オイシックス・ラ・大地の執行役員 CMT(チーフ・マーケティング・テクノロジスト)などを務める西井敏恭さんが、11月1日付で家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」の開発・販売を手掛けるGROOVE XのCMOに就任しました。
西井さんはマーケターとして、LOVOTのどこに魅力を感じたのでしょうか。GROOVE Xの林要社長は西井さんとともに、これからどのような戦略を仕掛けていくのでしょうか。2人に話を聞きました。
(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧、撮影:永山 昌克)
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GROOVE XのCMO就任を決断した理由
――GROOVE XのCMO就任を決断するに至った理由を教えてください。
西井 主に2つあります。1つは、林さんと初めてお会いしてLOVOTを見せていただいたときに、単純に面白いし可愛いと思っただけでなく、「ドラえもん」のような可能性を感じたことです。
もう1つは、自分への挑戦です。自分のキャリアをあらためて振り返りますと、20代の頃から常に面白いことを追求し、前例のない働き方を模索してきました。現在、自分で会社(シンクロ)を経営しながら、オイシックス・ラ・大地で執行役員 CMTを務めていることも、そうした考えが基になっています。
LOVOTのマーケティングについても、難易度は高いし、過去の成功体験の上乗せでできるほど容易なことだとは捉えていません。それでも、これからの10年、20年先を見据えたときに、GROOVE Xが目指す世界観を自分が少しでもお手伝いできると考えると気持ちが奮い立ちますし、LOVOTのマーケティングにチャレンジする働き方が私の人生の中で価値が高いと感じました。
――GROOVE Xという会社のどこに魅力を感じたのでしょうか。
西井 魅力を感じたからGROOVE Xに参画したのではなく、これから社員の皆さんと一緒に魅力を作っていくのが私の役割です。
もちろん、現段階で魅力がないという意味ではなく、ロボットの存在意義そのものを進化させる取り組みに挑戦しているGROOVE Xは大変面白い会社だと思います。先ほど「ドラえもん」を例に挙げましたが、LOVOTに接しているうちに、「ドラえもん」の人気の本質は必ずしも未来の道具にあるわけではないことに気づかされました。
――それはどういう意味ですか。
西井 これまでロボットの特徴は、「重い物を簡単に持ち上げる」「右から左へすぐに移動できる」といった便利さにあると思っていました。「ドラえもん」も「どこでもドア」や「タケコプター」の便利さが人気の秘密だと感じていたのですが、それも要素としてはあるにせよ、よく考えてみると、のび太の「心の友」だからこそ多くの人たちに支持されているのだと気づいたんです。そういう意味で、人間の「心の友」としての存在をLOVOTで実現しようとしているGROOVE Xはとても魅力的だと感じます。
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