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インタビュー

30代以降も成長する人が仕事と私生活でしていること――アナグラム代表・阿部圭司インタビュー

最終更新日:2022.10.26

CEO Interview #22

アナグラム 代表取締役

フィードフォースグループ 取締役

阿部 圭司

30代はキャリアの分岐点と言われます。

有り余る体力で駆け抜けた20代が終わりに差し掛かり、30歳を迎えると「自分の人生、このままでいいのか」と不安になり、35歳を前にして「転職はラストチャンスか」「起業すべきか」と悩み、40歳を迎えるときには将来が見え、「課長止まりの人生か」「ここからキャリアアップできるのか」と考えてしまう人は、今も昔も少なくないでしょう。

後悔しないキャリアにするためには、20代に続いて30代以降も成長することが必須。そのためには、ただガムシャラに働くだけでなく、工夫が必要です。

そこで今回は、30代をひたすらハードワークに費やしてきたというアナグラム株式会社代表取締役でフィードフォースグループ株式会社取締役の阿部圭司さんに、ご自身の経験を踏まえながら、30代からも伸びる人の特徴について話を聞きました。

(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧、撮影:矢島 宏樹)

目次

    30代の採用で絶対外せないポイント

    ――30代は人生の分かれ道であり、キャリアにおいては最も重要な年代との見方があります。20代は頑張れば頑張った分、成長しやすいし、失敗してもある程度、許容されます。しかし、30代は仕事でもプライベートでも責任が重くなり、40歳に近づくにつれ、人生の選択肢が少なくなり、次第に保守的になる人が増えていくと感じます。阿部さんは30代をどうお考えですか。

    結論として、30代で人生が完全に決まってしまうようなことはないと考えています。確率論でいうと確かに、30代は体力もまだあるし、経験を積んで世の中の仕組みが大体わかってくるので、体力と知力が充実して、成果が出やすい年代かもしれません。とはいえ、すべての人が同じ時間軸でキャリアを作っていくとは限りませんよね。

    例えば、アナグラムには学生結婚して20代で3人のお子さんを持った社員がいます。その社員は20代の頃、仕事に子育てにと大変だったかもしれませんが、30代後半からは子育ても少し落ち着き、仕事に集中できるようになったことで、大きく飛躍しています。これはあくまで一つの例に過ぎませんが、さまざまな人がいるんですよね。だから「人によって異なる」が正しい見解だと思います。

    ――では、20代で鳴かず飛ばずだった人が30代で開花したり、あるいは30代未経験からキャリアをやり直したりすることも可能だとお考えですか。

    本人のやる気、マインド次第で十分可能だと思います。私自身、29歳で今の会社を起業する前はアパレル業界にいたり、フリーで働いたりしていましたが、鳴かず飛ばずと言われれば、そうだったかもしれません。ボリュームゾーン的に体力と知力が噛み合う30代が一番伸びやすいというデータが仮にあったとしても、人それぞれ。人間誰しも決意した瞬間が一番若い日であり、30代でもやり直すのに遅すぎることはないと、身をもって言えます。

    ――アナグラムでは30代の社員は何%くらいいらっしゃるのですか。

    44%です(取材時の数字。41/93人)。比率でいうと、20代の次に多いですね。

    ――30代未経験の人を阿部さんは採用しますか?もしするとしたら、どこを見ますか。

    もちろん、採用しますよ。必ずチェックするのは、思考が歪んでいないか、凝り固まっていないかですね。

    ――確かに20代で成功も失敗もそれなりに経験しているので、真っさらとはいかないですよね。

    価値観が凝り固まりやすい年齢ではあるので、どこまで覚悟を持って新たな気持ちで仕事に取り組み、新しい組織と人に適合しようとするかを採用のときには見ます。

    ただ、採用に関して、これまで数多くの面接をしてきた最終結論は、年齢にかかわらず、Googleの「エアポートテスト」と同様、出張先の空港で飛行機が止まり、空港に閉じ込められてホテルにも泊まれない、今晩帰れないとなったときに、空港でその人と2人、ひと晩一緒に語り明かすことができるかどうかだと思います。年齢が若い、頭がいい、スキルが高いなど魅力的な条件は確かにありますが、最後は、その人がつまずいたときに心から寄り添えるかどうか。どんなに優秀で経験豊かな30代が面接に来ても、それが難しいと思ったら、採用には踏み切れないですね。

