2018.07.10

コンテンツマーケティングでお客様との接点を「点」から「線」に
ベルトラ株式会社 堀端勲様インタビュー

Marketing Native Special Interview

世界各地の現地オプショナルツアー専門予約サイト「ベルトラ」を運営するベルトラ株式会社。現地オプショナルツアーという業界において圧倒的なシェアを誇るベルトラは、主にSEOやリスティング広告を利用して集客を行っており、まさにWebマーケティングの成否が同社の業績を左右する生命線となっています。そのWebマーケティングで責任者を務めるのが、インタビューにご登場いただく堀端勲さんです。

今回、堀端さんにはこれまでベルトラで手掛けてきたWebマーケティング施策や今後のお取り組みをお聞きするとともに、Marketing Nativeの読者の方にも役立つ、施策成功のポイントについて伺いました。
(取材・文:Marketing Native編集部、人物写真:海保竜平)

目次

流入が取れているキーワードで上位順位を維持

――まず、ベルトラという会社の紹介をお願いします。

会社の設立は1991年です。オプショナルツアー専門予約サイト(当時のサービス名称: Alan1.net)の運営は2004年にスタートしました。サービス開始当時は航空券やホテルの手配、滞在先での食事・観光・ショッピングなど全工程を組み込んだ「フルパッケージツアー」が主流でしたが、その時代から海外における現地ツアー、オプショナルツアーの販売を手掛けてきました。

その後、インターネットの普及に伴って、航空券のみ、ホテルのみ、あるいは航空券とホテルだけを格安で購入できるWebサイトが登場したことで、フルパッケージツアーではなく、個人で低価格帯の航空券やホテルをオンラインで予約して海外へ行くという「FIT(海外個人旅行)※」層が増加しました。FIT層のボリュームは2000年初頭には50万~100万人規模でしたが、現在では600万~700万人くらいいると言われています。その伸びに伴い、弊社も順調に成長してまいりました。
(※Foreign Independent Tour/Foreign Individual Touristの頭字語)

――ベルトラの強みは何でしょうか?

例えば、アフリカや南米というと、渡航前にリーチできる情報が限定されており、またその量も多くないことから「行ってみたいけど、少し不安もある」と感じられるお客様がいらっしゃると思います。弊社はそうした国や地域への旅行に対して、日本語を話せるガイドが付いたツアーをご提供しています。その点がまず大きな強みとして挙げられます。

もうひとつの強みは、現地ツアー、オプショナルツアーの豊富なラインナップと実際に参加されたお客様から寄せられた参加体験談です。オプショナルツアーというニッチな業界がマーケットとして成熟しつつある中、海外の企業が日本に進出しています。そのような状況で、弊社の参加体験談は、実際にツアーに参加された日本人の体験談のみになっています。さらに、お客様からいただいたツアーに対する評価(「★」の数1~5個で表示)も、全部掲載するのが基本です。そうすることによってお客様により正確な情報をお伝えするとともに、旅行前の期待値が上がりすぎるのを防ぐことを目的としています。

もっとも、★が1~2個ばかりのツアーについては、現地催行会社との話し合いを設けて改善について検討したり、改善を重ねてもお客様の期待に応えるクオリティに満たない場合には取り扱いを中止したりしていますので、弊社ではツアー数が玉石混交でいたずらに膨らんでいくということにはなっていません。

――堀端様はどのようなお仕事を担当されているのでしょうか?

私はマーケティングの責任者を務めておりまして、検索広告まわりを中心にマーケティングの戦略立案を行っています。サイトへの流入率のところからお話しさせていただくと、現状はSEOとリスティング広告からの流入が約7割を占めています。これまでのところはうまく流入が取れているのですが、マーケットの成熟に伴い、リスティング広告の単価が少しずつ上がってきていますし、SEOの部分でもいずれもっと競合が増えてくるだろうと予想しています。したがいまして現在は、集客の7割を占めるSEOとリスティング広告の分野において、「ハワイ オプショナルツアー」など最も流入が取れているキーワードで断固として1位を維持していくという点に力を入れています。

また、会社の規模もそれなりに大きくなってきていますので、手掛ける領域を拡大し、FacebookやInstagram、Twitter、LINEなどのSNSについてもより注力していく方針です。

SNSの特徴に合わせたマーケティング戦略の実行

――特に力を入れていきたいSNSはございますか?

