

    また、Priceを高価格にする場合、通常はPlaceのチャネルは絞ります。ハイブランドをお考えいただければ、取り扱っているショップの数が少ないのでわかりやすいのではないでしょうか。一方で、Priceを低価格でいく場合は、Placeの面を広げます。卸会社・代理店なども含めて広く扱ってもらい、数を追うわけです。

    このように、一貫性のある戦略、そして4Pを設計できれば、良いマーケティングの必要条件を満たし、成果へとつなげられるでしょう。

    マーケティング業務に役立つ知識は以下のコンテンツでも解説しています。ぜひ参考になさってください。

     

    【監修者Profile】
    佐藤 義典(さとう・よしのり)
    ストラテジー&タクティクス株式会社 代表取締役社長
    早稲田大学政治経済学部卒業後、NTTに入社。営業やマーケティングを経験した後、米ペンシルベニア大ウォートンスクールでMBAを取得。外資系メーカーにて、食品のブランド責任者としてマーケティング・営業・開発・製造などを統括した後、外資系マーケティングエージェンシーにてコンサルティングチームのヘッドとして活躍。2006年にストラテジー&タクティクス株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。グロービス・マネジメント・スクールにてマーケティング講座の講師も務める。
    主な著書に『ドリルを売るには穴を売れ』(青春出版社)、『図解 実戦マーケティング戦略』(日本能率協会マネジメントセンター)などがある。2万人超の読者に支持されるマーケティングメルマガ「売れたま!」の発行人としても知られる。
    http://www.sandt.co.jp/
    https://www.uretama.com

    メルマガ登録する

    メルマガ登録
    週2メルマガ

    最新情報がメールで届く

    登録

    登録