学習塾事業を展開する株式会社花形が運営する「総合型選抜専門塾AOI」は、総合型選抜に特化したYouTube「AOIチャンネル」の運営を2019年1月から開始し、今年9月に登録者数1万人を突破した。コロナ禍により、受験生・保護者ともに、入試情報をYouTubeで収集するトレンドが加速した結果と言える。
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総合型選抜を中心に大学入試情報をYouTubeで発信
総合型選抜専門塾AOIのYouTube「AOIチャンネル」では、専門塾であるAOIのノウハウを活かし、総合型選抜(旧AO入試)をメインとした大学入試情報を全国の受験生へ発信している。総合型選抜とは、大学受験方式の一種で、学力だけではなく受験者の「人間性・学習意欲・課外活動」などを重視し、大学のアドミッション・ポリシー(求める理想の学生像)に合致した受験生が合格できる入試形態。この方式を用いた入学者数は年々増加傾向にある。
今後も拡大が予想される総合型選抜だが、一方で「受験対策の機会不平等」が問題視されている。正解のない総合型選抜は、一般選抜(旧:一般入試)のように合格基準や対策方法が明確でないため、専門塾での対策が主流となっており、居住地や経済的問題で諦める受験生も多いと言う。また、学校においても対策基盤がなく、教師への業務圧迫も問題になっている。
そこで、総合型選抜専門塾AOIを展開する株式会社花形は、教育格差を是正すべく、映像配信サービス「Mushroom」やオンライン添削サービス「QuickCheck」を展開、さらに、総合型選抜に関する指導補助教材プログラム「AOI for Teachers」を全国の高校教員へ無償提供するなどしている。YouTubeもそうした施策の一つで、2019年1月1日より動画投稿を開始。
YouTubeにおいて教育系のチャンネルは数多く存在し、注目されている分野でもあるが、その中でもAOIチャンネルは、総合型選抜を専門とするチャンネルとして最多の登録者数を誇ると言う(株式会社花形調べ)。
受験生・保護者ともにYouTubeで情報収集を行う人が増加傾向に
AOIチャンネルの登録者数は、2021年7月から9月にかけて大きく増加し、2021年9月においては、2019年9月と比較して約9.7倍の登録者数となった。受験生・保護者ともに、新たな入試形態への理解を深める必要があるのに加え、新型コロナウイルス感染症の拡大とそれに伴う第4回緊急事態宣言(2021年7月12日~9月30日)の影響で、高校や予備校に足を運びづらくなったことが、YouTubeでの情報収集に拍車をかけた模様。
AOIチャンネル 登録者数変化
受験生:YouTubeを活用し、受験対策
学力だけでなく、受験生のこれまでの経験や将来ビジョンを含めて総合的に評価される総合型選抜(AO入試)では、多くの大学の出願日が9月に固まっており、受験生は7月〜8月に出願に向けて対策し始める。今年はその時期に緊急事態宣言が発出されていた影響で、受験生が高校や予備校で対策を行うハードルが高くなっていた。このような背景から、YouTubeで大学受験の勉強をする受験生が増加傾向にある。
保護者:YouTubeで総合型選抜の情報を収集
AOIチャンネルの登録者の情報から、受験生の保護者世代を含む「35歳〜44歳・45歳〜54歳・55歳〜64歳」の登録者数を比較すると、2019年から2021年の約2年半で1.5倍に増加。
新型コロナウイルス感染症の影響などにより、保護者が高校へ出向いて教員に相談しづらくなったことはもちろん、総合型選抜(旧AO入試)の情報を持つ人が周りに少ないことから、YouTubeで情報収集を行う人が増えたと考えられる。AOIチャンネルの動画のコメント欄には、保護者と思われる人からの質問などが寄せられていると言う。
AOIチャンネル 保護者世代の視聴者層変化