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「#20代マーケピザ 女性の活躍編」を完全フォロー!講演内容から質疑応答までイベントレポート全掲載

最終更新日:2022.02.10

前回の速報版に続いて、『#20代マーケピザ ~女性の活躍編~「こうありたい」を叶える、私の選択と未来の創り方』のイベントレポートをお届けします。本記事では、残念ながらイベントに参加できなかった方も内容を追えるよう、実際の講演や質疑応答の様子をできる限り詳細にまとめてお伝えします。

(取材・文・撮影:Marketing Native編集部・岩崎 多)

目次

菅原健一「はじめてのマーケティング」

イベントは、主催者である株式会社ムーンショット代表取締役CEO・菅原健一さんのオープニングトークから始まりました。テーマは「はじめてのマーケティング」です。


菅原健一(すがわら・けんいち)
アドテクノロジー企業のスケールアウト、KDDI子会社のmediba、SupershipのCMOを歴任し、2016年にスマートニュースのブランド広告責任者とBtoBマーケティング責任者を務める。18年に独立し、企業の10倍成長を支援するアドバイザー会社・ムーンショットを創業し代表取締役CEOとなる。
Twitter:@xxkenai https://moonsh.jp/

菅原 2週間くらい前にスタートアップの経営者向けに行ったセミナーで「はじめてのマーケティング」という資料を作りました。今回、女性マーケターの皆さんにも、そのお話ができたらと思っています。

「あなたが思うマーケティングとは何ですか」と私が聞くと、皆さんいろいろな答えをおっしゃいます。「サービスや会社について、将来または現在の顧客に知ってもらい、使ってもらう活動」「継続的に商品が売れたり、会社が認知されたりする仕組みを作る活動全般」というように多くの定義を答えてくれます。しかし、実際に何をやっているのか聞いたら「広告を大量に出稿しています。なぜこんなにCPAが悪いんでしょうか?何とかなりませんか?」と言う人が多い。はじめは高尚なことを言っていたのに、いつの間にか広告を出稿することだけがマーケティングになっているのですね。

マーケティングとは何かというと、それは商売そのものなんです。3カ月ほど前、元マクドナルドCMOで現在ナイアンティックにいらっしゃる足立光さんに20代マーケピザのイベントにご登壇いただいてマーケティングの定義を解説してもらいました。同席していたコメ兵の藤原義昭さんも「そのとおりですね」と同意されていました。経営者に「マーケティング=商売そのもの」という意識がないと、マーケティングは広告宣伝しかやらない組織になってしまうのです。

マーケティングは大きく4Pから構成されています。Product(商品・サービス)、Price(価格・支払い方法)、Place(売り場・提供方法)、Promotion(広告・PR)の4つです。これは全部マーケティングの範囲なのですね。ここからは正しくマーケティングしないとどうなるのか、ということを説明しようと思います。


まずはProductとPlaceを変えた成功例を紹介します。例えば1000円のシャンプーを買うとします。原価が30%で、ドラッグストアに置いてもらう流通対策費が20%。商品を知ってもらうためのテレビCMや販促などの広告宣伝費が40%で、利益が残り10%です。従来のメーカーの場合、おおよそこのような構成比になります。

しかし最近は、問屋や小売店を排除して、ECサイトをメインに直接消費者とつながるD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)という業種が登場しています。特にDNVB(デジタルネイティブバーティカルブランド)と呼ばれるブランドは、生まれたときからデジタルが身近にあって、マーケティングされることを嫌う若い世代を相手にしています。彼らは商品に良いストーリーがあれば、「いいね!」したり口コミしたりして広めてくれますので、上手く行けば流通対策費と広告宣伝費がほぼいらなくなる。その分、原価を30%から2倍の60%に上げることができます。そして、残り40%はすべて利益となります。原価が2倍になると、誰もが違いがわかるレベルで商品のクオリティに差が出てきます。こうして、ずっと愛されて使われる「卒業されないブランド」に育てば、商品も良く、利益も大きく取れるというビジネスモデルなのです。