難しい質問です。その理由は、SNSは媒体として基本的には売り上げに直結しにくい部分が多いですし、SNS自体の人気や勢いも頻繁に変わるからです。

そういう状況の中で、強いて挙げるとすればInstagramでしょうか。旅といえば写真が付きものですし、「Instagram Stories」は旅先の風景やアクティビティに関する動画を紹介するのに適しています。ただし、Instagramについても、ショッピング機能が導入されたとはいえ、現状ではまだ弊社への導線は引きにくく、売り上げ増に大きく貢献する効果があるとは考えていません。そのため、SNSについては真正面から本腰を入れて取り組むというのではなく、日本人が行う主流の使い方に合わせて、弊社もコミュニケーションメッセージを変化させながら運用していく方針です。

例えば、LINEの企業アカウントであれば、お客様は割引やキャンペーンといったお得な情報か、もしくはスタンプを求めている可能性が高いわけですから、LINEでは魅力的なツアー情報を流すのではなく、お得な情報に特化して運用しています。Instagramで取り上げるのは、インスタ映えするような観光地です。そういう形で、それぞれのSNSの特徴に合わせた取り組み方をしていくのが良いのではないかと考えています。

――ほかに堀端様が注力されていることはございますか?

アフィリエイトです。検索からの流入の次に多いのがアフィリエイトだからです。現地ツアー、オプショナルツアーというものは、商材の性質上、お客様が旅行商品を購入する経路の中で最後に位置します。つまり、まずどこへ行くかという国を決め、そこから航空券とホテルを予約し、出発日が近づいてきてようやく、「現地で何をするか」「初日は決まっているけど、2日目、3日目はどうするか」ということが頭に浮かぶというわけです。例えば、「今度の休みはカンボジアに行こう」と決めたら、航空券とホテルを押さえた後で、「初日はシェムリアップ市内を観光し、2日目はアンコールワットに行こう」と考えるのが一般的でしょう。そこでお客様が「アンコールワット」というキーワードで検索し、弊社のツアーが1位に表示された結果、ご予約をいただくという流れです。

我々はこの経路を逆にしたい。お客様にまず現地ならではの魅力的なアクティビティを知っていただいて、そこからそのアクティビティができる国に目が向き、航空券とホテルを予約するという流れにしたいのです。例えば、オーストラリアのゴールドコーストでは、熱気球体験が人気です。「熱気球に乗ってきれいなビーチの風景を空から見てみたい。よし、オーストラリアに行こう!」という発想に変えたいのです。ベルトラではこれを「アクティビティ志向」と呼んでいます。我々は、ポイントサイトさんなどとタイアップしたアフィリエイトによって、このアクティビティ志向の旅を実現しようと取り組んでいます。

▲カンボジア・アンコールワット

――他社とは異なる御社ならではのお取り組みはございますか?

弊社には1万3000を超えるツアー数がございまして、そのメンテナンスを一番意識しています。弊社の場合、コンバージョン率が最も高いのは「ハワイ ツアー」のような現地で何をするかが決まっていないキーワードではなく、「ハワイ 野生のイルカ ツアー」「ハワイ 野生のイルカ シュノーケリング」といった個別具体的なキーワードです。こうしたキーワードで弊社のツアーを検索結果の1位に表示させるというSEOの取り組みは、機械的にはなかなか難しく人的コストがかかりますので、意識的に注力しています。

▲ハワイ観光で人気のシュノーケリング

――過去のお取り組みの中でご苦労された点はございますか?

一つの施策がすべて成功した、あるいは失敗したということはなく、多くの施策はうまくいった部分と、いかなかったところが混在しています。例えば、リマーケティング広告を活用されている会社は多いと思いますが、以前、費用対効果の分岐点がどのあたりにあるのかを調べてみたことがあります。もちろん商材にもよりますが、結果的に200万UU(ユニークユーザー)くらいいるときは、1UUあたり1.5円から2円くらいがちょうど良く、2.5円以上かけると費用対効果が悪くなるということがわかりました。実は一時、6円くらいかけたことがあります。6円かけた結果、ROIが1.0%くらいになりまして、費用対効果が全く合わなくなりました。その辺は失敗したというよりも、いろいろ試してみて良かったと思います。

会員登録をマイクロコンバージョンに

――現状で課題点をどのように認識されていますか?

