[最終更新日]

2019/10/09

 

【新連載】若手キーパーソンを直撃!テテマーチ福間昌大に聞く、ファンの熱量をマーケティングに活かす方法

TwitterやInstagram、YouTubeなどのSNSを活用したマーケティング施策が注目されています。SNSマーケティングを事業とする支援会社は数多くありますが、その中でもTwitterでひと際見かける機会の多い企業名の一つが、テテマーチ株式会社ではないでしょうか。

そのテテマーチの代表的メンバーとも言えるのが、コミュニケーションデザイン室室長の福間昌大(ふくま・まさひろ)さんです。大のTwitter好きで自身の個人アカウントは6,000人以上のフォロワーを抱え、数多くのクライアントにSNSマーケティングの提案を行い、成果を上げてきました。

新しくスタートする本シリーズでは、ECとデジタルマーケティングを得意とするANAP子会社CMO/Narcissist ,Inc. CEOの駒宮直樹が、成果を上げているマーケティング担当者に気になるテーマを直撃し、「明日から使えるマーケティングTips」をご紹介します。今回はテテマーチの福間さんに、盛り上がりを見せるSNSマーケティングの現状と課題やフォロワーの熱量に応じた施策について伺いました。
(聞き手:駒宮直樹、構成:Marketing Native編集長・佐藤綾美、撮影:稲垣純也)

    

目次

SNSで重視すべき数値はフォロワー数だけではない

駒宮 最初に、これまでの経歴と、テテマーチでの仕事内容を教えてください。

福間さん(以下、福間) テテマーチの前は、2016年末まで1年半くらいMacbee Planet(マクビープラネット)というWebの広告代理店で働いていて、2017年1月にテテマーチに入社しました。

テテマーチはSNSを活用した企業のマーケティング支援を行う会社です。最初は営業だったので、SNS関連で企業にいろいろな提案をしてきました。特に多かったのは、Instagramアカウントの運用です。ハッシュタグ投稿キャンペーンやインフルエンサーを活用したプロモーションなどを行ったほか、Instagramのアカウント運用から派生してTwitterを担当することもありました。

企画書の作成や企業への提案は今も引き続き行っていますが、最近は自社の広報活動も兼任しています。具体的には、インフルエンサーマーケティングに特化した企業などと一緒にセミナーを開催したり、「マーケについて語る夜」(※1)のようなイベントを企画したりしています。

また、外部講師を招いて「テテマーチ勉強会」という社内勉強会も定期的に開催しています。社内メンバーだけでなく社外の人も参加OKにしていて、先日はすがけんさん(菅原健一さん)にマーケティングの話をしてもらいました。参加者にイベントのハッシュタグ「#テテマーチ勉強会」を付けて情報を発信してもらえるほか、社内と社外の人が交流するきっかけにもなっています。

※1:2019年3月5日に東京で開催され、約100名の若手マーケターが参加したディスカッションイベント。福間さんのほか、菅原健一さんやコメ兵の藤原義昭さん、アドウェイズ マーケティングの松尾亮さんらが登壇した。

駒宮 テテマーチ勉強会経由で案件獲得につながることはありますか?

福間 テテマーチ勉強会がどこまで影響しているかはわかりませんが、間接的にはありますね。テテマーチ勉強会や他社との共催セミナーの内容をTwitterで発信したり、社内のメンバーが個人アカウントでマーケティングについてツイートしたりしているおかげで、事業会社と支援会社の両方の人たちにテテマーチがSNSマーケティングに詳しい企業だと認知され始めています。お仕事の依頼が来て、やり取りが進んでいる案件もあります。

駒宮 いいですね。では、福間さんがこれまでSNSマーケティング案件に携わってきて、課題に感じていることを教えてください。

福間 SNSマーケティングでは、第一目標の指標がフォロワー数になってしまうことがあり、そこが課題の一つだと思っています。SNSマーケティングはSNSのアカウントの運用だけだと思われがちです。実際はアカウント運用だけがSNSマーケティングではなく、話題づくりをしたり、UGCを増やしたりすることも施策に含まれます。

SNSはインタラクティブなコミュニケーションができるので、一方的に情報発信するだけでなく、フォロワーとコミュニケーションを取るうえでも有効なツールです。だから、エンゲージメント(※2)を重視しないといけないのですが、その辺りがまだ企業の上層部の方々に十分理解されているとは言えません。もちろん、フォロワー数を指標にすることも大事なのですが、見るべき指標はそれだけではないんです。

※2:ユーザーが投稿に対して反応した回数を指す。Twitterの場合は、ツイートへのクリックやリツイート、リプライ、フォロー、いいねの数が計算される。

駒宮 フォロワー数以外で、「ここは見たほうがいいな」という具体的な指標はありますか?例えば、コミュニケーションをインタラクティブにするうえでファンに対するリプライは100%返したほうがいいとか…行動ベース、もしくはエンゲージメントベースで何かありますか?

