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2020.01.22

マーケターの思考力を鍛えるには?黒澤友貴さん初の著書『マーケティング思考力トレーニング』(2月20日発売)の4章を公開

ブランディングテクノロジー株式会社 執行役員 経営戦略室 室長の黒澤友貴さんが、2月20日に初の書籍『マーケティング思考力トレーニング 戦略の引き出しを増やすマーケティングトレース』(フォレスト出版)を刊行します。マーケター向けの思考力トレーニング「マーケティングトレース」の方法や、活用するフレームワークに関する解説、事例などが詳細にまとめられた一冊です。Marketing Nativeでは2019年7月に黒澤さんにインタビューを行い、「マーケティングトレース」誕生の経緯やトレーニングを継続するコツなどについて伺いました。そのご縁もあり、今回発売される書籍の4章を特別に掲載させていただくこととなりました。

「マーケティングトレース」の概要や誕生の経緯については、以下のインタビューをご覧ください。

https://marketingnative.jp/wp/mi04/

『マーケティング思考力トレーニング 戦略の引き出しを増やすマーケティングトレース』(黒澤友貴著、フォレスト出版)

 

 

 

 

 

 

目次

4章:マーケティングトレースの取り組み方と継続する工夫

❶コミュニティでマーケティングを学ぶ
❷マーケティングトレースの基本メニュー表
❸マーケティングトレースを応用して学びを深める

4章のメッセージ
・ニュースとの接し方を変えれば、マーケティング思考力は鍛えられる
・SNSは最強の学習ツール。批判を恐れず発信すれば、自分の世界が広がる
・学ぶのに「時間がない」という言い訳不要。マーケティング思考力のトレーニングを日常の仕事や生活に組み込もう

4章では、マーケティングトレースを日常の生活や仕事の中で「継続して」取り組むための方法や工夫する点をご紹介していきます。マーケティングトレースは継続が命です。1回だけ実践したからマーケティング思考が開花するということはありません。日常生活の中に「マーケティング思考力トレーニング」を組み込んでいきましょう。

❶コミュニティでマーケティングを学ぶ

学習は1人では継続しにくいですし、楽しさを忘れ、目的を見失いがちです。筆者自身はそう感じています。誰かと一緒に学び、他者からのフィードバックがあるからこそ、学習を継続しやすいですし、自分1人では気づけない学びも多いのです。

マーケティングトレースは個人の思考を鍛えるトレーニングであると同時に「マーケター同士が学び合うコミュニティ」でもあります。

Facebookグループ、Twitter上に形成されるゆるやかなつながり(ハッシュタグ)、ミートアップ(オフラインイベント)の3つが起点としてコミュニティを作っています。

マーケティングトレースでSNS発信の成功体験を積む

マーケティングトレースは、SNSでアウトプットするまでをトレーニングとして設計しています。noteやTwitterでマーケティングトレースの発信をすると、コミュニティの中でフィードバックをもらえる(「Like」や「スキ」といった小さな反応から、コメントをもらえるレベルの大きな反応まで)工夫をしています。SNSで発信するときの不安は「誰にも見てもらえないのではないか」という怖さが一番大きいのではないでしょうか。

そんな時にぜひ活用して頂きたいのがハッシュタグです。

#マーケティングトレース のハッシュタグをつけてSNSで発信するだけで、コミュニティの人には届きます。ぜひみなさんにも、マーケティングトレースを通じて、SNSで発信する際の最初の成功体験を積んで頂きたいと考えています。

アウトプットと学習定着率の関係

アメリカ国立訓練研究所の研究によると、学習方法と平均学習定着率の関係は「ラーニングピラミッド」という図で表すことができるようです。

講義を聞くだけ、本を読むだけでは、学習定着率は低いという結果として出ています。

自分でフレームワークを活用してみる、成功要因を言語化・構造化してみる、自分がCMOだったら?と疑似体験をしてみることで、実践に活きる知識を獲得できると考えています。

