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マーケティング

カスタマージャーニーマップはどう作る?作成方法と具体例

最終更新日:2022.04.29

カスタマージャーニーマップ(Customer Journey Map)は、自社の商品・サービスの購入を検討している顧客の行動を「見える」化したものです。マーケティングのフレームワークの一つであり、購買に至るまでの顧客心理の流れをつかんで最適なアプローチを行うために必要な思考を支えるツールとして活用されるのが一般的です。

マーケティング従事者ならカスタマージャーニーという言葉を一度は聞いたことがあると思いますが、実際に作成するのは、それほど容易ではありません。そこで当記事では、駆け出しのマーケティング従事者に向けて、カスタマージャーニーマップの基礎知識や活用方法、活用事例などを解説します。

目次

カスタマージャーニーマップの基礎知識

まずカスタマージャーニーマップの基礎知識からです。そもそもの定義や役割、目的について説明します。

カスタマージャーニーマップの意味

カスタマージャーニーマップは、顧客が商品・サービスを知り、興味を持って購入するまでの思考の流れを旅に例えて可視化したものです。基本的に図表として定型化されているので、社内外のチームで情報共有が可能です。カスタマージャーニーマップで設定する顧客行動は、認知から情報収集、購入まで顧客が思考するであろう流れに沿って作成されます。そのため、購入までのフェーズごとに最適なアプローチを行うことが可能です。

カスタマージャーニーマップとペルソナ設定

カスタマージャーニーマップの作成とペルソナ設定は、両者ともマーケティングにとって欠かせないものです。実在の顧客を想定したターゲットと違って、ペルソナは理想の顧客像を表します。まずペルソナを設定し、その後カスタマージャーニーマップを作成して、認知から購入までスムーズに思考や感情が流れるように作成しましょう。

カスタマージャーニーマップを作成する目的

認知から購入に至るまでの顧客の思考や感情の流れを可視化することで、どのフェーズでどのようにアプローチするのが適切かを社内外で関係するメンバーと共有するために作成されるのが一般的です。その上で、メンバーが顧客の購買行動を疑似体験し、それぞれのフェーズにおける課題解決を行うことで購入までのスムーズな流れを促します。

カスタマージャーニーマップを作成するメリットと注意点

カスタマージャーニーマップを作成することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。注意点とあわせてご紹介します。

メリット

・顧客理解につながる

カスタマージャーニーマップを作成して顧客の行動を俯瞰することで、顧客がどのフェーズで何を考え、どんなことを課題に感じて商品・サービスを購入するのかなど、成約につながるまでの行動が理解しやすくなります。アンケート調査やインタビューなどに基づくペルソナ設定とともにカスタマージャーニーマップをしっかりと作成し、メンバー間で購買行動に対する顧客意識の流れを共有しておきましょう。

・明確なKPI設定で売上増が期待できる

KPIとは、Key Performance Indicatorの頭文字を取った言葉で、「重要業績評価指標」と訳されます。売り上げや利益など最終的なゴールであるKGI(Key Goal Indicator、重要目標達成指標)を達成するまでの個々のプロセスを数値化し目標として設定したものです。例えば、ウェビナーの参加者数、ウェビナー開催に要したコスト、ウェビナー後のメルマガ登録者数など、顧客の思考、行動を予測しながらカスタマージャーニーマップの「認知」「興味・関心」「情報収集」などそれぞれのフェーズごとに細かくKPIを設定することで、各担当者のタスクが明確になり、顧客が購入に至るまでの精度を高められるでしょう。その結果、新規購入やリピート購入の増加に伴う売り上げ向上、解約率の低下などの効果が期待できます。

・業務の効率化を図れる

カスタマージャーニーマップはメンバー全員でシェアできるため、プロジェクト期間中にメンバーの認識がブレるのを防ぎ、業務効率化を図るのに役立ちます。KPIの進捗が芳しくないときも、可視化された課題をメンバー間で共有しやすいので、スピーディーな改善につなげられるでしょう。

注意点

・作成に時間がかかる

カスタマージャーニーマップを作成するためには、まず顧客の思考・行動を分析、推測して具体的な戦略を練る必要があるため、ある程度まとまった時間がかかります。状況によっては本来の業務が滞ってしまい、本末転倒になるおそれもあるため、時間と成果の兼ね合いをよく考える必要があります。ただ、多少時間がかかったとしても、メリットの多いカスタマージャーニーマップの作成をしっかり行うことで、確かな成果創出につながる可能性が高くなります。

・認識のズレが生じることがある

しっかりとしたリサーチに基づいて作成するものの、顧客の思考や行動を推測した上での作業であるため、結果として認識のズレが生じてしまうことがあります。設定したKPIの達成状況を見ながら効果検証を行い、改善すべき箇所は改善していきましょう。場合によってはカスタマージャーニーマップを作成し直したほうが、成果が上がるときもあります。