福間 正解はないのですが、例えばTwitterなら、目的によっては「いいね」数やリプライ数を追っていく運用もありだと思います。

あと、Instagramのアカウントだったら、コメント数と保存数も見るべきです。特に保存数を増やすことが重要で、保存数が伸びると、「いいね」数やコメント数などのエンゲージメントも上昇する傾向にあります。Instagramユーザーの多くは投稿を見たときに挨拶感覚で「いいね」をすることがあり、「あとでもう一度見たい」と思った投稿は保存するんです。つまり、保存されているということは、ユーザーにとって役に立つコンテンツを発信できている証拠なので、弊社の支援しているアカウントでも保存数が伸びるとほかのエンゲージメントも伸びるという傾向が見られます。

駒宮 動画などは特に保存している人が多いですよね。

福間 そうですね。「動画がいい」というよりは、最近Instagramではハウツーなどのお役立ちコンテンツが流行っており、それに適した形として動画が当てはまるのだと思います。動画のほうが情報量を多くできますから。

駒宮 なるほど。「フォロワー数ばかりに焦点が当たりがち」という以外に課題はありますか?自社が営業するうえで課題に感じているところとか…。

福間 SNSにおける施策が売り上げに最終的にどう貢献するのか、数値をなかなか追えないので、企業のマーケティング担当者の中には「上長をどう説得すればいいか」と悩んでいる人が少なくないと思います。「いいね」数やリプライ数など別の数値も追うべきだと本質的にはわかっていても、それが理解されにくいとなると、「フォロワー数をこれだけ伸ばします」と言ったほうが、上長の承認を得やすいですよね。だから、どうしてもフォロワー数が目標数値になりがちです。

例えば、「フォロワー数以外の数値を見るべき」ということを理解してもらうために、上長の方々にセミナーやイベントに参加してもらう機会などが今後増えていくと、社内での理解も深まるかもしれません。

また、生活者とのコミュニケーションによるSNSでの成果を短期的には証明するのは難しく、半年もしくはそれ以上のスパンを見ていく必要があります。でも、企業のマーケティング担当者は短期的な成果のほうが自身の実績にしやすいので、2~3年後を見据えた施策はなかなか受け入れられない、という傾向もある気がします。

駒宮 確かに、そうですね。2~3年と言うと、テテマーチでも同じ案件を担当し続ける人は少ないんじゃないでしょうか。SNSを活用したマーケティングは長期育成型で、短期的に売り上げには直結しない場合が多いので、中長期でどのような形にしたいか見据えることが大事ということですね。

フォロワーの熱量が高いYouTuber

駒宮 エンゲージメントが大事という話がありましたが、僕のTwitter、「いいね」が付くのは本当にどうでもいい内容なんですよ。

福間 僕もビジネス寄りの内容に比べて、どうでもいい情報のほうが結構エンゲージメントが高いことがあります。これはピンプリ(一人で撮るプリクラのこと)を撮って投稿しただけなんですが、結構「いいね」が付きました(笑)

駒宮 その人のキャラもあるかもしれませんね。福間さんはどちらかというとTwitter芸人のポジションですし(笑)

ちなみにTwitterも含め、Instagram、YouTubeなどSNSによってメディアの特性が異なるのはもちろんですが、フォロワーの熱量に違いはありますか?

福間 僕が見ている中では、YouTuberのフォロワーは熱量が高い傾向にあります。しかも、YouTuberはたいていTwitterもInstagramもアカウントを持っていますが、マルチチャネルでSNSをやっている人ほど、フォロワーの熱量が高いようです。いろいろなメディアを通して、その人の人柄みたいなものを見ることができるからだと考えています。

YouTubeの利用者は若年層が多いので、たいていのYouTuberのフォロワーも若い人が多くを占めるのではないでしょうか。これは僕の個人的な考えですが、若い人のほうが何かの熱狂的な信者になりやすいと思うんです。だから、YouTuberのフォロワーは熱量が高い。それに、YouTubeは動画で声を聞いたり、動いているところを見たりできるので、先程も少し触れましたが、投稿者の人間性が伝わりやすく、ファンになりやすいんだと思います。

例えば、ファッションモデルでYouTuberの佐藤ノアさんは、「InstagramYouTubeTwitterそれぞれでしか見られない私があるよ」という感じで、発信するコンテンツをすべて分けるようにしているそうです。

