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マーケティング

インバウンドマーケティングの事例と施策のポイント

最終更新日:2022.05.20

インバウンドマーケティングとは、潜在顧客と顕在顧客の両方に有益な情報を発信し、顧客側から企業にアプローチしてもらえるように促すマーケティング手法です。2005年にアメリカのHubSpotの共同創業者CEOであるブライアン・ハリガン氏が提唱し、以来注目されるようになりました。企業から顧客へ一方的にアプローチする手法よりも、成約につながりやすいと考えられています。

今回はインバウンドマーケティングの概要と、実際の成功事例をご紹介します。

目次

インバウンドマーケティングとは?

インバウンドマーケティングは、従来のマーケティング手法であるアウトバウンドマーケティングに代わって注目を集めています。まずは、両者の違いから見ていきましょう。

アウトバウンドマーケティングとの違い

アウトバウンドマーケティングは、企業が一方的に情報を発信するプッシュ型のマーケティング手法です。例えば、ダイレクトメールやテレセールス、テレビCMなどが挙げられます。顧客側は情報を取捨選択することができないため、押し付け気味な印象を与えやすいです。

一方、インバウンドマーケティングはブログやソーシャルメディア、SEOなどを利用して顧客の興味を引く情報を発信し、自然な来訪を促します。顧客に対する継続的かつ地道なアプローチが必要となりますが、低コストで運用することができます。

手法 インバウンドマーケティング アウトバウンドマーケティング
アプローチの方法 顧客の興味に沿った情報を発信し、顧客から企業のほうへ近づいてもらう 企業が一方的に情報を発信する
効果が出るまで 遅い 早い
コスト 低い 高い
SNS、ブログ、SEOなど ダイレクトメール、テレセールス、テレビCMなど

インバウンドマーケティングが注目される理由

インバウンドマーケティングが注目されてきた背景には、インターネットの発達があります。インターネットの発達によって顧客は関心のある情報に自発的にアクセスできるようになり、情報を取捨選択するようになりました。例えば、録画したドラマを見るときにCMを飛ばしてしまうように、顧客は一方的に発信される情報を回避するようになっています。そのため、顧客との双方向のコミュニケーションにより、段階的に関係を築くことができるインバウンドマーケティングに注目が集まるようになりました。

インバウンドマーケティングは、顧客数の増加といった効果を発揮するまでにある程度の時間を要するのが難点です。しかし、情報の発信手段となるSNSやオウンドメディアを通じて顧客のデータを得ることができ、効果測定を行いやすい点はメリットと言えます。

インバウンドマーケティングの4つのフェーズ

インバウンドマーケティングはアトラクト(Attract)、コンバート(Convert)、クローズ(Close)、ディライト(Delight)の4つのフェーズから成り立つといわれています。それぞれどのような段階なのかをご説明します。

アトラクト

潜在顧客を訪問者に転換させるフェーズがアトラクト(引きつける)です。リード(Lead:見込み客)になる可能性が高い顧客を集めるため、対象者が求めている情報を的確なタイミングで提供することが重要となります。主に使用されるツールはブログやソーシャルメディア、Webサイトなどです。

コンバート

コンバート(転換させる)は、訪問者をリードに育成するフェーズです。訪問者ごとに適した形のアプローチを行い、コミュニケーションをとる必要があります。そのため、問い合わせフォームへの入力やPDFのダウンロードなどを通じ、訪問者のプロフィール情報を収集することが大切です。主に使用されるツールには、エントリーフォームやランディングページ、CTAなどが挙げられます。

クローズ

リードを顧客へと転換させるフェーズが、クローズ(顧客化する)です。Eメールやマーケティングオートメーションツール、リードスコアリングなどを活用し、より個々に合った情報提供を行うことによって、リードの購買意欲を高めます。商品やサービスへの理解を深めてもらい、成約につなげる段階です。

ディライト

ディライトは、顧客にプロモーター(Promoter:推薦者)になってもらうためのフェーズです。顧客とのつながりを大切にして長期的な関係を築くだけでなく、プラスになる情報を発信したり、アフターサポートを行ったりすることによって顧客の満足度を高めます。そうして満足度の高まった顧客は、知人に商品やサービスを紹介してくれるプロモーターとなり、顧客が顧客を呼ぶ状況をつくることができるでしょう。このフェーズではソーシャルメディアやEメールなどが主に用いられます。

インバウンドマーケティングは上記のような4つのフェーズを経て、潜在顧客をプロモーターに転換させていきます。各フェーズにおいて的確なアプローチを行い、顧客の心をつかむことが大切です。

 

インバウンドマーケティングの成功事例

実際にインバウンドマーケティングに成功している企業はどのような施策を行っているのでしょうか。ここでは成功事例をご紹介します。

ブログの配信や顧客への適切なアプローチで会員数を増やしたBirchbox

Brichboxは化粧品サンプルの定期購入サービスを展開しているアメリカの企業です。「The Magazine」でメイクやヘアケア、美容関連の流行情報だけでなく、女性が興味を持ちそうなDIYや健康といったライフスタイルをテーマにしたコンテンツを配信しています。また、パーソナライゼーションにも取り組んでおり、送付したサンプルや購入履歴に基づき、最適な商品をEメールで提案しています。2017年の時点で会員数は100万人に到達しており、創業以来初の黒字化も達成しています。

inbound marketing examples HubSpot

※画像出典:Birchbox

Podcast視聴者をターゲットにしたBlue Apron

2012年にアメリカで設立されたBlue Apronは、レシピと必要な食材を自宅に配達するサービスを展開する企業です。幅広い層のユーザーからの認知度を高めるために、利用者数が増加していたポッドキャスト(Podcast)の広告を利用し、クーポンや無料体験コードを配信して自社サイトへの流入を促しました。結果、総売上も増加しており、Blue Apronは今後もブランドの認知度を向上させるため、ポッドキャストを含むオフライン広告を重視する旨を宣言しています。

2017 Annual Report & 2018 Proxy Statement Blue Apron

画像出典:TABLE OF CONTENTS

画像出典:TABLE OF CONTENTS

ユーザーにとって必要な情報を考え、つながりを創出する

インバウンドマーケティングでは、これまでのマーケティング施策に比べてコストをかけずに顧客を集めることができます。従来のような一方的な情報発信ではなく、双方向のコミュニケーションが必要です。ある程度の時間は必要かもしれませんが、顧客と良好な関係を築き、最終的には自社を推薦してくれるプロモーターにすることができます。また、インバウンドマーケティングで最も重要なことは、ターゲットユーザーが求める情報をコンテンツとして配信することです。ユーザーが必要としている情報は何かを意識して、施策を実施していきましょう。

記事執筆者

Marketing Native編集部

Marketing Native(マーケティングネイティブ)は株式会社CINC(シンク)が運営しているメディアです。 CMOのインタビューやニュース、Tipsなど、マーケターに役立つ情報を発信しています。
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