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インタビュー

アースメディア代表・松本淳が語る、LinkedInの注目度急上昇の背景と人材業界の変革に懸ける不退転の覚悟

最終更新日:2023.05.09

CEO Interview #10

アースメディア代表取締役

松本 淳

今年に入ってからTwitterで「LinkedIn(リンクトイン)」の文字を頻繁に見かけるようになり、驚いている方もいらっしゃると思います。その仕掛け人の一人がソーシャルリクルーティングを推進するアースメディア代表取締役の松本淳さんです。

日本に上陸して10年になるLinkedInに松本さんはなぜ突然注目し、これからどのように活用しようとしているのでしょうか。

今回はアースメディア代表の松本淳さんに話を聞きました。

(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧、撮影:矢島 宏樹)

目次

LinkedInが突然盛り上がり始めた背景

――「LinkedIn」が急に盛り上がり始めた印象を持っています。松本さんがTwitterで盛んにリツイートや「いいね」をしているのは知っていますが、背景を教えてください。

自分を含め、Twitterなど他のSNSからの新規参入がかなり増えてます。人が人を呼ぶ構造で、僕もTwitterからかなりの人をLinkedInに呼んできました。そういう流れがあちこちで加速しているように見えます。

LinkedInは日本上陸当初、なかなか浸透せずに厳しい時代が続いていたのですが、ヤフーでCMOを務めていた村上臣さんが2017年11月に日本法人の代表に就任してから少しずつ良くなっていました。

僕も登録だけはしているもののほとんど活用していなかったのですが、以前から知人に勧められていたこともあり、今年1月、Clubhouseが日本に上陸して村上さんがスピーカーになっていたときに話を聞いてみました。その結果、村上さんの言葉に刺激されて「これはやるべきだ」と感じたのがLinkedInを本格的に活用し始めたきっかけです。

――村上さんの話のどこが松本さんに刺さったのですか。

「LinkedInのユーザー数はじわじわ伸びているが、まだ少ない。だから今始めれば、アーリーアダプターになれる」という話が1つ。2011年の日本上陸から10年経っているのに、まだアーリーアダプターになれることに強い興味を惹かれました。もう1つは「最初はTwitterのコピペからでもいい」という言葉です。これが殺し文句になって、「やってみよう」と決意しました。

僕はそれまで主にTwitterで情報発信をしていたのですが、課題感を持っていました。それはTwitterの匿名性についてです。Twitter、Facebook、LinkedInというテキストがメインのSNSを比較した場合、軸が2つあると考えています。1つはパブリックかプライベートか、もう1つは実名か匿名かです。

Facebookは知らない人から友達申請が来たら警戒するように、主にプライベートなつながりを目的に活用されるのが一般的です。だから話題はワイン、ゴルフなどプライベートな話が多く、ビジネス用途には本来あまりなじみません。日本でFacebookがビジネスでも利用されるのは、LinkedInが日本上陸に失敗した隙にFacebookがビジネス用途のシェアを取ったからです。僕は10年ほどFacebookをやってきてビジネスとしての活用に限界を感じていたので、2019年からTwitterを始めました。

本気で頑張った甲斐もあって、今では3.1万人の方にフォローされています。TwitterはFacebookと違ってパブリックですから、知らない人ともつながれます。この文化によって新規の出会いが数多くあり、そこから仕事もたくさん始まりました。

ただ、途中までは良かったのですが、匿名性の高さに課題を感じるようになりました。「年収○千万円」「そして副業◯千万円」「GAFA幹部(本当かどうかは確認できない)」などという一部の”ファンタジー”な匿名アカウントがフォロワー数を拡大しているのを見て、嫌気が差してきたのが昨年末頃です。「自分の仕事であるソーシャルリクルーティングを拡大するのに、Twitterだけでは厳しい」と感じていたタイミングでLinkedInの話を聞き、村上さんの「これから伸びる」という言葉に後押しされて俄然興味を持ちました。

最初の1週間はTwitterのコピペを投稿してみました。すると、LinkedInではニュースのリンク付き投稿や英文が多いせいか、僕の投稿が目立ったのです。もともと僕のツイートは一部で「刺さる」と評価を頂くことがありましたが、LinkedInではTwitterでの僕をよく知らない人も多くて、こういうスタイルを新鮮に感じていただけたようです。想像以上にリアクションが多くて、「これはブルーオーシャンだ」「Twitterで鍛えたコンテンツ力が活きる」とワクワクしました。

1~2週間でかなりの手応えを感じ、「本当にアーリーアダプターになれる」と思いましたので、2月に入ってからTwitterのフォロワーからLinkedInにユーザーを呼び込みました。Twitterで相互フォローしている1700人のうち、実名できちんとしたコンテンツを書ける800人くらいにDMを送りました。DMは僕の得意な作戦で、徹底的にやり込みます。「LinkedIn、すごくいいからやろう」「今ならアーリーアダプターになれる」と熱いメッセージを全員に送りまして、そのうち500人ほどが呼びかけに応じて始めたり再開したりしてくれました。それが今のLinkedInの盛り上がりの一助になっているとは感じています。

LinkedInは国内に約200万人のユーザーがいますが、多くの人は「投稿」はしません。これはグローバルでも同様のようで、例えばアメリカでも一部の人たちしか投稿しないようです。日本はなおさらアクティブユーザー数が少なくて特定の少数の人しか投稿しないので、僕が呼んできた500人、しかもTwitterが好きで毎日のように投稿していた人たちの参入はLinkedInにとって、ある程度大きなインパクトになったと思います。皆さん面白い文章が書けますし、それぞれの方が新しいユーザーを呼んできて、さらにTwitterのように「いいね」もしてくれるので、リアクションが増えて盛り上がりました。

LinkedInならではのメリットと、ユーザー数拡大の決め手

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・会社売却後に起きた壮絶なアイデンティティの崩壊
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記事執筆者

早川巧

株式会社CINC社員編集者。新聞記者→雑誌編集者→Marketing Editor & Writer。物を書いて30年。
X:@hayakawaMN
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