また、SNSで発信するということは、学習定着率をあげることに繋がります。

アウトプットとフィードバックが良質な学習につながる

マーケティングトレースでは、戦略を描くことの面白さ(と難しさ)と、戦略を描いて他者からポジティブなフィードバックをもらえる仕組みをつくっています。

この他者からのフィードバックが「小さな成功体験」となり、普段の仕事の中でも戦略を描きたくなるような変化が生まれることを狙いとしています。人は成功体験があると、その追体験をするために自分の時間を投下する傾向にあると考えています。

たとえば、インターネット広告運用で CPA(顧客獲得単価)が改善した成功体験があると、もっとCPAを下げるようがんばるようになります。数字の変化はわかりやすいですが、戦略の成功体験となると経験がしにくいのではないでしょうか。

マーケティング戦略を自分で作り、他者から褒められる成功体験があると、業務の中で戦略を作ることに自分の時間を使おうと思うはずです。

1人で学習を継続すると行き詰まるときがあると思います。そんなときは、マーケティングトレースのコミュニティを、マーケティング思考力を鍛えるための場として活用してみてください。

マーケティングトレースミートアップのご紹介

マーケティングトレースのミートアップの様子

筆者たちのコミュニティでは毎月ミートアップを開催して、マーケティングトレースを実践したいと考えるマーケターが集い、お互いのマーケティング思考を磨き合っています。

〈ミートアップ開催の意味〉
・組織の枠から出て思考を広げる場
・専門性が異なるマーケター同士がつながる場
・他者とつながることで学習を継続するための場

コミュニティなので、さまざまなバックグラウンドを持つマーケターと出会うことができます。たとえば、リスティング広告の運用を専門としている人と、SNSマーケティングを専門としている人とでは、考え方が異なります。

お互いの仕事や考え方を共有し合うことで、自分1人では気づけない発見があります。

マーケティングトレースコミュニティへの参加方法は次の通りです。

❶Twitter で「# マーケティングトレース」のハッシュタグをつけて発信してみる
❷Facebookグループでご自身で実践したマーケティングトレースを共有する
❸毎月開催されるマーケティングトレースミートアップに参加する

ぜひ、コミュニティを継続的にマーケティング思考力を鍛えていくために活用して頂けたら幸いです。

❷マーケティングトレースの基本メニュー表

マーケティングトレースを実践しようと思い立ったときに、「第2章で紹介したすべてのフレームワークを活用するなんて難しい」あるいは「第3章で紹介した事例レベルを作成する時間を確保できない」という方もいらっしゃるかもしれません。そんな方々に向けてマーケティングトレースのメニューを4つに分けてみました。「時間がない」「まずは気軽に取り組んでみたい」という方は、最初にご紹介する「❶日常編」から順番に取り組んでみてください。

アウトプットを継続するコツ

アウトプットが大事とお伝えしましたが、アウトプットは完璧なものを出そうとすると手が止まってしまいます。

ここでは、アウトプットを継続するためのポイントをお伝えした上で、マーケティングトレースの初級編〜上級編という徐々にレベルをあげていくステップの踏み方を解説していきます。

まず、アウトプットを継続するためのポイントは、この3つを意識しましょう。

アウトプット3原則
❶アウトプットする量と頻度を決める
❷小さくはじめて徐々に負荷をかける
❸不完全でもアウトプットを出す

どれくらいの文字数と、どれくらの頻度でアウトプットを出すのかを決め、自分が継続できるペースをつくりましょう。

そして、完璧なアウトプットを出そうとしないことが大切です。

マーケティングトレースは、綺麗な分析内容を披露するものではなく、マーケティング思考を鍛えるトレーニングです。

こんな内容でアウトプットを出していいのか・・という不安はあるかもしれませんが、最初は「質より量」を重視していきましょう。

01日常編 【所要時間:30分】

次の4つの流れでトレーニングを構成しています。

STEP ❶
日常の中で見つけた、マーケティングキャンペーン、広告、SNS投稿などを選ぶ。
STEP ❷
追加でリサーチする(その企業のWEBサイト、SNS 投稿、取材記事などを調べてみる)。
STEP ❸
広告やSNS の表現の裏側にあるマーケティング戦略を考えて言語化する。〈例〉この広告のターゲットは誰か? この広告はどのような商品・価格戦略と連動しているのかなど?
STEP ❹
140文字=Twitter、800文字=noteなどでアウトプットを出す。
※文字数はあくまで目安です。

