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2021.05.19

SNSにリアルタイムオーディオの波が広がる中、Twitter Spaces(スペース)を使ってみました!今後の可能性は?

Twitter上で音声をリアルタイムに配信できる「Spaces(スペース)」が、2021年5月4日に正式発表されました。2020年末よりテスト導入されていた機能で、実名・匿名に限らず600人以上のフォロワーを抱える公開アカウントであれば、スペースを始められます。公開されたスペースには誰でも参加でき、「スピーカーになりたい」とリクエストすることも可能です。

かねて成長が見込まれていた音声市場。Clubhouseの流行も相まって、TwitterをはじめとするSNSでも音声機能の実装が見られるようになっています。そこで今回は、スペース機能の実際と、リアルタイムオーディオ機能の広がり、音声×SNSの今後の可能性について調べました。

(文・Marketing Native編集長 佐藤綾美)

目次

Clubhouseとの違いや特徴

スペースは、「ツイート作成」ボタンを長押ししてスペースのアイコンをタップするか、フリートの「追加する」をタップして一番右にある「スペース」から始められます。

左:「ツイート作成」ボタンを長押しした場合。中央:フリートの「追加する」をタップして開いた場合。右:スペースには名前を付けられる。

スペースのタイトルを入力し、「スペースを開始」をタップして始めると、人型のアイコンからスピーカーを追加したり、スペースのリンクをDMやツイートで共有したりもできます。

左:スペースの基本画面。中央:人型のアイコンをタップすると、スピーカーを追加できる。右:リアクションをタップしたときの表示。

話し手と聞き手に分かれる構造はClubhouseと同様で、スペースのスピーカーになれるのは、ホストも含めて11人までです。リスナーの人数に制限はありません。Clubhouseはスピーカーの人数は決まっておらず、roomの人数には上限が設けられています。かつて5,000人だったroomの上限は、2月末の時点で8,000人まで上がっていたようです。

ホストやスピーカーがキャプションの表示に同意している場合は、キャプション機能をオンにすることで、会話の内容がテロップのように自動的に表示されます(※Twitterアプリを非表示にして音声のみの再生にしたり、スペースをTwitterの下部に固定表示したりしている際はキャプションが出ない)。

また、スペースでは、スピーカーもリスナーも「♡+」のボタンから「ピースサイン」や「手を振る」などの絵文字でリアクションが可能です。

Clubhouseにはリアクションボタンがなく、挙手ボタンのみがあります。そのため、スピーカーとして話している際にリスナーの反応はわかりません。聞き手の反応を気にせず話せる点をメリットと考える人もいましたが、Twitterのハッシュタグを活用してリスナーにツイートを促すケースも見られました。筆者がClubhouseにスピーカーとして参加した際は、視聴者数の変動をトークの盛り上がりの参考にしていました。

スペースにはまだClubhouseのようなスケジュール機能がなく、追加予定であることが発表されています。そのため、事前に日時を告知してスペースを開始するか、スペースを開始してからTwitterやDMで告知することになります。このほか、ホストが報酬を受け取れる「Ticked Spaces」などの機能も追加が予定されています。

スペースの正式発表から1週間以上経過しましたが、筆者のまわりでは、まだあまり活発に使われていない印象を受けます。時折誰かがスペースで話しているのを見かけるくらいです。Instagramをはじめ、SNS運用の支援を行う株式会社FinT代表取締役の大槻祐依さんも「Clubhouseがブームになったときとは異なり、まだあまり使われていない印象」と言います。

『そもそもTwitterはテキストを見るためのアプリであって、「音声を聞く」という行為がプラットフォームになじみづらいのではないかと考えています。マインドの違いがあるのではないでしょうか』(株式会社FinT・大槻さん)

広がるリアルタイムオーディオの波

Twitterのみならず、Facebookや投稿サイト、チャットツールなどでもリアルタイムオーディオ機能の開発・実装が相次いで進行しています。

Facebookは4月19日(米国時間)に「Live Audio Rooms(ライブオーディオルーム)」をテスト中で、今年の夏にも提供開始を予定していることを発表しました。Clubhouseのように話し手と聞き手に分かれて交流できる機能で、配信への対価が得られるようにすることも考えているようです。Facebookではこのほかにも、Facebookアプリ内で音声トラックのミキシングやサウンドエフェクトなどを行える音声作成機能の構築をはじめ、短い形式の音声クリップ「サウンドバイト」、Podcast(ポッドキャスト)の視聴機能の追加を予定しています。

