マネジメントに悩んでいる人はいませんか?例えばスタートアップなら、会社の規模が大きくなり、いろいろな部署ができて、腕に覚えのある実力者が中途入社したり育ってきたりすると、セクショナリズムが生じたりして、1つの指示を通すことさえままならなくなりがちです。
そんなときは、どのように解決へ導くのが良いのでしょうか?
「The Marketing Native」第2回は、営業とマーケティングという、何かとぶつかることが多い部署の間に立って指揮を執る、日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社(以下KFC)営業戦略統括部・部長の小山典孝さんをインタビュー。いわゆる「不機嫌な職場」にしないための方法や、どこの会社にもいる「うるさ型」タイプと向き合いながら物事を前に進めるポイントについて聞きました。
(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧、人物撮影:稲垣純也)
※肩書、内容などは記事公開時点のものです。
目次
バイト出身、叩き上げのマーケター
――元マクドナルドCMOの足立光さんにインタビューした記事が、おかげさまで結構好評でして。
拝見しました。
――それで、記事のどこが良かったのかと考えたんですけど、足立さんの人となりですとか考え方をストレートに表現できたところが読者に届いたのかな、と。ですので、今回も小山さんの人間的な部分や本音が読者に伝わればいいな、と思っております。
なるほど。
――早速なんですが、小山さんはKFCのマーケティング部長を経て、現在は営業戦略統括部の部長を務める執行役員とのことですけど、もともとは高校時代のアルバイトからKFC一筋で上り詰めてきた典型的な「叩き上げ」ですよね。ハイマーケターのキャリアとしては異色ではないですか?
よく言われます。確かにマーケターの中には、頻繁に会社を変わっている方も多いですから、マーケターの集まりに行くと、「小山さんは以前、どこでマーケティングをやられてたんですか?」と聞かれることがあります。それで「いや、お店からずっとですよ」と答えると、「え、そんな人いるんだ」と驚かれますね。「辞めないんですか?」と聞かれると、「自分はそんなに異質かな」と思うこともありますが、決してネガティブには捉えていません。むしろ、そんなふうに思っていただける存在になれたのだと考え、褒め言葉だと受け止めています。
――高校生のアルバイト時代に見えていたKFCの風景と、営業戦略統括部部長として見ているKFC。何が変わり、逆に変わらないものは何ですか?
変わらないのは、「現場が全て」ということです。お店は全国に1100店舗以上ありますが、お客様から見えているお店の姿が、まさにKFCのブランドそのものであり、お店で起きている課題がブランドの課題です。チキンを手作りすることへのこだわりも同様です。こうした点はいくらテクノロジーが進化しても、変わりませんし、大きく変えてはいけないことだと考えています。
一方、KFCの本部に入って変わった点は、「現場が全て」という考え方は根底にありながらも、お店にいるときにはわからなかった指示の背景が見えるようになったことです。月並みな言い方ですが、今考えると、お店に指示が来たときに、なぜそれをやるのか、十分に理解できていなかったと言えます。お店にいるときは「戦略」だと思っていたのが、実は「戦術」だったり、戦闘の「手段」でしかなかったりするわけです。ポジションが上がるにつれて、指示の背景や目的がわかったことで、点が線になったというか、くっきりと見えてきました。
――営業戦略統括部は2018年にできた新しい組織のようです。何をするところなんですか?
経営と、店舗を持っている営業本部とのパイプ役というか、「ハブ」になる部署です。組織が大きくなってくると、専門性が強くなる一方で、どうしても縦割りの弊害が出てきます。それぞれが専門性を極めながら一生懸命働く中で、我々は今、横串を刺して交通整理をしているところです。
KFCのプロフィットセンターはお店です。そのお店にいろんな部署からさまざまな指示がバラバラに行くと、お店は混乱します。各部署にとっては最優先なことも、お店にとっては「どれが本当の最優先なの?」となりますので、我々の部署が調整しているのです。
――事業部長的な感じですか?
いや、営業企画業務に近いですね。全社最適を行う経営企画部は別にありますから、我々はあくまでも営業と他の部署とのパイプ役です。
変化を嫌う人との「落としどころ」の見つけ方
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