    起業後のハードワークと、子供誕生で迎えた転機

    ――阿部さんご自身は、どんな30代でしたか。30代前半、中盤、後半と分けて教えてください。

    29歳で起業して、会社は今13年目。1人起業だったこともあり、30代前半はセミナーで土日に飛行機に乗るとき以外、ずっと仕事をしていました。一応前提として、そういう時代でしたし、個人的に性に合っていましたので、誰かに推奨するものではありません。

    ――セミナーというのは教えていたのですか。

    自治体などが主宰するセミナーに呼ばれて、年間で40~50カ所くらい回っていました。ちょうどリスティング広告に関する1冊目の本を出したタイミングで、当時はその領域に詳しい人がそれほど多くなかったこともあり、地方によく呼んでいただけました。

    ――起業してからはずっとハードワークの毎日。特に30代前半は飛行機に乗るとき以外、ずっと仕事をして会社を拡大してきた、と。

    睡眠、移動、食事、読書、それ以外は、そうですね、それしかないです。おかげさまで良いお客さまに恵まれ、会社は非常に順調に成長していきました。

    ――ピンチらしいピンチもなく、ですか。

    それはもちろん、人間関係の問題や資金ショートなどいろいろありました。黒字倒産しかかったこともあります。

    我々のビジネスは、広告運用開始の2カ月後にクライアントから入金される立て替えモデルの比重が大きいので、クライアントの広告費が100万円の場合は、翌月の未払い分を含めて200万円のキャッシュが手元に必要になります。そのため、うまくいけばいくほど、大量のキャッシュが手元に必要になり、キャッシュフローを圧迫して黒字倒産のおそれが出てきます。

    社員数が20人くらいのときのこと。当時は無借金経営をカッコいいと思っていたのですが、ある日突然、いろんな偶然が重なって、大きなクライアントの予算が次々と3倍くらいになったことがありました。これはうまくいっている証拠なので、非常に良いことなのですが、その規模に対応できるキャッシュが手元にありません。でも、クライアントに広告を止めろとも、もちろん言えないわけです。このままでは確実に倒産する、20日後につぶれるとリアルな数字までわかったとき、変な汗が止まりませんでした。

    お金になりそうなものは全部売りましたが、それでもまだ足りない。どうするか。やむを得ず、その少し前にイグジットしていたメンターの方に資金を融通してもらおうと思い、相談しました。ところが、状況を説明したところ、「黒字体質の良い会社じゃないか」「そんな会社にエクイティ(株主資本)を入れるなんてあり得ない。頑張れ」と言われたのです。「いやいや、こちらは私物も売っているほどまずい状況なのです」と訴えたら、今度は関西在住の大物公認会計士を紹介されたのですが、その人も資金繰り表を見るなり「頑張りなさい」と同じことを言うのです。「これ以上、頑張れないから頼んでいるのに」「なんて血も涙もない人たちなんだ」と震えが止まりませんでした。

    結果的には、売れるものは全部売って、クレジットカードのポイントまで切り崩し、ギリギリで助かりました。今考えると、もしあのときエクイティを入れられていたら、不本意なイグジットをしなければならなくなり、会社の形も今とは違っていたでしょう。独自資本を貫いてきたからこそ、「挙手制」や「評価制度」をはじめ、アナグラムならではのたくさんの制度が実現できているわけです。そう考えると2人には頭が上がらないですね。

    ――35歳頃はどうですか。

    35歳を過ぎて、健康に気を使うようになりました。35歳頃には、会社が軌道に乗りましたが、私の働き方自体は30代前半からずっと同じでした。結婚はしていたものの、もともとショートスリーパー気味なので、睡眠時間は一日4時間。それ以外はほとんど仕事で、土日はセミナーで全国を回る日々。周りの起業家を見てもそんな感じでしたし、「働き方」なんて言葉を知らないくらい、それが普通だったと思います。

    ところが、36歳のときに最初の子供が生まれたのが転機になりました。私はショートスリーパー気味でも、睡眠の質は深かったのですが、4時間の睡眠時間のうち夜泣きで2時間くらいで起こされる生活が始まると、恐ろしい夢を見たり、体にガタがきたりしたのです。このままでは確実に病むと感じてからは、6時間寝るようにしたり、働き方も変えたりしました。当時は朝6時台に会社に行って、夜7時に退勤する生活だったのですが、今も朝イチでオフィスにいるとはいえ、夜は社員より先に帰ることを意識しています。健康に気を使うようになった点で、子供にはとても感謝しています。

    M&Aを決断した表向きの理由と、言えなかった葛藤

    ――30代後半から40歳まではいかがですか。

    ちょうど40歳になるタイミングで大きな決断をしました。それがM&Aです(2020年1月に株式会社フィードフォース[現:フィードフォースグループ株式会社]の子会社化)。