アメリカのコスメブランドGlossier.(グロッシアー)はまさにそうで、「We are you」というメッセージを発信しているんですね。「私達はあなた達と一緒だから、何を作れば良いのかわかります」と言うのです。一方、通常のメーカーは「With you」「Together」などを用いてがんばってお客さんに寄り添おうとします。Glossier.とほかの企業の大きな違いがここにあります。

もう一つ、次はPriceとPlaceを変えた例を挙げましょう。TSUTAYAとNETFLIXの違いはわかりますか?TSUTAYAはお店で都度レンタルするサービスで、NETFLIXはサブスクリプションの動画サービスですよね。でも、NETFLIXも10~15年前はTSUTAYAと同じビジネスモデルでした。

私もドラマの『24 – TWENTY FOUR -』が流行ったときは、TSUTAYAで10本借りてきて、徹夜でヘロヘロになりながら見て、それを返して、また借りてきて……という行為を繰り返していました。しかし、サブスクリプションの動画サービスに入っていると、300円で1本借りることもしんどいですし、見たいと思った瞬間に借りたいですよね。NETFRIXはこのままではいけないと感じて、他に先駆けて値段(Price)と提供方法(Place)を変えたわけです。

次に、マーケティングにおいてとても大事な話をします。それは、「分子ではなく分母を見るようにしてください」ということです。


消費者が購入に至るまでの行動を示すパーチェスファネルって、AIDMAやAISASなど多くの種類がありますが、重要なことはこの3つに集約されます。

  1. 知って
  2. 欲しくなって調べたりしながら
  3. 買う

例えば、CTRが1%、CVRが3%だとしたら、クリックされて購入に至る確率は100分の1×100分の3=1万分の3となります。1万人に見せて3件しか買ってもらえないプロダクトということです。もし、これがアプリだったら最悪で、3万件インストールされるためには1億人に知られなければなりません。日本人全員が知っても3万件という状況で、ここからどうやってインストール件数を30万、300万にしていくかという道筋があまり見えてこないですよね。


これはプロダクトが失敗しているのです。Product Market Fit(PMF)という言葉がありますが、商品・サービスが市場にフィットしている状態を指します。もしPMFしていたら、1万分の3という確率は、ほぼ1に近づいていきます。多くのマーケターはこの確率の分子にあたるCPAやCV数しか考えていません。この場合は、CPAが悪いというよりもPMFしていないということに気づき、社内のプロダクトチームを動かしていく活動をしたほうが良いと思います。

次にブランドの重要性について説明します。私は水は「ボルヴィック」が好きです。他の水しかない場合は80円の水を飲みますが、ボルヴィックだったら130円でも購入します。皆さんにも「この商品であれば多少高くても良い」というものがありますよね。

130円と80円って1.5倍も違いますし、その分は全部メーカーの利益になります。このようにお客さんの強い意志で選ばれるブランドでないと利益が出ません。弱いブランドはコモディティとなって選ばれませんし、それなら「安いほうが良い」となってしまう。利益を出すためにはブランドを構築しなければいけません。


「商品=製品+ブランド」という方程式があります。ユーザーが買う商品はメーカーが工場で作った製品にブランドが乗っかったものという考え方です。その一方で「商品=原価+利益」という方程式もあり、この場合の「商品」は消費者が買う値段です。この2つの式からもわかるように、実は「製品=原価」であり、「ブランド=利益」となります。従って、商品の値段を上げたかったら、もちろん原価を上げることも大事なのですが、消費者からわざわざ選ばれるブランドに育てるという考え方が必要になってきます。

ハヤカワ五味「傷つきたくない文化圏」

続いてイベントは、株式会社ウツワ代表取締役・ハヤカワ五味さんの講演に移りました。ハヤカワさんは若者視点から見た現代の消費動向について「傷つきたくない文化圏」という造語を使って解説してくれました。