Instagramにおいても、公式アカウントで以下のようなツイートがあり、インスタライブの配信中にマイクやビデオをオフにできる機能が実装されています。

また、アメリカで人気の投稿サイト「Reddit(レディット)」も4月19日(米国時間)に「Reddit Talk」のプレビューを開始したと発表しています。初期のテストではモデレーターのみがトークを開催することができます。参加しているリスナーは絵文字でリアクションしたり、挙手したりできるなど、Clubhouseに似ています。

主にゲーマーから人気を集めるチャットツール「Discord(ディスコード)」も、4月1日に「Stage Channel(ステージチャンネル)」と呼ばれる機能が実装されています。Discordにはもともと、音声やビデオで会話できる「voice channel(ボイスチャンネル)」がありましたが、これは参加者全員が発言可能な機能でした。「Stage Channel」は、Clubhouseのように話し手と聞き手が分かれています。

音声×SNSの今後の可能性

音声コンテンツの今後の可能性について、株式会社FinT・大槻さんは自身の経験を振り返って次のように話します。

『私自身は、ここ1年くらいでPodcastをよく聞くようになりました。海外の興味深い話やVC(ベンチャーキャピタル)の情報など、面白いコンテンツを聞けるようになったことが理由としてあると思います。もともと移動時間は情報収集に充てていたのですが、情報を得る場所が目から耳に変わりました。手がふさがっているときも、耳から情報をインプットしたいのかもしれません。自身の体験を踏まえても、音声コンテンツの潮流は今後到来するだろうと感じています。

SNSの場合はそうしたPodcastなどの音声配信サービスと異なり、一方的に誰かがコンテンツを配信するというより、複数の人が交流してセッションが生まれるところに面白さを感じています。今後は、Podcastのコンテンツが「Apple Podcast」や「Spotify」など多様なプラットフォームで聞けるのと同様に、ユーザーが音声を通じて交流する場も分散し、プラットフォームごとに特性が分かれていくのではと考えています』

また、Instagramにおいては、Clubhouseが流行した後、ライブ配信が増えたと言います。

「Clubhouseの流行以降、Instagramも複数人でライブ配信ができるようになり、インスタライブの数が増えた印象です。Clubhouseをきっかけに複数人で配信する楽しさがわかり、これまで一緒に配信できなかった人とも場所を超えてコラボレーションできるようになったのは、大きな変化だと思います。Instagramはもともとビジュアルありきのプラットフォームなので、音声のみの配信は強みになりづらいと考えていますが、複数人のライブ配信で都合が悪い人だけカメラオフ…という活用のされ方はありそうです」(株式会社FinT・大槻さん)

確かにClubhouseでは、音声のみで気軽に話せる点を活かして、お風呂に入りながらスピーカーとして参加する人や、移動中の隙間時間に参加する人も見られました。

『TwitterやClubhouseは自分がどこのスペースやroomで話を聞いているのかがわかってしまいますが、インスタライブはコメントさえしなければ、どこに参加しているかはわかりません。自分が聞いていることを他人に知られるのが恥ずかしい、という人にはインスタライブのほうが参加のハードルが低いでしょう。

Clubhouseの人気が落ち込んでいる中で、すでに数多くのユーザーを抱えるTwitterやInstagramはやはりプラットフォームとして強いと感じます。とはいえ、SNSはフォローしている人が配信していない限り、「興味のあるコンテンツを聞こう」という状態にはなりづらいものです。そう考えると、常に何かしらのコンテンツが発信されているClubhouseは、音声を聞くプラットフォームとして強みがあると思います』(株式会社FinT・大槻さん)

 

参考:
https://about.fb.com/ja/news/2021/04/bringing-social-audio-experiences-to-facebook/
https://www.reddit.com/r/modnews/comments/mu3f0x/lets_talk_get_a_sneak_preview_of_reddit_talk_and/

佐藤綾美

記事執筆者

佐藤綾美

株式会社CINC社員、Marketing Native 編集長。大学卒業後、出版社にて教養カルチャー誌などの雑誌編集者を経験し、2016年より株式会社CINCにジョイン。
Twitter:@sleepy_as
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