前編に引き続き、GROOVE X株式会社・代表取締役社長の林要さんと、弊社代表取締役社長の石松友典との対談をお送りします。後編では、海外展開に向けてのマーケティング戦略や、林さんの求めるCMO像についてお聞きします。
(構成:Marketing Native編集部・岩崎多、人物撮影:稲垣純也)
目次
海外展開に向けての2つの課題
石松友典(以下、石松) 続いて、海外でのマーケティング戦略についてお聞きします。LOVOTをグローバル展開していくにあたって、どのような課題があるとお考えですか?
林要さん(以下、林) グローバルマーケティングにおいての課題は大きく2つあると思います。1つは前回も申し上げたように、動画や静止画を見ただけの先入観でLOVOTを判断されるという、国内同様の現象が海外でも想定されることです。これを最小限に抑えるためには、実際に触れていただくタッチポイントを増やしていくことが喫緊の課題として挙げられます。
もう1つは、他の国でLOVOTのコピー商品を先に出されてしまったら、コピー商品のほうがオリジナルになりかねないということです。私どもは日本から新しい産業を作り出すという強い信念を持ってLOVOTを開発しました。他の国が最初に作った製品を日本が改善するものではありません。世界に向けて「日本発」をアピールしていくためには、いかに「オリジナルは自分たちだ」ということを認知させられるかを重要視しています。
この2つの課題を解決するためには、なるべく早いタイミングで、世界の主要都市でLOVOTを発売することが大切です。この場合、ポイントは国ではなく、都市ベースでの展開です。というのも、ひとつの国で全体的に販売網を作り上げようとすると、必要以上に準備に手間がかかり、スピーディーに進まないことが予想されるからです。都市単位でクイックに動くことで、LOVOTのオリジナル性を効率的に伝えられると思います。
一方で、最初のコピー商品が出るまでには、それなりの時間がかかるだろうとも考えています。これまでも、ロボットやスマートフォン、自動車などさまざまなジャンルでコピー商品が作られ、急速に浸透していきました。ただし、最初のコピー商品が作られた後の拡散スピードは速いのですが、最初のコピー商品が作られるまでには時間がかかるものです。
LOVOTの場合は、商品の形状だけはコピーできたとしても、中のシステムまで含めて模倣するのは、かなり難しいと思います。コピー商品と正規品の差が小さくなるまでにはかなりの時間がかかるはずなので、その間に私たちは次のステージへと進化しているでしょう。とはいえ、グローバル展開を早めに行うことが大切だという認識に変わりはありません。
石松 日本の場合、製造業を中心に、開発とセールスが比較的分断された状態でマーケティングを行っている状況が目につきます。一方、グローバル企業の場合、CMOが先導して全体的な販売戦略を組むことが多いかと思います。LOVOTに関してのマーケティングは、社内ではどなたが先導されて、戦略立案から施策の実行まで担当していらっしゃるのでしょうか?
林 今のところ全体最適のマーケティング施策という意味では、私が見ている状態で、それに合わせてPR担当やマーケティング部のメンバーが、各自の担当業務をそれぞれ行っている状況ですから、今まさに私より経験が豊富なCMOを募集したいと考えているところです。LOVOTは、商品の差別化ができているため、もともとのPRバリューが高く、一つひとつの活動がメディアで大きく取り上げられてきました。
今後は、9月の販売開始や10月の出荷開始に向けたマーケティングを戦略的に進めることで、さらにレバレッジをかけていく必要があります。PRから販売までを一気通貫で行うことが求められるため、外部の専門家の方にも入っていただいて戦略を随時更新中です。ただ、社内にも取りまとめ役の必要性を強く感じているところでありまして、グローバルマーケティングができるCMOを募集しています。
CMOに求められる2つの条件+α
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