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インタビュー

森美術館・洞田貫晋一朗が語る「コロナが落ち着いたら本物を見たい!」という気持ちを促すSNSの活用法

最終更新日:2023.05.09

Marketing Innovator #07

森ビル株式会社 森アーツセンター森美術館 マーケティンググループ

洞田貫 晋一朗

最後に美術館へ足を運んだのは、いつだったか覚えていますか。2020年、2021年は全国各地の多くの美術館や博物館が臨時休館となりました。東京・六本木にある森美術館も、臨時休館となった施設の1つです。

臨時休館中はSNSで情報を発信しても、お客さまが展覧会に足を運ぶことができません。だからといって、各美術館・博物館が手をこまねいていたわけではなく、森美術館も一般的な企業と同様にオンライン施策を進めていました。それは具体的にどのようなことでしょうか。

今回は、森美術館のマーケティンググループに所属する洞田貫晋一朗さんにコロナ禍におけるデジタルマーケティング施策の取り組みなどについて詳しく話を聞きました。

(取材・文:Marketing Native編集長・佐藤綾美、撮影:海保竜平)

目次

来館を促す仕組みを考える面白さ

――洞田貫さんは森美術館が運営するSNSアカウントの「中の人」であることが知られています。あらためてお仕事の内容を教えてください。

2015年から森美術館のマーケティンググループに所属しています。それより以前は六本木ヒルズ森タワー52階にある展望台「東京シティビュー」の企画・運営や、広報に携わる部署にいたので、マーケティングにはあまり関わりがありませんでした。

マーケティンググループは広告チームとプロモーションチームの2つに分かれていまして、私はプロモーションをメインに担当し、お客さまに美術館に来てもらうための仕組みや戦略を考えるのが仕事です。

具体的には、SNSの中の人だけでなく、インターネット広告の運用、来場者データの分析、割引やキャンペーンといった来館者を増やすための施策の立案なども行っています。チーム内にアシスタントはいますが、施策の立案から実行までメインの担当は基本的に私一人です。

▲取材はマスクを着用して行われた。

――Twitter、Facebook、Instagram、YouTubeなど、森美術館はたくさんのSNSアカウントを運営しています。それらの運用も洞田貫さんが担当しているのでしょうか。

はい、そうです。大変ですが、始めたら続けなければならない宿命があると思って頑張っています。

それぞれ、次のように使い分けています。

  • Twitter:展覧会の告知や情報拡散
  • Facebook:展覧会の告知。Twitterと違って文字数の制限がないため、1投稿あたりの情報量は多め。海外の方の閲覧が多く、投稿は英語表記も行うようにしている
  • Instagram:あまり説明的にならないように、展示室の写真などを撮影してアップ
  • YouTube:イベントや撮影した映像のアーカイブをアップする場所

このほかに最近はClubhouseやTikTokも始めたので、より大変さが増しています。

――マーケティングに関する知識やSNSの運用ノウハウはどのようにして身に付けたのでしょうか。

マーケティンググループに着任した際、マーケティングに関連する書籍をいくつか読んで勉強しました。新型コロナウイルス感染症が広まる前は、企業のマーケティング事例を紹介するセミナーにもよく参加していました。SNSに限らず、関係ありそうなテーマのセミナーには足を運んで企業の事例を学び、業務に役立ちそうな内容を少しずつ習得していました。あとは、TwitterなどのSNSやWebメディアの記事で生きた情報を収集しつつ、日々の業務を進める中で感覚をつかんでいったと思います。

SNSはマーケティンググループ着任以前から個人的に好きで、古くはmixiが流行していた頃から、新しいSNSが出るたびに試していました。そのため、特別に運用ノウハウを学んだわけではありませんが、着任当初から森美術館のSNSアカウントをどう運用すれば良いか、ある程度イメージはできていたと思います。

マーケティンググループ着任以前から、どのような発信をすればお客さまに来ていただけるか興味があったので、今の仕事はやっていて非常に楽しいです。

トライアルで確信したライブ配信が持つ力の大きさ

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・番組的に配信するClubhouseと、TikTokで感じた手ごたえ
・リアルのコンテンツが良くなければ、デジタルで魅力は伝えられない

記事執筆者

佐藤綾美

株式会社CINC社員、Marketing Native 編集長。大学卒業後、出版社にて教養カルチャー誌などの雑誌編集者を経験し、2016年より株式会社CINCにジョイン。
X:@sleepy_as
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