note株式会社でnoteプロデューサー/ブロガーを務める徳力基彦さんのインタビューを前編に続いてお届けします。
後編では、緊急事態宣言下に見られたネガティブな事象をテーマに、インフォデミックと誹謗中傷への向き合い方と、そうした点を乗り越えて、これからも生き残り続けるメディアの特徴についてお話を伺いました。
ぜひ最後までお読みください。
(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧、人物撮影:豊田 哲也)
目次
インフォデミックの危険性と改善の兆し
――コロナ禍のさなか、インフォデミックと誹謗中傷という2つのネガティブな事象がよく話題に上りました。これについては、どのようにご覧になっていますか。
インフォデミックはパンデミックのときに人間社会で非常に起きやすい現象です。そのためWHO(世界保健機関)もパンデミック宣言前、インフォデミックに警鐘を鳴らしました。むしろインフォデミックのほうが命を危険にさらすケースもあると言われていて、私もその通りだと思います。
不安なときは藁にもすがりたくなり、「お湯でウイルスが死滅する」などの誤った情報をつい信じてしまいがちです。ですから、人間はそういう生き物だという前提に立ってインフォデミックと戦っていかなくてはなりません。
もっとも、いささか楽観的かもしれませんが、東日本大震災のときと比較すると、みんなのリテラシーが向上して、インフォデミックの度合いは改善されつつあると見ています。東日本大震災のときは、「有害物質が雨と一緒に降る」「肌の露出に注意」という出所不明の間違った情報がネット上に出回りました。
一方、それから5年後の熊本地震のときには、動物園のライオンが逃げたというツイートが流れましたが、すぐにデマだとわかり、デマの発信者は逮捕されました。その後、不起訴処分になったものの、デマを流すと逮捕されることが広く浸透したのではないかと思います。
コロナ禍においても、「中国のマスクのせいでトイレットペーパーが不足する」などの情報を流した人が特定され、社会的制裁を受けました。今回は専門家の情報発信が多かったこともあり、明らかなフェイクニュースは早めに止まるようになってきています。
誤った情報が拡散しやすいのは、LINEグループなどクローズドなネットワークです。「ホントかな!?」と思っても、同調圧力が働いて、どうしても疑問を口にしづらい人も多いでしょう。Twitterのようなオープンな場であれば、誰かが気づいて誤りを指摘できるのですが、多様性に乏しいクローズドなコミュニティの場合は、インフォデミックに惑わされていないか十分に注意したほうが良いと思います。
厳しく罰せられるべき誹謗中傷の深刻さ
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