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マーケティング

バリューチェーンとは?顧客に価値を提供する活動プロセスの分析方法

最終更新日:2022.08.26

企業の商品・サービスが顧客に届くまでにはさまざまな事業活動があります。こうしたビジネスの流れを可視化し、各工程にある強み・弱みをそれぞれ把握するには、「バリューチェーン」と呼ばれるフレームワークの活用が有効です。

しかし、バリューチェーンという言葉を聞いたことがあっても、サプライチェーンと混同していたり、なぜ必要とされるのか、実際にどう活用できるのかわからなかったりする方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、事業戦略の構築に欠かせないバリューチェーンとは何か、バリューチェーン分析を行う目的や具体的な分析方法についてわかりやすく解説します。

目次

    バリューチェーンとは?

    企業の活動プロセスの分析に役立つバリューチェーン。ここでは、バリューチェーンの意味や考え方、サプライチェーンとの違いをご紹介します。

    バリューチェーンの意味と役割

    バリューチェーン(Value Chain)とは、アメリカの経済学者であるマイケル・ポーター氏が著書『競争優位の戦略』で提唱したフレームワークです。日本語に直訳すると「価値連鎖」を意味し、バリューチェーンを用いることで企業が顧客に商品・サービスを提供するまでの活動を価値の連鎖として可視化できるようになります。また、バリューチェーンを用いた分析のことを「バリューチェーン分析」といいます。

    商品・サービスが生み出され、それが顧客のもとに届くまでには複数のプロセスがあります。バリューチェーン分析では企業の事業活動をプロセスごとに分類し、それぞれの強みや弱み、希少性などを明らかにします。どの活動にどのような価値がどれくらいのバランスで生まれているのか把握できるため、今後注力すべき活動と見直しが必要な活動の見極めが可能です。自社のみならず競合他社も分析・比較することで、他社との差別化戦略の構築や将来的な活動予測にも役立ちます。

    バリューチェーンの考え方

    バリューチェーンには2つの構成要素があり、企業の活動プロセスをそれぞれ「主活動」と「支援活動」に分類します。各活動の考え方は以下のとおりです。

    • 主活動:顧客に価値を届けるための直接的な活動
    • 支援活動:主活動を支えるための内部の動き

    たとえば製造業の場合、主活動は「購買物流」「製造」「出荷物流」「販売・マーケティング」「アフターサービス」の5つが当てはまります。それを支える支援活動には、「全般管理(インフラストラクチャー)」「人事・労務管理」「技術開発」「調達活動」などがあります。

    バリューチェーンとサプライチェーンの違いは?

    サプライチェーン(Supply Chain)とは、製品の原材料・部品の調達から消費までの一連の流れを指す言葉です。日本語では「供給連鎖」と訳されます。

    サプライチェーンの特徴は、自社だけでなく、関係する企業・組織なども含めたフロー全体を捉えることです。たとえば自社がメーカーの場合、部品や材料の仕入れ先(サプライヤー)、配送業者、卸売業者、小売業者なども含みます。

    また、サプライチェーン全体の効率化や最適化を図ることを「サプライチェーン・マネジメント(SCM)」といいます。サプライチェーン・マネジメントと情報システムの発展に伴い、バリューチェーンは複数の企業を包括した価値連鎖を意味するようになりました。サプライチェーンとバリューチェーンは似た言葉ではあるものの、サプライチェーンは調達から消費までのモノの流れ全体を捉えるのに対し、バリューチェーンでは企業が生み出す価値に焦点を当てるという違いがあります。

    バリューチェーン分析を行う主な目的

    バリューチェーン分析の特徴は、企業の事業活動をプロセスごとに分析することです。企業活動のどの部分に価値があるのかを明確にし、各プロセスが生み出す価値の質や量を今後の戦略として活かしていくねらいがあります。ここでは、企業戦略でバリューチェーン分析が重要な理由と、分析の目的について具体例を挙げてご紹介します。

    自社の競争優位性について深掘りする

    バリューチェーン分析の目的は、事業活動の中で付加価値を高めていけるポイントを把握し、自社の競争をさらに有利に運べるようにすることです。ビジネスにおける付加価値とは、企業が生産活動によって新たに生み出す特別な価値をいいます。付加価値を高めることは、商品・サービスの実用性を上げ、顧客満足度の向上につながります。

