経営アドバイザーのすがけんさんこと菅原健一さんが代表を務める「Moonshot」が今年7月、4周年を迎えました。
5年目を迎え、活動の幅を広げるすがけんさんのツイートを見ていたら、「海外ではBizDev/Marketingに変わりただのマーケターはきつい」という投稿を発見しました。
「ただのマーケターはきつい」とはどういう意味なのか?この際、すがけんさん主宰の若手マーケター向け講座「マーケピザ」をMarketing Nativeで久しぶりに開講していただこうと思い、お話を聞いてきました。
(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧、撮影:海保 竜平)
目次
そのポジションは適切か、会社と働き方の再確認を
――すがけんさんの7月のツイートが気になって、お話を聞いてみたいと思っていました。「マーケは海外ではBizDev/Marketingに変わりただのマーケターはきつい」とありますが、具体的にどういう意味ですか。
ただ商品を一方通行で売っていた時代から、サブスクリプションやSaaS、D2Cをはじめ、ビジネスモデルも多様化してきました。それなのに、いつまでも「自分はマーケターだから、プロモーションの仕事しかしません」「商品づくりには関与しません」では通用しなくなるから、マーケターもサービスをつくる側の関与者になろうという意味です。
そう言うと、諸先輩方から「そもそもマーケティングの4Pには、ProductもPriceもある」とご指摘を受けることもあるのですが、実際にはまだ「テレビCMを打つのが仕事」と考えているマーケターもいらっしゃいます。そうではなく、これからのマーケターはサービスをつくる側にも関与していないと、できることが限られていって厳しくなる可能性がありますよ、というメッセージです。
――とはいえ、自分1人で「プロモーションだけでなく、BizDevにも関わりたい」と言ったところで、社内のマーケティングの部署がプロモーションのみを担当するところであれば難しいですよね。
いい質問です。少し古いのですが、レンタルDVD店とNetflixの例えを挙げます。自分が今マーケターとしてレンタルDVD店に所属していたらどうしますか?頑張ってレンタルDVDの人気が復活するように努力しますか?そうではなく、レンタルDVD店を辞めて、Netflixのような業態の会社に行きますよね?マーケターなのに、自らポジショニングを間違えた会社に所属しているとは、滑稽だと思いませんか。
――なるほど、そうですね。
そうですよ。だから自分がこれから素直に伸びる領域に所属しているかどうかを再点検したほうがいい。規模の大きさや伝統という軸ではなく、現時点で考えて今後10年、20年、あるいは100年先まで伸びる、もしくは伸びる余地がある会社なのかをまず見極めるのが先ですね。
――マーケターとして、BizDevにも関わりたいなら、そういう経験を積める会社にまず身を置くべきだ、と。
例えば、私がスマートニュースにいたときは、セールスとマーケティングの両方を見ていました。そうするとやはり「サービスを変えてマーケティングしよう」「マーケティングしてわかったことでサービスを変えよう」と打ち手の数が増えて、良い循環が生まれます。その2つが分かれていると、セールスは「マーケティングが悪い」と言い、マーケティングは「プロダクトが変わらない限り、マーケティングしても意味がない」と責任の押し付け合いになりがちです。部署ごとにKPIが違って、仲良くない会社が多いですから。
――だからマーケターはBizDev/マーケティングを担い、CMO的な立場で横串の提案ができる存在を目指すべきだということですか。
そうですね。だから私もMoonshotでは、社長としか仕事をしないと決めています。なぜかというと、セールスの調子が悪いときはセールスをテコ入れする必要があるし、マーケティングがイケてないときはマーケティングを変える必要があるからです。また、本当に改善が必要な場所は、相談が来たところとは異なる可能性もあります。部署を超えた改善提案をするためには、社長に直接動いてもらえる立場にいることが大切です。マーケターもプロモーションだけではダメで、事業、あるいはプロダクトの開発にマーケティングの知見やリサーチしたデータをもって関与できるような存在を目指すべきだと思います。
毎日の生活でビジネスモデルを意識し、思考する訓練を
――そんなマーケターになるために、身に付けたほうがいい能力やスキルなどはありますか。
この記事は会員限定です。登録すると、続きをお読みいただけます。
・経験値を重ねて、希少性を高めることの強さ |