2018.10.26

VR&360度動画・画像のビジネス活用事例|VRは今後どうなる?

VR(Virtual Reality=バーチャルリアリティ、仮想現実)のビジネスへの活用が注目されています。「VR元年」と言われた2016年当時は、ゲームなどエンターテインメント業界での活用が中心でしたが、その後、旅行、不動産、広告、健康産業などさまざまな分野でVR&360度動画・画像が導入されています。一般家庭への普及こそ、いまだ大きな進展は見られないものの、企業レベルでの活用は今後も飛躍的な進化を遂げながら拡大していくでしょう。

この記事では、効果的なデジタルマーケティング戦略を検討中のマーケターの方向けに、企業や自治体におけるVR&360度動画・画像の活用事例をご紹介します。

目次

VR&360度動画・画像×観光

VRとは、テクノロジーによって作られた架空の環境です。一方、360度動画・画像は、現実世界を中心に360度全方位にわたって視聴できるという点に特徴があります。

※画像素材:くま社長 / PIXTA

VR&360度動画・画像なら、実際にその場所に行かなくても、雰囲気を生々しく体感しやすいことから、特に観光業界はその強みを活かして、観光客誘致の施策に積極的に活用しています。ここでは特徴的な事例を2つお伝えします。

大自然を体感|北海道VRツアー

北海道の観光地や絶景、産業遺産など約70カ所、300シーンをプロのカメラマンが撮影した2億ピクセルという超高解像度の360度パノラマ写真で体感できるWebサイトです。解像度が高いため、細かいところまでズームイン可能なことから、北海道の大自然が織りなす息をのむような美しい光景を自宅にいながら隅々まで堪能できます。さらにヘッドマウントディスプレイを使用すれば、実際にその場にいるかのようなバーチャル体験も味わえるでしょう。アプリなどをインストールする必要がなく、インターネットにつながる環境があればいつでも利用できます。

※画像出典:北海道VRツアー

北海道VRツアー

観光は猫目線で|広島キャットストリートビュー

「カンパイ!広島県」という観光プロモーションの一環として、広島県が運用するWebサイトです。特徴は世界初の猫目線による360度ストリートビュー。風情のある街のたたずまいから路地裏の風景まで、広島の隠れた魅力を地面から約20センチという「猫目線」で疑似体験できます。2018年10月現在、映画や小説の舞台としても知られる尾道市と、「安芸の小京都」と呼ばれる竹原町並み保存地区の様子が公開されています。尾道編を公開後1週間で、観光プロモーションサイトへのアクセスが132万PVを超えるなど、広島観光に興味のある人のみならず、猫好きな人からのアクセスも集め、話題を読んでいます。

※画像出典:広島 キャットストリートビュー 第1弾 尾道編

※画像出典:広島 キャットストリートビュー 第2弾 竹原編

広島 キャットストリートビュー 第1弾 尾道編
広島 キャットストリートビュー 第2弾 竹原編

VR&360度動画・画像×不動産

VR&360度動画・画像の技術をいち早くサービスに取り入れた業界の一つは不動産です。理由は、完成前の建物内外を一足先に、隅々までわかりやすく動画や画像で顧客に提示でき、納得感を高められるからです。ここでは事例を1つご紹介します。

リフォーム後のイメージを的確に|大京リフォーム・デザイン

国が「新成長戦略」の一環として活性化を後押しする住宅リフォーム。大京リフォーム・デザインでは、顧客がイメージするリフォーム後の室内の様子をCG画像でリアルに作成するとともに、VRゴーグルで確認できるサービス「バーチャルリフォーム」を2017年10月から提供しています。リフォーム予定の室内に立ってVRゴーグルを使用すると、一瞬でリフォーム後の状態に変わるような感覚を体験できるので、図面だけではわからなかった細かなイメージまで顧客、プランナー、工事店が共有可能です。その結果、顧客が納得した形でリフォームを進められるだけでなく、品質管理の向上、業務効率化にも役立ちます。

※画像出典:大京リフォーム・デザイン

大京リフォーム・デザイン「バーチャルリフォーム」

VR&360度動画・画像×広告

VR&360度動画・画像の活用は広告の分野にも広がっています。ここでは、人気女優を起用した事例を1つご紹介します。

綾瀬はるかさんがVRでメッセージ|江崎グリコ

江崎グリコは人気商品ジャイアントコーンのプロモーションの一環で360度動画をYouTubeで配信中です。イメージキャラクターを務めるのは女優の綾瀬はるかさん。毎日頑張っている人に向けて、綾瀬さんが「おつかれさまです!」のエールを送ります。ポイントは、VRを活用して3人の綾瀬さんが異なる方向から登場すること。画面を360度動かすことで3人の綾瀬さんを見逃さずに視聴できます。2018年10月現在、アイスクリームを食べたくなる時季に合わせ、春篇と夏篇の2本が公開されています。