    その際、限りある経営資源を有効活用するには、事業活動において特に注力するべき工程へ優先的にリソースを分配することが重要です。バリューチェーン分析は、活動プロセスの中で付加価値を高められる機能、つまり自社の競争優位性が高いポイントを深掘りするとともに、その価値を最大化するための経営戦略の構築に役立てられます。

    コストの削減が必要な活動を把握する

    バリューチェーン分析を行う過程では、活動ごとにかかっているコストをすべて洗い出すことが大切です。事業活動を機能ごとに分けてコスト分析を行うため、購買工程や製造工程、もしくは出荷工程など、具体的にどの機能にコストがかかっているのか把握でき、利益を上げるにはどの部分を見直すべきか、判断が可能になります。

    たとえば競争優位に劣るポイントに過剰なコストがかかっていた場合、自社で効率化しコスト削減に励む、もしくは外部に委託するなどの選択肢が考えられます。

    自社と他社を比較する

    バリューチェーン分析は、自社と他社の比較にも役立ちます。競合他社が事業活動においてどの部分に強み(競争優位)や弱み(競争劣位)があるのか明らかになるため、自社の分析結果と比較することで、自社が伸ばしていくべき部分と効率化を検討すべき部分を判断しやすくなります。他社との分析結果の比較は、自社が市場優位性を築くために進むべき方向を示す道しるべとなるでしょう。

    また、競合他社を対象としたバリューチェーン分析では、各企業の課題や優位性、それに基づく経営戦略の把握のみならず、他社がこれからどのように事業展開していくのか予測できるメリットもあります。分析結果をもとに、他社が模倣しにくい付加価値を設けることは、差別化戦略としても効果的です。ただし、他社との差別化を図るうえでは顧客に「価値」として認識される、顧客のニーズに合った付加価値を設けることが欠かせません。

    バリューチェーン分析の流れ

    バリューチェーン分析の目的を理解したら、自社の活動プロセスにどのような強みや弱みがあるのか、実際に分析を行ってみましょう。ここでは、バリューチェーン分析を行う流れを3つのステップでご紹介します。

    STEP1.バリューチェーンの可視化

    まずは、自社のバリューチェーンを主活動と支援活動に分けてリストアップしていきます。

    例:製造業の場合

    主活動支援活動
    購買物流全般管理(インフラストラクチャー)
    製造人事・労務管理
    出荷物流技術開発
    販売・マーケティング調達活動
    アフターサービス

    機能別に分類する際は、自社が属する業界や類似する業界のバリューチェーンを参考に、図式にまとめるとわかりやすくなるでしょう。一般的なバリューチェーンの図は、主活動を左から右に、支援活動を主活動の上に積み重ねる形で設置しています。

    STEP2. 情報収集

    次に、分析に必要な情報を収集し、整理します。

    【バリューチェーン分析に必要な情報】

    • 活動ごとのコスト・利益
    • 活動ごとの強み・弱み

    活動ごとのコストは担当部署で細分化して一覧にまとめます。たとえば製造工程に複数の工場が関わる場合、A工場のコストはいくら、B工場のコストはいくらというように分けて記載しましょう。

    ※イメージ

    活動担当コスト(千円)
    購買物流XX●●●
    製造A工場▲▲▲
    B工場×××

    活動ごとの強み・弱みは、各活動に関わるなるべく多くの人から聞き取りをすることが大切です。一部の関係者だけの聞き取りでは、自社事業の現状を正確に把握できないおそれがあるからです。また、自社の強み・弱みを把握するには競合他社との比較が欠かせないため、自社と並行してライバルとなる同業他社の分析を行うこともおすすめします。

    STEP3. VRIO分析

    VRIO分析とは、「Value(経済的価値)」「Rarity(希少性)」「Imitability(模倣可能性)」「Organization(組織)」の4つの要素から、自社の経営資源を分析するフレームワークです。