駒宮 同じ人でも各SNSで趣向を変えているんですか。

福間 そうですね。あと、僕の超推しで「にゃんたこ」 という女性YouTuberがいるんですが、動画のスタイルがすごく新しくて、人間味も出ているのでファンがたくさんいます。

例えば上記は料理動画ですが、よく見ると料理と全然関係ない内容の字幕が入っているんです。「あんなに長かったパンが摩耗されすぎてしまいました」「人間と、同じだね」みたいな、文学的なコメントが字幕として入っています。もともと彼女は文学少女で、村上春樹やメルヴィルの『白鯨』なんかを学生時代からずっと読んでいて、文才があるんですね。

駒宮 料理上手なわけではなさそうだけど、面白いですね(笑)

福間 そう、上手ではないです。基本的には「人間なんかくだらないけど、それでもこの世界で生きていく」みたいなスタンスで、毎日お酒を飲んで酔っ払っているような人です。でも、「てんちむ(※3)」のような有名なYouTuberにもファンが結構います。

「にゃんたこ」は、上記の動画で再生回数が跳ねてからファンが付いて、最近ではFPS(※4)の実況動画も始めています。彼女が発信するコンテンツだったら、ファンは何でもいいわけです。例えば、料理特化型のインスタグラマーだったら、その人が作る「料理」というコンテンツにファンが付きます。もちろんそのコンテンツのファンも熱量は持っていますが、インスタグラマー自身に対しては熱量が低くなりがちです。「にゃんたこ」の場合、実用性のある動画ではないですが、この人の人間性自体にファンが付いているので、彼女が何をしてもウケるんですよね。僕のピンプリの話に戻りますが、これは普段から僕がおふざけキャラで、そうした人柄を理解されているので、「いいね」が多く付いたんだと思います。

※3:チャンネル登録者数87万人超の女性YouTuber。
※4:ファーストパーソン・シューティングゲーム。主人公の視点でゲーム内を移動し、操作するタイプの3Dアクションシューティングゲームを指す。

一方で、一概には言えませんが、Instagramだけやっている人のフォロワーは熱量が低い傾向にあると思います。ストーリーズやライブ動画を除き、基本的には写真とテキストのみのコミュニケーションになるので、投稿者の内面を見せるには工夫が必要です。だから、画像とテキストだけでもすごく癖があって、人間味のあふれる人だったらファンが付くと思います。もし、それが難しければ、ストーリーズを投稿したり、ライブ配信でフォロワーとコミュニケーションを取ったりしてもいい。Instagramの中でその人の人間性が見えればいいんです。

例えば、「きらめく星のなったん」という女性のInstagramは、かわいい写真からは予想もつかないコメントが書いてあります。それがめちゃくちゃ面白くて、投稿に人間味が出ているので、この人自身にファンが付いているんです。

画像出典:@nattan0504

※クリックすると、投稿が見られます。

インフルエンサーとディフューザーの使い分けが重要

駒宮 ファンの熱量を応用したマーケティング手法はありますか?

福間 そうですね、インフルエンサーを起用したマーケティングが当てはまると思います。商品の認知を広げたいのか、それとも買わせたいのかによって、フォロワーの熱量が高いインフルエンサーと、フォロワー数は多いけれどファンの熱量が高くないインフルエンサーを使い分けるんです。

フォロワー数は多いけれど付いているファンの熱量が高くない人の場合、その人がモニターとして商品について投稿すると、ユーザーに商品のことは知ってもらえても、購買にはあまり結びつきません。つまり、拡散はするけれど、影響力はない。そのため、商品の購買につなげたいのであれば、フォロワーの熱量が高いインフルエンサーを起用し、認知度を上げたいのであれば、フォロワー数は多いけれど付いているファンの熱量が高くないインフルエンサー何名かにサンプルを送って露出を増やすのがいいと思います。

僕は、インフルエンサーマーケティングというキーワードはアップデートされるべきだと考えています。「インフルエンス」は「影響」という意味なのに、ユーザーに影響力を与えられていないインフルエンサーマーケティングが多いと思うんです。今多くのインフルエンサーはインフルエンサーではなく、「拡散者」を意味する「ディフューザー」なのではないでしょうか。そのため、僕は「今ある多くのインフルエンサーマーケティングは、ディフューザーマーケティングではないか」という説を唱えています。

駒宮 商品の認知度を上げるなら、ディフューザーを起用してInstagramやTwitterで情報を拡散させる。商品を購入してもらうなどユーザーの行動変容を求める場合は、YouTuberのようなフォロワーの熱量が高い人を起用すると良さそうですね。