    M&Aに踏み切った理由は大きく3つあります。1つめが表向きの理由で、銀行がこれ以上お金を貸してくれなくなったからです。銀行が過去の決算に対して信用でお金を貸すのに対し、その先の成長率に対してお金を融通するのはベンチャーキャピタル。その違いを理解していませんでした。会社は利益体質で、経営は健全、良いクライアントにも恵まれていたのですが、当時、個人保証で13億円ほど借りていて、その時点の成長率のままいくと、次に借りるのは5億~10億円になってしまいます。いくら経営状態が健全で成長率が高くても、それ以上貸すのは難しい、銀行とはそういうものだと言われて、初めて「これからどうするか」と考え、周りを見渡しました。

    すると、我々と同じくらいの規模で独立系の広告代理店がほぼ存在しないことに気づきました。つまりそれが答えで、手元のキャッシュが追いつかなくなるから、IPOするしかないことに、そのとき初めて気づいたのです。でも、時すでに遅し。もっと早く気づいていれば、早めに監査法人を入れてIPOの路線を進んでいたかもしれませんが、その時点から急いでも2年半くらいかかります。だから成長率を意識するのであれば、M&Aで資本を入れてもらうしかなかったのが1つめの理由です。

    2つめの理由は、単純に気持ち悪かったのです。1人起業だったこともあって、一定の規模になるまでは個人会社の延長で経営していましたから、言葉は良くないですが、ある意味“私物化”というか、自由にやっていました。以前は社宅に住み、社用車に乗り、外食も経費で精算していて、税金を払うくらいならそのほうがいいと思っていたのですが、ガバナンスとしては私物化を避けるべきですし、それ以上に罪悪感のような気持ち悪さが拭えませんでした。念のためにお伝えしますが、こういったこと自体を完全に否定しているわけでは決してなくて、私には合わなかった、というだけです。

    ――良い悪いは別にして、中小企業には珍しくないですよね。

    確かにそういう話を弁護士や税理士にしても、「100%阿部さんの会社なのだから、何も悪いことはしていないし、法も犯していません。問題ありません」と何回も言われていました。

    ただ、こんなことがありました。弊社は定期的に熱海で合宿をするのですが、新卒で入社予定のインターン生たちを私の車に乗せて行こうとしたら、ちょっと大きめの車だったこともあり、そのうちの1人が「阿部さん、この車いくらするのですか?」と無邪気に聞いてきたのです。

    ――ストレートに来ましたね(笑)

    本人に悪気はないですからね。そのとき私、何を思ったのか、とっさに「いや、これね、リセールバリューを考えたら、とてもリーズナブルな車なんだよ」と言ってしまったのです。「これは社用車で、〇万円」とは言えなかったですね。きれい事に聞こえるかもしれませんが、それがずっと心のどこかに違和感として残っていて、人に言えないことをしているのかもしれないという後ろめたさになっていました。

    躊躇なく価格を伝えて、「みんなも俺みたいに社用車に乗れるように頑張れよ」と言う人もいるかもしれませんが、そういうマネジメントは自分には合わなかったです。

    ――普通は「移動中の車内でも仕事に集中できるから、多忙な自分にとって経費以上のバリューがある」などと答えると思いますが…。

    とっさには出てこなかったですね。日頃、積極的に情報開示して、正直に経営していると胸を張っていたのに、みんなに言えないことをしているのではないかという、つっかえた感情が気持ち悪かったからだと思います。非上場の中小企業なので、すべてをさらけ出す必要はないのですが、そこに逃げる自分も嫌でした。この感覚を理解してくれる経営者は、少ないかもしれません。

    3つめの理由は、自分たちの本業が広告代理店事業のためか、新しいプロダクトの創出に苦手意識があることです。社員数が増えるにつれて新規事業の話が次々出てくるのですが、以前アプリを作ってうまくいかなかった経験があり、「新規事業に工数を取られるより本業に力を入れたほうが儲かる」という、ある種の“思い込み”があります。自分たちなりに頑張ったのですが、その“呪縛”からなかなか抜け切れなかったため、そういうことが得意な企業と一緒になろうという発想に至りました。

    緑のある素敵なオフィスの1階には、ナッツの入ったノベルティ「アナグラム・ナッツ」が来客用に常備されている。

    転職するか、起業するか、後輩に抜かれたらどうするか

    ――そうすると、阿部さんの30代は、起業してガムシャラに働いた前半、子供が生まれて健康を意識し始めた中盤、会社のさらなる成長へと舵を切った後半と大きく特徴づけられると思います。

