事例研究
2021.06.02

ついクリックしたくなる画像の特徴とは?スナップマート代表・岡洋介インタビュー

ソーシャルメディアやWebサイトに広告を出稿する際、画像の選定に悩んだ経験はありませんか。数多くの情報が行き交う中でユーザーの目を引くためには、コピーやデザインだけでなく、画像も重要な役割を担っています。

では、ユーザーがついクリックしたくなる画像には、どのような特徴があるのでしょうか。スマホで撮影された写真を購入できるストックフォトサービス「Snapmart(以下、スナップマート)」で代表取締役社長を務める岡洋介さんに、クリックされやすい画像の特徴について聞きました。

(取材・文:Marketing Native編集長・佐藤綾美、人物撮影:永山 昌克)

目次

カタログのようにきれいな画像はクリックされにくい

――インターネット広告やバナーなど、画像を使用する機会は数多くあります。ユーザーにクリックされやすい画像の特徴について教えてください。

構図やライティングなどがしっかりとしていて、カタログに載っているような美しい画像よりも、作りこまれていない、ユーザーにとって日常生活のワンシーンのような画像がクリックされやすいです。

スナップマートの代表になる前、私は親会社であるピクスタに勤めていました。ピクスタにいた頃から振り返ってみると、これまでよく使われていたのは、しっかりとライティングを組みスタジオで撮影したような、いわゆる「カタログ写真」でした。例えば、【A】のシャンパンのような画像です。しかし、現在は【B】のように人の手が入るなどして、生活のワンシーンを写し取ったような画像がクリックされやすくなっています。

画像のニーズは明らかに変化してきていて、近年は生活感があり、日常生活の中のワンシーンを切り取ったような写真が、インターネット広告においてクリックされやすくなっていると感じます。


▲【A】のカタログのようなきれいな画像より、生活の一コマのような【B】の画像のほうが、クリックされやすいと言う(画像はイメージ。Bの画像提供:スナップマート)。

近年は、SNSや動画共有サイトなどソーシャルメディアへの出稿が増えています。インターネット広告媒体費に占めるソーシャル広告の割合は少しずつ増えており、2020年は3割を超えているそうです(※)。SNSに出稿する場合、ユーザーがフォローしている人たちの投稿に混ざって広告が表示されます。「カタログ写真」のような写真が広告で流れてくると、ユーザーは「広告だろうな」と判断し、あまりクリックしない傾向があるというのです。

そうした変化の流れもあって、「スマホで撮影されたスナップマートの画像を使ってみて、クリック率が良くなった」という声をいただくことがよくあります。弊社の画像を試しに購入して使ってみたところ、クリック率が良かったので、定額制プランを契約した方も数多くいます。

※参考:電通報『「2020年インターネット広告媒体費」解説。4マス媒体とほぼ並んだ「2.2兆円超」の内訳は?』

クリックされやすい画像の3つの特徴

――ユーザーにとって日常生活のワンシーンのような画像がクリックされやすいとのことですが、具体例を教えてください。

顔が写っている写真 or 顔が写っていない写真

※画像はすべてイメージ(提供:スナップマート)

人物写真はスナップマートでもよく売れている画像の一つです。これは私の個人的な感覚ですが、以前はしっかりと顔まで写った画像がよく使われていましたが、ここ3~4年は後ろ姿や横向き、首から下のカットなど、顔が写っていない画像のほうが求められる傾向にあります。

あるファッションブランドで、弊社の画像を使用してメルマガのバナーのA/Bテストを数十万人に実施し、顔が写っている画像を使用したバナーと、顔が写っていない画像を使用したバナーで比較したところ、顔が写っていないバナーのほうがクリック率が高くなりました。

顔が写っていない画像のほうがクリックされやすいのは、モデルの年代や容貌が曖昧になるからではないかと考えています。例えば、20代のモデルの画像を顔ありでバナーや広告に使用すると、30代や40代の方が見たときに「自分とは年代が違う」と感じてクリックしない可能性があります。また、容貌によっては、自分と雰囲気が異なると感じ、クリックしないかもしれません。

顔が写らないようにすることで、「この服が似合うのはこういう人」と年齢や外見のイメージを与えるのを避けられます。そこが、ユーザーのクリックしやすさにつながっているのかもしれません。

▲顔が写っていない人物写真の例。顔の写っていない画像を好んで使うWebメディアもあると言う(画像提供:スナップマート)。

風景写真 or 人けのある写真

※画像はすべてイメージ(Bの画像提供:スナップマート)

人けのある画像もよく購入されます。京都の写真を例に挙げると、私なら人ができるだけ写りこまないよう【A】のような写真を撮ろうとしていましたが、インターネット広告などでクリックされやすいのは【B】のような人けのある写真です。

弊社の20代のメンバーに聞いてみても、人が写っている【B】のような写真のほうがクリックしたくなるとのことでした。その場所に行ってどのような写真を撮れるのか、イメージしやすいからだそうです。これまでさまざまな風景写真を見てきましたが、発想が全く異なることに驚きました。

