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インタビュー

ゴンチャ ジャパンCMO 坂下真実が語る「モノからモノガタリへ、業績好調で勢いに乗るゴンチャのマーケティング」

最終更新日:2024.09.05

The Marketing Native #64

ゴンチャ ジャパン CMO

坂下 真実

積極的なPRでテレビの情報番組で取り上げられるなど、露出の増加が目に付くゴンチャ。最近ではセブン-イレブン限定でペットボトル商品の販売を開始し、話題になりました。

ゴンチャのマーケティングやPR戦略、商品開発までを担当するのがゴンチャ ジャパンでCMOを務める坂下真実さんです。坂下さんは日本マクドナルド勤務時代、51カ月連続成長を牽引した敏腕マーケター。ゴンチャ ジャパンではどんなマーケティングを展開しているのでしょうか。

今回はゴンチャ ジャパンCMO 坂下真実さんに話を聞きました。

(取材・文:Marketing Native編集部・早川巧、人物撮影:矢島 宏樹)

※肩書、内容などは記事公開時点のものです。

目次

ただ勝つのではなく、継続的に勝てる仕組み作り

――業績好調が伝えられるゴンチャ ジャパンでCMOを務められているとのこと。これまでの経歴を教えてください。

新卒でユニ・チャームに入社し、日本コカ・コーラ、日本マクドナルド、資生堂を経て、昨年(2023年)12月にゴンチャ ジャパンに入社しました。マーケティングの仕事には社会人3年目から従事しています。すぐにのめり込み、漫画『ONE PIECE』のセリフ「海賊王に俺はなる」のように「CMOに俺はなる」と決意してからマーケティング一筋で今に至ります。

――社名はもちろん、マーケティングでも有名な企業ばかりですね。

はい、CMOになるためのステップとしてセルフブランディングを意識しながら転職先を選び、それぞれの企業でブランディング、マーケティング、コミュニケーション、マネジメントを主に学びました。コカ・コーラには約10年いました。世界展開している企業でマーケティングやブランディングを学んだり、ユニークな広告を制作できたりした経験は今もマーケターとしての自分の引き出しになっています。

マクドナルドに転職したときは低迷している時期にあり、私が携わることで復活させたいと考えました。

その際、マーケティングはコンサルティングではないので、「改善しました」「V字回復させました」で終わるのではなく、サステナブルに成長させることを強く意識しました。実際、マクドナルドには4年半ほどいましたが、ずっと前年越えを達成しました。瞬間的にではなく、継続して勝てる仕組みを作る。マーケターとして今もこの点がこだわりです。

――マクドナルド時代に足立光さん(現ファミリーマート エグゼクティブ・ディレクター、CMO兼マーケティング本部長)とはかぶっていますか。何か学んだことがあれば教えてください。

前半の2年半くらいご一緒しました。足立さんがCMO、私はマーケティング部長のひとりで、直の上司でした。私はマーケターとしての意識が強く、足立さんは経営者的な視点が優れていると思います。中でも人脈を作る行動力が圧倒的で、そのネットワークを活用して施策に飛び道具を持ってくる力も秀でていました。また、いつ寝ているのかわからないくらいのタフさに何度も驚かされました。

お互い誰が言ったかではなく、何のためにやるか。お客さまに楽しんでもらう、ビジネスを成長させるという目的に対して足立さんとフラットに、時には激しく議論ができたのは、良い経験になりました。私に“は”とても仕事のしやすい方でした(笑)

主役はお客さま。「伝えたい」ではなく「伝わる」モノガタリを

――錚々たる企業で経験したマーケティング業務を踏まえて、ご自身の中に培った「マーケティング論」を教えてください。

私のマーケティングアプローチは「モノガタリマーケティング」です。メーカー、リテールともに経験していますが、いずれも主役はモノ。もちろん、自分たちが作ったり売ったりしているモノにプライドを持つのは当然ですが、押しつけ気味になるのは良くありません。「伝えたい」と「伝わる」は異なります。だから私はモノではなく、お客さまが主役になるように「モノ」から「モノガタリ」へと転換してお渡しするようにしています。これが私のマーケティングです。

――いつ頃からそのスタイルになったのですか。

私の担当ではないので商品名などは申し上げられないのですが、ある飲料の中身は変えず、ペットボトルを環境保護に貢献する素材に変えてブランド名も改め、作り手の熱意やお客さまが飲んでいるときの思いなどをプロダクトの世界観としてデザインしたところ、大ヒット商品に変わったところから着想を得ました。

このときマーケターはモノガタリを作る「作者」だと思ったのです。ゴンチャなら主役はお客さまで、クルーが「役者」。お客さまに楽しんでいただくためにマーケターがモノガタリを書き、クルーが演じる――それがモノガタリマーケティングです。

イチからブランドを作り上げる魅力

――わかりました。では、本題のゴンチャの話を。なぜゴンチャに転職しようと思ったのですか。

キャリアを変えるときに決めていることが2つあります。1つは「Will」で、自分でやりたいか。もう1つは「Winnability」で、勝てるかどうか。

まず「Will」ですが、これまで確立された有名ブランドでマーケティングを担当し、業績を立て直したことはあるものの、自分でイチからブランドを作った経験がありません。タピオカブームがあったとはいえ、ゴンチャというまだ確立しきれていないブランドを私のモノガタリマーケティングを使って構築する経験ができるのは、とても魅力的に感じました。

もう1つは、マーケティングだけでなく、広報PRのコミュニケーションとR&Dの商品開発まで担当させてもらえることです。モノガタリマーケティングで商品を作り、お客さまに届くようにPRする。その一連の流れを任せてもらえるという話に心を惹かれました。

――CMOに就任時、どんな課題を感じましたか。

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・ティーカフェを日本に定着させる戦略
・月1回以上のユーザーをどれだけ獲得できるか
・志は高く、目指すは1,000店舗、年間1億人の来店者
・マーケターは言葉を磨くべし

記事執筆者

早川巧

株式会社CINC社員編集者。新聞記者→雑誌編集者→Marketing Editor & Writer。物を書いて30年。
X:@hayakawaMN
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