課題点はたくさんありますが、現在注力して改善を施している課題点としては、休眠ユーザーの活性化が挙げられます。弊社の会員数は約150万人ですが、そのうち過去1回だけ利用しましたという、いわゆる「一見さん」が約4割ほどいます。その方々がリピーターになって2回目、3回目とご利用いただけるようにするのが、これから我々が取り組むべき重要なテーマの一つです。

その課題に対する有力な解決策として位置づけているのがコンテンツマーケティングです。これまで弊社は「次はどこに旅行に行くか」といった、旅行を検討する初期段階に提供できるコンテンツづくりに力を入れてきませんでした。そのため、特定のツアーに対する購買意欲をあらかじめお持ちのお客様については、弊社のサイトを訪問してそのままご購入いただけるのですが、「どこか面白い旅行先がないかなあ」と悩んでいる方に対しては、ツアーの案内をするしか方法がありませんでした。つまり、一見さんで終わってもやむを得ないマーケティング戦略だったと言えます。

そうではなく、「この国にはこんな魅力があります」「こんな素晴らしいアクティビティを体験できます」「家族でもカップルでも、おひとりさまでも楽しめます」というコンテンツページがあり、そこをタッチポイントとしてお客様とのコミュニケーションを継続的に行うことができれば、お客様と弊社のつながりを「点」から「線」へと進化させられます。そのようなコンテンツマーケティング施策は休眠ユーザーの活性化という点にとどまらず、新規ユーザーの獲得においても重要なアプローチになると考えています。例えば、「週末ぶらっとお出かけするならどっちがいい?台湾vs韓国」のような記事を作成し、それぞれの魅力を伝えながら、お客様が旅のプランを膨らませていただけるようなコンテンツマーケティングを行っていく方針です。

――ほかにWebマーケティング全般において今後、取り組んでいこうと考えていることはございますか?

弊社のコンバージョンはツアーの予約・購入にありますが、今後はマイクロコンバージョンを設定しようと考えています。一つの例が会員登録です。これからは、先ほどお話ししたようにコンテンツを充実させて、有益な情報をお客様に届けることで次の旅行のプランニングをしてもらい、その流れで実際に休みが取れたときにオプショナルツアーも予約していただくという形を描いています。つまり、これまで購入の直前だけだったお客様との接点を、旅行を本格的に検討する前の段階、すなわち会員登録に持っていこうとしているわけです。

――Webマーケティングの施策全体を通して意識していることはございますか?

これはWebマーケティングの担当になってまだ間もないという方にも参考になると思うのですが、一つ一つの施策に対してKPIをしっかりと細かく設定することを意識しています。例えば、売り上げをKPIに設定することが難しいSNS施策の場合、Twitterならインプレッション数やフォロワー数、サイトへのアクセス数の増加をKPIにしたり、Facebookのリマーケティング広告ならアシストコンバージョンをKPIに設定したりすると良いでしょう。リマーケティング広告でも、GDN(Googleディスプレイネットワーク)やCriteoさんであれば費用対効果をKPIにしていいと思いますが、Facebookのリマーケティングについては直接そこから買っていただける方は多くはありません。すべての媒体が売り上げにつながるわけではありませんので、同じ商材でも媒体別にKPIを設定することが大切です。

SNSについてはほかにも、フィードバック(FB)、つまり返信を積極的に行うということを試験的に実施しています。FacebookやInstagramにいただいたコメントに返信や「いいね!」という形でコミュニケーションを取ることで、閲覧数がどれくらい増えるのか、増えることでコンバージョンにどの程度貢献するのかという点を注視しています。FBについては専任の担当者を置いて実行中です。

――ありがとうございました。


【会社紹介】
ベルトラ株式会社
海外オプショナルツアー(アクティビティ)予約サイト「VELTRA(ベルトラ)」を運営。アクティビティの数は111カ国270都市で13,442種類に上る。観光ツアー、マリンスポーツ、ゴルフ、スパ・エステ、ディナークルーズ、エンターテインメントなど幅広いジャンルが充実している。
設立:1991年11月
本社:東京都中央区
代表取締役社長兼CEO:二木 渉
https://www.veltra.com/jp/

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