ある企業のWeb広告でスナップマートの同じ画像を使用し、人物あり・なしでクリック率を比較したところ、人物ありの画像のほうが、0.33%クリック率が高くなりました。わずか0.33%ですが、広告の配信数が多かったため、クリック数は大きく変わったそうです。

作りこまれた写真 or 作りこまれていない写真

※画像はすべてイメージ(Bの画像提供:スナップマート)

冒頭でもお話ししましたが、スタジオで撮影されたような作りこまれた写真よりも、生活の一部を切り取ったような自然な写真のほうがクリックされやすい傾向にあります。

例えば、上の【A】と【B】はどちらも起床のシーンを表すイメージカットで、【A】は色味が単一で物が少なく、スタジオのベッドルームで撮影したかのようなシンプルな写真です。

【B】のほうはやわらかい光で、色味や服装も含めて実際の生活の一場面のような写真です。

ちなみに、これまでのストックフォトサービスは、モデルが白い服を着ている写真が数多く見られました。「白を着ていれば無難だから」「黒は暗いイメージになってしまうから」などの理由が一般的ですが、実際の人は多様な色の服を着ているので、あまりリアルではありません。家族が全員白いシャツ…というイメージ画像も見受けられました。作りこまれていない写真を選びたいときは、モデルの服の色にも着目すると良いかもしれません。

※画像はすべてイメージ(Bの画像提供:スナップマート)

食べ物についても、上にある【A】のドーナツのようにしっかりとライティングされて作りこまれた画像より、【B】のように自然なライティングの画像のほうがSNSではクリックされやすいと思います。【B】は人の手が入っている点も、生活のワンシーンを切り取ったかのように見えるポイントです。

――クリックされやすい画像の具体的な特徴は「顔が写っていない」「人けがある」「作りこまれていない」の3つですね。ほかにスナップマートの画像を使用し、成果を上げた事例はありますか。

クリック率ではないのですが、広告経由の実売が増えた事例があります。

株式会社スタイルフォースが展開するカジュアルファッションブランド「THE SHOP TK」で、父の日向けにポロシャツを訴求するため、ブランドの公式LINEでバナー配信を行いました。スタイルフォースさんが持っていたモデルの写真で作成したバナーと弊社が提供した画像で作成したバナーの2つで訴求したところ、弊社の画像経由の売上額が約3倍高い結果になったそうです。

文字などの違いもあると思いますが、モデル写真で作成したバナーは写真のクオリティが高い一方で、目線やポーズなどが作り込まれている感じがしてしまいます。それに対し、スナップマートの画像は実際の親子写真ということもありますが、作り込まれた感じが少なく、リアルな生活のワンシーンのように感じられる点が良かったのではないでしょうか。

【クライアントの素材で作成したバナー画像】

【スナップマートの素材で作成したバナー画像】

▲「THE SHOP TK」がLINEの配信に使用したバナー画像。【A】よりも【B】経由のほうが、実売は3倍近くになったと言う(画像提供:株式会社スタイルフォース)。

画像を選ぶときのポイントと注意点

――ストックフォトサービスで画像を選ぶときのポイントを教えてください。

どのストックフォトサービスを使うべきかは、画像を使用する媒体とターゲットによって異なります。会社がすでに契約しているストックフォトサービスから画像を探すケースが多いかと思いますが、ターゲットと掲載する媒体の特徴から逆算し、適した画像があるサービスから探すのが良いでしょう。

例えばコーポレートサイトや雑誌の誌面に使用する場合など、ピクスタのようなストックフォトサービスで画像を探したほうが良いケースもあります。

また、最近はフリー素材を提供するサイトも充実してきていますが、権利まわりの確認はしっかりと行いたいところです。写真に写っている人の肖像権はクリアになっているか、それに関する記載はあるか、購入前にきちんと確認しましょう。

最後にこれは画像を探すときのコツですが、目的の画像が検索でうまく見つからない場合は、入力するキーワードをいろいろと変えてみてください。パソコンのイメージ一つにしても、「パソコン」「ノートパソコン」「PC」、海外なら「laptop computer」など、いろいろなキーワードで登録されていることがあります。探している画像がうまく見つからないときは、検索するキーワードを変えてみていただくと良いと思います。

――本日はありがとうございました。

Profile
岡 洋介(おか・ようすけ)
スナップマート株式会社 代表取締役社長
大学卒業後、エプソン販売株式会社を経て、2006年より創業直後のピクスタ株式会社にジョイン。プロデューサーやPIXTA ASIAの立ち上げ、コンテンツ部部長、QIGチームリーダー&サポートチームリーダーなどを経て、2018年5月よりスナップマート株式会社の事業責任者を務める。2019年1月より現職。
https://snapmart.jp/

佐藤綾美

記事執筆者

佐藤綾美

株式会社CINC社員、Marketing Native 編集長。大学卒業後、出版社にて教養カルチャー誌などの雑誌編集者を経験し、2016年より株式会社CINCにジョイン。
Twitter:@sleepy_as
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