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Web3時代のマーケター注目!ポストCookie時代に生き残るメディアの形とは?――エルモの「逆境をチャンスに変えたビジネスを分析」第2回

最終更新日:2022.06.21

メディアが厳しい時代を迎えています。特にWebメディアは最近、閉鎖やリニューアルが相次ぎ、マネタイズ継続の難しさをあらためて認識させられました。

エルモさんの連載「逆境をチャンスに変えたビジネスを分析」の第2回は、まさに逆境真っただ中で先行き不透明なメディアビジネスに焦点を当て、「生き残るメディアの条件」について寄稿いただきました。

目次

今回は、「これから生き残っていくメディア」というテーマで記事を書かせていただきます。

メディアの話となると、メディアビジネスに関わる方から関心を集めることになると思いますが、今回この記事を最も読んでいただきたいのは、商品やサービスを販売しているマーケターです。

広告を活用しているブランドであれば、メディアは自社の広告を受けとるユーザーが集まる場でもあります。どのようなコンテンツに興味を持って人が集まっているのかを知ることは、つまり「メディア理解=ユーザー理解」だと私は考えており、各メディアの盛り上がりを追うことは、マーケターとしても必須ではないでしょうか。

ぜひメディア人だけでなく、マーケターにこそ、今後のメディアのあり方について一緒に考えていただければと思います。

メディアが成立する条件とは?

まず「メディアの定義」について整理したうえで、いまとこれからのメディアのあり方について考えていきます。

メディアと言うと人によって色々なイメージがあると思いますが、私は、田端信太郎氏が著書『MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体』で書いているメディアの定義が最もわかりやすいと考えています。

メディアとは、そこに情報の送り手と受け手の二者が存在し、その間を仲介し、両者間において、コミュニケーションを成立させることを目的とするものである。

出典:『MEDIA MAKERS ―社会が動く「影響力」の正体』(田端信太郎・著、宣伝会議)

情報の出し手(メディア)が何らかのコンテンツを発信し、そのコンテンツを受け取ってくれる方(ユーザー)がいれば、メディアとして成立していると言えます。

つまり、新聞やテレビのような巨大なオールドメディアだけではなく、TikTokやInstagramもコンテンツの受け手がいれば立派なメディアである、というわけです。

ここでもうひとつ忘れてはならないのが、「メディアの持続可能性」です。ビジネスとしてメディアを運営するのであれば、何かしらの収益性が伴っていなければなりません。

最近相次いでWEBメディアが撤退、解散を表明していますが、その理由はシンプルで「収益的に維持できなかったから」だと思われます。

またビジネスモデルの観点から考えると、メディアをビジネスとして成り立たせるには、大きく以下3つのモデルしかありません。

①広告モデル

ユーザーからはお金をとらず、広告主からお金をいただくモデル
例:Google、Meta(旧Facebook)、テレビ、SmartNewsなど

②ダイレクト課金

ユーザーから直接お金をいただくモデル
例:新聞の有料購読、有料メールマガジンなど

③オウンドメディア集客

商品を販売するために、自社でメディア運営をするモデル
例:ブランド各社のソーシャルメディア、オウンドメディア

実際には、どのメディアも3つのやり方のハイブリッドでマネタイズに取り組んでいます。

昨今のメディア事情を踏まえた天気予報

ここで昨今のトレンドを軽く押さえておきましょう。

ひとつは「個人情報保護の規制」や「広告表現の取り締まり強化」で、インターネット広告が以前ほど自由度高く出稿できなくなってきている点です。

このトレンドは、ここ最近特に顕著で、ネット広告だからこそ新規顧客を獲得できていた広告主が撤退を余儀なくされており、結果的にメディアに出稿する広告主が減り、広告モデルによるメディア運営がより一層難しくなってきています。

もうひとつは、インターネットが生まれて以来の長きトレンドでもある「情報発信の民主化」が続いていることです。ネットのおかげで、誰もが自由にコンテンツを発信できるようになり、さらに最近では動画や画像コンテンツの発信のハードルも下がったことから、大手メディアだからこその競争優位性がなくなりつつあります。

「個人情報保護の規制」「広告表現の取り締まり強化」「(ネット由来の)コンテンツ発信の民主化」が起きており、先ほど紹介した3つのメディアのマネタイズ方法の今後は、以下のようになると考えています。

これからメディアのあり方として成長ポテンシャルがありそうな「ダイレクト課金」「オウンドメディア集客」、そして最近注目されている「Web3」の3つの形で紹介していきます。

