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NFT市場が急拡大する理由|企業、ユーザーはなぜ相次ぎNFTに参入するのか

最終更新日:2022.01.28

いま、世界中の企業がNFT市場に熱い視線を送っています。NFTとは、Non-Fungible Tokenの頭文字をとった非代替性トークンの略称。偽造できないデジタルデータのことを指します。「無名アーティストのNFT作品が、数千万円や数億円で売れた!」などの話題を見聞きした人もいるのではないでしょうか。

仮想空間「メタバース」との親和性も高いNFTの世界マーケットは、2021年に大きく拡大しました。ただそれは序章に過ぎず、2022年にはさらに飛躍することが確実視されています。

なぜNFTは注目されるのか。ユーザーはなぜNFTに熱狂するのか。今回は暗号資産交換業者としては日本で最も早い2021年3月にNFTマーケットプレイス「Coincheck NFT(β版)」を立ち上げたコインチェックでマーケターを務める、マーケティング部Coincheck NFT(β版)担当の山口翼さんとマーケティング部長の岡田尚悟さんに話を聞きました。

(取材・文:ライター・百瀬 康司)

目次

    「唯一無二」の価値を求めて、注目度高まるNFT

    ツイッターの創業者として知られるジャック・ドーシー氏が2021年3月、15年前の2006年に初投稿した自身のツイートを競売にかけたところ、約291万ドル(3億1700万円)相当で落札されました。

    ツイート1つに3億円超!と驚いた人は多いと思います。なぜこれほどの高値になったのか。それにはNFTの特性が深く関係しているそうです。コインチェックのマーケティング部「Coincheck NFT(β版)」担当の山口さんが説明します。

    「インターネット上の画像など、通常のデジタルデータは誰でも簡単に複製できます。コピーされたデータとオリジナルのデータとの判別はつきません。したがって、コピーはほぼ無限に可能となります。対してNFTは、“唯一無二”の価値を持つことを証明できるデジタルデータです。ブロックチェーンと呼ばれる技術により、画像や映像、動画などのデジタルデータの所有者や取引の履歴を記録することで、唯一無二の意味づけができるようになりました。それが需要と供給の関係を生み、NFTの価値につながっています。ジャック・ドーシー氏のツイートはNFTとして取り扱われ、世界にただ1つの本人の物と証明されたため、3億円超の破格値の落札となったわけです」(山口さん)

    NFTは唯一無二のデジタルデータとして、さまざまな分野で活用が進められています。ゲーム、アート、スポーツ、コレクターズアイテム、会員権、不動産、担保ローンなど、実用化が進む分野は多岐にわたります。

    画像はイメージ

    NFT市場に企業が相次ぎ参入する理由

    では、NFTを手に入れるにはどうすれば良いのでしょうか。暗号資産決済手段としてNFTを自由に売買できるプラットフォームが、「NFTマーケットプレイス」です。いま世界のNFTマーケットプレイスで、NFTのコンテンツが盛んに取引されています。

    「世界最大のNFTマーケットプレイスであるOpenSea(オープンシー)の2021年度の取引高は140億ドル(約1.6兆円)に達しました。これはAmazonの売上高の約10分の1に匹敵します。OpenSeaの対前年比の伸び率は約646%。2021年に急速に拡大したことがわかります」(山口さん)

    海外のNFT市場の活性化を受け、日本でもNFT事業に参入、または参入を予定する企業が次々現れました。メルカリ、LINE、GMOインターネット、楽天といった顔ぶれです。そんな中、コインチェックは先陣を切り、2021年3月、暗号資産交換業者として初めてNFTマーケットプレイス「Coincheck NFT(β版)」をローンチしました。

    Coincheck NFT(β版)のトップ画面

    「当社が本格的にNFTに注目したのは2019年頃からです。当時はまだ市場として小さかったため、準備を進めながら参入のタイミングをうかがっていました。検索エンジンでのNFTの検索ボリューム数を判断材料として動向を読む中、2021年1月、その数値が爆発的に伸びました。米NBAのハイライトシーンの動画をNFTとして販売するプロジェクトがアメリカで立ち上がり、短期間で240億円分も購入されたのが要因です。そこでいまがチャンスと判断し2020年8月にNFTマーケットプレイスを立ち上げることを発表、満を持して2021年3月に参入しました」(山口さん)

    Coincheck NFT(β版)はNFTコンテンツとして2つのゲーム内アイテムを用意し、NFTマーケットプレイスのサービスをスタート。暗号資産交換業者として知られるコインチェックのメルマガ会員約400万人に向け、メタバースに関する記事を挟むなど効果的にアピールし、ユーザーを獲得していきました。現在、ユーザー数は約7万人超。ユーザー層は30代、40代が中心で、全体の8割を男性が占めます。

    「NFTの購入には暗号資産との交換が必要となるため、暗号資産のユーザー層とNFTのユーザーは重なります。暗号資産に投資していたユーザーの一部が、NFTに興味関心を抱いて流れていくことは予想していました。ただ、1年経過せずに7万人というのは予想を大きく上回るスピードでした」(山口さん)

    現在、Coincheck NFT(β版)のNFTコンテンツは5つまで拡充。人気の高い2つを紹介してもらいました。

    1つは「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」。ブロックチェーン技術をベースに開発したブロックチェーンゲームです。前述したとおり、NFTはゲーム分野で利用が進み、ブロックチェーンゲームのアイテムやキャラクターにNFTが活用されています。ザ・サンドボックスも同ゲームのひとつです。

    ユーザーはメタバースと呼ばれる仮想空間上にLAND(ランド)という土地を購入し、レンタルすることで、オリジナルのゲームやアイテム、キャラクターを作成できます。また、所有するLANDやアイテム、キャラクターをNFTとして売買することも可能です。