ハヤカワ五味(はやかわ・ごみ)
1995年生まれ、東京都出身。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。課題解決型アパレルブランドを運営する株式会社ウツワ代表取締役。 高校1年生の頃からアクセサリー類の製作を始め、プリントタイツ類のデザイン、販売を開始。《GOMI HAYAKAWA》《feast》《ダブルチャカ》と複数のブランドを立ち上げている。2018年にはラフォーレ原宿に常設直営店舗《LAVISHOP》を出店。生理用品のセレクトショップのプロジェクト「illuminate」のポップアップストア(期間限定ショップ)が7/29まで東京・渋谷の青山ブックセンター本店で開催中。
Twitter:@hayakawagomi  https://utw.co.jp/ https://illuminate-pjt.com/

ハヤカワ 「何を言うか」より「誰が言うか」が大事とよく言われます。私はそれ以上に「受け手がどう受け取るか」のほうが重要だと思っています。いくら良いことを言っても、ユーザーがネガティブに受け取ってしまったら、その印象だけが残ることになってしまいます。「何を出すか」というアウトプットよりも、「ユーザーがどのように知覚するか」というアウトカムのほうが重要なのですね。だからこそ顧客視点が必要になってきます。

この1カ月、顧客視点という観点から私なりに若者について考えてきてわかったことがあります。それは「傷つきたくない文化圏」が若者中心に増えてきているということです。

大前提として人は誰しも傷つきたくないものです。とはいえ、私よりも上の世代は小学校に入ったら先生に殴られ、親に怒鳴られということが当たり前にあり、社会に出たらハラスメントという言葉もなく当たり前のように暴力的なことを言われてきた人が多いと思います。傷つきたくないけど傷つかざるを得ない環境で、諦めながら生きてきた人が多かったわけです。しかし今、インターネットやさまざまなアプリ、ツールの登場で「傷つきたくない」という心の奥底にあるものが実現されてきているように感じており、そこから発展して傷つかない消費も増えていくのかな、という仮説を持っています。

「傷つきたくない文化圏」は私の造語ですが、どういうものかということを、例を挙げて説明していきます。

Zenly

リアルタイムで位置情報を共有するアプリです。居場所がわかるから待ち合わせがラクという側面もあるんですけど、それ以上に、相手からLINEの返事がなかったりSNS上にいなかったりする理由がわかることが人気の秘訣だと思っています。

例えばLINEが返ってこないとき、相手の現在位置を確認すると「〇〇ちゃんは塾にいるから返ってこなくてもしょうがないか」「彼氏から返信ないけど、東京ドームにいるから野球を見ていて返信が来ないのか」など、自分自身に言い訳ができるのです。「嫌われているから返信が来ないのかな」といった心配がなくなるという面で傷つかないことを手助けしてくれています。他にも、「誘って断られる」のは恥ずかしくて嫌じゃないですか。でも相手の現在地がわかれば「近くにいるから断られる確率が低いな」「朝から家にいて暇そうだから誘おうかな」など、誘う行為のハードルも下げていると思います。

裏垢

人は誰しもいろいろな趣味を持っています。例えば、私も普段ハヤカワ五味のアカウントでは仕事の話がメインですが、根はオタクなのでオタクの話もしたいときがあります。でもこのアカウントで「ゲームの〇〇くんがイケメン」とかつぶやいたら、「気持ち悪い」みたいなコメントが付くのではないかと考えてつぶやきません。これは傷つきたくない気持ちが働いているからです。裏垢はメインのアカウント以外に使用する別アカウントのことですが、自分の人格をいくつかのアカウント別に切り分けて使うことが増えていると思います。

例えば旅行の話、ゲームの話、勉強の話と話題ごとに切り分けてアカウントを使用すると、話題ごとにすみ分けることができます。旅行の話をするアカウントは旅行クラスタですみ分けられるから「いろいろなところに旅行できていいね」と嫌味を言ってくる人は、そのアカウントには来ないでしょう。同様に勉強クラスタやゲームクラスタでも「勉強していて意識高い笑」「ゲームしていてキモい」という人は来ません。アカウントを切り分けることによってフォロワーは情報発信者を選んでいるし、発信者は傷つけてこない相手を選んでいるので、これも傷つきたくない文化圏から出てきているカルチャーかなと思います。