    一般の30代社員に話を戻すと、阿部さんのように起業する人もいれば、早い人なら企業で部長になったり、マーケターならCMOのようなマーケティング責任者に就任したりする人が出てきます。一方で、同期に差をつけられたり、後輩の20代に昇進で抜かれたりする人もいます。20代の部下に追い抜かれた人は、どうすればいいと思いますか。

    どうすればいいというより、本人がやりたいようにやればいいし、基本的にそれ以外はないと思います。これまでいろんな人に会ってきましたけど、本当にやりたいようにやっている人は輝きが違います。だからまず、自分は何をやりたいのか、何をするのが楽しいのかを内省することが大切です。

    その上で、運が良ければ、やりたいことでお金儲けができるでしょう。中にはやりたいことだけど、儲からない領域もあります。それは仕方がない。だってやりたいことなのだから。その場合は、副業などで稼ぐ手段だってありますしね。あとはやりたくないけど、生活や趣味のためにお金を稼ぐ人もいます。基本はこの3パターンです。

    一方、お金を持っているから幸せかというと、そうとは言えず、お金をたくさん持ちながら病む人も大勢います。そういう人たちの特徴は、お金があれば幸せと勘違いしていることです。そう考えていくと、やはり「やりたいようにやる」が一番重要ですし、「どうありたいか」がすべて。「どうありたいか」もまとまっていない状態で転職を繰り返すのは悲劇の始まりだと思います。

    もちろん、お金も大事です。人生のフェーズでお金が必要なときもあるので、お金を目的に転職するのもありとは思いますが、40~50年くらい働くのに、やりたくもないことをやり続けるのはつらいですよね。だから年代に関係なく、基本は「やりたいようにやりなさい」「本当にやりたいことが他社にあるなら転職もいいでしょう」「やりたいことが、自分でもよくわからないまま転職してもうまくいきませんよ」としか言えないですね。

    ――失礼ですが、やりたいことが運用型広告だった場合、アナグラムには一生勤めたくなるような制度はありますか。

    特別な制度はありませんが、フィードフォースグループとしては、いくつか法人があるので、事業主サイド、テクノロジーサイドも経験できる環境があります。グループ会社間の異動(転籍)を柔軟に行える制度「Career Hub」を整えました。例えば、アナグラムはクライアントワーク中心なので、事業主サイドに行きたくなった社員が、残念ながら離職するケースもありました。この制度は、「事業側もやってみたい」という場合の選択肢の一つになるので、その点でもM&Aのメリットを活かしていきたいと思います。

    ただ、本音を言うと、「運用型広告担当者のキャリアパスって何ですか?」とよく聞かれるのですが、心の中では「そんなの知らないよ」と思っています(笑)。やりたいこと、好きなこと、興味のあることをすればいいじゃないですか。やりたいことの追求が成果につながり、運用型広告の担当者から有名企業のCMOになってマーケターとしての頂点を極めた人もいれば、私のように経営者になった人もいます。基本は自分がやりたいこと、面白いと感じることを突き詰めるしかないと思います。

    また、どうしてもやりたいことが見つからない、わからない、という人には、特段好きではないかもしれないことでも、「悪くない、嫌いじゃない」というものを副業などを通して試してみることをお勧めしています。誰しもが心からやりたいことを見つけるなんてほぼ不可能だと思います。昨今のやりたいことを誰にでも求めすぎる風潮は、ハラスメントの域に達している気すらしますね。その中で、「悪くない、嫌いじゃない」という選択肢があってもいいじゃないですか。今振り返れば40歳になる以前の私は、やりたいことというよりは、「悪くない、嫌いじゃない」ことをし続けてきた結果、やりたいことを見つけられたなと感じます。

    そのように、選択肢を見つけることだけに時間を割くのではなく、選択肢を潰していくことも重要だと思います。

    マンネリを防ぎ、自分を飽きさせない工夫

    ――わかりました。次に、ビジネスパーソン、あるいはマーケターが30代からでも成長するために必要なことがあれば教えてください。

    現場に立つことでしょう。ただし、ただ打席に立つのではなく、立ち続ける努力が大切です。ポイントは自分を飽きさせないこと。

    ――Webマーケティングの仕事は早く身に付きやすい分、すぐマンネリに陥って飽きてしまうと言われますね。

    どんな仕事でも遅かれ早かれ、飽きると思いますよ。私なんていつも飽きています。でも「商いのコツは“飽きない”」と言われるように、自分を飽きさせないように工夫できるのが一流の証しです。飽きて努力も勉強もしなくなると、そこからの伸びには限界があります。