日常の「ニュース」からマーケティング思考を鍛える

第1章でお伝えした通り、マーケティングトレースは「言語化力・構造化力を磨く」ことが目的です。日常の中で言語化力・構造化力を磨くために有効的なのは「ニュースとの接し方を変える」ことです。

皆さん、毎日何かしらのニュースを読む習慣はあると思います。マーケティング思考力を鍛えるために、ニュースは「アウトプットすることを前提」に読みましょう。

たとえば、下記のようなニュースを通勤中に読んだとしましょう。スマホをスクロールして、「ふ〜ん、なるほど」と終わりにしてしまうこともできますが、次のように、マーケティングトレースの要素を入れてニュースを読んでみましょう。

以下は、筆者がNewspicksで見つけたニュースに対して、マーケティング視点で要約したメモです。

著者自身が愛用しているのはNewspicksとTwitter です。日常のニュースを読むという行為をマーケティングトレースの型を活かして行うだけでも、有効的なトレーニングになります。

ニュースソース
ペットボトルコーヒー大人気、サントリーの「ちび飲み市場」開拓秘話

 ニュース要約
クラフトボスは、缶コーヒーという強い既存ブランドをリブランディング、つまりターゲット再定義とブランドコンセプト再定義により新しい市場を創り出した。

 事実
BOSSの18年度は2600万ケースの販売見込み

 缶コーヒー市場の傾向
成熟し縮小傾向
※コーヒー消費量は拡大傾向にあるにも関わらず、缶コーヒー市場は縮小

従来の缶コーヒーイメージ
缶コーヒーはおじさんの飲み物

 BOSS(サントリー)のターゲット再定義
若い世代や女性など、従来の缶コーヒーとは異なるユーザーにアプローチ

商品コンセプト
手作業のぬくもり→クラフトBOSS

BOSSが定義した新しい市場
ちび飲み市場(ちびちびと少しずつ飲むこと)
※利用シーンはオフィスを想定

新市場とコミュニケーション戦略
オフィスを舞台に新しい働き方とあわせてクラフトBOSSを出す

仕事に活かす視点
新しい市場を創り出すための「潜在ニーズを掘り起こすリサーチ手法」

“「大切にしているものを持ってきてほしい」というお題に対して、祖父からもらった万年筆や友人の皮革職人が作ったベルト、手書きの日記を持ってきた人たちがいた。”

手作業のぬくもり→クラフトボスというネーミングが生まれたとのこと。

リブランディングを行う際は、今までの既成概念を捨て去り、「これからのユーザー」と向き合う意識が大切。

ニュースを読み解くポイント
❶ ニュースの裏側にあるマーケティング戦略を考える(STPと4P視点で要約)
❷ 自分なりに成功要因や事象が起こった理由を言語化する
❸ 自分の仕事に活かせる点を言語化。SNSでアウトプットをしてほかの人からのフィードバックをもらう

この3つを毎日繰り返すと、すべてのニュースを「自分ゴト化」することができます。つまり情報感度が上がるのです。ニュースと能動的に向き合い仕事に活かすニュースと接するときに、マーケティングトレースを意識するだけで、能動的に情報と向き合い、仕事に活かすことができます。

このように、ニュースとの向き合い方を少しだけ工夫するだけでもマーケティング思考力を鍛えることにつながります。メディアに企業の成功事例が特集されていた際は、頭の中にフレームワークをイメージして、自分の言葉に置き換える習慣をつくりましょう。

ニュース以外にもマーケティングトレースの対象は世の中に溢れています。

・電車広告
・雑誌
・アプリ

なんでもマーケティング思考を鍛えるための教材となります。

例えば、電車広告で自分の興味をひくものがあったとしましょう。何となく眺めて終わるのではなく、下記のような問いをもって広告と接して言語化してみましょう。

✔︎中心となるメッセージとコンセプトは何か?
✔︎メッセージを届けたいターゲットは誰か?
✔︎背後にあるマーケティングミックス(4P)は何か?
✔︎広告はどれだけの投資対効果がありそうか?

