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インタビュー

『ポツンと一軒家』『アメトーーク!』の放送作家・中野俊成が語る「時代とともに進化するテレビの面白さと、視聴率を上げるポイント」(後編)

最終更新日:2023.05.23

Special Interview #08

放送作家

中野 俊成

『ポツンと一軒家』が大ヒットした放送作家・中野俊成さんのインタビュー後編です。

今回は、出だしにつまずいた番組の視聴率を上げるために中野さんが工夫していることや、昔と今のテレビの違い、企画の出し方、放送作家として長く生き続けてこられた秘訣をお聞きしました。

さすがテレビ業界でフリーとして35年間、生き抜いてきた人の言葉は違います。ぜひお読みください。

目次

伝え方を変えて数字が上がった『プレバト!!』

――中野さんのWikipediaを見ると、『大改造!!劇的ビフォーアフター』『テスト・ザ・ネイション 全国一斉IQテスト』『最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学』で、3年連続ATP(一般社団法人全日本テレビ番組製作社連盟)賞情報バラエティ部門最優秀賞を受賞したとあります。すごいですね。中野さんは他の放送作家と比べてどこが優れていると自分で思いますか。

僕自身が優れているというより、何人もの優秀な演出家と出会えている運の要素が大きいと思っています。20代で『電波少年』の土屋さんと出会ってたくさんのことを学び、30代、40代のときにもそれぞれ優秀な演出家たちと出会って、50代になった今も今度は二回りも下の優秀な演出家と一緒に仕事ができています。同じ企画を出しても、演出家の中には生かせない人もいるし、受け入れない人もいます。そもそも能力的に疑問符のつく人もいる中で、自分は優秀な演出家と出会えて恵まれていると思います。とにかく放送作家ってディレクターのサポート役ですから。

――でも中野さんに実力がないと演出家からのオファーもないわけですよね。

1つあるとしたら、我が強くないってことは関係しているかもしれませんね。

――どういう意味ですか。

アイデアをゴリ押しするような我の強さは持たないようにしています。収録して編集するのはディレクター、演出家ですから、この人たちが面白いと思わないのに無理やりやる方向に進めてもうまくいかないと思っているんです。とにかく演出家と企画のかけ算が基本ですから。

一方で、演出家のイエスマンにもなってはいけないとも思っています。演出家が独りよがりになっているときはそこを指摘するし、必ず自分なりの代替案を出すようにしています。ボールを投げようとしている方向を見極めて、より遠くに投げる。あくまでも心構えですけど(笑)。瞬発的に具体的なアイデアが出ないことも多いですよ。そんなときは少なくとも演出家が考えるヒントになるような情報を投げたりもします。

――では、最初は視聴率が悪かったけど、徐々に伸びてくる番組の特徴を教えてください。いわばヒットさせるコツというか。

直接、ヒットさせるコツになっているかどうかはわかりませんが、こちらの意図がきちんと伝わっているかどうかを客観的に点検して、どうすればしっかりと伝わるかを考えて修正するようにはしています。「あそこがうまく伝わっていないんじゃないかな」と会議でよく言っている気がします。

例えば、『プレバト!!』の数字は最初5~6%くらいでしたが、今は平均11%を超えています。この番組の特徴の1つはランキングで、順位によって座席の位置が低いところから高いところへ階段状に上がるようになっています。今は当たり前の光景ですが、最初はなかったんです。皆さんが浜田(雅功)さんの横に座っていて、テロップで「第3位」「凡人」と入っていただけなんです。それで、「これでは一応伝えてはいるけど、わかりづらいんじゃないか」「3位なら下から3位の席まで階段を上っていって座るほうが視聴者に伝わりやすいんじゃないか」と話して今のスタイルに変わりました。

3位の席まで階段を上がるときに5位の人の前を勝ち誇ったように横切ったり、2人の間に微妙な優劣感が漂っていたり、悔しそうな顔があったり、ちょっとドヤ顔を見せたりといった様子がテレビで画(え)になるんです。台本には書きようのない、こういうドキュメントな感情の動きが画になって伝わったのが、視聴率が良くなった一因だと思います。

作成:Marketing Native編集長・佐藤 綾美

昔はなかった「クロちゃん」的な笑い

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・既存番組、新番組それぞれの企画の考え方
・ワクワク感を追い求め、気づけばテレビで35年

記事執筆者

早川巧

株式会社CINC社員編集者。新聞記者→雑誌編集者→Marketing Editor & Writer。物を書いて30年。
X:@hayakawaMN
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