【ダイレクト課金】新聞雑誌ビジネスは個人コンテンツメディアの時代へ

いまに始まった話ではありませんが、「大手オールドメディア→個人コンテンツメディア」への移行がこの数年で急速に進んでいます。20年前に流行・ヒットを作り出すのは、テレビや雑誌でしたが、今やYouTuberやインフルエンサーなどの個人からもたくさんのトレンドが生まれる時代になりました。

ビジネス系メディアでは、日経新聞やNewsPicksもさることながら、発信力のある個人がジャーナリストのように影響力を獲得しており、noteやメルマガ、ニュースレターなどの各プラットフォームで収益化に成功しています。

ここで重要なのは、メディアを成り立たせるための適切な規模感が変わってきていることです。

重要なのは持続性である。これはつまり、情報を提供し続けられるだけの利益があがるかどうかということだ。(中略)少ない収益でも持続できるよう、効率化をする必要がある。以前のような独占が望めない今は、無駄を省いて組織の規模をできる限り小さくすべきだろう。

出典:『デジタル・ジャーナリズムは稼げるか』(ジェフ・ジャービス著、東洋経済新報社)

身も蓋もない話ではありますが、損益分岐点がプラスになるメディアの規模感が、全国に記者を配置させるような新聞社的な規模感から、「情報の仕入れ→コンテンツ発信」までを少人数・小規模で実行するメディアに変わりつつあるのです。

情報のファクト検閲を誰が担うのか?など負の作用はありますが、組織に属さない個人ジャーナリズムのようなコンテンツ発信がひとつのメディアの形になっていくと私は思います。

【オウンドメディア集客】BtoBもBtoCも自社で集客する時代へ

これからは「メディアをやりたくてマネタイズを考える」のではなく、「自社商品を売りたいからメディアをやる」流れが加速するのではないか、とも考えています。

先に紹介したニュースレターをはじめ、自社や社員のSNSアカウントでコンテンツを発信しユーザーと繋がり、マネタイズに結びつけている事例がたくさん出てきています。

たとえばBtoB事業に特化したコンサルティングサービスを行う「才流」さんやBtoB企業向けのWeb制作会社「ベイジ」さんなどは、「コンテンツ発信→リード獲得→顧客支援(マネタイズ化)」をスムーズに行っている印象があります。つまり、日々のコンテンツ発信を通じて、ユーザーと高頻度で深く繋がることで、何か問題や課題を感じたときに真っ先に連絡したくなるコミュニケーション設計ができているということです。

これらのメディア事例は、BtoBのマネタイズケースですが、今後はこの波がBtoCにも大きく押し寄せてくる可能性が高いと私は踏んでいます。

広告が表示されないWeb3ブラウザ

画像出典:brave「Download Brave」
https://brave.com/ja/download/

最近注目されているWeb3ブラウザBraveをご存知でしょうか?

このブラウザは、「広告が表示されないこと」がデフォルトになっています。

広告が掲載されない分ページの読み込み速度も従来より速く、インターネットを回遊するユーザーにとってメリットだらけの仕組みとなっています(まだ新しいブラウザですが、すでに月間アクティブユーザーは500万人を超えています)。

先ほど説明した、「個人情報の保護」や「広告表現の規制強化」という波だけではなく、そもそも広告が表示されない環境がインターネット世界のデフォルトになる可能性もあり、広告を中心としたマーケティング手法が全て無効化される可能性もゼロではありません。

この場合、ユーザーとダイレクトに繋がるオウンドメディアやニュースレターなしには顧客とコミュニケーションを取る術がなくなります。つまり、BtoB、BtoCとビジネス形態によらず、自社の既存・潜在顧客と繰り返しコミュニケーションを取れるオウンドメディア運営(※とくに私はニュースレターを推します)こそが、プライバシー強化時代のマーケティング施策になりえるのではないでしょうか。

ここで私がメールマガジン・ニュースレターを推すのは、ユーザーに確実にコンテンツを届けることができるからです。Webやソーシャルメディアにアップされた情報は、一度ネットに置かれたものがユーザーに選ばれるまでひたすら待っている、いわゆるプル型のメディアです。