カスタマージャーニーマップの作成方法

カスタマージャーニーマップの具体的な作成方法を必要なステップに分けて解説します。あらかじめカスタマージャーニーマップを作成する目的とゴールを決めておくとともに、ペルソナを設定しておくことが大切です。

作成前に行うこと

ペルソナはなるべく詳しく、かつ複数設定しましょう。その際、作成担当者は想定する顧客になるであろう人たちへのヒアリングやアンケート調査、顧客と直に接することになる社内担当者らの意見を基に、年齢・性別・名前・居住地・職業・年収・家族構成などの基本情報だけでなく、趣味・休日の過ごし方・情報収集の手段といった項目についても具体的に決めておくのが大切です。

あわせて、作成したペルソナごとに「新商品の機能性を認知してもらう」「問い合わせや来店の数などのコンバージョンを増やす」「売り上げを上げる」などの目的や、具体的な数値目標のゴールを決め、そこから逆算する形でカスタマージャーニーマップを作成していきます。

作成手順

▲カスタマージャーニーマップの例。

・横軸にフェーズを記載する

下記はシンプルな例です。実際には商品・サービスによってさまざまなカスタマージャーニーマップを作成します。

まず、横軸にフェーズを記載します。

  1. 認知
  2. 興味・関心
  3. 比較・検討
  4. 購入
  5. 評価・継続

順番に意味を説明します。

1.認知

自社、または自社の商品・サービスの存在を知ってもらう段階です。例えば、たまたま見ていたテレビやYouTubeでCMを見たり、困り事があってWebやSNSで検索していたら商品が目に入ったり、知人からおすすめされたりと、さまざまなケースが想定されます。

2.興味・関心

認知した課題などに対して、良い解決策がないかを深掘りして調べているフェーズです。興味・関心を持ったユーザーは、どんな商品・サービスなら自分の課題を解決してくれるかを調べるため、積極的な情報収集を行う傾向があります。そのため、自社サイトを訪れたユーザーの興味・関心に合ったコンテンツを作成するなどして、さらに興味・関心を深めてもらえるようにナーチャリングを行います。

3.比較・検討

自社の商品・サービスに興味・関心を持ったユーザーが、価格・品質などの点で他社に代替できるものがないかを調べるフェーズです。ここで自社の特徴や魅力をマーケター、セールスらが協力してユーザーに伝え、購買を促します。

4~5.購入。評価・継続

他の選択肢を検討した結果、自社の商品・サービスを購入した顧客は、実際に使用して満足感、課題点などを評価します。評価が高ければ継続使用するためにリピート購入してくれますので、顧客へのアフターフォローが重要です。

上記を基に、プロジェクトのメンバー全員でユーザーの思考や行動を考え得る限り抽出し、カスタマージャーニーマップのフレームワークに落とし込んでいきます。決まった作り方があるわけではありません。ただし、思い込みや先入観は排除すべきで、定性調査や定量調査を通して作成しましょう。ベルソナ同様、設定するのは架空の顧客の思考や行動なので、自分自身や親しい人物を過度に反映させないようにしましょう。なお、この注意点についても担当者間で注意喚起しておくことが大切です。

・顧客行動を設定する

カスタマージャーニーマップの縦軸には、「行動」や「タッチポイント」「思考」「感情」などが入ります。行動の行には、設定したペルソナの行動を推測し、自社の商品・サービスの購入まで誘導するイメージで書き出します。まず「認知」のフェーズから順番に設定していきましょう。その際、マーケター、セールス、プロダクト開発担当などプロジェクトの担当者全員で出し合った意見や考え方を共有し合っておくと、抜け漏れを防ぐのに役立ちます。全員が一旦全てを出し切ったところで、顧客行動のまとめに入ります。

・タッチポイントを設定する

タッチポイントとは、顧客接点です。企業が顧客と接する機会をいい、例えば企業のWebサイトやコンテンツ、SNS、広告などが該当します。つまり、顧客が購入の前後に目にするものです。

これらについて、洗い出しの作業をしていきましょう。フェーズごとの顧客行動を可視化するため、タッチポイントにおいてもフェーズごとに細かく推測する必要があります。「比較・検討」のフェーズであれば、ユーザーが自社商品と他社商品を比較する場面を想定します。例えば、自社のWebサイトや口コミサイト、動画などが考えられるでしょう。

・顧客の思考と感情を整理する

顧客がフェーズごとにどのように感じ、何を考えているのか、ペルソナの視点で思考や感情を具体的に推測し、書き出します。ポジティブな要素だけでなく、ネガティブな要素も漏れなく挙げるのがポイントです。