企業が表現していることの裏側にあるマーケティング戦略を5分だけ考えて言語化してみましょう。そしてSNSで発信してみましょう。すべての物事の裏側にはマーケティング戦略が存在します。その裏側を読み解くトレーニングを繰り返していくと、日常の視点が変わり、無意識にマーケティング戦略を考える習慣が身につきます。

SNSを活用したキュレーションのススメ

キュレーションとは何でしょうか?

収集した情報を特定のテーマに沿って編集、整理すること、さらに、収集した情報に新たな意味や価値を付与する作業のことです。

筆者はキュレーションは日々のインプットとアウトプットの効率を上げるためには有効的な手段だと考えています。

日常でどのようにキュレーションを実践するのかご紹介していきます。

まずキュレーションするテーマを決めましょう。そのテーマに紐付くキーワードをTwitterやNewspicksなどで検索して、自分が気になったニュースに自分のコメントを付け加えてSNS発信してみましょう。

情報量が増えている中で、情報に対して能動的に接する意識をもたないと、情報の洪水に溺れてしまいます。

日々のニュースのインプット効率を上げることは、皆さんのキャリアにとって必ずプラスになるはずです。日々のキュレーションをする目安量を決めておけると、日々のインプットとアウトプットの効率が上がります。

キュレーション方法まとめ
✔︎毎日アウトプットする量を決める
✔︎毎日チェックするニュースサイトを決める
✔︎キーワード登録をして、自分のテーマとする領域は必ずチェックする
✔︎気になったニュースは自分の意見と内容の要約をしてSNSでアウトプットする
✔︎毎日のルーチンにして、日々のインプットとアウトプット効率を上げる

アウトプットすること前提に物事を眺めると、わかったつもり状態から抜け出すことができます。また、SNSに投稿することで、ほかの人からフィードバックがもらえ、新たな気づきや発信し続けるモチベーションにつながります。

マーケティング思考力を身につけるためには、1回の素晴らしい分析とアウトプットよりも、毎日、日常でマーケティング思考をもって行動することが大切です。マーケティングトレースを皆さんの日常の中で活用し、戦略の引き出しを増やすことにつなげていただけたら幸いです。

日常の中でマーケティング思考力を磨くトレーニングを行いつつ、定期的にマーケティングトレースの型を使ってアウトプットを出すトレーニングも行いましょう。

文字数とフレームワーク別に初級・中級・上級と分けてメニューを作成しています。自分にあったメニューを選んで実践してみてください。

マーケティングトレースを継続する上で決めること
・時間
・マスターするフレームワーク
・アウトプットする際の文字数

02初級編 【所要時間:1〜2時間】

STEP ❶
テーマ企業を決める。条件は、「成長している」「社会性がある」「自分が好き」など。
STEP ❷
基本フレームワークの5つから活用するフレームワークを2つ選ぶ。
STEP ❸
テーマ企業のWEBサイト、各種メディア、IR 資料などをリサーチする。
STEP ❹
フレームワーク分析からマーケティング戦略の成功要因を言語化する。
STEP ❺
1000〜2000文字を目安にnoteにまとめて発信する。

まずは、成功している企業のマーケティング戦略をトレースして、理解を深めることからスタートしましょう。最初は成功要因を言語化するのみでも十分です。

03中級編 【所要時間:3時間】

中級編は、マーケティングトレースの基本の型です。日常編や初級編で慣れてきたら、ぜひ中級編を定期的に行いましょう。週に1回程のペースで継続することがオススメです。

04上級編 【所用時間:5時間】

上級編は、より分析にオリジナル視点を持ち込み、リサーチも一歩踏み込んで行うことを推奨しています。自分の中で「これでもか!」というレベルでやり込んだマーケティングトレースをもっておくことがオススメです。本当に大好きな企業やブランドを選定すると取り組みやすくオススメです。

