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Webマーケティング

DMCAの基礎知識|削除申請の手順と注意したい悪用事例

最終更新日:2023.12.28

DMCAとは「デジタルミレニアム著作権法」のことで、オウンドメディアやソーシャルメディアを運用するマーケターなら知っておきたいデジタルコンテンツの著作権に関する法律です。しかし、DMCAという用語を耳にする機会はあっても、具体的にどのような法律なのか、自社のオリジナルコンテンツが盗用された場合にどう対処すればよいのかわからない方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、DMCAの概要や重要性とともに、著作権侵害行為が起きた場合の削除申請手順や注意したい悪用事例をご紹介します。

目次

デジタルコンテンツの著作権を保護するDMCA

DMCAは、デジタルコンテンツの著作権保護を目的に制定されたアメリカの法律です。まずはDMCAとは具体的にどのような法律なのか、マーケターがDMCAを知っておく重要性とあわせて解説します。

DMCAとは?

DMCAとは「Digital Millennium Copyright Act」の略称で、アメリカで制定された「デジタルミレニアム著作権法」を指します。主に音楽や映像などコンテンツの著作権を保護するための法律として1998年に制定、2000年に施行されました。

DMCAの目的は、デジタルコンテンツの盗用や不正な複製といった、著作権侵害にあたる行為を防止することです。一方で、著作権者の権利が強いことから表現の自由を抑制するものになりかねず、現代にはそぐわないという主張も出ているようです。

DMCAを知っておく重要性

DMCAは何らかの著作権侵害が疑われる行為があった場合に、サービスやプロバイダに対してコンテンツの削除や非公開を求めることができる法律です。アメリカの法律であるために日本では適用されないと考えられがちですが、アメリカに法人があるGoogleやTwitter、Instagramなどは、DMCAに基づき盗用コンテンツの削除申請を受け付けています。

これらのサービスに関しては、日本で利用する場合もDMCAに基づいた対応が可能です。そのため自社メディアやSNSを運用するマーケターは、DMCAを正しく理解することが不可欠といえます。

補足:プロバイダ責任制限法

日本で2001年に成立したプロバイダ責任制限法は、プロバイダなどの損害賠償責任の制限、発信者情報の開示請求について定めた法律です。

DMCAとプロバイダ責任制限法はどちらもプロバイダ側が免責される要件が定められている点では共通しています。しかし、著作権侵害の通知によってただちに当該情報が削除されるDMCAと違い、日本のプロバイダ責任制限法はプロバイダに対して情報の削除を義務付けていません。

問4 :プロバイダ責任制限法は、プロバイダ等に対して、特定の情報に対する削除を義務付ける法律ですか。

答 :プロバイダ責任制限法はプロバイダ等の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示請求について定めた法律であり、削除を義務付ける法律ではありません。

出典:総務省「プロバイダ責任制限法Q&A

そのため、総務省では情報の削除を請求したい場合の相談窓口として、「違法・有害情報相談センター」を案内しています(Webフォームからの相談のみ対応)。

DMCAに基づき、権利の侵害を報告する方法

自分の著作物に対する権利侵害があった場合、コンテンツを掲載するサービス側に対して削除や非公開などの対応を求めることができます。ここでは、Google、Twitter、Instagramの3つのサービスについて、DMCAに基づき著作権侵害の申し立てをする手順と各社の対応をご紹介します。

Google

DMCAに基づく著作権侵害の申請方法とGoogleが行う対応をまとめました。

・著作権侵害による削除を申請する方法

Google側へ削除依頼するための手順は以下のとおりです。

  1. 著作権侵害による削除」のページへアクセスする
  2. フォームにて以下の項目を入力する
    ・氏名、会社名、メールアドレス、国/地域など申請者の連絡先情報
    ・自分が代理を務める著作権所有者(※コンテンツの所有者が自分自身なら「本人」を選択)
    ・著作権対象物に関する説明
    ・著作権侵害を受けているコンテンツのURL
  3.  宣誓供述書の記載内容を確認しチェックを入れる
  4. 署名日・署名を入力する
  5. 送信ボタンをクリックする

・Googleの対応

Googleは著作権侵害の申し立てに対し、対象となる著作物を削除またはアクセス不可能にする、登録ユーザーのサービスを停止するなどの措置をとる可能性があることを表明しています。

また、これらの通知は削除申請の対象となったコンテンツの所有者にも届く仕組みとなっていますが、対応を不服とする場合は「Google Search Console」から異議の申し立てが可能です。その後、Google側で問題のないコンテンツだと判断されれば、検索エンジンに再び掲載されます。

なお、著作権侵害に関する申請内容は「Lumen」(※)というWebサイトで確認できます。

※Lumen:世界中のオンラインコンテンツの削除に関する情報が載っているWebサイト。

Twitter

Twitterは著作権に関する問題について、使用が公正使用に当たらないか、該当のユーザーと直接問題を確認できないか報告前に確認するようすすめています。

DMCAに基づく著作権侵害の申請方法とTwitterが行う対応は次の通りです。

・著作権侵害による削除を申請する方法

Twitter側へ削除依頼するための手順は以下のとおりです。

  1. ヘルプセンター内の「知的財産権に関する問題のヘルプ」にアクセスする
  2. 「著作権を侵害している可能性のある行為を報告したい」を選択する
  3.  問題の影響を受けている当事者を選択する(※自分が当事者なら「私は著作権者です」を選択)
  4. フォームにて以下の項目を入力する
    ・著作権者・申請者の氏名、会社名、役職、メールアドレス、住所、国名、電話番号などの情報
    ・著作権侵害が発生している場所(Twitter、Vine、Periscope)
    ・著作物の種類・オリジナル作品の説明・作品へのリンク
    ・著作権侵害を受けている素材のURL(例:ツイートのURL)
    ・著作権侵害に関する説明
  5. ステートメントの記載内容を確認しチェックを入れる
  6. 署名を入力する
  7. 送信ボタンをクリックする