リアリティショー

例えば中学・高校時代、皆さんはクラスが一番大事だったと思います。そのクラス内で誰かに告白したとして「こんなLINEが来てキモいんだけど」などとLINEのスクショを回されたら、明日から学校に行けなくなってしまいますよね。中学・高校時代の恋愛って仲良くない人に片思いして告白するのもよくあることなので、恋愛において傷つくリスクのほうが高くなってきているのです。そのため、リアリティショーで恋愛を疑似体験するのもアリではないかという傾向が見られます。

メルカリのように売り手と買い手がマッチングするという意味で、インターネットは、恋愛も自由市場に変えたと思います。自分の親の世代の場合、会社や学校などコミュニティによって出会う相手が限られていて、大きな壁がありました。社会人と学生が出会う機会は全然なかったのですが、インターネットで自由市場になったとき、男性の中で一般的に価値があるとされる「年収が高い人」と、女性の中で価値があるとされる「年齢が低い人」がものすごくマッチングするようになったんですね。これが「パパ活」の正体なんじゃないかと思っています。若い男性や年齢が高めの女性にとっては恋愛が今までよりリスキーになってきている側面があります。

Instagramストーリー

Instagramストーリーでの投稿は24時間以内で消えます。これは翌日に投稿が問題にならないようにするためではないでしょうか。傷つかないための予防線と言えます。

Snapchat

年齢が若く見える赤ちゃんフィルターで再び人気となっています。自分のことについて話す「きっかけ」や「言い訳」を与えていると思います。突然自分語りをすると「気持ち悪い」と思われるかもしれません。でも、赤ちゃんの顔でなにか言っても許されるみたいな空気感のおかげで、幼少期の写真を上げて比べたり、「逆にこういう感じの赤ちゃんではなかった」と話題を広げたりして、傷つかずに自然と自分語りができます。

 

もうひとつ、最近の若者の傾向として「今」を重要視しているという点が挙げられます。

マシュマロ・テストという心理学の有名な実験があります。

  • 1個マシュマロをあげる
  • さらに15分待つことできたらもう1個あげる

という条件のテストを子どもに向けてやったところ、1個で食べちゃう子よりも、ちゃんと待って2個もらった子のほうが将来お金持ちになるという結果が出たというものです。

しかし、最近の記事によると、この実験はもともとお金を持っている家庭に生まれていた子だから2個出てくるまで待てたのではないかと指摘されています。

つまり、「今」が大事になるのは「ゆるやかな貧困」と関係があるのではないかと思います。
昔に比べると平均年収は下がる一方で学費は上がっています。お金や余裕がないと、先々のことまで考えられず、今が重要にならざるを得ません。

「エコ」や「エシカル」など海外で当たり前になっていることが日本で何故流行らないのかと言うと、余裕が無いとできないし、余裕が無いから先々の日本のことまで考えられないからだと思います。

また、「傷つきたくない文化圏」の話に戻りますが、このカルチャーの怖いところは、傷つけてきた人には思いっきり傷つけ返していい、少しでも悪いことした人はギリギリまで追い詰めていいという空気感があることです。これは、「傷つけられたくない」という気持ちが強いため、自分が少しでも否定されていると感じると反射的に「NO」と言いたくなることの現れでしょう。

したがって、これからのブランドは若者に余裕が無いことを意識した上で寄り添うことが重要になってくると思います。余裕が無いことを理解してあげながら、根っこの部分には「エコ」や「エシカル」など社会のためになるメッセージを秘めておけば、結果的によりよい日本を作っていけるのではないかなと思います。

ハヤカワさんは講演終了後、Twitterのハッシュタグ(#おしえてマーケピザ)で寄せられた質問に回答していきました。

<質問1>
「傷付きたくない文化圏に対するアンテナをどう立てるのですか?」

私が勝手に作った造語ですが、この単語を知ってからSNSの炎上を見ていると大体これにあてはまっています。例えば今治タオルの件(*1)も、別に自分たち周りの人が傷つけられたわけではないものの、仕事でつらい状況にある人が自分を重ね合わせて傷つくなどして、不買運動にまで発展しています。Kimonoの件(*2)も「日本の文化を傷つけられたからガンガン反撃する」というように傷つけられたときの反撃の瞬間が大きくなってきている。一回そういう視点で世の中の炎上を見てみると良いと思います。あと、身の回りに一人くらい傷つきやすい人がいるかと思いますが、そういう人たちがどうやって物事を見ているのかは非常に参考になると思います。

