起業志望者の憧れ、佐藤俊介さんの登場です。佐藤さんはこれまでネット広告やファッションブランドなどさまざまな企業の立ち上げを経て、現在はトランスコスモスの取締役CMOのほか、俳優の山田孝之さんらが取締役を務める「me&stars(以下ミーアンドスターズ)」社でCEOを務めています。
CEOの経験が長い佐藤さんにとって、CMOの業務はどのように映っているのでしょうか。
また、いくつもの道を切り開いてきた起業家として、不確実性の高いこの時代をどう生き抜き、成果を上げるためには何が必要だと考えているのでしょうか。
今回はトランスコスモスCMOの佐藤俊介さんに話を伺いました。
(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧、撮影:豊田 哲也)
※肩書、内容などは記事公開時点のものです。
目次
納期もタスクもない、ファーストペンギンの大事な役割
――起業家、実業家として有名な佐藤さんがトランスコスモスにCMOとして参画したのが2016年6月。そこから約3年10カ月になりますが、振り返っていかがですか。
まず、大企業のすごさを肌で感じることができました。経済を支え、回しているのは、やはり大企業だと体感できたのは自分にとって大きな経験です。また、仕組み化が秀逸なので、従業員それぞれの能力に差があっても、みんなが力を発揮して一定のアウトプットを出すことができます。そこに大企業という組織の強さがあると思いました。
一方、私の入社によって、トランスコスモスにもプラスになった点があると考えています。それは、私のように思いついたらすぐ行動し、かつ自由に動く役割がいてもいいんだという空気感を社内外に広められたことです。
大企業は大なり小なりどこも同じだと思いますが、組織がしっかりとしている分、どうしても硬直化するところがあり、意思決定が先送りにされがちです。その結果、機動力という点ではやや課題が生じます。
もっとも、それはある意味当然で、個々の従業員の役割がきちんと決まっているのに、それぞれが自由に動いたのでは組織としてのパフォーマンスを最大化できません。そのため私は、組織としての強みを活かしながらイノベーションを起こすべく、ファーストペンギンとなって横断的に動き、組織に横串を刺して新たな事業創出に取り組んでいるところです。
新規事業には極端な話、納期もタスクもありません。自分で行動して納期とタスクを作らないと何も始まらないんです。
例えば、地球温暖化防止や感染症の撲滅など、起業家が手掛けるイノベーションの中には、納期が基本的に存在しないものがあります。しかし、そのまま放置しておくと人類の未来に大きく影響するおそれがあり、誰かが動かなければなりません。そのように、納期もタスクもないけど、未来への投資として重要な業務に取り組み、ファーストペンギンとなる役割の人は、それまでトランスコスモスに少なかったと思います。その点においては私の存在が会社に良い影響を与えられている気がします。
「個の時代」と大企業の関係
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