・想定される課題、施策を検討する

出し切った意見をカスタマージャーニーマップにマッピングできたら、現状の課題、その課題に対するマーケティング施策を検討します。フェーズごとに記載した顧客の思考や感情の中に、次のフェーズに進むのを躊躇する可能性のある課題が出てきたら、どのような対策を講じるか検討し、カスタマージャーニーマップに記載していきましょう。

例えば、「比較・検討」の際に、競合の商品と比較したり、知人などの意見に左右されたりして、自社商品の購入に至らない可能性があるとします。そうした場合、想定される課題を克服し、次のフェーズにスムーズに進んでもらう方法の検討が必要です。自社の商品・サービスの優れた点を伝え、競合よりも顧客の課題解決に役立つと認識してもらうための工夫が求められます。

カスタマージャーニーマップの活用事例

実際にカスタマージャーニーマップを作成してみましょう。ここでは2種類の例を取り上げます。

例1:衣装の購入

  • 作成者:衣装の販売会社
  • ペルソナ:子ども(女児)の発表会衣装を購入予定の母親
  • フェーズ:商品検索・比較検討・購入・評価の4つ

▲イメージ。

顧客行動の流れ

・商品検索

ペルソナの母親が、検索エンジンで「発表会 衣装 女の子」などのキーワードを検索するところからスタートします。その結果、検索上位にランクインしていた自社のECサイトが母親の目に留まり、実際に商品ページを訪問しました。

・比較検討

自社商品の指名検索ではなく、「おすすめ」などの検索結果で自社商品を見つけても、すぐに購入してくれるわけではありません。予算と商品の金額を比較し、自社商品と競合商品の比較検討を行うはずです。また、予算や好みと合致した場合でも、購入前に衣装の販売会社の評価が気になり不安になることもあります。その際は「会社名 評判」「商品名 評判」などで評価や口コミの確認を行うと考えられます。

・購入

企業の口コミや評判が良好で、デザインも気に入った、しかも予算内――であれば購入に進む可能性が高いでしょう。その前に家族や友人、知人らに金額の相場や衣装の傾向、デザインの良しあしなどを相談しているかもしれません。ほぼすべての条件をクリアすると、安心して購入できます。

・評価

実際に商品を使用した後、子供や母親の満足度が高ければ、その商品を友人に勧めてくれるかもしれませんし、再度衣装が必要になった際、リピート購入する可能性もあります。企業側は一定期間後、母親に手紙やメールを送って、満足度調査のアンケートを取ったり、その他の自社商品のラインナップを送ったりして、良好な関係を継続しておくことが大切です。

例2:旅行

  • 作成者:旅館の経営者
  • ペルソナ:友人と贅沢な北海道旅行がしたい30代女性
  • フェーズ:宿泊先の検索・宿泊先の比較検討・宿泊先の予約・宿泊先に行く・評価の5つ

▲イメージ。

顧客行動の流れ

・宿泊先の検索

観光地目当てではなく、北海道という場所と宿泊先の旅館のクオリティを重視した30代女性のカスタマージャーニーマップです。まずは「北海道 高級 旅館」などで検索し、宿泊予約サイトを開きました。場所や条件を細かく設定すると、口コミ評価4.6以上の旅館を見つけることができました。

・宿泊先の比較検討

他の旅館も比較対象として検討します。高級旅館に限定して検索したものの、実際は写真通りなのかという不安もあります。そこで、比較対象の旅館を含め、口コミや掲載写真、YouTube動画などを確認し、検討しました。心理的には、贅沢旅行、すなわち高額出費を前提にしているため、費用対効果が気になります。そのため、楽しみで仕方ないという高揚感とともに、旅館選びで失敗して残念な結果に終わりたくないという複雑な感情が入り混じっているでしょう。

・宿泊先の予約

動画で見た内装や料理に魅了された旅館に決定、予約します。

・宿泊先に行く

実際に予約した旅館を利用します。利用中には、美味しい料理や豪華な温泉、露天風呂を堪能できただけでなく、旅館のおもてなしやスタッフの心遣いに感動しました。

・評価

女性は帰宅後、InstagramやFacebookなどのSNSに写真を投稿、親しい友人におすすめするなど、何日も旅行の余韻に浸っています。

カスタマージャーニーマップは顧客体験を理解するうえで欠かせないツール

カスタマージャーニーマップは、顧客視点で自社の商品・サービスの購買行動を理解するために必要なツールです。商品・サービスのローンチ前に必ず作成して検討するのはもちろん、売れ行きが思わしくない場合は、カスタマージャーニーマップの流れに無理な点や見落としていた課題がないか、フェーズごとに検証して課題解決に取り組むのが良いでしょう。顧客視点を原則として1つのストーリーのようにスムーズに流れるカスタマージャーニーマップを作成することで、大きな成果創出が期待できます。

記事執筆者

Marketing Native編集部

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