<質問2>
「生理用品プロジェクト(*3)が話題ですが、どんなことがきっかけになっているのですか?また、実際に行動に移すところにまで至らない人が多いと思うのですが、行動する際の基準はありますか?」

プロジェクトは本当にしんどくて、極論やらなくてもいいかなと思っています。リアルに2~3日に1回くらい家で泣いているくらいです。それでもやる理由はお金とかではなくて、他にやれる人がいないし、他の人がやったときに事故りそうだなと思ったからです。自分が動くことによって変わることを主軸に置くようにしています。

生理用品って3社で99%のシェアを持っているのでパッケージのデザインなんてそう変わらないわけですね。そしてECの比率も1%を切っているので、ほぼ店頭で売ることが前提の商品であり、60%以上がドラッグストアで売っているわけです。ということは、ドラッグストアが置きたいものが選ばれることになっていきます。自分のインサイトだけではなくて、世の中の市場の数字を見ていくと、今この業界はどうしてこうなっているのかということがわかります。そこまで見た上で、自分が変えられるのかという視点でマーケットを見ていくと面白いのかなと思います。「日本国勢図会」という国勢調査がまとまったような分厚い本があるので、日本は今こういう状況だからこういったことができそうだなと考えていっても面白いと思います。

<質問3>
「炎上したときや、つらいときなどに、どうやって気持ちを消化しているのですか?」

自分の中では「つらい」と口に出すことで解消しています。あとは、パートナーが元気玉みたいな人なので、見て元気を出しています。知り合いに言われたのは、人間が言っているとあまり思わないほうがいいということです。傷ついている人がとにかくストレス発散したいために言っているだけ、という場合もよくあります。「つらかったね、私も今つらいよ」と抱きしめてあげる気持ちを持つほうがいいと言われました。とは言え、私はそういった気持ちが著しく欠けていて、この7月の休みで「しいたけ占い」を全部データマイニングしてキーワードをまとめていました。しいたけさんの喋り方は傷つきたくない文化圏に最適だと思うので、喋り方を会得しようと思っています。

(*1)
外国人技能実習生の劣悪な労働環境を訴えたNHKの番組で紹介された工場が、愛媛でタオルを作成していたことから、今治タオル全体が批判を浴びた騒動。実際の工場は今治タオル工業組合に加盟してはいなかったが、下請け企業だった可能性はあると言われている。

(*2)
キム・カーダシアンが立ち上げた補正下着ブランド。日本の着物と同じ名称を付けたことで批判を浴び、ブランド名を変更することになった。

(*3)
女性がより自分らしく活躍できる社会を目指したユニ・チャームの「#NoBagForMe」というプロジェクトのことでハヤカワさんも参加者の一人。生理用品の購入時に中身が見えないよう紙袋などに包んで渡されることを断る選択肢を持つことを啓蒙している。

 

岩瀬昌美×中村朝紗子×大山友理 女性としてのキャリアの築き方

イベントの第2部では、菅原さんから新たに3人のゲストが紹介され、今回のメインテーマである、女性のキャリアと幸せについて考えるトークディスカッションが行われました。

岩瀬昌美(いわせ・まさみ)
在米29年。2002年マルチカルチュラルマーケティング総合広告代理店MIW Marketing and Consulting Group, Inc.を Los Angelesで設立。2012年より米国で食育活動も始めている。米国初のオンラインデリバリーサイトKozumo.comではフード・ビバレッジ ディレクター、米国大手通信会社AT&Tではマルチカルチュラルマーケティングマネジャー、マルチカルチュラル広告代理店米国最大手のKang&Lee Advertisingではアカウントスーパーバイザーを担当。2017年、日本経済新聞出版社より『できるアメリカ人11の「仕事の習慣」』を出版。
Twitter:@masamiiwase1

