北の達人コーポレーション・木下勝寿社長の著書3冊が累計12万部を超える人気になっています。中でも昨年11月に出版された最新刊『時間最短化、成果最大化の法則』は、自身の経験に裏打ちされた実践的な内容と、多くの人に届くわかりやすい文章がビジネスパーソンに好評です。
スロースターター気味の人、多忙でチャンスを見逃しがちな人、流行語の「タイパ」を意識している人は、仕事のスキルを磨く以上に、この本に書かれた「思考アルゴリズム」(考え方のクセ)を取り入れて実践することで、人生が変わるレベルの大きな飛躍を遂げられるかもしれません。
今回は『時間最短化、成果最大化の法則』著者の木下勝寿社長に話を聞きました。
(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧、写真:永山 昌克)
目次
人生が変わる「ピッパの法則」
――拝読して、素直にいい本だと思いました。20代ビジネスパーソンなら必読級で、30代、40代でも忘れていたり、できていなかったりする人は、即実行して成長につなげたほうがいいと感じました。本には45の法則がありますが、日頃から書き留めていたのですか。
基本的な内容は、社員教育用のテキストと、以前お客さまにお送りしていたニュースレターの原稿、あとはTwitter投稿など私が書き留めていた内容をベースにして再編集したものです。私の思考回路そのものを知りたいという読者の方の投稿がTwitterであったのを出版社の編集者が見て、本になりました。
――リクルート勤務時代からメモしていたものですか、それとも社長として部下を指導する際に感じたことですか。
社長になってからの気づきがほとんどです。私も会社の設立(2002年)から20年以上経っています。ベンチャー企業なので、常に新しい人が入社してきますが、社員に何度も同じことを説明する際に、話す内容を一度文章として残しておくと抜け漏れが生じにくく、レベル感も以前話して良かったときと同レベルに統一しやすいので、メモとしてまとめてありました。
――ここまでかゆいところに手が届くくらいに書いてあっても、実際に実行する人はそれほど多くないのではないかと思います。それでもアドバイスするとしたら、何かありますか。
やはり「ピッパの法則」(※)ですね。
※ピッパの法則
ピッと感じたら、後でじっくりやろうと考えるのではなく、パッとやること。パッとできないときは、できる日をその場でスケジュールに組んでしまう。
とにかく、ピッパの法則を身に付けるのがスタートラインで、それ抜きで他をやろうとしても難しいでしょう。私自身もピッパの法則で自分が大きく変わりました。
人と話をしていても、ピッパの法則を知っているかどうかは別として、身に付いている人と付いていない人とでは、明らかに違いがわかります。身に付いていない人は、その場でメモを取っていなかったり、興味を持って質問をしてくる様子もなかったりするので、「後でじっくり考えようとしているな」「この人に今、話をしても無駄だな」と社内外を問わずわかってしまいます。
――後でじっくり考えようタイプは、自分もそうなので、本を読んで反省しました。
後でじっくり考えて本当にいいものが出てくる確率はそれほど高くありません。一部まれに優秀なクリエイターの中にはいらっしゃるかもしれませんが、そういう人たちはその場のヒアリング能力が非常に高いと感じます。その場でしっかりと理解し、後でじっくり考えるわけです。一方、多くの人はその場でわからないから後で考えようとしているだけで、そのときにわからないところは、その後も大体わからないままです。
優秀な社員に共通するキャパシティの広さ
――木下社長ご自身のリクルート勤務時代はどんな社員だったのですか。意識高く、がっついた感じですか。
いや、決して優秀ではありませんでした。自分は人にものを伝える際、トークではなく、文章のほうが得意です。相手の反応に応じてアドリブで話すスキルは、普通の人より多少うまいかもしれませんが、リクルートの中では決してトップセールスパーソンではなかったですね。
一方、何回も推敲しながら文章にして伝えるのは得意なので、著書を出すことができましたし、文章で説明することの多い通販でも成功できました。リクルートにはもともと起業の勉強、修行のために行きましたので、リクルートで在職中に大した結果は出せませんでしたが、私自身はあまり気にしていませんでした。周りの人は迷惑だったと思いますが(笑)
――リクルート時代も含めて、「優秀な社員」として思い出す人に共通する特徴はありますか。
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