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インタビュー

LINE・CSMO舛田淳が明かす仕事術。「早すぎず、遅すぎない、タイミングの見極めが圧倒的成果の鍵」

最終更新日:2023.09.12

The Marketing Native #13

LINE株式会社 取締役CSMO

舛田 淳

LINEの勢いが止まりません。クローズドなコミュニケーションアプリとしてスタートした「LINE」ですが、今では生活を支えるインフラのひとつとして、多くの人々に日々利用されています。今後はさらにAI、金融などの領域を充実させながら、GAFAに匹敵する存在へと成長することが予想されています。

そのLINEで最高戦略・マーケティング責任者(CSMO)を務めるのが、舛田淳さんです。猛烈なスピードで進化と拡大を続けるLINEにあって、舛田さんはどのように事業の舵取りという意思決定を行っているのでしょうか。

今回はLINE取締役 最高戦略・マーケティング責任者の舛田淳さんに話を聞きました。

(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧、撮影:稲垣 純也)

※肩書、内容などは記事公開時点のものです。

目次

CSMOが行う3つの役割

――舛田さんは「取締役CSMO(Chief Strategy & Marketing Officer、最高戦略・マーケティング責任者)」という、ちょっと威圧感のある肩書ですが(笑)、どのようなお仕事なのか教えてください。

正しくは「最高戦略責任者(CSO)&最高マーケティング責任者(CMO)」といいまして、LINE全社の戦略とマーケティングの責任者という位置づけです。LINEの前身のNAVER Japanには戦略担当として参画しましたが、戦略は基本的にマーケットとの関係性で決まりますから、2つを分けるほうが不自然だと私は考えています。ですので、意識的に2つの役割を横断しています。

では、私が担当する戦略とは何かといいますと、事業戦略の立案から世界観の構築、事業開発、事業提携、サービス企画、ブランディングまで幅広く、業務の範囲がどこからどこまでと決まっているわけではありません。要するに、さらに多くのユーザーに「LINE」を便利にご利用いただき、売り上げを伸ばし、会社を成長させ、ビジョンを実現するためにやれることは全部やるのが私の仕事です。出社初日に前CEOの森川(亮、現C Channel株式会社代表取締役社長)さんと現CWOの慎(ジュンホさん)に「この会社が勝つために必要なことは全てあなたの仕事です。自分が必要だと思うことを自由にやってほしい」と言われたことを覚えています。その頃から変わりませんね。

一方、マーケティングが示す範囲についてもよく議論になりますが、マーケティングとは経営であり、商いであり、存在意義そのものであると考えています。故に、マーケティングの最高責任者としての役割は幅広く、単にコミュニケーションやプロモーションの担当ということに留まらず、当社のCxO職の中で一番柔軟なポジションといえるかもしれません。

――俯瞰もすれば、個々のケースに入っていくこともあるということですね。そのあたりのさじ加減や、明確にやらないと決めていることはありますか。

マーケターは、マクロとミクロ両方の視点を持って、使い分けつつ同時並行で業務を進めていくことが大切です。ただ、それぞれの分野に優秀なスペシャリストがいますから、スペシャリストがパフォーマンスを発揮できる環境がすでに整っていれば、私が必要以上に携わることはありません。私が関与すべきことは、

  • 最初の起点や流れをどう作るのか。
  • 盤面を変える一手をどう打つか。
  • うまくいかなくなったときや一定の役割を終えたときに、どう結論を出すか。

この3つが基本だと認識しています。

価値観共有への徹底したこだわり

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・複数の選択肢を用意できるのが、上位レイヤーのマーケター
・ユーザーニーズこそ全て
・「どうずらせるか」がポイント
・圧倒的成果の創出はタイミングの見極めから
・成長の鍵は、マクロな視点で考える癖をつけること

記事執筆者

早川巧

株式会社CINC社員編集者。新聞記者→雑誌編集者→Marketing Editor & Writer。物を書いて30年。
X:@hayakawaMN
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