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インタビュー

超多忙なマーケター・西井敏恭の成果を最大化するための仕事術

最終更新日:2023.11.27

The Marekting Native #07

オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員 CMT/株式会社シンクロ 代表取締役社長

西井 敏恭

デジタルマーケティングの世界で、西井敏恭さんの名前を知らない人は少ないでしょう。食のサブスクリプションサービスで注目を集めるオイシックス・ラ・大地でCMT(Chief Marketing Technologist)を務め、自ら立ち上げたデジタルマーケティング支援のシンクロではマーケティング支援サービスや、アプリによるマーケティング教育事業などを展開。さらに連日のようにセミナーやカンファレンス、メディアに登場するなど、いま最も多忙を極める人物の一人です。

複数の肩書きを持ち、数カ月先のスケジュールまで埋まっている状況でありながら、SNSではオフの充実した姿もよく見かけます。一体、どのようにタスク管理やスケジュール調整を行い、限られた時間の中で成果を上げているのでしょうか。

今回は、まるで遊ぶように仕事をする西井敏恭さんの働き方に迫ります。

(取材・文:Marketing Native編集長・佐藤綾美、人物撮影:稲垣純也)

※肩書、内容などは記事公開時点のものです。

目次

限られた時間で最大の成果を上げるには

――本日はお忙しいところありがとうございます。西井さんはとても多忙で、スケジュールも30分単位で埋まっているという話を伺いました。いまはどんな状況ですか?

そうですね。大体2カ月先までは、空いている時間がほぼありません。土日や夜も埋まっているので、最近は朝食ミーティングを行うようになりました。

でも、大変かと聞かれれば、そうでない気もします。仕事で海外に行くこともありますし、そういう意味では仕事も一つの遊びだったりするんですよね。

――本当にスケジュールがびっしり埋まっているんですね…。では、あらためて、西井さんがオイシックス・ラ・大地とシンクロそれぞれで手がけている仕事内容について教えてください。

オイシックス・ラ・大地には「Oisix」「大地を守る会」「らでぃっしゅぼーや」と3つのブランドがあって、私は主に「Oisix」のECと中国事業、3ブランド共通のシステム部という、3つの部署を管轄しています。

もともとはCMOのポジションで入社しましたが、いまは「CMT」と役職に「T」が付いていて、執行役員としてマーケティングとシステムの両面を見ています。

シンクロでは、私自身が個人的にお客様のところに伺って企業のマーケティング支援を行ったり、スタートアップに出資してアドバイザーをしたりしています。

年間の広告費が10億から100億円くらいあって、「デジタル広告をきちんとやりたい」というような、比較的大手の企業がお客様としては多いです。

また、広告運用の改善だけでなく、その会社にCRMが必要だったらサポートしますし、組織づくりや教育を行うこともあります。

スタートアップのアドバイザーに関しては、コンサルフィーを頂くというより、出資させてもらって「その中で一緒に成功をつくろう」という形にしています。

ほかにも、シンクロではインターネットの部署がないような企業と事業提携を行ったり、デジタルマーケティングのノウハウやスキルを学べる教育プラットフォームの開発を進めたりしています。

いろいろやっていて、自分でも最近何をやっているのかよくわかっていないんですよ(笑)

――スケジュールが埋まっているとのことですが、2014年に起業した当初からずっと変わらず忙しいのでしょうか?

いまは起業したときの2倍くらい働いていると思います。ただ、起業したばかりの頃は精神的にもっと大変でした。シンクロで4~5社くらいマーケティングの支援をしながらOisixにも関わっており、時間的にも余裕がなくて、「この生活は5年も続けられないな」と思いながら、5年経っていまに至ります(笑)

――過密スケジュールの中、限られた時間で最大の成果を上げるために、意識されている点はありますか?

主に4つあります。「経営レイヤーの方からオーダーを受けること」「お客様の売り上げ(成果)を仕事の中心に置くこと」「マネジメントと資料作成はしないこと」「仕事と遊びの境界線をなくすこと」です。

まず、仕事は経営レイヤーの方からオーダーされたものを中心に受けるようにしています。マーケティングは組織との関わりが多く、経営レイヤーの方からオーダーを頂かないと、本当はできることができなくて、結局前に進めず成果も出ないケースがあるからです。

また、支援するお客様の売り上げを上げることを自分の仕事の中心に置いているので、ほかの実作業はお客様に任せています。「マネジメントはしない」と、どこの企業に対しても宣言していますし、資料もつくりません。会議のアジェンダは事前に設定してもらい、ディスカッション中心に進めるようにもしています。

本当の課題は「マーケティングをどうしたらいいか」なので、それに絞って仕事をすることで、より良い成果を上げられるのです。

だから、私はシンクロでも社長なのに、メンバーのマネジメントを一切していません。シンクロのオフィスには週に2時間もいないくらいです(笑)

――4つ目の「仕事と遊びの境界線をなくすこと」、とは具体的にどういうことですか?

楽しいと思う仕事をする、ということです。そうすることで仕事へ熱中できるし、それは同時に遊びにも近い感覚だと思うんです。もちろん、そのためにはスキルを身に付ける必要があります。

先ほどスケジュールが埋まっていると言いましたが、海外が好きなので、例えば「シンクロの出資先があるエストニアに行く」といった予定も入っています。エストニアは北欧の中でも技術面が進んでいるので、現地を訪れて学ぶことは、自分の価値につながりますし、次の仕事にも活きてきます。

――仕事と遊びの境界線をなくすようになったのは、大体いつごろでしょうか?

いまのような感覚になったのは、起業して仕事を選べるようになってきてからだと思います。

もともと、26歳のときに2年半ほど世界一周の旅に出て、一生分くらい遊んだので、27歳でデジタルマーケティングの世界に入ってからはほとんど遊ばずに、年に1回程度海外に行くくらいで、それ以外は土日も夜中もずっと仕事をしていました。

だから、起業した当時も頂ける仕事は全部やろうと頑張っていましたが、いまは新しくご依頼いただく案件は、自分に合った仕事を選ぶようにしています。

マーケティングの教材にもなる、釣りの魅力

――遊びの話が出ましたが、マーケターの方におすすめの遊びってありますか?

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・20代~30代のマーケターへのアドバイス
・西井さんが考えるマーケティングの定義

記事執筆者

佐藤綾美

株式会社CINC社員、Marketing Native 編集長。大学卒業後、出版社にて教養カルチャー誌などの雑誌編集者を経験し、2016年より株式会社CINCにジョイン。
X:@sleepy_as
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