中村朝紗子(なかむら・あさこ)
株式会社 Morning Labo代表、撮影女子会ファウンダー。在学中、プロのヘアメイク・カメラマンとともに1日ヒロイン体験を楽しめる「撮影女子会」を立ち上げる。撮って語りたくなる体験から、熱量あるシェアを生み出す「フォトジェニック・マーケティング」を提唱。消費者(主にF1層女子)のリアルな共感からSNS上の高いエンゲージメントにつなげることをゴールに、商業施設の空間やPRイベント企画、広告ビジュアルのプロデュースを手がけている。
Twitter: @monichild

大山友理(おおやま・ゆり)
2000年生まれ。学生団体Women’s Innovation代表。Business Insider JapanとNEXTWEEKENDにてインターン。2017年4月、異なる女子校に通う友人3人とともに、学生団体を設立。「強くしなやかに生きる多様な女性のロールモデルに私たち自身が出会い、発信し、その機会を提供する」ことが活動テーマ。
Twitter:@Yuri20009

 

ゲスト3人はこれまでの半生を振り返り、どのようにキャリアを築いたかについて語りました。3人とも、叶えたい夢や仕事へのビジョンが明確であり、人生の要所要所で自分の意志で決断していることが良くわかる内容でした。やがて、イベントも終盤となり、会場に来ている女性マーケターや、起業家からの質問タイムへと移りました。

 

<1人目の質問>
しおリスクル(たがみしおり)さん(@shioliskul
「最近女性のキャリアを描いたドラマを見ると『恋人と結ばれてハッピー』という終わり方が多いです。女性の幸せってそれだけじゃないと思います。お三方が描く理想の幸せとはなんですか?」

岩瀬 「仕事しているんだから子どもは1人にしたら」と人に言われたことがありましたが、「じゃあ仕事をしていない人は2人産んでいいのか?」と疑問に思って、負けず嫌いだから2人産みました。自分には子どもがいたから、仕事や妻、娘としての役割だけでなく、母の役割も持つことができた。私は、菅原さんが持つことのできる能力だって自分も持てると思っています。「女性だから」といって諦めるのは良くないし、できないと思ったら何もできなくなる。失敗はいっぱいしてきたけれども、やっておけば良かったという後悔の少ないほうが人生として「面白かった」となると思います。

中村 私は呪いに負けず挑戦することがいいと思います。呪いというのは、「女性はこういうのがかわいい」「結婚したら幸せ」「ママとして仕事に行くのはどうなの?」などいろいろな世間の声です。そうではなく、自分がどうしたいかに耳を傾けていくことが一番大事です。
確かに幸せになるには結婚が物語として描かれがちですし、私は白雪姫やシンデレラを見て育ちました。でも実際には待っていても王子は来ないじゃないですか。『モアナと伝説の海』とか『アナと雪の女王』とかディズニーで描かれる女性像さえも、自立していくものに変わっています。男性や結婚を幸せのキラーコンテンツと思わないことです。理想としては自分自身が経済的にも精神的にも自立して、「相手がこうしてくれないと幸せじゃない」とか考えないことですね。結婚する場合は、夫婦は人生をともに経営していくチームですから、互いに自立しつつ助け合うというパートナーシップを築くのが幸せだと思います。

大山 以前、取材させていただいた「タスカジ」という家事代行サービス会社の代表の和田幸子さんに「結婚の決め手」を伺ったことがありました。「自分が起業というハイリスクを負うにあたり、今は旦那さんが会社員を続けるというローリスクの道を選んでくれているけれど、もし、旦那さんが挑戦したいときには役割が逆になっても一緒に歩んでいけると思えた人だから結婚した」という話をしていました。そういう考え方って私にとっては新鮮でした。男性の価値観もじわじわと変わりつつあるのかなと思っています。

<2人目の質問>
富樫真凛(とがしまりん)さん(@marin_togashi
「意思を持って選択して生きているお三方が素敵だと思いました。信念や大切にしている価値観をお聞きしたいです」