・Twitterの対応

Twitterは著作権侵害の申し立てに対し、対象となるコンテンツの削除または表示制限を行う可能性があることを表明しています。その際、削除申請の対象となったコンテンツの所有者に対し、申請者が申し立て時に入力したすべての情報(氏名、住所、電話番号、メールアドレスを含む)のコピーが送付されます。

通知を受けたコンテンツの所有者が異議を唱えたい場合は、Twitterのヘルプセンターから異議申し立てが可能です。ここで著作権侵害の報告を受けて削除されたコンテンツを再び掲載した場合、アカウントが永久凍結されるおそれがあります。

なお、著作権侵害に関する申請内容は「Lumen」で確認できます。

参考:Twitterヘルプセンター「著作権に関するポリシー

Instagram

DMCAに基づく著作権侵害の申請方法とInstagramが行う対応をまとめました。

・著作権侵害による削除を申請する方法

Instagram側へ削除依頼するための手順は以下のとおりです。

  1. ヘルプセンター内の「Instagramでの権利の侵害を報告」にアクセスする
  2. 侵害されている権利について「著作権」にチェックを入れる
  3. 「著作権の報告で続行」にチェックを入れる
    (「著作権について」にチェックを入れると著作権に関するヘルプページのリンクが表示される)
  4. 権利所有者との関係性を選択する(※自分が当事者なら「私は権利所有者である」を選択)
  5. フォームにて以下の項目を入力する
    ・氏名、住所、メールアドレス、権利者の名前、権利者の所在地などの情報
    ・著作物の種類(写真、動画、テキスト)
    ・著作物へのリンク(または著作物の説明)
    ・報告するコンテンツのタイプ・URL
    ・コンテンツの報告理由(選択式)
    ・その他の情報
  6. 宣言文を確認し署名を入力する
  7. 送信ボタンをクリックする

・Instagramの対応

Instagramは著作権侵害の申し立てに対し、対象となるコンテンツを削除する可能性があることを表明しています。削除の対象となったコンテンツの投稿者に対しては、権利所有者の名前やメールアドレスなどの情報が記載された通知が送付されます。

GoogleやTwitterと同じく、Instagramにおいてもコンテンツの削除を不服とする場合は異議申し立てが可能です。申し立てをせずに著作権侵害の対象となっているコンテンツを何度も投稿すると、アカウントの停止やページの削除、写真・動画投稿機能の制限、特定機能の利用不可といった措置がとられることがあります(Instagramのポリシーに基づいて判断されます)。

参考:Instagramヘルプセンター「著作権

気をつけたいDMCAの悪用事例と対処法

DMCAは著作権者を守る法律である一方、問題のないコンテンツに対して悪用されるケースも頻繁に発生しています。自社サイトやSNSの運用に携わるマーケターは、DMCAがどう悪用されるのか、自社コンテンツが標的となった場合はどう対処するのか知っておく必要があります。

ここでは、注意したいDMCAの悪用事例とともに、悪質な行為を受けた場合の対処法をご紹介します。

DMCAを悪用した事例

DMCAを悪用した事例にはさまざまなものがあります。例えば、著作物の権利を侵害していないにもかかわらず、サービスやプロバイダへ虚偽の申し立てを行うことです。この削除申請が認められてしまうと、問題のないコンテンツなのにインデックスから削除されたり、アカウントを凍結されたりすることがあります。

DMCAの悪用事例としては以下が挙げられます。

  • 企業の悪評を隠蔽するために著作権侵害であると偽ってコンテンツの削除を申請する
  • ライバルサイトに対し、虚偽の申請を行う
  • 虚偽の申請でTwitterアカウントを凍結させる
  • 虚偽のDMCAに基づく削除通知のメールでクレジットとしてリンクの記載を促す(海外であった詐欺の事例)

問題のないコンテンツが削除申請を受けたときの対処法

著作権を侵害していないコンテンツが悪用行為の標的となっても、現時点で削除申請を回避できるような対策はありません。しかし、投稿者は「異議申し立て」という形で、問題のないコンテンツが削除されたことに異議を唱えられます。異議申し立てが認められれば、削除されたコンテンツは再掲載されます。

注意点として、異議申し立てをする際は削除されたコンテンツに本当に問題がなかったのか、よく確認する必要があります。異議申し立ては法的手続きであり、報告が虚偽と判断された場合は法的処分の対象となります。削除報告を悪用と判断し、すぐに異議申し立てをするのではなく、コンテンツの著作権は間違いなく自分(自社)にあること、問題のないコンテンツが誤って削除されていることに確信を持ってから手続きを進めるようにしましょう。

自社のコンテンツを守るためにはDMCAの知識が不可欠

DMCA(デジタルミレニアム著作権法)は、コンテンツの盗用を防ぐことを目的にアメリカで制定された法律です。アメリカに法人があるGoogle、Twitter、InstagramなどはDMCAが適用されるため、WebサイトやSNSを運用するマーケターはDMCAの知識を深めておく必要があります。自社の資産ともいえる大切なコンテンツを守るため、DMCAに関する正しい知識を身に付け、権利侵害の報告や悪用行為にも対応できるようにしておきましょう。

記事執筆者

Marketing Native編集部

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