STEP ❶
テーマ企業を決める。条件はこれまでと同様に「成長している」「社会性がある」「自分が好き」など。
STEP ❷
フレームワークは基本5フレームワーク以外も組み合わせて活用する
STEP ❸
オウンドメディア、各種メディア、IR 資料以外にフィールドワークやユーザーインタビューを組み合わせてみる
STEP ❹
成功要因の言語化とあわせて「もし自分がその会社のCMOだったらどうするか?」を考えて仮説アイデアを言語化する
STEP ❺
5000文字超を目安にnoteにまとめて発信する

上級編では、フレームワークは第2章でご紹介した5つの基本フレームワーク以外のものも取り入れていきましょう。

ここで紹介したトレーニング方法を参考にしていただきながら、自分が継続できるメニューをつくって実践してみてください。マーケティングトレースは日常の中で継続することが一番大切です。街を歩いていたら、自然とトレースをしている状態になるまでやり込みましょう。

❸マーケティングトレースを応用して学びを深める

ここからは、マーケティングトレースを応用して取り組み、マーケティング思考力を鍛える方法をご紹介します。

①ペアマーケティングトレースで新しい視点を手に入れる

マーケティングトレースを継続するための工夫として、誰かと一緒に取り組むことを推奨しています。名付けて「ペアマーケティングトレース」という方法をご紹介します。

マーケティングトレースのミートアップでも、ペアマーケティングトレースをテーマに行ったときは大反響でした。ペアで学習する、仕事をすることは、マーケティング以外の分野で既に取り組みがあります。

ペアプログラミング、ペアデザイン、ペア読書など、「ペア」=2人になって学習することの意義は他分野で推奨されています。たとえば、ペアプログラミングについてみていきましょう。

ペアプログラミング(英:pair programming)は、2人のプログラマが1台のワークステーションを使って共同でソフトウェア開発を行う手法という説明が起源である。一方が単体テストを打ち込んでいるときに、もう一方がそのテストを通るクラスについて考えるといったように、相補的な作業をする。(出典:Wikipedia)

ペアでプログラミングを行うことにより、生産性が上がる、育成への好影響といった研究結果も出ているようです。

ペアでマーケティングトレースすることのメリットは自分自身も感じています。たとえば、株式会社才流代表取締役社長の栗原康太さんと一緒に行ったSmartHRのマーケティングトレースは自分1人でトレースするようも発見が多く、アウトプットの質は圧倒的に上がりました。

〈ペアでマーケティングトレースをするメリット〉
・気づきの幅を広げてくれる
・他者からのフィードバックにより学習効果高まる
・共同作業なので責任をもってアウトプットする

ペアマーケティングトレースの実践ガイド

さっそくペアマーケティングトレースの実践ガイドをご説明します。

例を見ていただきながら、周囲の仲間やチーム内で取り組んでみてください。実際にコミュニティ内で実践した内容をご紹介します。

〈ペアマーケティングトレース例〉
①個人ワーク:情報収集・分析(30分)
②ペアワーク:お互いの分析内容を共有し追加リサーチ(20分)
③ペアワーク:もし自分(たち)がCMOだったらを考え共有(20分)

また、マーケターとデザイナーがペアになってマーケティングトレースをする実験もやってみましたが、マーケティング戦略をデザインに落とし込むプロセスを共有することができ、有効的な学習の場であると感じました。

〈マーケターとデザイナーのペアトレース例〉
❶ 2人1組になりテーマ企業を決める
❷ A:マーケターがテーマ企業のマーケティング戦略を分析する
❷ B:デザイナーがテーマ企業のデザインを分析する
❸ お互いの気づきを共有する
❹ マーケティング視点、デザイン視点を統合し、その企業を成長させるためのアイデアを出す

ペアで学習する意味は、対話・フィードバックをし合いながら学ぶことで、インプットとアウトプットの質を上げることにあります。ぜひ身近な人とペアになり、一緒にマーケティングトレースを実践してみてください。

