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インタビュー

オープンハウス・マーケティング本部長 加藤勤之が語る「コロナ禍でも快進撃が続く理由と急成長を支えるマーケティングの役割」

最終更新日:2023.04.07

The Marketing Native #22

株式会社オープンハウス マーケティング本部長

加藤 勤之

オープンハウスは令和を代表する急成長企業の1つとして注目されています。よく知られているのは営業力の強さですが、コロナ禍においても飛ぶように売れる背景には、営業力に加えてマーケットインの考え方に貫かれた商品力と、営業をサポートするマーケティングの力がありました。

では、オープンハウスでマーケティングはどのような役割を果たしているのでしょうか。

今回は博報堂から2018年12月にオープンハウスに転職し、現在同社でマーケティング本部の本部長を務める加藤勤之さんに話を聞きました。

(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧、人物撮影:豊田 哲也)

目次

住宅購入希望者の「親」に届くテレビの大きな影響力

――緊急事態宣言下の5月にあって、戸建て仲介契約件数が前年同月比43%増(6月は52.3%増)と、世間の自粛ムードをものともしない快進撃です。営業の強さはよく知られていますが、マーケティングはオープンハウスの中でどのような位置づけなのでしょうか。

オープンハウスのマーケティングには大きく3つの役割があります。1つ目はデジタルマーケティング。2つ目は、長瀬智也さんや田中みな実さん、清野菜名さんらが出演しているテレビCMの制作。3つ目がテレビを中心にメディアへの露出を増やすPRです。私は現在、その3本柱を統括するマーケティング本部の責任者を務めています。

――テレビへの露出というのは、具体的にどんなことでしょうか。また、露出を増やすために実行していることがあれば教えてください。

テレビへの露出とは、番組の企画として、オープンハウスという会社や商品の魅力、ユニークさを取り上げてもらうことです。番組に取り上げていただくのは簡単なことではありませんので、常に切り口を考えながら、前職・博報堂時代のネットワークなどを活用し、「こういう打ち出し方で企画になりませんか?」と愚直にテレビ局の方々にお願いしています。

――手応えのあったPRには何がありますか。

3つあります。まず昨年4月に、加藤浩次さんがMCを務める『がっちりマンデー!!』(TBS系列)で、12~13分間にわたって特集していただきました。ほかには、昨年末に『どっちの家を買いますか?』(テレビ東京系列)と『大みそか列島縦断LIVE 景気満開テレビ』(フジテレビ系列)という2つの番組で取り上げていただきました。いずれも反響が大きく、中でも『景気満開テレビ』では商品の魅力や売れている理由、元気が良くて多彩な人材が活躍できる企業文化を包括的に取り上げていただき、大きなPR効果を獲得できました。

CMで商品の魅力を紹介しようとすると説明調になってしまいがちですが、こうして番組の企画として取り上げていただけると、オープンハウスの魅力を自然な形で多くの人に伝えられます。営業にも良いサポートができたのではないかと思います。

――テレビの力は大きいですか。

「テレビを見ない」とおっしゃる方もいますが、今も非常に影響力は大きいと思います。当社で住宅購入を検討されるお客さまは、20代から30代前半の比較的若いご夫婦が半分ほどを占めます。その世代の方々が家を買うときは、多くの場合、親御さんに相談するのが一般的です。ただの報告の場合もあれば、経済的サポートを求めることもあるでしょう。いずれにせよ、そのときに親御さんが知らない不動産会社では、「大丈夫なの?」と心配されてしまうおそれがあります。

当社の商圏は東京、名古屋、福岡が中心ですから、CMもその地域にしか出稿しておらず、他の地域にお住まいの方の認知度はそれほど高くないと思います。全国ネットの番組で取り上げていただけると、基本的には老若男女オールターゲットでメッセージを届けられますので、メリットは大きいですね。

――なるほど。親御さんにテレビは有効そうですね。

テレビで取り上げられるとWeb集客にも効果的です。以前より「新築 戸建て 東京」などのキーワードでオープンハウスが出てくるように取り組んでいますが、番組で取り上げられると、「オープンハウス」というカタカナ7文字を入力して指名検索してくださる方が増えます。『がっちりマンデー!!』で放送される前は自社サイトへの流入の1%強しか指名検索がなかったのですが、今は3~4倍に増えました。それに伴い、検索広告にかかるコストもリーズナブルに効率化されている形です。

ほかには、採用面に良い効果があります。当社は実力主義の会社なので、成果を上げられないと生き残るのはなかなか大変かもしれません。そのことを年末の番組で包み隠さず紹介していただいた結果、面接に来る方々があらかじめ企業文化を理解した上で、「そういう実力で勝負できる会社に入社したいです」と話してくれることが増えました。その結果、入社後のミスマッチ減少につながっています。

――現状はWeb集客、テレビCM、PRの3つがうまく回っている感じですね。

CMについても想定以上に「面白いですね」「インパクトがありますね」と言っていただけますので、費用対効果が十分に取れていると思います。自社サイトで取っているアンケートによると、オープンハウスを知ったきっかけの約40%がCMでした。また、おかげさまで会社の業績が良いので、メディアの皆さまにも興味を持たれやすい状況にあります。CM、PR、そしてWebと、その3つがうまく連動して相乗効果を上げられています。

好決算を支える3つの時代背景

――現在、売上高・利益ともに8期連続で過去最高の更新を見込んでいるとのこと。オープンハウスはなぜこんなに好決算を続けられるのでしょうか。そこにマーケティングはどのような貢献をしているのですか。

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記事執筆者

早川巧

株式会社CINC社員編集者。新聞記者→雑誌編集者→Marketing Editor & Writer。物を書いて30年。
X:@hayakawaMN
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