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インタビュー

注目のコーヒーサブスク「PostCoffee」が行う、ユーザーを引きつけ、解約を防ぐ取り組みとは?――POST COFFEE代表・下村領インタビュー

最終更新日:2023.08.12

CEO Interview #11

POST COFFEE代表取締役

下村 領

毎朝コーヒーが欠かせないという愛好家は多くても、「スペシャルティコーヒー」の存在をご存じの方は意外と少ないかもしれません。

日本ではまだあまり知られていないスペシャルティコーヒーに「ビジネスチャンスあり」と見て、スタートアップを立ち上げたのが「PostCoffee」を運営するPOST COFFEE代表の下村領さんです。

2020年2月に正式版をローンチしてから多くのメディアに取り上げられ、ユーザー登録者数は約25倍に増加、これからさらなる事業拡大が期待されています。

下村さんはなぜスペシャルティコーヒーに目を付け、ここまで事業をどのように拡大させてきたのでしょうか。

今回はPOST COFFEE代表の下村領さんに話を聞きました。

(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧、撮影:矢島 宏樹)

目次

「コーヒー×サブスク」に商機を見いだした背景

――PostCoffeeをまだ知らない人もいると思いますので、あらためて下村さんからサービスの特徴やセールスポイントを教えてください。

PostCoffeeはお客さまに受けていただいたコーヒー診断の結果を基に、好みに合わせたコーヒーボックスが定期的に届くサブスクリプションサービスです。特徴は約15万通りの組み合わせの中からお客さま専用にカスタマイズされた3種類のコーヒーがボックスに入って届くことと、最初のボックスに折り畳み式のドリッパーが付いているので、お湯とマグさえあれば、すぐに自分にぴったりのコーヒーライフを楽しめるところにあります。

セールスポイントは国内最大級のコーヒー豆のラインナップを揃えていることです。国内屈指のロースターさんに加えて、海外のロースターさんの豆も取り扱い始めていて、約45種類の豆の中からお客さまの好みに合わせたコーヒーをお届けしています。高品質のスペシャルティコーヒーがこれだけ数多く揃っているのは今のところPostCoffeeくらいなので、競合優位性になると思います。

――コーヒーのサブスクサービスで事業を立ち上げたきっかけを教えてください。なぜリアル店舗ではなく、テクノロジーを駆使したサブスクにしたのか、海外を含めてベンチマーク企業はあったのかなど、いかがですか。

私はもともとデザイナー兼エンジニアとして、デジタルクリエイティブの制作会社を16年ほど経営していました。並行してスタートアップのCTOを務めていたほか、東京・渋谷で3年ほどコーヒーショップの経営も手掛けていました。

コーヒーショップでは私もバリスタとして店頭に立ち、コーヒーを淹れてお客さまに提供していたのですが、そのときに1つ課題感を覚えました。それはほとんどの人が美味しいコーヒーを知らない、美味しいスペシャルティコーヒーを飲んでいないということです。

――どういう意味ですか。自分もコーヒーが好きで、美味しいコーヒーを飲んでいるつもりなのですが。

日本は1人あたりのコーヒー消費量が世界4位(※)と、コーヒーを大量に飲む国ですが、スペシャルティコーヒーの流通量は国内全体の10%程度にとどまっています。

※輸入国の順位。1位:ノルウェー、2位:スイス、3位:アメリカの順。
【引用】全日本コーヒー協会


――スペシャルティコーヒーとは何ですか。

大きく2つの特徴があって、1つは完璧なトレーサビリティがあること。もう1つは日本スペシャルティコーヒー協会で有資格者によるテイスティングなどの検査の結果、美味しいと認められていることです。

▲画像提供:POST COFFEE株式会社

――では、自分たちは普段、何を飲んでいるのですか。

量販店などで販売されている「コモディティコーヒー」や「コマーシャルコーヒー」、主にインスタントコーヒーなどに使われる「ローグレードコーヒー」ですね。美味しいスペシャルティコーヒーの存在自体が日本ではまだあまり知られていないので、ビジネスとしてチャンスがあると感じました。

ただ、街のコーヒーショップ1店舗だけで「日本人の多くは美味しいスペシャルティコーヒーを知らない」という課題を解決するのは困難です。そのため自分の強みであるデジタルやクリエイティブのノウハウを使ってスタートアップの形で立ち上げればスケーラブルでスピーディにビジネスを展開できると考え、PostCoffeeをスタートさせました。

ベンチマークという点では、アメリカでワインのサブスクサービスを行うスタートアップがいくつか立ち上がって成功しています。「毎日飲む」「嗜好品」という点は同じと考えると、自分が好きなコーヒーでもうまくいくはずだと考えました。

――ユーザー登録数や属性を教えてください。

ユーザー登録数は非公開ですが、β版を始めた2019年3月から正式版をローンチした2020年2月までの1年間と比べると、約25倍に増えました。男女比は4:6で女性のほうが少し多めです。

女性の割合が少し多いのは、Instagramを活用したマーケティングに積極的に取り組んでいる効果が出ているのだと思います。年齢層は25~35歳が最も多く、次が35~45歳。沖縄から北海道まで日本の人口分布に沿ってユーザーも点在しています。ほかに特徴としてはコーヒー以外の趣味を持ったお客さまが多く、例えばキャンプ、自転車、インテリア、料理、音楽などに興味を持たれているようです。

オン・オフ同時ローンチでメディアの注目を獲得

――会社の設立が18年9月、β版が19年3月、正式版と実店舗の同時ローンチが2020年2月と順調に来ている印象ですが、ユーザー数が急激に伸びたタイミングはありますか。

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残り5,159文字

・解約者を減らす取り組みとSNS運用の考え方
・サブスクの継続を促すポイントと「定期便」との違い
・コーヒー周辺器具の取り扱いとアジア展開の目標

記事執筆者

早川巧

株式会社CINC社員編集者。新聞記者→雑誌編集者→Marketing Editor & Writer。物を書いて30年。
X:@hayakawaMN
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