②組織内でマーケティングトレースを活用する

次にマーケティングトレースを「組織内」で実践する方法をご紹介します。

筆者は、皆さんが自社のマーケティング戦略を進化させるためにマーケティングトレースを活用することもできると考えています。

推奨しているのは競合分析にマーケティングトレースを活用することです。

マーケティングの現場で競合分析が十分にできていないために戦略が曖昧になっているケースが多いと感じています。そこでマーケティングトレースの型を使って競合分析を実践してみましょう。

マーケティングトレースを活用した競合調査ガイド

マーケティングトレースを活用して競合調査を行うプロセスをご紹介します。

マーケティングトレースで競合調査の実践例 【所用時間:3時間】

 目的
競合を再定義することで、自社のマーケティング戦略を見直す

❶ 5Forces分析から新規参入・代替品の脅威にあたる企業を特定
❷ グループに分かれて新規参入・代替品の脅威にあたる企業をマーケティングトレースする
❸ マーケティングトレース内容を共有して、改めて自社の価値を見直す

2章でご紹介した5Forces分析の縦軸を、自社に置き換えて分析するイメージです。

マーケティング戦略を考える際に「競合設定がされていない」「数年前から同じ競合名が言われつづけている」ということはよくあります。外部環境が変化して、競合はすでに別の会社に変わっている可能性は高いです。そんなときは、5Forcesから競合の再定義をして、新たな競合のマーケティングトレースを実践してみましょう。

その他にも、下記のような形でマーケティングトレースを社内で活用してみてください。

日報や週報にマーケティングトレースを活用する

さらに日常の業務の中でマーケティングトレースを活用する方法をご紹介します。日報や週報にマーケティングトレースを組み込むことです。日報や週報を仕事の中で実践されている方は多いのではないでしょうか。習慣化されている日報や週報の中に、下記のような形でマーケティングトレースを組み込んでみてください。

日報/週報にマーケティングトレースを組み込む例【所用時間:15分】

マーケティングトレースの対象にする企業:○○○○
URL:○○○○
活用フレームワーク:○○○○
成功要因:○○○○
自分たちの仕事に活かせる点:○○○○

自分たちにとって参考になるマーケティング情報を共有する文化をつくっている方もいると思います。情報共有で終わらず、トレースして模倣できるレベルにすると、よりチーム内のマーケティングリテラシーが上がるはずです。

1章でご紹介した通り、100人全員がマーケティング思考をもっている組織は強いです。

チーム内でマーケティングトレースを日常的に行うことで、メンバー全員が外部の情報にアンテナを張るようになり、自社のマーケティング戦略も進化させやすくなるのではないかと考えています。マーケティングトレースは日常の中でマーケティング思考を鍛えるトレーニングとしています。土日に時間を確保することが難しい人は、仕事の中に組み込む方法を考えてみましょう。

4章のまとめ

・ニュースとの接し方を変えれば、マーケティング思考力は鍛えられる

・SNSは最強の学習ツール。批判を恐れず発信すれば、自分の世界が広がる

・学ぶのに「時間がない」という言い訳不要。マーケティング思考力のトレーニングを日常の仕事や生活に組み込もう

 

【筆者プロフィール】
黒澤友貴 (くろさわ・ともき)
1988年生まれ。ブランディングテクノロジー株式会社 執行役員 経営戦略室 室長。新卒でブランディングテクノロジー株式会社に入社。中小・中堅企業様向けのマーケティング支援に10年従事。2018年6月より「日本全体のマーケティングリテラシーを底上げする」をミッションに3000人近くのマーケターが集まる学習コミュニティ「マーケティングトレース」を主宰。マーケティング思考力を高めるための学習プログラムを作り、全国でミートアップを開催している。
note https://note.mu/tomokikurosawa
Twitter https://twitter.com/KurosawaTomoki

 

『マーケティング思考力トレーニング 戦略の引き出しを増やすマーケティングトレース』

出版元:フォレスト出版
出版予定日:2月20日

 

 

 

 

 

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