SNSが起点でなくても、いいコンテンツが拡散する時代が来た

駒宮 マーケティング担当者向けに、SNSマーケティングに取り組むうえで大切なことを教えてください。

福間 まず、SNSを使ったマーケティングをやるなら、マーケティング全体の勉強もきちんとして、理解しないといけません。本来、SNSマーケティングというものは存在しなくて、マーケティングの中にSNSを活用した手法があるというだけです。

それから、最近とても重視しているのが、発信するコンテンツの内容です。どうすれば拡散するかというテクニックに関係なく、本当に自分たちがいいと思ったものを作れば、たくさんの人たちに知ってもらえる時代になってきていると感じています。

例えばSEOも、検索順位を上げるために記事を大量生産していた時代から、コンテンツの中身をしっかりと作っていく流れに変わっています。Twitterの場合は、リツイートしてもらうために「#RT希望」とハッシュタグで付けるなどの手法がありましたが、今は誰かが「いいね」をすると「○○さんがいいねしました」とTL(タイムライン)で表示されて拡散するようになっています。

駒宮 そうした中で、福間さんは今後どうしていきたいと考えていますか?

福間 SNSマーケティングを行う上での事象の起点がSNSだけではなくなってきているので、TwitterやInstagramなどにとらわれずにクリエイティブを作れる人になりたいと個人的には思っています。

最近の例で言うと、オイシックス・ラ・大地が「クレヨンしんちゃん」とコラボして埼玉県・春日部駅に掲載した交通広告(※5)がバズりました。おそらく春日部駅の交通広告に掲載していたのを誰かがTwitterで発信して、それが共感を得て広がり、最終的にはマスメディアにも取り上げられたという形だと思います。この事例によって、企業がSNSでコンテンツを発信しなくても、いいものを作ればユーザーによってきちんと広がっていくことが証明された気がします。

SNSで何かを流行らせたい、コンテンツを広げたいとなったときに、「SNSで何かをしないと」と思われがちですが、コンテンツが良くなければ拡散しないので、SNSだけにこだわらないことがすごく大切なんです。僕も、多くのユーザーの心を打ち、SNS上で自然と広まっていくような、素晴らしいクリエイティブを作れる人になりたいです。

※5:食品の宅配サービス「Oisix」が2019年8月26日から9月1日まで1週間限定で埼玉県・春日部駅に掲載した交通広告。夏休みの家事や育児を終えた母親たちに向けたメッセージを「クレヨンしんちゃん」のイラストとともに掲載し、そのメッセージが「泣ける」としてTwitter上で大きく話題となった。

駒宮 ユーザーにとって有益だったり、印象的だったりするコンテンツをしっかりと作っていればきちんと評価される時代になったのは、SNS自体の機能が成熟してきて、きちんと拡散される仕組みができたからでもありますよね。

福間 そうですね。あと、SNSを取り巻くマーケットは新しい業界なので、いろいろな人が情報交換できる場をつくり、業界全体を盛り上げていきたいと思っています。そのためにも、テテマーチのメンバーはTwitterで発信を続けますし、いわゆる競合とされる企業にもイベントに来てもらって垣根なく活動したいです。

駒宮 本日はありがとうございました!

【Profile】
福間昌大(ふくま・まさひろ)
株式会社Macbee Planetに勤めた後、2017年1月にテテマーチ株式会社へ入社。現在は社内のメンバー個人のSNS運用を推進するコミュニケーションデザイン室室長を務める。個人では「#KOTOBAE」「#どちゃくそついったらー会」「#若手うぇぶまーけ会」「#HeiseiChillDren」など、様々な個人企画を主催している。アドテック東京2019 CK10 『U30が語る、これからのコンテンツ作り』公式スピーカー
Twitter:@fukuma1023

テテマーチ株式会社
Instagram分析ツール『SINIS』や、SNSを軸にした企業のマーケティング支援を行う。
所在地:東京都品川区
https://sinis.jp/

【聞き手】
駒宮直樹(こまみや・なおき)
広告代理店からキャリアを始め、SHOP LISTのWebマーケティング責任者、EC事業立ち上げを経て、ANAP子会社CMOとフリーコンサルタントを兼業。2019年3月にNarcissist ,Inc.を設立して代表取締役CEOに就任。自称イケメンであり、ナルシストマーケターを名乗っている。
Twitter:@KomamyDX

記事執筆者

佐藤綾美

佐藤綾美

株式会社CINC社員、Marketing Native 編集長。大学卒業後、出版社にて教養カルチャー誌などの雑誌編集者を経験し、2016年より株式会社CINCにジョイン。Twitter:@sleepy_as

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