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経営コンサルティング会社A.T. カーニー論考「製造業に迫りくる、サブスクリプション・ビジネスモデルの波に乗る」 要旨

最終更新日:2021.12.16

経営コンサルティング会社A.T. カーニーは、ドイツのフラウンホーファー研究機構(IFF)との共同調査をもとにした論考の日本語版「製造業に迫りくる、サブスクリプション・ビジネスモデルの波に乗る」 を、同社Webサイトで公開した。

本論考は、グローバル・ウェブサイトで公開中の英文論考を日本語に訳したもの。5章で構成されている論考では、A.T. カーニーの様々な分野での取り組みに基づいて、成功の秘訣をまとめている。ここでは、その一部を紹介する。

目次

論考の要旨

サブスクリプション・ビジネスモデルのトレンドは、多くの伝統的な製造業の企業がビジネスモデル(の一部)を変革するきっかけとなった。このような付加価値のあるサービスは、“インダストリアル・IoT”や“インダストリー4.0”の技術的進歩によって実現されるが、多くの企業がその可能性を十分に引き出せずにいると言う。

そこでA.T. カーニーは、ドイツのフラウンホーファー研究機構(IFF)と共同で、製造業と顧客の視点から機会とリスクを検証することを目的に、サブスクリプション・ビジネスモデル利用に関する調査を実施。本論考はその調査結果をまとめたものである。

以下、5つの章それぞれの要旨を紹介する。

1. 新しいビジネスモデルに適応するB2B製造業プレイヤー

かつて、顧客はハードウェア・アセット(製品)を購入、所有し、そのライフサイクル全体にわたって運用していた。しかし現在、サプライヤーは、顧客に代わって保守サービスやオペレーションを行うサービス・アンド・オペレーター・モデルにより、顧客との関係を継続させている。このB2B製造業におけるサブスクリプション・ビジネスモデルの活用の流れは、様々な要因で加速している。

2. サブスクリプション・ビジネスモデルは、双方にメリットがある

サブスクリプション・ビジネスモデルは、サプライヤーにとってデータを用いた顧客価値向上と財務改善の点でメリットがある。一方顧客は、カスタマイズやメンテナンスを気にする必要がないほか、カスタマイズなどの追加サービスを通じた生産性の向上が見込める。

3. サブスクリプション・ビジネスモデルでは、サプライヤーと顧客のバリューチェーン全体で新しい能力が求められる

製造業においてサブスクリプション・ビジネスモデルを活用するのであれば、持続的に収益を上げるために、全く新しい機能とプロセスが必要になる。サプライヤーは販売、財務、社内文化の点で、顧客は製造、調達、サプライヤーとの共同作業に対する姿勢の点で、それぞれ新たな仕組みを作ることが成功の鍵である。

4. 成功への障壁を乗り越えて

サブスクリプション・ビジネスモデルは、サプライヤーや顧客にとって大きなメリットがあるが、その設定や導入には困難が伴うこともある。

サプライヤーにとって特に課題となる点は、以下の3つ。

  • サブスクリプション・ビジネスモデルに適した製品を特定すること
  • これまでとは全く異なる方法でアセットを記録・計上すること
  • 財務・業務面で顧客を厳格に審査する仕組みを作ることと、適切な価格設定の指標を特定すること

一方、顧客にとっての課題は、次のように挙げられている。

  • 生産の責任をサプライヤーに委ねること
  • サプライヤーとのデータ共有範囲を厳格に管理すること
  • サプライヤーを自社のプロセスに統合してコスト面での優位性を確保する仕組みを作ること
    など

5. まずはここから始めよう

サブスクリプション・ビジネスモデルを導入するにあたって、まずは常に顧客を中心に考え、パフォーマンスの継続的な向上に焦点を当てた価値提案を行い、デジタル化を進めることを前提に、リーンな製品を提供してアイデアを素早く検証することから始めるとよい。新たな提供価値を特定すれば、サプライヤー・顧客双方の観点から、サブスクリプション・ビジネスモデルに最適な製品をピンポイントで見つけることができる。次に、適切な機能を構築し、価格メカニズムを定義する。提供対象を決定した後は、ソフトウェア開発などのテストプロセスを経ることになる。

多くの顧客は、“インダストリー4.0” の継続的な利益を得るために、思考を転換していくだろう。製造業界のサプライヤーは、売り上げのうち定期購入モデルに移行する部分の目標設定が必要だ。

論考(日本語版)の全文はこちら

A.T. カーニー株式会社

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