綾瀬はるか「おつかれさまです!」VR(春篇)グリコ ジャイアントコーン

綾瀬はるか「おつかれさまです!」VR(夏篇)グリコ ジャイアントコーン

VR&360度動画・画像×スポーツ

VR&360度動画・画像の活用によって、スポーツ選手たちの迫力あるプレーをこれまでにない臨場感をもって視聴者に提供できるようになりました。事例を1つご紹介します。

VRでスポーツの熱量を体感|J SPORTS

J SPORTSはスポーツの専門チャンネルを4つ運営する国内最大のスポーツテレビ局です。同社は「J SPORTS VR」という無料のアプリサービスを提供していて、野球・ラグビー・サイクルロードレースなどのスポーツコンテンツを臨場感あふれる映像で配信しています。一部はYouTubeでも視聴できます。ポイントは選手たちの息遣いまで感じられること。例えばラグビーを視聴すると、スクラムの中の様子を360度全方位の映像とリアリティのある音声によって間近で感じられ、選手たちと一緒に疑似体験しているような感覚を味わえます。新たなスポーツ観戦の方法としてVRアプリの活用機会が広がりそうです。

【360度動画】サンウルブズ練習 スクラム ラインアウトの中に潜入体験

VR&360度動画・画像×エンターテインメント

VRの登場によって、迫力のあるアトラクションをもっとリアルに体験することが可能になりました。各地でVRを活用したエンターテインメント施設が開設されています。

世界中のVRが集結|VR PARK TOKYO

ゲームセンターなどのアミューズメント施設を運営するアドアーズが2016年12月に東京・渋谷に開設したVRテーマパークです。オープン前から話題を集め、約半年で入場者数5万人を突破するという人気スポットとなっています。VR PARK TOKYOでしか楽しめないオリジナルのVRアトラクションのほか、世界中から話題のVRが集まっていて、ハイクオリティのヘッドマウントディスプレイを使用することで、視覚、聴覚、触覚ともに仮想空間の世界を存分に体感できるでしょう。

また、北海道札幌市にはVR PARK TOKYO satelliteもあり、連日多くの人でにぎわっています。

※画像出典:VR PARK TOKYO

VR PARK TOKYO

最先端のVRアトラクションを満喫!|JOYPOLIS VR SHIBUYA

CAセガジョイポリスが2018年10月に東京・渋谷のMAGNET by SHIBUYA109にオープンしたVR特化型施設です。映画『ターミネーター』の世界を体感できる「TERMINATOR SALVATION VR」や謎解き脱出型VRホラーアトラクション「THE DOOR」、VR eスポーツをコンセプトにした「TOWER TAG」など最先端のVRコンテンツをVR初心者でも心ゆくまで楽しめる点が特徴です。

JOYPOLIS VR SHIBUYA

Terminator Salvation™ ©2009 The Halcyon Entities’ Creditor Trust. All Rights Reserved. ™ Designates a trademark of The Halcyon Entities’ Creditor Trust

VRの可能性と課題

「VR元年」と言われた2016年以降、VRを活用したアトラクションが体験できるエンターテインメント施設のオープンや、PlayStation VRといったVRシステムの販売、低価格帯のVRゴーグルの登場によって、VRの認知度は大きく向上しました。VRゲームソフトなどのコンテンツが続々とリリースされている上、VRを利用したフィットネスジムなども注目されており、今後も医療、教育、建築、ファッションなどビジネスのさまざまな分野で活用されていくことは確実です。

一方、一般家庭への普及となると、課題があります。理由の1つはVRを視聴するための機器が比較的高額なことです。本格的なVRコンテンツを視聴するためには高性能のVR機器が必要ですが、すべて揃えるとなると、おおむね数十万円かかります。VRが生活必需品でない以上、購入に二の足を踏む人がいまだ多いのもやむを得ないところです。

そうした状況で市場をにぎわせているのが、一体型VRヘッドセットです。「一体型」というように、ケーブルを使ってPCやスマホにVR機器を接続しなくても視聴できる点がメリットで、価格も数万円程度。それでいて画質のクオリティは高く、ゲームなどのVRコンテンツにも対応できます。

一体型VRヘッドセットがどこまで普及するのか。VR市場の拡大は、一体型VRヘッドセットの動向が鍵を握っていると言えそうです。

成功事例はいまだ限定的だが、可能性は無限大

VRはこれから最も急成長を遂げる市場の1つであると以前から言われていて、VRアトラクションを集めたエンターテインメント施設の開業も続いています。さらに、高性能の一体型VRヘッドセットの登場によって、VRが今後一般家庭にも広く普及していくと考えられ、市場が活性化しています。

とはいえ、ビジネス面での成功事例はいまだ一部に限定されていることも事実です。VRの持つ計り知れない可能性をどのように活用するのか。各企業の模索が続いています。

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