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インタビュー

40代になる前に、マーケターがすべきこと――鹿毛康司インタビュー

最終更新日:2024.04.15

CEO Interview #29

かげこうじ事務所代表

鹿毛 康司

中高年の転職は珍しくなくなりました。それでも30代後半から40代初めにかけては、「今の会社にずっと勤めるのだろうか」「自分はこういう人生だったのか」などと考えてみたり、「このままリストラされず、大過なく定年退職を迎えたい」と不安に思ったり、独立を模索するなど、キャリアについて思い悩む機会が増えがちです。

取材をしていても、「マーケターとして、40代からどう生きていくべきか」と悩みのような言葉を口にする人が少なくないと感じていました。

そこで今回は、人生の先輩マーケターである株式会社かげこうじ事務所代表の鹿毛康司さんに、40代以降に後悔しないマーケターの生き方、働き方について話を聞きました。

(取材・文:Marketing Native編集部、撮影:海保 竜平)

目次

60歳に備えて、お金の準備を

――鹿毛さんも40代で転職という転機を迎えられましたが、あらためてこれから40代を迎えるマーケターは何をすべきか、どう生き残るべきかについて教えてください。

最初に言いたいのは「気をつけないと、すぐ60歳になるよ」ということです。まずこれが大事。60歳になるまでに資産を増やしてください。厳しい言い方をすると、お金の準備ができていない人は、社会的に選択肢が少なくなると思っています。年齢とともに厳しくなることが発生します。

鹿毛康司さん

――厳しいですね。

厳しいです。厳しいとわかっているけど、皆さん資産を作ることから逃げているように見えます。みんないずれ歳をとります。60歳になる現実から逃げているのです。「何とかなるさ」と思っているかもしれませんが、何ともなりません。何ともならないから、生きていくために気乗りしない仕事をしなければいけないケースも出てきます。世の中に対して楽しくて、生き生きとしたものを生み出していくマーケターが60歳を過ぎて、気乗りしない仕事をしている姿は想像つかないですよね。

もし今30歳なら新NISAを始めるなど、お金の準備を始めましょう。30年間の年月があれば、必ずやある程度の資産が形成できます。60歳に向けて資産を作れる能力はマーケターならば持っていなければいけないと思っています。

鹿毛康司さん

あなたの仕事は、本当にマーケティングなのか?

――ありがとうございます。身に染みるお話です。

話を揃えるために、アメリカのマーケティングの定義をまずは簡単にご紹介します。マーケティングとは、世の中に価値のあるものを作って、それを届け、提供する、伝える。そのことによってお客さまや依頼人、パートナー、社会全体が喜ぶ全てのプロセス、活動のことだと言っています。つまり、マーケティングはひと言で言うと、ビジネスを通して世の中に役立って、みんなに幸せになってもらう活動とも言えます。皆さんそれぞれにマーケティングの定義が違うと思いますが、ここではこの定義で話を進めさせてください。

(編集部・註)

Definition of Marketing
Marketing is the activity, set of institutions, and processes for creating, communicating, delivering, and exchanging offerings that have value for customers, clients, partners, and society at large. (Approved 2017)

出典:AMERICAN MARKETING ASSOCIATION「Definitions of Marketing」

では、あなたの仕事、それはマーケティングですか?例えばWebを作って集客し、お客さまを流動させてコンバージョンを獲得する――。それもマーケティング活動なんですが、一部です。ひょっとしたら自分のことだけを考えた行動になっているかもしれません。

――価値あるものを届けたいから集客をするということですよね。

そうですね。しかし、集客しコンバージョンをすることだけに特化したものをマーケティングの全てだと思ってはいけないと思います。

逆に、上位概念で「世の中を良くしよう」と蘊蓄ばかり言っている人もマーケターではないかもしれない。マーケティングには、デジタルオペレーションなところもあれば、上位概念もあります。40代になったらもう先がないと感じるのは、若い人の多くが、例えばデジタルオペレーションの世界だけがマーケティングと思っているからなのではないでしょうか。年齢が上がるほどに、自分がやるべきマーケティングの領域はもっと上位概念のところをカバーしなければいけないと思います。今やっているマーケティング領域だけにこだわっていると40歳を過ぎて居場所がなくなるのかもしれません。

マーケティングとは本来、ビジネスを通して世の中を幸せにする全ての活動のことを意味します。自分が40歳になったとき、どんなマーケティングをするべきかを問うたら視点も変わるでしょう。

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・キャリアの不安を感じる前に、やっておくべきこと
・マーケターならチャンスは自分で作るべし
・目の前の状況を面白くするのがマーケター

記事執筆者

Marketing Native編集部

Marketing Native(マーケティングネイティブ)は株式会社CINC(シンク)が運営しているメディアです。 CMOのインタビューやニュース、Tipsなど、マーケターに役立つ情報を発信しています。
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