ヘアケアやボディケアなど、オーガニックコスメを提供するジョンマスターオーガニックグループ(以下、ジョンマスターオーガニック)は、今年(2022年)春に「アースデイ東京サステナブルファッションウィーク2022」への出店とInstagramのフォトコンテストを実施し、オフライン・オンライン共に数値目標を大きく上回る成果を達成しました。
施策の目的はブランドスローガンの認知拡大です。オフラインではイベントの参加やInstagramへの投稿を促すようなインセンティブの設計を行い、オンラインではコンテストへの応募ハードルをなるべく下げるよう工夫した点が鍵になったと言います。具体的にはどのようにして成果を上げたのでしょうか。
今回は、株式会社ジョンマスターオーガニックグループ コミュニケーションデザイン部 ディレクターの宇佐美和也さんと、企画設計などを支援した株式会社FinT SNSマーケティング事業部 アカウントコンサルタントの永井梨緒さんに話を聞きました。
(取材・文:Marketing Native編集長・佐藤綾美、撮影:海保竜平)
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アースデイにオフライン×オンラインのイベントを実施
――イベントについて具体的な話を伺う前に、お二人について教えてください。ジョンマスターオーガニックの宇佐美さんはコミュニケーションデザイン部のディレクターとのことですが、どのような役割や業務を担っているのでしょうか。
ジョンマスターオーガニック 宇佐美さん(以下、宇佐美) 代表取締役CEOの野田がCBO(Chief Branding Officer:ブランド責任者)を兼任しており、私が所属するコミュニケーションデザイン部はその直下でマーケティング全般の統括を行っています。横串を通す形で会社全体を見ており、時流やお客さまに合ったマーケティングを組んでディレクションするのが役割です。具体的な業務としては、製品企画をはじめ、ブランドのイメージを作るキービジュアルやコピーなどクリエイティブの制作、店舗デザイン・VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)、SNS活用を含むPR、ECのコンテンツのディレクションなどが挙げられます。
――FinTの永井さんは、ジョンマスターオーガニックとの取り組みでどのような役割を担っていますか。
FinT 永井さん(以下、永井) SNSマーケティングに関する戦略設計から提案、実行支援までを主に行っています。昨年(2021年)9月頃からInstagramのアカウント運用を支援しているほか、「C&Gシャンプー」が新しく発売された際は、SNSまわりのプロモーションを全体的にお手伝いしました。
宇佐美 FinTさんには弊社の「コミュニケーションデザイン部SNS課」のようなイメージで、同じ会社の一員として臨むくらいの気持ちでお手伝いしてほしいと依頼しています。
弊社のブランドが日本に上陸して15年が経過し、お客さまの年齢層も変化してきました。4~5年前までは32~45歳くらいの方々がコアユーザーだったのが、ここ数年で20代のお客さまが増加傾向にあります。そこで20代のお客さまの認知経路を調べたところ、最も多いのは商業施設などの店頭で、次がSNSでした。
そのため、SNSでの情報発信を強化する必要があると考えましたが、メーカーの中にSNSの主担当を1人置いたり、チームを作ったりするのは、なかなか大変です。また、社内だけではSNSのトレンドを素早く把握するのが難しく、アカウント運用や広告、インフルエンサー活用をどう組み立ててマーケティングを行うべきかノウハウもなかったので、外部のパートナーを探していたところ、FinTさんとご縁がありました。
▲写真左:宇佐美さん、写真右:永井さん。
――ジョンマスターオーガニックのInstagramアカウントは、どのような位置づけで運用されているのでしょうか。
宇佐美 Instagramのフォロワー数は5.5万人と、大手メーカーなどに比べるとまだ多くなく、CRMの機能はLINEやメールなど別の部署が担っているので、Instagramではお客さまのブランドに対する認知や興味関心、理解を促進することが主な目的です。
Instagramを見てお店に足を運ぶお客さまもいると店舗のスタッフから聞いており、認知や興味関心、理解を促進できれば、フォロワーでなくとも店頭やECで商品をご購入いただける可能性があると考えています。Instagram経由の売り上げはまだそれほど多くないものの、年々増加傾向にあります。
――では、今年4月23日~24日にMIYASHITAPARK屋上の宮下公園芝生ひろば(東京・渋谷区)で開催された「アースデイ東京サステナブルファッションウィーク2022」の際の施策について伺います。オフラインとオンラインを掛け合わせた施策を行ったとのこと。何を行ったのか具体的に教えてください。
宇佐美 「アースデイ東京サステナブルファッションウィーク2022」は4月22日のアースデイに関連して毎年行われている「アースデイ東京」のイベントの1つです。弊社では2010年 からアースデイ東京に出店しており、今年は以下のような企画を実施しました。
・ハズレなしのカプセルトイの提供
条件を満たした方に、ロスフラワー(※1)で染めたオリジナルエコバッグやパッケージ破損製品などの詰め合わせ、スパチケットが景品となったカプセルトイを提供。
▲ロスフラワーで染めた優しい色合いのオリジナルエコバッグ(画像提供:ジョンマスターオーガニック)。
【参加条件】
ジョンマスターオーガニックの商品の使用済み容器を会場に持参して「check in +10」(※2)に参加した方
もしくは会場でLINE@に登録し、「check in +10」に参加した方
※1 ロスフラワー:きれいに咲いているにもかかわらず、規格や鮮度などの問題で廃棄されてしまう花のこと
※2 「check in +10」:ジョンマスターオーガニックの店舗でチェックインするごとにユーザーに10マイルが付与され、さらにジョンマスターオーガニックから自然環境保護団体に10円が寄付されるシステム
・サステナブルフラワーの提供
ジョンマスターオーガニックのInstagram公式アカウントをフォローし、ストーリーズを投稿した方に、サステナブルフラワーをプレゼント。
また、オフラインのイベントに合わせて4月16日~5月8日に実施したのが「地球に敬意をフォトコンテスト」です。
・「地球に敬意をフォトコンテスト」
▲画像出典:ジョンマスターオーガニック『アースデイ|ONE EARTH「地球の為にできること」』
【応募方法】
ジョンマスターオーガニックのInstagram公式アカウントをフォローし、地球環境に貢献するアクションを撮影した写真を、ハッシュタグ「#地球に敬意を」「#ジョンマスターオーガニック」を付けてInstagramに投稿。
【賞品】
投稿の中から22名の方に2万円相当のNO BEAUTY WASTE商品(パッケージ破損製品など)のセットをプレゼント。
――宇佐美さんと永井さんで役割はどのように分担し、準備を進めたのでしょうか。
宇佐美 オフライン・オンライン共に、施策の大枠やアイデアの骨子については弊社が考え、お客さまに情報を知って参加してもらうための細かい設計をFinTさんに提案いただきました。
永井 今年の2月から週1回の頻度でミーティングを実施し、両社で議論を重ねて約2カ月かけて準備しました。
課題を感じていたブランドスローガンの認知拡大
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