毎月1万人のカップルが誕生しているという恋活・婚活マッチングアプリ「タップル」。実際に利用中の人はもちろん、利用していないけどYouTubeなどの広告で見たことがある人を含めると、知名度・認知度は非常に高いと思います。
婚活目的だけに絞らず、カジュアルすぎることもない、絶妙なポジショニングが功を奏し、累計会員数は今年1700万人を突破しました。最近ではTikTokのショートドラマ「おさ活」がZ世代を中心に人気になっています。
恋愛に欠かせないツールへと成長し続けるタップル。今回はタップルのマーケティングについて、株式会社タップル執行役員CMOの髙橋正俊さんに話を聞きました。
(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧、人物撮影:矢島 宏樹)
目次
壁や規制を乗り越えて進む、マッチングアプリビジネスの面白さ
――髙橋さんはどのような経緯でタップルに関わることになり、今はCMOとしてどんな仕事をしているのですか。
新卒から4年間、大手コンビニエンスストアチェーンに勤めた後、サイバーエージェントに入社し、13年ほど広告代理店事業を担当しました。その後40歳を節目にキャリアについて考え、広告以外の仕事も経験したくなって、社内の各部署の方と相談したところ、タップルに魅力を感じて、異動を決めました。
――タップルのどんなところに魅力を感じたのですか。
大きく3つあります。1つめはマッチングアプリの可能性です。婚姻率や出生率の低下、人口減少、孤独死など国が直面する喫緊の課題に対する解決策として、マッチングアプリの活用が切り札の1つになるかもしれないと感じました。
2つめは、マーケティングの楽しさです。営業は受注を積み重ねて目標を達成しても、四半期ごとにまた新たな目標が設定され、1からスタートしなければなりません。そこが営業のやりがいであり、苦しさでもあります。一方、マーケティング施策は効果が持続する限り、成果が積み上げられていくので、そこに楽しさを感じます。
3つめは、代理店経験が長かったからか、ユーザーの声をダイレクトに聞けるBtoCの面白さに目覚めました。ユーザーから感謝されたり、お叱りを受けたり、良くも悪くも反応がそのまま返ってくるのは刺激的ですし、頂いたフィードバックを機能として実装することで売り上げが上がると、励みになります。
――CMOの仕事はどんな感じですか。
事業目標を達成するための中長期の戦略を考え、戦略に沿ってダイレクト広告、ブランディング全般、他社との協業を目的としたアライアンス営業、横断的な分析などを行う複数のチームを統括しています。
――マッチングアプリビジネスのどこに面白さを感じますか。
世の中の壁や規制を乗り越えて、力強く進んでいくパワーとエネルギーを日々感じられるのは刺激的で面白いと思います。
競技麻雀のプロリーグである「Mリーグ」はご存じですか。私も麻雀が大好きなのですが、麻雀というと、以前はそれほど良いイメージばかりではなかったと思います。それが今ではMリーグが立ち上がって、頭脳スポーツとしての見られ方に変わりつつあります。ゲームも同様で、昔は必ずしも良いイメージばかりではなかった気がしますが、今ではeスポーツが登場し、人気になっています。そんな例はほかにもたくさんあるでしょう。
マッチングアプリもその1つで、以前は「出会い系」の印象が強く、Google広告もマッチングアプリはNGだったのですが、次第に市民権を獲得し始め、壁が取り払われてきました。今では未婚率や少子化の改善に役立つのではないかとの期待感も出ています。今後はテレビCMで放送できる日が来るかもしれません。そんなふうに世の中の変化とマーケティングの力で、どちらかといえばネガティブに受け止められていたものが、次第に世の中のためになると人々の認識が変わっていく――そんな時代の変化に携われるのがすごく楽しいですね。
累計会員数1700万人突破に貢献した“タップリー”な考え方
――「累計会員数が1700万人突破」とはすごいですね。なぜこんなに多くの利用者に継続して支持され続けているのでしょうか。
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