実務に役立つノウハウ
2021.11.24

海外で話題のニュースレターは、なぜ注目を集めているのか?

ニュースレターと呼ばれるコンテンツ配信モデルがアメリカを中心に注目を集めています。新型コロナウイルス感染症により大きな打撃を受けた海外のメディア業界やジャーナリストからは、ニュースレターが新たなゲームチェンジャーになり得るのではと期待する声も見られます。

メールでコンテンツを届けるニュースレターは、従来のメールマガジンと何が異なるのでしょうか。 この記事では、ニュースレターの特徴や海外の動向、その魅力について解説します。

目次

注目されつつあるニュースレターとは?

メールを活用したマーケティング手法は以前からある中で、ニュースレターが近年注目を集めているのはなぜなのでしょうか。ここではニュースレターの特徴やタイプを解説します。

そもそもニュースレターとは?

ニュースレターとは、ビジネスパーソンなど特定の購読者に向けた、メール配信コンテンツのことです。英語の「newsletter」には、「(特別購読者向けの)時事通信」、「(会社などの)社報、回報」といった意味があるほか、コリンズ英語辞典を見ると以下のようにも記載されています。

a written report and analysis of the news, often providing forecasts, typically directed at a special audience, as business people, and sent to subscribers

メールで配信するコンテンツには、メールマガジン(メルマガ)もあります。両者は「メールで定期的に配信されるコンテンツ」という点で共通していますが、明確な違いはまだ定義されていません。

ニュースレターのコンテンツは読み物として完結しているものが多く、読者が「お金を払ってでも読みたい」と思えるほど興味深い内容、ニュースを解説する識者や著名人ならではのユニークな視点・洞察など、高い品質が求められるのが特徴です。この点が、商品やサービスの販促、リード獲得などを目的に用いられるメールマガジンとの違いと言えるでしょう。

出典:weblio英和辞典・和英辞典「newsletter」
出典:Collins English Dictionary

ニュースレターのタイプ

ニュースレターは、配信するプラットフォームや企業によってさまざまなタイプがあります。無料で読めるもの、サブスクリプションで有料購読するものに分けられるほか、メールで配信されているコンテンツと同じ内容をWebサイト上で全文読めるもの、登録すれば続きやバックナンバーを読めるものもあります。また、内容には以下のようなタイプが見られます。

  • 1つのテーマを取り上げて記事のようにまとめたり、ターゲットとする読者が興味を持ちそうなニュースやホットなトピックを、筆者独自の視点で深掘りしたりするタイプ
  • 読者が興味を持ちそうなニュースやトピックのリンクをまとめ、コメントまたは解説を加えて配信するタイプ
  • 開催されているイベントに合わせた内容を期間限定で配信するタイプ
    など

また、配信頻度も毎日、平日のみ、週1〜2回配信などとニュースレターによって異なります。

ニュースレターにまつわる海外の動き

アメリカでは2020年から2021年にかけて、ニュースレター関連企業の買収が相次ぎ、メディア業界や投資関係者の注目を集めています。ここではニュースレターへの注目を高めることになった、代表的な買収事例をご紹介します。

ニュースレター関連企業の買収

2020年10月に「Business Insider」の運営会社であるInsider, Inc.が、ビジネスやテクノロジーなどのニュースレターを配信するスタートアップのMorning Brew(モーニングブリュー)を7,500万ドルの評価額で買収しました。Morning Brewは当時、250万人もの購読者を抱えるニュースレターでした。

2021年1月には、Twitterがオランダでニュースレター配信サービスを手掛けるRevueを買収しています。Twitterのメニューで「ニュースレター」を選択するとRevueが利用できるようになっており、ニュースレターの配信が可能です。ニュースレターは無料と有料のどちらにも設定可能で、有料の場合は収益の5%がTwitterに支払われます。

▲Twitterのメニューで「ニュースレター」をクリックすると表示される。

また2021年2月には、大手CRM(顧客関係管理)プラットフォームであるHubSpotが、ニュースレターやポッドキャストを制作するメディア企業The Hustleを買収することを発表しました。2016年に開始されたニュースレター「The Hustle(ハッスル)」は、ビジネストピックをエンターテインメント性のあるニュースに落とし込んで取り上げているのが特徴です。ミレニアル世代をターゲットに、150万人以上の購読者に配信しています。

