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インタビュー

ドラえもん実現に向けての第一歩!GROOVE X・林要社長が語る日本発・新ロボット産業の勝算(前編)

最終更新日:2023.05.31

Leaders' Session Room #01

GROOVE X株式会社 代表取締役社長

林 要

株式会社CINC 代表取締役社長

石松 友典

江戸時代の人形町には人形芝居にまつわる多くの人形師が住んでいました。まるで生きているかのように人形を動かすことで、木の作り物に魂を宿す職人です。そんな人形町の近くにオフィスを構え、今、ロボットに魂を宿そうとしている企業があります。それが2015年に設立されたスタートアップ企業のGROOVE X株式会社です。

創業者で代表取締役社長の林要さんはヒト型ロボット「Pepper」の開発に携わったことでも知られています。その林さんが数十億円の開発費と3年以上の年月を投資し、満を持して世に送り出すのが、新しいコンセプトを基に開発された「LOVOT(らぼっと)」というロボットです。ロボットといっても、人間の代わりに仕事をこなすわけではありません。LOVOTは、ただ人間に甘えてくるというユニークな性質を持った家族型ロボットなのです。

林さんはどのようなきっかけでLOVOTの開発を思い至ったのでしょうか?また、LOVOTの未来像をどのように描き、そのために今、何を求めているのでしょうか?

「Marketing Native」運営元である株式会社CINC代表・石松友典が話を聞きました。

(構成:Marketing Native編集部・岩崎多、人物撮影:稲垣純也)

目次

 

「役に立たない」けど役に立つ2つの理由

石松友典(以下、石松) 林さんはもともとエンジニアご出身でしたよね?

林要さん(以下、林) はい。私はもともと自動車会社に勤めていて、レースカーの開発をしていたピュアなエンジニアでした。途中から製品企画も経験するようになったのですが、製品企画の仕事は幅が広くて、原価計算や法規のチェックといった作業から商品のマーケティングの一部まで担うなど、さまざまな経験をさせてもらいました。ようやくものづくりのイロハがすこしわかるようになってから、ソフトバンクさんでロボット開発を担当させていただき、初めてロボットというものに触れることになりました。

ロボットにはさまざまな機能と役割があると思いますが、「人を元気にする」という観点から考えるとパワフルな存在です。ソフトバンク退社後、人を癒すことに特化したロボットを作りたいと思い至り、会社を立ち上げてLOVOTを作りました。

石松 パワフルな存在という言葉が出ましたが、LOVOTのコンセプトは「役に立たない」家族型ロボットだと伺いました。もちろん、本当はさまざまなところで役に立つ機能が搭載されていると思いますが、その点は実際、どのような感じなのでしょうか?

 「役に立たない」といっても、本当に役に立たないわけではありません。実は2つの意味で役に立ちます。

1つは人のモチベーションを高めて元気にするという点で役に立ちます。昨年、イギリスでは孤独担当大臣のポストが新設されたというニュースがありました。イギリス国内だけで、孤独によって約4.9兆円分(320億ポンド)の経済損失が生まれている(*)という分析があるんです。裏を返せば、人の心を何らかの方法でサポートすることによって、経済効果も生産性も上がるということです。LOVOTは人に愛着を感じてもらうことで、その人を元気にできます。つまり、間接的に人の生産性を上げることができるというわけです。

*出典:Eden Projectによる調査概要ページ(英語)

もう1つは見守りや留守番など、安全・安心に関する点で役に立ちます。例えば、赤ちゃんを見守るベイビーモニター機能は、手が離せないことに悩みがちなお母さんたちの要望に応えたものです。LOVOTがとらえたカメラ映像をスマホのアプリから確認できますので、赤ちゃんの様子を確認できます。同時にLOVOTは、お母さんを癒す存在にもなるでしょう。

多くの人がロボットに対するキーワードとして抱きがちな「役に立つ」という言葉は、掃除や洗濯など、人間の仕事の代行を指すのが一般的です。その意味では、LOVOTは役に立たないでしょう。私どもが「役に立たない」と表現しているのは、そのためです。

しかし、LOVOTはもっと別の角度から人を精神的にサポートできる存在です。ですから、これまでの「役に立つロボット」という常識の枠を超えた存在だと考えています。

日本人全世帯の3/4がターゲット

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・技術の粋から始めることで初めてドラえもんにつながる
・テクノロジーで私たちは幸せになったのか
・動画や静止画だけでは魅力が十分伝わらない理由

記事執筆者

岩崎多

いわさき・まさる
出版社2社でビジネス誌やモノ・グッズ誌の編集、週刊誌の編集記者を経験し、2019年1月CINCにジョイン。編集長として文房具ムックシリーズを立ち上げ、累計30万部以上を記録。
X:@iwasaki_mn
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