    飽きずにずっとモチベーション高く打席に立ち続けるためには、自分を良い形に錯覚させることです。例えば、私は最初、運用型広告のプレイヤーとして毎日ブログを書いていましたが、ある意味、飽きが来たので経営者になったところがあります。経営は広告運用とは異なる能力が必要になり、全国をセミナーで回ったりしながら常に新しい挑戦をすることで、自分を飽きさせない工夫をしていました。

    M&Aもその一環です。自分の知らない領域であるM&Aに挑戦し、スキルセットを手に入れることで飽きないように仕向けているわけです。

    ――自分を飽きさせない良い方法はありますか。

    社内でもよく言うのですが、私は1年間に最低2回、「手ごわそうだなあ」「気乗りしないなあ」「でも、この人が言うのなら何か得られるものがあるのかも」という仕事を引き受けることを人生のルールにしています。当然、その仕事で成果を出すためには脳みそをフル回転させて臨む必要があり、飽きる暇もなく、確実に自分の成長につながっていると感じます。

    もちろん、引き受けたけど、想像していたのと違ったり、ハードルが高すぎて十分な成果を出せなかったこともあります。でも、それも含めて学びや経験になりますので、おすすめできる方法です。

    ――それはいいですね。私も成長を止めないために、一年に2回はハードルの高そうなことを意識して取り組むようにします。次に、阿部さんが30代のマーケターに求めることを教えてください。20代以上の成果なのか、マネジメントなのか、それとも新規事業開発なのか、社長としてどうですか。

    30代だから何かを求めるという考え方はないですね。30代未経験で入社する人もいますから。

    ただ、社員に言っているのは、マネジメントは経験しておいたほうがいいということです。テクノロジーが進化していろいろな仕事がなくなるという話がありますが、人類の中で一番なくならない仕事がマネジメントだと思います。例えば、「1億総フリーランス時代」と言われることもありますが、フリーランスだけで仕事ができるとは思えず、必ず間に入るディレクターのような調整役が必要になります。そうすると必ずマネジメントが発生するわけです。だからどこまでデジタル化が進んでも、人と人が仕事をする以上、マネジメント業務は生じるので、一生なくならないし、経験しておくのが良いと思います。

    断然おすすめ!私生活で「やっておいたほうがいい」こと

    ――最後は、プライベートですべきことについてお聞きします。今40代の阿部さんから30代の人に対して、プライベートの部分で「これだけはやっておけ」とアドバイスするとしたら何ですか?旅行、結婚、読書、マネープラン、健康管理、趣味、社外の人脈作りなどジャンルは問いません。

    株式投資ですね。

    ――おお、予想外でした(笑)。無難に旅と健康あたりかなと…。

    もちろん健康も大事ですが、株式投資は世の中の仕組み、資本主義そのものですし、私はマーケターが株式投資をすることで得られるものは多くあると思っています。経済情勢に敏感になるし、企業分析も必須。企業が決算を基に自社をどう見せようとしているのか。さらに成長するのか、しないのか。企業の決算と情報に対して、世論はどう判断しているのか。それはもうマーケティングだと思います。さらに、いわゆる「老後資金2000万円問題」についても、株式投資を早い時期からやっていれば、さほど心配することはないかもしれません。

    ――そう言われたら、始める人が増えそうですね。

    私は20歳くらいから投資をしているので、逆にやったことがない人生があるんだと驚きます。株式投資をしたほうがいいと強く思いますし、弊社の場合、株式投資をしていると言って入社してきた人は総じて、活躍しています。

    ――本日はありがとうございました。

    Profile
    阿部 圭司(あべ・けいじ)
    アナグラム株式会社 代表取締役、フィードフォースグループ株式会社 取締役。
    大手アパレルメーカーを経て運用型広告の世界へ。リスティング広告やFacebook広告など運用型広告の領域が得意なマーケティング支援会社「アナグラム」を経営。現在はマーケティングの提案にとどまらず、ビジネスの最大化を目指すコンサルティングを行う。
    著書は『新版 リスティング広告 成功の法則』(ソーテック社)、『いちばんやさしいリスティング広告の教本』(インプレス)など。

    Twitter:@semlabo(sem_master)

    早川巧

    記事執筆者

    早川巧

    株式会社CINC社員編集者。新聞記者→雑誌編集者→Marketing Editor & Writer。物を書いて30年。
    Twitter:@hayakawaMN
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