大手プラットフォームもニュースレター事業に参入

海外では、大手プラットフォームがニュースレター事業に参入する動きも見られます。

2021年6月には、Meta(当時Facebook)がニュースレタープラットフォーム「Bulletin(ブレティン)」を発表し、ベータプログラムの提供をアメリカでスタートさせました。現状はアメリカの著名人によるニュースレターが配信されており、無料またはサブスクリプションで有料購読できます。サービス開始後、当面の間はクリエイターから収益の一部を徴収しないとあり、すべて配信者に支払われる仕組みになっています(2021年11月時点)。

また2021年9月には、GoogleがGoogleドライブを利用したニュースレターサービスの実験を開始したことが報道されました。プロジェクトは「Museletter(ミューズレター)」と名づけられており、Googleドライブのファイルをブログやニュースレターとして公開できる仕組みです。

米パブリッシャーもニュースレターを配信

アメリカの大手パブリッシャーも続々とニュースレターへ参入しています。これには、急成長する独立系ニュースレタープラットフォームに、自社のジャーナリストと購読者を移行させまいとする狙いも含まれているでしょう。

Los Angeles Times(ロサンゼルス・タイムズ)は、2021年1月にエンターテインメントビジネスニュースレター「The Wide Shot」の配信を開始しました。毎週火曜日に、トレンドに関する洞察をはじめ、スクープや調査、分析などを無料配信しています。

デジタル化に成功したThe New York Times(ニューヨーク・タイムズ)は、早くからニュースレターを配信しているパブリッシャーです。2021年8月にThe New York Timesは、本紙の有料購読者向けの特典として、ニュースレターの数を倍増させることを発表しました。

ニュースレターの魅力

ニュースレターの配信により、企業や書き手はファンとのコミュニティの構築や、熱量の増加につなげられる可能性があります。ニュースレターが持つ主な魅力をご紹介します。

読者のメールボックスに直接コンテンツを届けられる

ニュースレターは読者のメールボックスに直接コンテンツを配信できます。Webサイト上に掲載したコンテンツやツイート、Facebook上の投稿などはプラットフォームのアルゴリズムによる影響を受けますが、ニュースレターはそうした影響を受けることなく、自身のファンに伝えたい内容を届けられる点が魅力の一つです。

読者の熱量が高くなりやすい

ニュースレターのもう一つの魅力は、能動的に登録・購読する読者の熱量の高さにあります。読者は自ら主体的にニュースレターを選んで購読しているため、熱心に読んでくれる可能性が高いのです。その背景として、現代は情報であふれかえっており、信頼するメディアや人物によって厳選された情報をキャッチアップしたいと考える読者のニーズがあります。

ニュースレターを通じて読者にマッチする情報を提供することができれば、購読者と深い関係性を築くことができるかもしれません。

個人で発信し、購読者をつけることができる

海外では、個人が配信するニュースレターも増加傾向にあります。これは、個人やクリエイターが手軽に配信できるSubstack(サブスタック)などのニュースレタープラットフォームが人気を得ているためです。

2017年にローンチされたSubstackは、個人が配信できるニュースレタープラットフォームです。コロナ禍で有料購読者数を順調に伸ばし、2021年11月15日には100万人に到達したことを発表しています。有料のニュースレターを配信すると、売り上げの10%と決済手数料が徴収される仕組みです。個人で気軽に始められ、書き手自身に購読者がつくことから、有力紙のジャーナリストや大手メディアのライターなども参画しています。

日本国内でも「WISS」や「Medy」「theLetter」などのサービスがローンチされ、個人でニュースレターの配信を始める人が見られるようになっています。

情報過多の時代ゆえに求められるニュースレターは日本でどこまで普及するか

海外でニュースレターが広まった背景には、メディアに対する信頼度の低下もあると言います。Substackなどのサービスが人気を集めているのは、自らが取得する情報を主体的に選びたいとする読者の気持ちの現れとも言えるでしょう。プラットフォーマーも参画してきたニュースレターが、流行の枠を超えて国内でも普及するのか、注視していきたいところです。

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