岩瀬 働いていると「どうしてこの人と働かなければいけないのか」みたいに嫌なことがあると思います。自分はそうならないようにしようと思って、いつも指針にしているのが「清く正しく美しく強く賢く」ということです。清く正しく美しくだけではなく、強く賢くないといけないと思います。嫌な人がいたときは反面教師にすればいいだけですし、アメリカでは人に意地悪する人は、別の誰かに意地悪されてどこかへいなくなってしまいますから。

中村 私はシンプルに「感謝と謙虚の二刀流」です。

大山 一言で表すと「今この瞬間を無駄にしない」です。次の瞬間に死んでも後悔しない生き方をしたいと思っています。私は突然祖母が溺死してしまい、お風呂から引き上げたのも自分だったので、トラウマになって1週間くらい眠れませんでした。ショックで祖母と話した会話の内容さえも思い出せなかったです。最後にその人との会話が「ありがとう」となるような人生をモットーにしています。

<3人目の質問>
相馬穂垂(そうまほたる)さん(@hotaru0821free
「18歳で起業し、起業家を名乗らせてもらっています。私は何も考えずに行動してしまう癖があり、その流れで起業しました。たまに自分が何をしたかったのかわからなくなってしまうことがあります。その時のリカバリー方法を教えていただきたいです」

岩瀬 会社は作ろうと思えば作れるものです。でも、それが自分に合っているという実感がなかったら、お金を倍もらっても幸せになれません。ただ起業したいからこの仕事をやっていると感じるのであれば、もう一度考え直してみるのも良いと思います。あと、人間は忘れやすいですから「私の会社はこのためにやっている」というのを書いて貼っておくのがおすすめです。この内容は後で変わってもいいんです。「誰のビジネスをお手伝いするか」「誰の人生を幸せにするか」というのを常に意識できると良いと思います。人を騙す仕事ではなく、世のため人のためになる仕事であれば、どんなビジネスであっても間違いは起きないでしょう。

中村 創業者の場合、何か成し遂げたいビジョンがあって始めたはずなのに、新たなニーズに応えていくうちに、ビジョンとつながっていない事業や、目の前のお金になるプロジェクトばかりに邁進してしまうことがあります。会社として資金を貯めていくことも大事ですが、自分のやりたい事業を見失ってしまうと、他人の事業を生きることになってしまう。「誰を喜ばせたときに自分が喜びを感じるのか」という原点に立ち返って、ビジョンに寄せていくことが大事だと思います。

 

【取材後記】

マーケティング理論の講義から、現在の若者分析、女性マーケターの人生における悩み相談など、内容は多岐にわたっており、参加者にとっても学びの多いイベントでした。平日夜の19時に開場し、最終的なイベント終了は22時半頃と長時間でしたが、約100名の参加者で埋め尽くされた会場は終始熱気にあふれていました。

「#20代マーケピザ」は菅原健一さんが主宰されているイベントですが、参加者と同じく運営スタッフも20代の方たちがメインで、イベント進行はもちろん、入退館時の対応まで行っていました。菅原さんを中心に20代の志ある若者が集っているこのイベントから、これからの日本を代表するマーケターが生まれてくれたらと感じます。

また、「マーケピザ」という名前の通り、会場では美味しいピザが振る舞われるなど、食べものもこのイベントの魅力の1つだと思います。そのケータリングの中の1つにパワーサラダ専門店「HIGH FIVE SALAD」のサラダがありました。菅原さんはこの店のサラダが好きで投資されているそうです。その説明の際にも、「皆さんはマーケターですから、どうすればシェアされるような写真が撮れるかを考えましょう」という話があったのも印象的でした。マーケターのイベントならではだと思います。

記事執筆者

岩崎多

いわさき・まさる
出版社2社でビジネス誌やモノ・グッズ誌の編集、週刊誌の編集記者を経験し、2019年1月CINCにジョイン。編集長として文房具ムックシリーズを立ち上げ、累計30万部以上を記録。
X:@iwasaki_mn
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