    たとえば製造業のバリューチェーンをVRIO分析する場合、自社の購買工程に経済的価値があるか、希少性があるかというように、VRIOを構成する4つの要素について一つずつ「YES」「NO」で評価します。ポイントは「Value」「Rarity」「Imitability」「Organization」の順番に見ていき、たとえば以下のように「YES」が付いた工程だけ評価を進めることです。

    購買工程の評価が終われば製造工程、出荷工程と、洗い出して整理したバリューチェーンの各工程をそれぞれ分析していきます。

    すべての要素に「YES」が付いた場合、その工程は持続的な競争優位を持っていると考えられます。他社にはない自社の強みとして最大限に活用し、競争を有利に進めるポイントとなります。一方、「NO」が付いた工程は他社と比べてどの程度競争優位に劣るのか分析し、場合によっては資金を投入するべきか検討する必要があるでしょう。

    このようにバリューチェーンの各工程をVRIO分析することで、それぞれの競争状態と優位性を持つために必要な要素が見えてきます。ただし、外部環境の変化が激しい現代において、VRIO分析の結果が永続的に保証されるとは限らない点は理解しておく必要があります。

    VRIO分析については以下の記事でも詳しく解説しています。本記事とあわせて参考にしてみてください。

    関連記事:VRIO分析の基礎|企業の経営資源を可視化し、競争優位性を見いだす方法

    バリューチェーン分析の使い方の例

    バリューチェーン分析を用いると、事業活動の各工程にある強みや弱みを客観的に把握でき、今後の事業戦略に役立てられます。最後に、バリューチェーン分析がどのように活用できるのか、具体的な使い方の事例をご紹介します。

    自社や他社の分析

    バリューチェーン分析は、マーケティングプロセスの調査(Research)の段階でミクロ環境分析に活用したり、競合企業の調査に使用したりします。着目すべき視点がまとめられたフレームワークの活用によって、マーケティング戦略に欠かせない情報収集や分析を効率よく行うことが可能です。

    また、バリューチェーン分析は競合他社の立ち位置や収益性の分析にも使用できます。自社と他社それぞれの強みや弱みが明らかになるため、業界内で優位性を保つために必要な戦略の考案に加えて、現行の施策の見直し・改善などに役立つでしょう。

    自社や競合の分析に役立つフレームワークは、バリューチェーン分析のほかにも数多く存在します。環境分析やマーケティングフレームワークの記事もあわせて参考になさってください。

    関連記事:
    環境分析とは?マーケティングにおける重要性と主要なフレームワーク
    マーケティング業務に役立つフレームワーク【利用シーン別】

    DX構想の検討

    DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術の活用によって従来の組織やビジネスを変革し、競争優位性を確立することです。不確実性が高まる世の中でビジネス環境の変化に対応するには、あらゆる業界・業種においてDX推進への取り組みが欠かせないものとなっています。

    企業がDXを導入・実施する際も、事業活動プロセス全体を俯瞰できるバリューチェーン分析が役立ちます。DX化を進めるには各プロセスを単体で見るのではなく、バリューチェーン全体で考える必要があるからです。DX構想の検討にバリューチェーン分析を活用することで、プロセス全体の質と業務効率の向上につなげられるでしょう。

    自社の競争優位・競争劣位を見いだすバリューチェーン分析

    バリューチェーンとは、商品・サービスが顧客に届くまでに通過する各工程の価値連鎖を指す言葉です。バリューチェーン分析を行うことで、活動プロセスの中で付加価値を高めていける部分や過剰にコストがかかっている部分を把握でき、各プロセスにおける自社の競争優位もしくは競争劣位が明らかになります。

    また、企業の事業活動全体を俯瞰できるバリューチェーン分析は、世界的な潮流となっているDX化を進めるうえでも役に立つフレームワークです。有効性の高い経営戦略で事業を成功へ導くために、バリューチェーン分析を活用してみてはいかがでしょうか。

    Marketing Native編集部

    記事執筆者

    Marketing Native編集部

    Marketing Native(マーケティングネイティブ)は株式会社CINC(シンク)が運営しているメディアです。 CMOのインタビューやニュース、Tipsなど、マーケターに役立つ情報を発信しています。
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