facebook twitter hatena pocket 会員登録 会員登録(無料)
インタビュー

マーケターに求められる「AI時代」に必要な能力と働き方――イーデザイン損害保険CMO 友澤大輔インタビュー

最終更新日:2024.01.21

The Marketing Native #60

イーデザイン損害保険CMO

友澤 大輔

マーケティング関連のイベントやセミナーで登壇する機会をよく見かける、イーデザイン損害保険(以下「イーデザイン損保」)CMOの友澤大輔さん。

頻繁にお声がけされる背景の1つは、ベネッセ、ニフティ、リクルート、ヤフー(現・LINEヤフー)、パーソルなどの有名企業でインターネットの最初期からネットを活用したビジネスに関わってきた豊富な経験にあるようです。

今回はイーデザイン損保CMOの友澤大輔さんに、ご自身のキャリアから見た、優秀なマーケターやCMOの条件、生成AI時代に求められる能力、今後の働き方について話を聞きました。

(取材:Marketing Native編集長・佐藤 綾美、文:同編集部・早川 巧、撮影:矢島 宏樹)

目次

成果創出は、まず組織作りから

――登壇する姿をよくお見かけします。あらためてどのような方なのか、これまでのキャリアを教えてください。

社会人歴は間もなく30年になります。学生時代はかなり稼ぐ塾の講師で、今もイベントなどに頻繁に登壇するのはその流れかもしれません(笑)。例えば、昨年11月の「SOCIAL INNOVATION WEEK」では、働き方に関する7つのセッションの全てを私がファシリテーションしました。

新卒で最初期のインターネット事業に取り組んでいたベネッセに入り、教材開発や新規事業開発、進研ゼミの制作などを担当しました。そのときに定性調査、定量調査を踏まえたデータドリブンマーケティングの基礎を学びましたので、ベネッセが自分の原点です。その後、PwC Japanを経てニフティに入り、ブログサービス「ココログ」の立ち上げや新規事業開発を担当し、リクルートに移りました。

リクルートではリーマンショックを経験し、大変な思いをしながらデジタルシフトへ踏み出します。現在リクルートホールディングスで代表取締役社長兼CEOを務める出木場久征(いでこば・ひさゆき)さんらの近くで当時3年ほど仕事ができたのも良い経験です。その後、楽天を経て、宮坂(学・東京都副知事)さんが社長になられるタイミングでヤフーに移り、ヤフー全体のマーケティング責任者を約6年半務めました。

それからパーソルでCDO(最高デジタル責任者)や、グループ全体のDXを立ち上げるグループ変革推進本部の組織長をし、2021年4月から東京海上グループのイーデザイン損保でCMOを務めています。ややこしいのですが、当初は本業がパーソル、副業がイーデザイン損保だったのが、現在は本業と副業が逆転しています。また、イーデザイン損保についても本籍は東京海上グループに置いていて、イーデザイン損保で成功したDXに関するナレッジを東京海上グループに反映させる役目も担っています。この辺の働き方が私の特徴です。

――珍しいというか、すごい経歴ですね。今のメインの仕事はイーデザイン損保とのことですが、本格的に関わるきっかけは何ですか。

イーデザイン損保に&e(アンディー)という商品があります。保険は社会のインフラや安心安全を担う重要なサービスであるにもかかわらず、なかなかご理解されにくく、「なるべく関わりたくない」と思われることもある、ちょっと変わった商材です。

その中で、&eは単に“事故が起きたときに保険金を払います“というサービスの枠を超え、手のひらサイズのセンサーを使って、そもそも事故の起きにくい社会をつくることを考えて設計されました。そんな斬新な取り組みに私も賛同し、マーケティングやDXに関して少しハードル高めの提案をしていたところ、ことごとく「ぜひやりましょう」という答えが返ってきたのです。「事故の起きにくい社会の実現に本気で取り組んでいる」「私も、提案した施策をしっかりとした成果にしたい」と心を打たれ、CMOとして関わる形になりました。ただ、正社員ではなく高度専門人材というジョブ型で、決められた期限の中で新しい商品を立ち上げたり、新しいマーケティングを作ったりしながら、東京海上グループにも還元するのがミッションです。

――これまでのキャリアで代表的な実績を教えてください。

Marketing Nativeに出ている有名マーケターの方々は、1つのブランドの責任者になり、素晴らしいアイデアと突破力で事業を推進してグロースさせるという人がほとんどではないかと思います。

一方、私個人はそこまでパワフルでない分、まず組織作りから始めます。仕組みからデータ基盤、人事制度まで、事業成長に必要な組織作りをしっかりと行い、ベースを固めるのが最初です。大手企業には複数のサービスがあり、マーケティング機能が分散していたり、属人化したりしているところもよく見られます。そうしたバラバラの組織や制度、機能をメンバーと一緒にできるだけ集めて型化し、再現性を生みやすくして、コストを下げたり、施策を進めやすくするアプローチを取ります。まず仕組みを作って、装着するという組織作りに注力する方法を取り続けてきた結果、これまで業界やサービスを問わず、多くの場合において一定以上の成果を上げられてきたと思います。

具体的な成果を申し上げるのは難しいですが、リクルートでは広告予算の最適化に関連してコストダウンとパフォーマンス向上についての大きな賞を受賞しました。ヤフーでは「マーケティングイノベーション室」という組織を新設して、コスト改善で成果を上げています。現在の&eも契約者数で、かなり好調な成果を上げているところです。

イーデザイン損害保険「&e(アンディー)」

優秀なCMOは「よく学び、よく褒めて、人を巻き込む」

――逆にキャリアの中でうまくいかなかった経験があれば教えてください。

ニフティ時代に少し尖っていて、超マイクロマネジメントで部下を詰めたり、遅刻する上司を手ひどく批判したりと、ハラスメント寸前の言動をしてしまいました。当時の仲間とは今も仲が良いのですが、尖った組織を作ると、どうしても周りから距離を置かれてしまいます。成果は出しているし、正論を言っているつもりだったのですが、少し天狗になっていたようで、上長や周囲から陰口が耳に入ってくるようになりました。

この記事は会員限定です。無料の会員に登録すると、続きをお読みいただけます。
残り4,172文字

・批判を受け止め、改善した方法
・優秀だと感じるマーケターの特徴
・生成AI時代に変化することと、求められる能力
・副業の活用で、もっと多様な働き方を

記事執筆者

早川巧

株式会社CINC社員編集者。新聞記者→雑誌編集者→Marketing Editor & Writer。物を書いて30年。
X:@hayakawaMN
執筆記事一覧
週2メルマガ

最新情報がメールで届く

登録

登録