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インタビュー

SmartHRマーケティング責任者・岡本剛典に聞く、成長を加速する組織作りとマーケティングのポイント

最終更新日:2023.06.08

The Marketing Native #20

株式会社SmartHR執行役員/VP of Marketing

岡本 剛典

「SmartHR」の快進撃が続いています。SmartHRは人事・労務管理をペーパーレスで完結できるクラウドソフトで、2015年のサービス開始から登録社数は2万社を超えました。

急成長の背景にはプロダクトの秀逸さに加えて、マーケティングへの積極的な投資が挙げられます。そのマーケティング部門で責任者を務めるのが執行役員の岡本剛典さんです。

さらなる急成長を実現すべく、岡本さんはこれからどのような施策を考えているのでしょうか。

今回はSmartHRでマーケティング責任者を務める岡本剛典さんに話を聞きました。

(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧、撮影:永山 昌克)

目次

成果の最大化に必要な組織設計の重要性

――SmartHRのマーケティング責任者とは、どのような仕事ですか。

シンプルに言うと、マーケティングの4Pのうちプロモーションの役割が中心です。人事労務系SaaSの業界はこれから市場を切り開いていく必要がありますので、顕在化している見込み客に対する自社サービス、プロダクトのプロモーションと同時に、潜在層を開拓して市場全体の拡充に努めることがミッションと言えます。

――岡本さんがSmartHRに参画したのが2018年10月。この1年半弱の間にどんなことに取り組みましたか。

大きくは2つあります。1つは組織設計です。以前は1つの分野に1人ずつプロフェッショナルがいる状態で、組織として十分に機能しているとは言えませんでした。それぞれが全力疾走するのはいいですが、属人的なところも見受けられ、パフォーマンスを最大化するには全体の力を効果的に結集させる必要がありました。

会社をスケールさせるには、コミュニケーションの活性化へ向けた適切な組織設計がとても大切です。そのため、現在はマーケティングだけでなく、組織設計に注力しています。

――組織設計のポイントは何でしょうか。

数年先を見据えて、今のうちに整備しておくべき諸課題を発見し、現場に落とし込むことです。

これまで人事労務系クラウドソフトウェアの中ではSmartHRが一人勝ちの状態でした。しかし、複数の類似サービスも登場しています。まだ競合優位性はありますが、プロダクトの機能だけに依存していると、いずれコモディティ化すると思います。それを防ぎ、優位性を確保し続けるためには、ブランディング活動がこれから重要になると考え、その点でパフォーマンスを発揮できる組織へと作り変えているところです。

――もう1つは何でしょうか。

もう1つは、デジタル広告への投資促進です。入社当時、出稿箇所はたくさんあるのに、デジタル広告への投資が十分に行われていないと感じました。そこで、昨年一年間、徹底的に投資して出稿範囲を広げる作業を行いました。現状はある程度、手を広げきりましたので、リードの整備をしている段階です。

――具体的にはどんなことをしているのでしょうか。

リードはたくさん獲得できているのですが、全てをセールスに渡せているわけではなく、マーケティングの部署で持ったままになっているものもあります。ここは改善が必要です。そのため、マーケティングオートメーションを活用したり、セミナーなどを開いたりしてリードを温め直すナーチャリングのメカニズムを整備しているところです。

また、売り上げとのつなぎ込みが不十分な点も改善の余地があります。売り上げや最終的な受注データからさかのぼって、どういう広告を経由すると一番売り上げにつながるのかをもっと精度高く解明するために、アトリビューションを分析する体制の構築にも注力しています。

SmartHRのオフィスの様子(画像提供:SmartHR)

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・圧倒的勝利に必要なBtoBtoEマーケティング
・ブレイクスルーのきっかけになったターゲットの転換
・デジタル担当者の採用が急務の課題
・高い実績を上げる秘訣はゴールポイントの設定
・貴重な経験を積めるマーケティング責任者の魅力

記事執筆者

早川巧

株式会社CINC社員編集者。新聞記者→雑誌編集者→Marketing Editor & Writer。物を書いて30年。
X:@hayakawaMN
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