一方で、ユーザーのメールボックスに確実に届くニュースレターは、情報氾濫時代にユーザーと確実にコミュニケーションができる数少ないメディアになっていくと思います。

【Web3】ユーザー貢献に応じた再分配メディア登場に期待

最後に、Web3時代のメディアについても触れておきたいと思います。

ここでのWeb3は、ブロックチェーン技術を活用した活動、サービスの総称と定義させてください。

そもそも、今回「メディアの生き残り」をテーマに記事を書くことになった背景には、Web2.0プラットフォーマーによる行き過ぎた独占ビジネスがあります。

ある新聞社がスクープニュースを取り上げたり、あるメディアが非常に読まれる記事をネットにアップしても、コンテンツを集約しているプラットフォーマーに広告費が集約され、発信側は自社のメディアビジネスを維持することができないレベルの収益しか得ることができない、そのような構造になっています。

これがWeb3のメディアでは

  • 1次情報を提供した者(会社)に富(インセンティブ)が分配される
  • よく読まれた記事を書いた者(会社)に富(インセンティブ)が分配される
  • 最初に記事をシェアした者により多く富(インセンティブ)が分配される

などといったように、メディアに関わる者への利益分配とその設計が大きく変わる可能性があります。Webメディアの世界では、広告主に加えて、コンテンツを提供する発信者、コンテンツを楽しむユーザーのメリットを考えて、双方に有利な設計を作り上げたメディアに人が流れ込んでくるのではないでしょうか。

また、Webメディアの栄枯盛衰のスパンが短くなった理由には、無料で一度きりにコンテンツを消費していくユーザーが大量に現れたことがあると見ています。

その点、Web3で期待されるのが、トークンを活用したコミュニティ運営です。メディアがコミュニティの入り口となり、トークンがそのコミュニティの参加権となれば、ユーザーがメディアを訪れては離れるといったこれまでの課題が解消されるチャンスもあるはずです。

「コミュニティのプロデュース、運営を行うことが果たしてメディアの仕事なのか?」と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、テクノロジーの発展により顧客ニーズが変化し、ビジネスがサービス業に寄っていくのはひとつの宿命だと感じます。

Web3に関しては、現在のWeb2.0に対するカウンターカルチャー的な思想やお金が稼げるといった期待感が先行しており、真にコンテンツ提供者とユーザー双方にベネフィットを提供するプロダクトが出てくるのは数年先ではないしょうか。

しかし、インターネットの登場でメディアのニーズが急速にWebにシフトしたように、ブロックチェーン技術の活用でこれまでにないメディアの形が出てくるのは、ほぼ間違いないと思っています。

おわりに

今回、昨今の環境とメディアのビジネスモデルを踏まえて「これから生き残っていくメディア」について考えてみました。

誰もがメディアになれる時代には、ジェフ・ジャービス氏の言葉にあったように、規模が小さくアウトプット効率の良いメディアが優位になっていくのだと思います。

また、Web3のパートでメディアのコミュニティ運営によって持続可能性を得られるかもしれないといった話を書きましたが、Web3サービスの登場はメディアやサービスの栄枯盛衰スパンをさらに加速させると私は見ています。

というのも、仮にサービスのオーナーシップ(所有権)が個人に移るというWeb3の思想が実現した場合、サービスの生存もまた個人に委ねられることとなります。

私たち個人消費者ほど移ろいやすく、その時々の気分に左右される人はいないと私は思っています。新しいサービスやコンテンツが生まれれば我先にとつい飛びついてしまう。そんな個人消費者がサービスのオーナーシップを握っているということは、それだけサービスの持続性を損なうリスクを抱えていることも覚えておいた方がいいのではないでしょうか。

(もちろん、オーナーシップを持つことで、個々の参加者がサービスの成長に貢献したいと思えるプラス要素が勝る可能性もあります)

いずれにせよ、未来のことを気にし過ぎても仕方がありません。

  • ミニマムな規模で効率性を求める
  • 栄枯盛衰のスパンが短くなり続ける

この2点を頭に入れつつ、メディア作りを行っていくのが吉だと私は思います。

最後に、メディアビジネスにおいて「受け手こそが王様」です。受け手が楽しめるメディアがあれば、そのメディアは必ず成功します。

メディアについて色々書いてきましたが、あまり難しいことは考えず、メディアから人が離れない、むしろ人が勝手に集まってくるようなメディア作り、受け手が楽しめるコンテンツ作りを意識し続けることが何より大切だと思います。

記事執筆者

エルモ

マーケ思考のキュレーター。ビジネス・マーケティングをトピックに扱うニュースレターMarketing Media Labが人気。広告代理店にて、企業のマーケティング支援も行っている。
Twitter:@elmo_marketing
ニュースレター:Marketing Media Lab
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