    「ユーザーは個人だけでなく、企業や法人も増えてきました。企業や法人はサンドボックス内の目立つ場所にLANDを購入。自社のロゴを載せるなど広告宣伝効果を狙っています。加えて、購入した土地の価格は現実世界と同じく変動するため、良い場所を早く押さえれば値上がり益が見込め、有利といえるでしょう」(山口さん)

    企業や個人ユーザーが「土地」を購入して保有している「The Sandbox」(上)とコインチェックが販売している「LAND」のイメージ画像(下)

    もう1つは「Meebits(ミービッツ)」。メタバース上で利用できるNFTアートのアバターです。ユニークな3Dのフォルムに、髪型やファッション、アクセサリーなどさまざまな特徴の組み合わせで構成されており、珍しい特徴を持つMeebitsはコレクターから特に高い人気を集めています。

    NFTアートのアバター「Meebits」

    熱狂的コミュニティが支えるNFT人気のこれから

    もっとも、同社マーケティング部長の岡田尚悟さんは、現在のNFT市場の過熱ぶりを“バブル”と称します。

    「世界有数のIT分野の調査機関・ガートナージャパンが発表した『日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2021年』でも、NFTのテクノロジーを『過度な期待のピーク期』と定義しています。実際にビジネスの現場にいても、NFTが魔法の杖のような扱われ方をしているのを感じます。といっても、NFTを一過性のものとは考えていません。いまのバブルの状態は、投資資金や優秀な人材を集めるプラスの側面もあります。それがNFTの技術や産業のさらなる発展につながっていくはずです」(岡田さん)

    では、NFTはなぜ人気が急上昇しているのでしょうか。岡田さんがNFT事業に関わる企業側とNFTを手にするユーザー側の2つの側面から分析します。まず企業側から。

    「NFTの活用分野はさまざまですが、直近ではファッションブランドによる、来るべきWeb3(Web3.0)に向けた布石が大きなムーブメントになっています。具体的には、アディダスが2021年12月18日、ブランド初のNFTコレクション『Into The Metaverse(イントゥ・ザ・メタバース)』を発表。一夜にして2300万ドル(約26億円)を売り上げました。同コレクションのバーチャルウエアは、弊社でも提供しているThe Sandboxのメタバース空間内でキャラクターが着用できるものです」(岡田さん)

    アディダスだけではありません。ナイキがメタバース対応のスニーカーやコレクターズアイテムを開発・制作するスタートアップ企業を買収したり、ルイ・ヴィトンがブロックチェーン技術を活用したゲームアプリをリリースするなど、Web3を視野に入れた動きが活発化しているといいます。

    「アディダス、ナイキ、ルイ・ヴィトンはいずれもブランド力があり、そのブランド力が収益性の高さに大きく貢献しています。そんなファッションブランドが、バーチャル空間においてもブランド力でビジネスをしたいと考えているわけで、NFTはビジネスの盛衰を占うカギを握ると考えています。背景には、人と直接交流する機会が減り、オフラインのファッションのニーズや相対的な価値が今後低下していく可能性があるとする一部の推測があります。新型コロナウイルスはその流れを加速させたと言えるでしょう」(岡田さん)

    一方、ユーザー側からのNFT人気の裏側には、熱狂的なネットコミュニティの存在があります。コミュニティとNFTは親和性が高いといいます。

    「例えば、KawaiiGirlさんというNFTアーティストのネットコミュニティ。同コミュニティはKawaiiGirlさんのNFT作品を持つホルダーさんが集まり、KawaiiGirlさんの魅力や未来などについて語り合っています。TwitterやDiscordでのコミュニケーションを通じて、同じアーティストのNFTを持つ仲間意識や共通の価値観によってコミュニティは盛り上がっています。さらに、その盛り上がりを見た人が集まり、どんどんコミュニティが拡大していきます。いまは、コミュニティの一員になるために購入している方も多いように思いますが、人気が出ると、自然とNFT作品の価値が上がり、ホルダーさんがキャピタルゲインを獲得する副次的なメリットも出てきます。現在流通しているNFTの多くは、デジタルデータのみが紐づいていますが、デジタルデータの他に“年1回開催されるイベントに参加できる”などNFTを持っている人だけが得られる体験が付いたNFTが今後出てくると思います。そのようなインセンティブの設計をNFTを用いて行うことで、よりコミュニティのつながりが強まるのではないかと考えています」(岡田さん)

    NFTマーケットプレイス「OpenSea」で販売されているKawaiiGirlさんのNFT作品

    前述したとおり、NFT事業に参入ないし参入を予定するのはメルカリ、LINE、GMOインターネット、楽天といった企業です。それぞれの事業戦略は異なり、取り扱うNFTコンテンツも違います。しかし、NFTをビジネスチャンスと捉えているのは共通。世界のNFTマーケットと同じく、国内マーケットも近い将来、もっと大きなブームになると思われます。

    「NFT事業には多数の企業が参入し、早くもレッドオーシャンと見られているかもしれませんが、実際は未成熟の産業です。競合さんと切磋琢磨しながら市場を作っていけるのはビジネスとして非常に魅力があり、やりがいを感じています。もちろん最終的には当社、コインチェックが競り勝つつもりです」(岡田さん)

    百瀬康司

    記事執筆者

    百瀬康司

    ももせ・こうじ
    フリーランスライター。主にマネー、ビジネスの企画全般を取材。雑誌、Web、夕刊紙、書籍などで執筆を行う。2021年、ライター歴25年目となるアラフィフ。
    執筆記事一覧

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