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マーケティング

MRRとは?計算方法と構成する4つの要素、類似する用語との違い

最終更新日:2022.02.09

「MRR」とは毎月決まって計上される収益を表す言葉です。継続的な売り上げが発生するサブスクリプション型のビジネスにおいて重要視される指標の1つで、ビジネスの成長性を予測する際などに用いられます。具体的にはどのように算出するのでしょうか。

この記事では、MRRについて詳しく知らない方に向けて、MRRが重要視される理由や計算の仕方を紹介します。

目次

サブスクリプション型のビジネスで重視されるMRRとは?

MRRは「エムアールアール」もしくは「マンスリーリカーニングレベニュー」と読みます。MRRには4つの種類があり、それぞれ意味が異なります。

MRRの定義

MRRは「Monthly Recurring Revenue」の略称です。日本語で月間経常収益(または月次経常収益)のことで、企業に毎月決まって生じる収益を意味します。そのため、初期費用や突発的な収益は含めません。

MRRの増加に関わる要因としては、新規顧客の獲得やアップセル(上位商品の購入やアップグレード)、クロスセル(関連商品を購入してもらうこと)が挙げられます。一方で、MRRの減少に関わる要因は、解約や退会、ダウンセル(下位商品の購入)です。

MRRの4つの種類

MRRにはNew MRR、Downgrade MRR、Expansion MRR、Churn MRRの4つがあります。

・New MRR

New MRRとは、新規顧客から得られる月間経常収益のことです。例えば10人の新規顧客が1カ月10,000円のプランに加入した場合は、100,000円(10,000円×10人)のNew MRRとなります。新規顧客を対象としている数値のため、主に事業の創業期に重視されます。

・Downgrade MRR

Downgrade MRRとは、上位の料金プランから下位の料金プランに切り替えるなどの理由で、先月よりも減少したMRRのことです。例えば、10人のサービス利用者が30,000円のプランから10,000円のプランに切り替えた場合は、200,000円(20,000円×10人)のDowngrade MRRとなります。

下位プランに切り替えたことでユーザーの顧客満足度が向上し、解約を防止できているならば、良いダウンセルと言えます。しかし、利用頻度や満足度が減少した結果下位プランに切り替えられており、Downgrade MRRが増加している場合は、改善が必要です。

・Expansion MRR

xpansion MRRとは、料金プランの下位から上位への切り替えなどによって、先月よりも増加したMRRです。Downgrade MRRとは逆の指標となります。例えば、10人の利用者が15,000円のプランから30,000円のプランに切り替えた場合は、150,000円(15,000円×10人)のExpansion MRRです。

・Churn MRR

Chum MRRとは、当該月に解約した顧客から得られていたMRRのことです。解約MRRとも呼ばれており、できるだけ小さく抑えたい指標です。原因解明によるサービスの改善やサポートの充実などが求められます。

MRRが重視される理由

MRRが重視される理由は、主に以下の2点です。

  • 投資家がビジネスの成長性の判断に使うため
  • SaaS Quick Ratioを算出する際に必要なため

サブスクリプション型ビジネスは基本的に顧客から毎月同じ売り上げが発生することから、MRRでビジネスの成長性を予測できます。そのため、投資家は投資判断を行う際にMRRを見ることがよくあります。

SaaS Quick Ratio とは、SaaSビジネスの健全性を測るための指標です。SaaSはサブスクリプション型のビジネスであることが多いため、計算にMRRを使えるというわけです。SaaS Quick Ratioの計算方法については後述します。

MRRとSaaS Quick Ratioの計算方法

MRRの計算方法は2つあり、場合に応じて使い分けが可能です。SaaS Quick Ratioの計算方法とあわせて解説します。

MRRの計算方法

2つあるMRRの計算方法を具体的に解説していきます。

1)MRR=前月のMRR + New MRR + Expansion MRR – Downgrade MRR – Churn MRR

上記は、4つのMRRを使用する計算方法です。具体例として、以下の場合の計算をしてみましょう。

MRR名 前月のMRR New MRR Expansion MRR Downgrade MRR Churn MRR
各MRRの数値(円) 1,000,000 200,000 50,000 25,000 50,000

MRRの計算式は次のとおりです。

MRR=1,000,000+200,000+50,000-25,000-50,000=1,175,000円

前月のMRRに増益と減益を足すだけなので、計算しやすいです。各MRRを残しておくことで、ビジネスの現状や変化を可視化でき、経常収益を上げたいときのKPI設定などに役立ちます。

2)MRR=月額の利用料×顧客数

MRRのもう1つの計算式は、月額の利用料に顧客数をかけます。料金プランが複数ある場合は、プラン別にMRRを算出し、合計します。

具体例として、3つの料金プランがあるケースのMRRを計算します。

プラン名 プランA プランB プランC
月額(円) 10,000 30,000 50,000
顧客数(人) 150 200 80

計算式は次のとおりです。

MRR=10,000×150+30,000×200+50,000×80=11,500,000円

SaaS Quick Ratioの計算方法

SaaS Quick Ratioは、増加分のMRRを損失分のMRRで割って算出します。数値が大きいほど成長率や健全性の高いビジネスと言えます、具体的な計算方法は以下のとおりです。

SaaS Quick Ratio(%)=(New MRR+Expansion MRR)÷(Downgrade MRR+Churn MRR)

MRRの計算例で使用したデータを利用し、SaaS Quick Ratioを計算してみます。各MRRの数値は以下の通りでした。なお、前月のMRRは使用しません。

MRR名 前月のMRR New MRR Expansion MRR Downgrade MRR Churn MRR
各MRRの数値(円) 1,000,000 200,000 50,000 25,000 50,000

SaaS Quick Ratio(%)=(200,000+50,000)÷(25,000+50,000)=3.333…

およそ3.3%のSaaS Quick Ratioとなります。

例えば広告出稿などによって契約数を増やしたとしても、解約率が変わらず、解約数も増加している場合、SaaS Quick Ratioの数値は改善しません。ビジネスの健全な成長率を維持するには、MRRとともにSaaS Quick Ratioもウォッチすることが大切です。

MRRとあわせてよく聞く用語との違い

MRRとあわせてよく聞く用語として、ARRやNRR、ARPU、ARPAが挙げられます。それぞれどのように異なるのでしょうか。

ARR

ARR とは「Annual Recurring Revenue」の略称で、年間経常収益を意味します。MRRが月の経常収益であるのに対して、ARRは1年間の経常収益です。MRRと同様、単発の収益は計算対象外となります。

NRR

NRRとは「Net Revenue Retention」 または「Net Retention Rate」の略称で、売上維持率を意味します。MRRがどの程度維持されながら拡大しているかを示す指標です。当月獲得したMRRが翌月などに維持できているかどうかを明確にします。

ARPU、ARPA

ARPUとは「Average Revenue Per User」の略称で、1ユーザーの平均売上金額を意味します。そして、ARPAは「Average Revenue Per Account」の略称で、1アカウント単位の平均売上金額を意味します。

それぞれKPIに設定されることもある指標ですので、MRRとあわせて理解しておくと良いでしょう。ARPUとARPAの違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:ARPU(アープ)とは?

4種類のMRRの変動を記録し、ボトルネックを見つけましょう

MRRは、サブスクリプション型ビジネスの重要指標です。4種類のMRRを使用するか、月額利用料に顧客数をかけて算出します。

MRRを増加させるには、New MRR、Downgrade MRR、Expansion MRR、Churn MRRの中からボトルネックを見つけ、解消する必要があります。4種類のMRRの変動を記録、分析し、改善に取り組みましょう。

記事執筆者

Marketing Native編集部

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