キャリアアップしたいマーケターと、優秀なマーケティング担当者を探している企業を結ぶMarketing Nativeの人材紹介業「Marketing Native Career」。おかげさまで、すでにたくさんのマーケターと企業の方々からご登録をいただいております。
今回インタビューした元P&Gのブランドマネージャーで、現在WFP国連世界食糧計画日本事務所の政府連携コンサルタントを務める坂本和樹さんもMarketing Native Careerに登録している一人です。
坂本さんはP&Gでマーケターとしてどのような経験を積み、これからのキャリアをどのように考えてMarketing Native Careerに登録したのでしょうか。
P&G時代の強烈な思い出を中心に、坂本さんにお話を聞きました。
(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧、人物撮影:矢島 宏樹)
目次
発展途上国の社会課題解決への興味からP&Gへ
――坂本さんはMarketing Nativeの愛読者で、「Marketing Native Career」にもご登録いただいているとのこと、ありがとうございます。まず、これまでのキャリアを教えてください。
新卒でP&Gのマーケティング部門に就職し、日本とシンガポールで7年間勤務しました。その後、国際協力NGOを経て、2019年9月から英国サセックス大学院開発学研究所に留学、開発学修士号の取得を目指していたのですが、新型コロナウイルスの影響で帰国しました。今年7月からはWFP国連世界食糧計画(※)日本事務所で働きつつ、修士号取得へ向けた論文を執筆中です。
※United Nations World Food Programmeの略称。2020年ノーベル平和賞を受賞。
――「Marketing Native Career」に登録したのはいつですか。
留学中の昨年12月です。海外から遠隔で従事できるマーケティングの仕事があればいいなと思い、登録しました。
――就職先にP&Gを選んだのはマーケティングの仕事に興味があったからですか。
いえ、実はP&Gがマーケティングで有名な会社だと知ったのは就職してからです。学部時代の授業でフィリピンの貧困問題について学ぶ機会があり、それをきっかけに発展途上国の社会課題に関わりたいと考えるようになりました。その授業でP&Gが当時、アフリカで水の浄化キットを無料配布していることを知りまして、日々の生活に欠かせない消費財を販売している社会性の高さに惹かれ、就職先に決めました。
もっとも、水の浄化キットの無料配布は社会事業としての側面もありつつ、おそらくはアフリカのマーケットで認知を作るというマーケティング施策の一環だったと思います。
――P&Gでのキャリアステップについて教えてください。
入社3年目にシンガポールに赴任し、5年目でP/L責任を持つブランドマネージャーに昇進しました。柔軟剤「レノア」を日本市場でNo.1シェアのブランドにできた点などを評価されたと思います。
――昇進スピードはほかの人と比較してどうでしたか。
真ん中より少し早いくらいですね。ほかには、洗濯洗剤カテゴリー(アリエール・ボールド・さらさ)においてもジェルボール型洗剤の発売などによって大幅に売り上げと利益を伸ばせた点が昇進に影響したと思います。
――P&Gの中でそのような昇進ができたのは、何が良かったからだと思いますか。
P&Gには私よりマーケティングが得意で優れたアイデアを出せる人がたくさんいます。私の場合は、製品の容量や価格、サイズのラインナップの調整、サプライチェーンの改善など経営全体の観点から、どこを伸ばせば一番良い打ち手としてビジネスを効果的に成長させられるかを総合的に判断するところが長けていたのだと思います。
私の見る限り、いわゆるマーケティングの右脳的な発想と、数字を基にした左脳的な経営判断の両方を得意とする人はブランドマネージャーレベルではそれほど多くありません。両方できる人がブランドディレクターや執行役へと昇進していきます。
P&Gで学んだ5つのこと
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